今回は少なめの11選、ガンガンネタバレするよ!
『ウィークエンド・シャッフル』
1970年代に作られた映画で、若い頃(といっても見た目すでにオッサン)の泉谷しげるがふた癖もあるセールスマン演じる。
そのセールスマンを行き違いから息子の誘拐犯と間違えた主婦との間で巻き起こるドタバタ劇。
エログロの果てに撃たれて浮遊し、首がふっ飛び突き刺さる泉谷しげるのラストに笑いが止まらないw
『みなさん、さようなら』
中学時代に友人が殺害されたトラウマにより団地から出られなくなった少年。
時は経ち、恋も就職も団地の中で完結させるが根本部分で乗り越えられない壁がそれぞれ次のステージに向かう周りの人との距離を広げてしまう。
しかし、嘲笑と苦悩にまみれつつ少女を守ることでトラウマと戦い、母親への想いで団地捕囚に打ち勝つ小さな成長の物語。
『みかんの丘』
舞台はジョージア(グルジア)共和国アブハジア、エストニア移民の老人が営むミカン農園は収穫期を迎えていたが難題を抱えていた。
ジョージアとロシアの支援を受けるアブハジア分離独立派との間で戦闘が激化し、収穫期に人手が確保できなかったのである。
そんな中、ジョージアとアブハジアのチェチェン人義勇兵との間で小競り合いが生じ、生き残った重傷者二人を老人が助けることになる。
一人はジョージア人、もう一人はチェチェン人、当然いさかいが生まれるが、家の中では停戦がルール。
時が経つにつれわだかまりの感情がほぐれていく両者は戦いの意味を失いつつあり、ミカンの収穫後にジョージアを離れる老人の収穫を二人で手伝うようになった。
ところがジョージア人狩りのアブハジア派ロシア人達が農園を急襲し、窮地に陥ったみんなを守るため抵抗したチェチェン人が命を落とす。
何のために生き、何のために戦い、何のために死ぬのか、アブハジアを舞台に交錯する様々な民族の生と死を描く。
『バービー』
女の子を養子に迎えたいとアメリカから韓国へやって来た男性とその娘。
しかし女の子は家族を案じてアメリカ行きに気乗りせず、謝礼の心配をするおじは女の子を急かす。
アメリカへの憧れを抱く女の子の妹は自分が行きたいとゴネるが持病をもつ妹は無理だとおじに拒否される。
色々あって妹がアメリカへ行くことになるが、娘が女の子に謝罪の手紙を残したことで気づいてしまった、重い病を抱える娘の妹に臓器を移植手術をするため自分の妹が騙され連れていかれた事を。
欲求をエゲツナイまでに強調し表現することに定評がある韓国映画らしさが表れた後味の悪さ抜群の良作。
『暗いところで待ち合わせ』
田中麗奈が演じる独り暮らしの盲目の女性宅に一人の男が静かに入り込み、不思議な同居生活を始める。
男は仕事場でいじめとパワハラを受けており、駅で上司を転落死させた容疑をかけられ逃げていた。
女性は家で起こる出来事を次第に不思議に感じ男の存在とその優しさに気づく。
盲目と仕事場でのいじめという二つの孤独が一つの家の中で同居する姿を描く一方で事件は思わぬ方向に進み、男の無実は証明された。
サスペンスではあるが、そのシチュエーションが生み出す空気感により不思議なハラハラ感を与えてくれる独特な作品。
『気球クラブ、その後』
ある気球クラブの顛末を描いた青春物語ではあるが、気球クラブ結成の理由が個人の恋心にあるという部分がピンポイントで面白かった。
多くの人を巻き込み、様々な気持ちと思惑を乗せてきた気球。
結局、気球の上でのプロポーズは実らず、メンバーもバラバラとなり、再び集まったのは結成したメンバーの死を聞いて。
その男の恋心で浮き上がった気球クラブはその死で終わりを迎える。
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』
榮倉奈々と安田顕が夫婦を演じるコメディ。
冒頭からパーティーグッズや着ぐるみで死んだフリをし夫を驚かせる妻、畳み掛けが半端なくコメディエンヌ榮倉の本領発揮である。
中盤、妻がこうなった原因を掘り起こす過程がホロリとさせ、それに感化される夫を安田顕が自身のキャラクターを活かし演じる。
ラスト、妻の心の隙間を埋めるべく「死んだフリ返し」にいそしむ夫を見つめる榮倉奈々の冷めた表情がまた笑える。
『桐島、部活やめるってよ』
姿を表さない「主役」桐島と友人、その周辺の恋と部活を絡み合う糸のように描く。
スクールカースト最上位にいる桐島が消えたことで周囲は様々な反応を見せ、それが上位グループの中での個性の違いを際立たせる。
一方、下位グループから上を見つめながら淡い想いを抱く二人。
その間、下位カースト同士のライバル心も部活を通してぶつかり合う。
二人の恋心はカーストの壁に打ち勝てず脆くも崩れるが、そのうちの一人、映画サークルの男子生徒は新作映画の撮影に打ち込んでいた。
撮影チームが屋上でクライマックスの撮影をしていたとき、桐島登校の噂を聞きつけた桐島の友人達も屋上に集まり両者か向かい合う。
桐島しか見えない傲慢な彼らをカオスに巻き込み、恋心を越え、カーストを越え、映画サークルの小さな自己主張がクライマックスを迎える。
『海炭市叙景』
地方都市の片隅に住む幾つかの家族を描いたオムニバス作品。
最初から最後まで限界感しかない雰囲気がたまらない。
地方都市の狭さ、窮屈さ、不安感、それらが限界感の味付けとなっている。
『ガールズ・ステップ』
幼少期のイジメのトラウマから孤立を恐れるようになった一人のJK。
高校では上手く立ち回りスクールカースト内でちょうどいいポジションを獲得できたが、ある出来事をきっかけにカーストから弾き出されたJK達とともにダンスサークルを立ち上げる。
しかし、スクールカーストから弾き出される事と目標を見つけ頑張る事との葛藤が次第に大きくなる。
葛藤を乗り越えた先の達成感が弾ける、JK青春ストーリー。
JK、JKうるさいって?実際JK連呼してるからね!!
『草原の椅子』
製造メーカーのサラリーマンが娘の社会活動を通じて知り合った子供と不器用ながら交流を重ね人生を見つめ直すドラマ。
トラブルメーカーの量販店社長、行きつけの陶器屋の女店主、子供、本人というメンバーで外国旅行をし、二人の協力を得ながら子供との距離を縮め信頼を重ねていく。
本編途中で不意に流れる曲『中央線』が個人的にグッと刺さった。