グリーン定期券は高い《2024改定版》 | 車内販売でございます。

車内販売でございます。

車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

当ブログ「車内販売でございます。」で、常にアクセス数が多いのが、首都圏の普通列車での「グリーン定期券」に関する記事です。2024年3月に、グリーン料金の大幅改定があったので、2014年に書いて2017年に修正した記事を、最新のものに修正してアップします。

 

【1】グリーン定期券とは?

 首都圏の東海道線・横須賀線・総武快速線・高崎線・宇都宮線・常磐線では、2階建ての普通列車グリーン車が2両連結されています。10~15両の中の2両が「自由席グリーン車」で、利用するには別途グリーン料金が必要です。

 グリーン料金は、50kmまでが750円、50kmを超えると1000円となります。

(100km超えると1550円。車内購入だと260円増し。現在は土曜休日割引は廃止されました)

 50kmというと、だいたい50分くらいの距離です。通勤時は混雑するので、座るためにグリーン車を利用する人が多いです。自由席とはいえ、普通車だと座れなくてもグリーン車なら座れる時間帯・区間がまだまだ多いのです。

(↑特急と同じようなリクライニングシート)

グリーン車の魅力は、「座席がリクライニング」「たいてい座れる」「車内販売がある」といった点があります。

この普通列車グリーン車に、毎回乗車できる定期券が「グリーン定期」なのです。

 

【2】グリーン定期券の値段

 グリーン券は、ホームで交通系ICカード「Suica」を使って、乗る都度買うこともできます。でも、毎日のように乗る人のために、グリーン定期券が発売されています。

グリーン定期の料金は、簡単に計算できます。

普通の1か月の通勤定期券に、次の金額を加算します。

 20kmまでは、23050円増し

 50kmまでは、33520円増し

 100kmまでは、44000円増しです。


【例1】16~20kmの電車特定区間・・・(乗車時間約20分)

「川崎~東京」「市川~東京」「松戸~上野」「赤羽~品川」

この区間は、20km以内の距離で、1か月通勤定期券は9620円。

これにグリーン定期は23050円増しになり、32670円。3.4倍の高さです。

 

【例2】27~30kmの電車特定区間・・・(乗車時間約30分)

 「東京~横浜」「上野~大宮」「東京~津田沼」「上野~柏」

この区間は、30km弱の距離で、1か月通勤定期券は14640円。

これにグリーン定期は33520円増しになり、48160円。3.3倍の高さです。

 

【例3】48kmの幹線・・・(乗車時間約50分)

「品川~辻堂」「新橋~新白岡」「上野~龍ヶ崎市(佐貫)」

この区間は、48kmの距離で、1か月通勤定期券は23630円。

これにグリーン定期は33520円増しになり、57150円。2.4倍の金額です。

 

【例4】64kmの幹線・・・(乗車時間約65分)

「平塚~東京」「大網~新橋」「栗橋~品川」「古河~品川」

この区間は、64kmの距離で、1か月通勤定期券は30610円。

これにグリーン定期は44000円増しになり、74610円。2.4倍の高さです。

 

 

【3】3カ月定期もある

グリーン定期券には、6カ月定期は販売されていません。

割引率が高い6か月定期は無く、最長で3か月定期になります。

試算したところ、

1か月のグリーン定期を、ほぼ2.85倍した値段が、3か月定期となっています

たとえば、30km弱の「東京~横浜」「上野~大宮」なら、グリーン定期1か月が48160円、3か月が137270円で、2.85倍になっています。2.85倍ですから、1か月定期が1万円とすると、3か月定期は28500円で1か月あたり0.95倍、つまり割引は5%となります。正月休みを挟んだら、吹き飛ぶ割引率です。

まあ、私はこのような細かい割引率を必死に計算していますが、本来想定されているグリーン定期券の利用客の客層とは、違っているのかもしれません。

私は、混雑してもゆったり座れる生活が「当たり前」になるのが怖いです。続けて2か月間グリーン定期を買う場合でも、2~3日は満員電車に立って、グリーン車のありがたみを実感することにしています。

 

【4】グリーン定期はお得か?

 グリーン定期券はお得になるか、試算してみました。

《面倒な方は、細かい計算は読む必要はなく、結論だけでOKです↓》

 もし平日に1か月間グリーン料金(21~50km以内)を別途払って乗ると、グリーン定期の33520円÷1回750円=44.7回乗れることになります。つまり44.7回÷往復2回=会社に毎月22.4日グリーン車で通ってギリギリ元が取れる計算になります。

 週休2日の会社に1か月通う会社員がいるとして、1か月30日÷7×5=21.4日になります。料金は21.4日ぶん、通うのは22.4日でほぼ一致します。祭日が1日あって出勤しない日が1日あるとお得分は吹き飛びます。正月休みやゴールデンウイークの休みが入ると、むしろ損してしまいます。

 50kmを超えて44000円増しでも、元が取れる日数は毎月22日間グリーン車で往復した時ですから、ほぼ一致します。

 ただし、20kmまでの近距離だと事情は異なります。23050円増し÷1回750円=30.7回で元が取れます。30.7回÷往復2=15.4日往復すれば元が取れる計算です。まあ、本来は20kmでも50kmでも、定期以外では同じグリーン料金なのが少しおかしいのですが、短距離だと修正されるのです。

結論:グリーン定期券は、週休2日の会社員にとっては、毎回購入するのと金額的には変わらず、購入する手間を省くだけのものと言えそう。

 

 

【5】グリーン定期が有利な場合

例外的に、グリーン定期が有利なのは、次の場合です。

★20kmまでの短距離

乗車する距離が20km以内なら、毎月16往復でも元が取れます。

20km超えだと22.4往復が採算ラインですから、お得感があります。

乗る回数がやや少ない人でも、損はしにくいでしょう。

まあ、乗車時間が20分以内ですから、若い人なら座れなくても、さほどシンドくないでしょうけど。

★1枚で買えない折り返し区間。

「熊谷→大宮→小山」や「市川→東京→浦和」のように、グリーン車を逆方向に乗り換える場合は、グリーン券売機では通しで1枚で買うことはできません。別々に購入しますから、かなり割高になります。

しかし、グリーン定期だと、通しで買うことができます。

この折り返しのグリーン定期券ですが、以前は「グレーゾーン扱い」で、必ずと言ってよいほど窓口の係員は発券を渋っていました。でも現在は券売機でも購入できますから、不慣れな係員を困らせないように券売機で購入しています。

↑折り返し乗車の定期券の例

「市川~東京15.4km」「東京~柏32.7km」を合算して48.1kmとして通算できます。

 

 

【6】グリーン定期を買う際の注意点

【1】税法上、交通費としては認められにくい

 多くの会社員でしたら、通勤定期券代は、勤務先の会社が負担します。

 でもグリーン定期券は、税金のかからない通勤交通費として、認められないのが原則です。会社からグリーン定期券代を支給されても、グリーン料金ぶんは給与の一部と扱われ、所得税が上がることになるでしょう。(足を骨折した、といった特殊事情は、税理士など専門家に問い合わせてください)

 まあ、私は趣味で車内販売を利用するために乗っていて、普通車だと車内販売が利用できないから、年に何回か定期券で乗っているのですが。

【2】座れない区間・時間帯も

 朝ラッシュの湘南新宿ラインに、横浜から新宿方面行に乗ると、グリーン車で座るのは厳しいでしょう。

 夕方の東海道線下りに、品川から乗っても、座れないことが多いです。

乗り慣れていない場合は、グリーン定期を買う前に、3回くらい実際に乗車して確認した上で、グリーン定期券を買うのをお勧めします。その都度グリーン券を購入すれば、満席で座れなかった場合は《普通車に移動してグリーン料金払い戻し》ができますが、グリーン定期はそのような措置はありません。高価なグリーン定期券を買ったのに、座れないのでは、価値が半減してしまいます。

【3】区間の延長もアリ?

たとえば東海道線の大船から新橋まで通うサラリーマンなら、東京から大船まで買うのも考えてはどうでしょうか。

グリーン定期券は、20km、50kmを超えると料金が約1万円アップします。

新橋~大船44.6kmは55700円。

東京~大船46.5kmは56050円。

たった350円の差しかありません。

1か月で2回や3回は東京駅に行く機会がありそうです。

また、金曜夜など新橋から座れるか微妙な日時なら、東京駅から乗れるわけです。

会社から通勤定期券代を支給され、差額を自分で出してグリーン定期券を買って構わないのであれば、使える手法です。

 【4】「通常の定期」プラス「そのつどグリーン券」は割引が

グリーン定期と比較する際には、次の要素も若干影響します。

★オフピーク定期券

グリーン定期には、「オフピーク」定期券はありません。

朝ラッシュ時には利用できない代わりに、約10%引きとなる「オフピーク定期」には、グリーン車用はありません。

★割引率が高い6か月定期の利用

割安な6か月定期の利用で、運賃を安くしできます。

そして、そのつど割引が無いグリーン券を買うことも選択肢です。

★モバイルスイカ

グリーン車に乗り込んでからグリーン券を買うと、割高になります。(260円増し)

でも、スマホのアプリを操作してグリーン券を買えば、事前料金になります。

グリーン券を買う時間が無い場合の「割り増し料金」は、モバイルスイカ利用で解決できます。

私は詳しくありませんが、ポイント利用でグリーン券に引換もできるようです。

【5】予定の変更時は大変

1か月用のグリーン定期券を、5日間使用した時点では原則払い戻しできません。

途中で用務先の変更などがありそうな時は、そのつど購入が無難です。

IMG_20160408_195501947.jpg

↑私は1か月55000円ほどのグリーン定期を買った数日後に、血を吐いて入院したことがあります。

3泊4日の入院と、3日ほどの自宅静養で、グリーン定期1週間分を無駄にしました(セコイ!)

 

 

【7】現実的な「その都度購入」の例

常にグリーン定期券で乗車するのは高価でツライけど、グリーン車で座って通勤したい人向けの利用法の例をシュミレーションします。

総武線の千葉から、東京まで通う会社員の6か月分の定期券代を考えます。

●グリーン定期券利用

6か月定期は無いので、3か月定期は「39.2kmの電車特定区間」を2回購入します。

152490円×2=304980円です(1か月あたり50830円)

●その都度購入

通常の6か月定期、95990円を購入。割引率が高いです。

★毎回グリーン車利用

仮に6か月間(183日)の土曜日曜を除くと、183÷7×5で130日。

年末年始やGW、そして夏休みや祭日で少なめに5日引いて125日の通勤。

1回750円×125日×往復2回=187500円。

グリーン料金187500円+運賃95990円=283490円(1か月あたり47248円)

★週10本のうち6本グリーン車利用

週5日勤務で10本乗るうち、6本だけグリーン車を利用した場合を試算します。

帰りは東京始発の総武快速があるため、15分ほど並べば普通車に座って帰宅できる時が多いのです。

半年で75往復になりますから、1回750円×75日×往復2回=112500円

グリーン料金112500円+運賃95990円=208490円(1か月あたり34748円)

「その都度購入」のほうが安いですよ

年末年始や連休や祭日などを考慮すると、仮に常にグリーン車を利用する会社員でも、週休2日なら割高になる可能性が高くなります。「週休1日など休みが少ない人」や、「仕事が無い日でも都心に遊びに行く人」なら別ですが、該当する人は少ないのではないでしょうか。

 

 

●普通列車グリーン車の関連記事●