あさひのブログ -11ページ目
チャン・イーモウ(張藝謀)監督の最新作。

「影」(2018年 邦題「SHADOW/影武者」 監督/張藝謀 主演/鄧超)
115分

日本語版はまだありません。[2019.6追記。日本語版作られました]

古代中国に似た架空の国の物語。

――とある小さな国・沛はまだ若い君主が治めていた。長年いがみ合っている隣国・炎とは休戦協定を結び束の間の平安の時が流れていた。だがある日大都督の子虞が王に無断で国境の城・境州へ出向き、境州を守る楊蒼に一騎打ちの約束を取り付けて来たと言う。休戦状態にあるのに相手国の将軍に戦いを挑むとは戦争を仕掛けているに他ならない!沛王は憤慨し子虞を罷免し、妹公主の青萍を楊蒼の息子・楊平に嫁がせることで和平を維持しようと考えた。

子虞はなぜ楊蒼に挑戦状を叩きつけたのか…それはかつて沛国のものであった境州を取り戻すため。子虞が炎軍との戦いで敗れたため境州を奪われたのだ、これは雪辱を晴らすためだ。そして戦いに赴く子虞は子虞ではなかった…彼に瓜二つの"影子"、身代わりなのだった。かつての戦いで重傷を負い戦えない体になった子虞は境州奪回のため主君をも騙して地下に潜伏し、自分の影子を鍛え大都督を演じさせているのだった。この秘密を知っているのは彼以外には妻の小艾だけだった――

[ここからネタバレ------
境州へ交渉に行った魯大臣が戻ってきたが、楊蒼は息子には既に炎国公主を娶る話が決まっており、青萍を妾としてならもらってやると答えたと言う。子虞の部下である田将軍は憤慨し、婚姻など結ばず一気に攻めたて境州を奪回すべきだと主張するが、あくまで和平を維持しようとする沛王は怒り田将軍をも罷免した。このままでは朝廷は真っ二つに分かれ国が危ういと悟った青萍は自ら妾になると申し出た。
田将軍は尊敬するかつての上司・子虞に誘われ彼の家の地下へと案内された。そこにいたのは本物の子虞…事情を知った田将軍は必ずや境州を奪回すると誓う。

子虞は影子に楊家の槍術を封じる技術を日々特訓させる。影子はやっとその技を習得できたが、名だたる将軍である楊蒼に勝てるとは到底思えなかった。自分はただの囮だ、一騎打ちで勝とうが敗けようが、死のうが生き残ろうが、自分を操る人々は何ら気にはしないのだ…。
一騎打ちの前夜、影子は眠れず身を縮こませ震えていた。そこへ小艾がそっと寄り添い彼を抱きしめる。…だがその姿を子虞が壁の隙間から覗いていた。

影子は境州城へ赴き楊蒼に約束通りの一騎打ちを挑む。楊蒼は沛国の謀ではないかと警戒し、息子の楊平に城の防衛を任せ戦いの場に臨んだ。一合目は影子が取ったが二合目は楊蒼に取られた。
その頃、田将軍は部下らを率いて地下水道から境州城内へ潜入し奇襲をかける。城内に敵が現れたとの報せに楊平は兵を率いて急ぐ。
一騎打ちは三合目、子虞が特訓に特訓を重ねた技で楊蒼を捉えたと思ったが、状況の変化に柔軟に応じる楊家槍術は甘くはなかった、楊蒼に足を斬られ影子は倒れた。楊蒼はそれでも見事だったと子虞(影子)を賞賛するが、影子は立ち上がり今度は生死をかけた戦いを挑む。
敵は城壁に掲げる楊家の旗を狙っている。楊平は父から授けられた技で旗を死守する。田将軍の部下らに交じって戦っていた青萍も切られ倒れるが、近寄って来た楊平の首に短刀を突き立てたところで力尽きた。
田将軍が楊家の旗を切り倒し境州は陥落したと宣言する。一騎打ちで影子を追い詰めていた楊蒼はその声に思わず振り向く。やはりこれは罠だったのか!楊蒼は猛然と襲い掛かかる。影子は首を締め上げられるが楊蒼が手にする刃を振り払った時に刃がしなり楊蒼の首を掻き切った。

影子は幼い頃のかすかな記憶を頼りに境州の生家へとたどり着いた。だがそこには胸に短刀を突き立てられ息絶えた母の姿…その時突然黒装束の男らが襲い掛かって来た。子虞が口封じに遣ったに違いなかった。だが一人の男が現れ黒装束らを葬る。彼は沛王から命じられて来たと言う。

沛国宮殿では境州奪回の祝宴が開かれていた。そこへ体中傷だらけでぼろぼろになった子虞(影子)が姿を現した。同刻、沛王の命を受けた兵士らが子虞の屋敷を襲う。地下室を暴き本物の子虞に襲い掛かる…。
沛王は影子と小艾、そして魯大臣を残して皆に退室を命じる。そして魯大臣が楊家と組んでいたと突きつけその場で切り殺した。沛王は影子にも剣を突きつける。「お前は沛国の役に立つ人間だ、実によく似ている…。」沛王のその言葉に小艾は驚愕する。
沛王は影子にこれからはお前が本当の子虞として、この国の歴史に名を刻むといいと言う。そこへ兵士が本物の子虞の首を入れた箱を持ってきた。沛王は満足げに箱を開けるが、中は空っぽだった!その時、兵士が沛王を背中からひと突きにした。それは兵士に扮した子虞だったのだ…。
子虞は剣を影子に渡し、母の仇を打てと言う。境州の母を殺したのは実は沛王だと。子虞に罪を擦り付けて影子を離反させようとしていたのだと。影子は剣を取ると沛王の前に立つ。だが影子は剣を逆手に握り子虞を刺し殺した。そしてまだ息のある沛王を子虞の隣に並べると心臓を突き刺し、その剣の柄を子虞に握らせた。

影子は外で待つ朝臣らに、沛王が暗殺され自分がその暗殺者を仕留めたと宣言した。(終)
-----ここまで]

前半は眠く後半は不快さしか残らない。最後まで見たのは、名だたる監督がこのままでは終わらんだろう、それなりのオチはつけるだろうと無駄な期待をしてしまったため。

これは「HERO」のような映像美を見せる系統の映画。でもあんまりきれいじゃない。
彩度を落としてモノクロに近くしてて、昔の日本のサムライ映画みたいなわびさびを出したいのかもしれない。それでも着物の柄やアクセサリー、宮殿のセットとかは現代的センスも取り入れ金かかってていかにも芸術的。アクションも動きの美しさについてよく練られた作品だけど、「HERO」が好きな人に勧められるかというとやっぱり何か違う。

この作品が、どーうしてもアーティスティックな目線から見ることができない大きな要因が、それこそ「グレート・ウォール」を継承するような馬鹿げた戦術の連発なわけよ。いくら見栄えを良くするためとはいえ、あまりに無意味無能すぎるヘンテコリンな武器や戦術に失笑。まだ「グレート・ウォール」はファンタジーの部類に入るし低年齢層向けだから許されるとして、今作は明らかに玄人向けなのにその設定はおふざけが過ぎる。ここを普通に剣や槍での戦いに収めておけばまだ見るに耐えられただろうに…。チーン
そんなわけで最初の1時間で呆れて脱落する人が多いだろうけど、終盤はそれなりに人間ドラマとして作られていてここはまだ評価に値するものではある。結局期待されてる分の興行収入も得ないといけないしでも芸術家として自分の撮りたいものもあるしって、この監督迷いまくってるんじゃないかと思う仕上がり。

子虞と影子(役名は「境州」)の二役を演じるのがチャウ・シンチー監督の「人魚姫」でも主演をつとめていたデン・チャオ(鄧超)。しかし子虞と影子は同一人物とは思えないんだけど…。子虞は頬がこけてて輪郭が違うし目も落ちくぼんでて、顔がはっきり見えないのもあるけどとても"瓜二つ"とは言えない違いよう。両人とも上半身を晒すシーンがあるけど影子はあきらかに筋肉ついてていい体してるけど子虞はやせ細ってて全然体格違うし!最初に子虞のシーンだけ撮ってその後体鍛えてから影子のシーン撮ったのかしら。それともCG処理??
ともかく影子はいかにも主人公らしいキャラでこれといって印象に残らないけど、子虞が、引くくらい濃ゆいキャラでむしろこっちの方が好きというか、グッジョブ。
そして沛王を演じるチェン・カイ(鄭愷)がやたら恰好良い。時代劇らしからぬ自由奔放な若き王というキャラクターも親しみやすい。
登場人物が非常に少なく女性は二人だけで、でもそこはしっかりとお目々の大きい美女を配してて手堅い。でもスン・リー(孫儷)演じるヒロインはセクシー要員のはずなのに、どうも色気がないしキスシーンは気持ち悪いしでこれどうなんだろう?

この脚本の元となったのは「大明帝国・朱元璋」「さらば復讐の狼たちよ」などで知られる脚本家チュー・スージン(朱蘇進)の「三国荊州」という戯曲。「三国荊州」は三国時代の呉国を舞台にした物語で、今作の子虞が周瑜、沛王が孫権、楊蒼が関羽、楊平が関平に相当する役柄らしい。昨今中国では歴史ものドラマの審査が厳しく、フィクション(史実に忠実でない)だと当局から上映の許可がおりないそうで、苦肉の策として架空の国に設定しなおしたようだ。
「鬼が来た!」「さらば復讐の狼たちよ」「弾丸と共に去りぬ」のチァン・ウェン(姜文)監督の最新作。

「邪不圧正」(2018年 監督/姜文 主演/彭于晏)
137分

※日本語版はありません。

原作は張北海という作家の武侠小説「侠隠」。

――中華民国時代。朱潜龍は日本軍人の根本一郎と組んで自らの武術の師匠と彼の家族や弟子らを皆殺しにした。その際奇跡的に一命を取り留めた幼い李天然は通りがかったアメリカ人に救われ、アメリカ人医師の息子として育てられた。
それから十数年後、李天然はアメリカ軍特殊部隊に所属していた。李天然は工作活動のため北京へ。義父の友人である藍青峰のサポートで天然は師匠の仇である朱潜龍と根本を殺害せんと企む――

まーあこれはどうかと…。
物語性はあんまりないのであらすじは省略。顔は良いのに頭は悪い(ようにしか見えない)主人公がいろんな人に唆されて進むべき道を迷うけど、結局好きな女に励まされて仇討を果たしてハイおしまい、みたいな。ラストのオチも釈然としない。

「弾丸と共に去りぬ」よりもさらにマニアックというのか独特の路線を色濃くしてて、監督の嗜好に走りまくってる作品という印象。物語は硬派なのに大事な所で気の抜けるような笑いを突っ込んできてシニカルに見せる手法も多用。やたらと日本刀にこだわり日本軍のお偉いさんが喋るのはコテコテの浪花弁と、日本のサムライ映画やヤクザ映画への憧憬が強すぎて笑っちゃうし、それに男女の愛(というかヒロイン像)が理想に走りまくってんだよね。非現実的。でも全体的に虚構感に包まれてるので別に不自然だとかというのではなく、好きな人は好きだろうなという世界観。

主人公を演じるのは「風中の縁」でリウ・シーシーの相手役の一人を務めてたイケメン俳優エディ・ポン(彭于晏)。こんなに端正な顔立ちなのに、なんていうか、単細胞なキャラなのがイライラするぅ!アクションシーンも素晴らしく、鍛え抜かれたその肉体美におばちゃんウットリ…。
チァン・ウェンは主人公の敵なのか味方なのかよくわからないミステリアスな存在である藍青峰を演じていて相変わらずオイシイ。まあ監督だから当たり前か…。
あとは…正直あんまり印象に残る人いなかった。とりあえずエディ・ポンが素っ裸で住宅の屋根の上を飛び跳ね走り回るシーンが衝撃過ぎてそれ以外が印象に残ってない笑い泣き
ニエ・ユェン(聶遠)、タン・カイ(譚凱)W主演、ベテラン俳優陣によるノワールサスペンス。

「道高一丈」(2017年 監督/姜凱陽  主演/聶遠、譚凱)
96分

※日本語版はありません。


――中国墨江市。チンピラだった宋朝はある日ヤクザに追われたところを警察官の劉守義に助けられ、彼の勧めで更生し警察学校へ入った。だが卒業して間もなく、宋朝は劉守義を殺害して姿を消した。劉守義の息子で警察官の劉海洋は宋朝の行方をずっと追っていた。

三亜市で暮らす宋朝の元に友人の立果から恋人の金子夢を迎えにきてほしいと連絡が。弟分に車を出させたが、金子夢は突然現れたヤクザらに拉致されてしまった。
再び立果から連絡があり、彼が現在ヤクザの朱大能に拉致されており、金子夢に持たせたUSBを持って助けに来てくれと言う。朱大能は墨江市に本社を構える大手商社・貫宇グループの下で暗躍するヤクザだ。宋朝は再び墨江市へと飛ぶ。
宋朝は朱大能が一人でいるところを狙って彼を拉致したが、朱大能は口から泡をふいて事切れた。何者かに毒を飲まされていたのだ…。宋朝を発見した劉海洋は後を追うがまかれてしまった。――

[ここからネタバレ-----
劉海洋の同僚の黄天成の元に宋朝が現れた。彼ら三人はかつて警察学校で共に学んだ友人だった。重い腎臓病を患う妻の看病を続ける天成に宋朝は黙って札束の入った封筒を渡す。なぜ海洋の父を殺したんだ?天成のその問いに宋朝は殺したのは自分ではなく胡龍だと言って去っていった。

貫宇の本社に乗り込んだ宋朝は女社長の胡紫薇を人質に取り地下室に囚われていた金子夢を救い出した。USBのありかを問うが、彼女は立果から貰ったのは携帯の充電器くらいだという。そういえば彼女を迎えに行かせた時に車内に充電器が落ちていた。そこにUSBが隠されているのだろう。宋朝は弟分に連絡し警察署へ行って充電器を劉海洋に渡せと伝える。
宋朝は立果が閉じ込められている冷凍倉庫へ急行する。裸でつるし上げられ凍死寸前になってる立果を救い出し車へ戻るが、中では金子夢が血を流して死んでいた…!
その時銃声が。そこに立っていたのは黄天成だった。立果は宋朝をかばって銃弾を受ける。宋朝は急ぎ彼を車に押し込んで発進させた。天成は仲間に連絡し道路を封鎖させる。宋朝が現れたとの報せに劉海洋も現場へ駆けつけた。海洋が追ってくるのを見た宋朝は彼に電話し、劉守義を殺したのは胡龍であり、天成が子夢を殺したことを告げる。そして激しいカーチェイスの末逃亡していった…。

劉海洋は黄天成に女を殺したのかと問うが、天成は犯罪者の言葉を信じるのかと苦笑する。実は黄天成は胡紫薇から妻の腎臓移植のための大金を受け取っていた…。天成は上司に海洋が宋朝をわざと逃がしたのだと誣告した。長年の親友だと思っていた彼に裏切られた海洋は愕然として帰宅する。すると家で待っていたのは宋朝だった。海洋は怒りを沸騰させるが、妻の楚洁がこれには誤解があると制止する。
宋朝は劉守義の死に関わる秘密を海洋に告白する。実は守義は裏社会を牛耳る貫宇グループのヤクザと繋がっている警察官をあぶりだすために宋朝をヤクザの元へ送り込み極秘に捜査していたのだ。やがてその存在が知られ襲われた守義を宋朝は護ろうとしたのだが胡龍に殺されてしまった。あの現場で釈明する時間はなく逃亡したのだと。その話の証拠はあるのかと問われた宋朝は立果のUSBの事を思い出す。弟分に連絡するが、彼は充電器を黄天成に渡していた。
そこへ居場所をつきとめたヤクザらが襲い掛かって来た。宋朝は応戦しながら海洋と楚洁を逃がす。海洋は負傷した妻をタクシーで病院へ送り、自らは宋朝を助けに戻る。なんとかヤクザらを撒いて警察学校の保健室へと逃げ込んだ。

宋朝は独自に調べたことを劉海洋に伝える。貫宇グループは自社の施設建設に反対する住民をヤクザを使って殺してきた。立果や金子夢は殺された住民の子供なのだ。劉守義を殺した胡龍は朱大能に殺されたという。数年前に入社しあっという間に社長にまで成り上がった胡紫薇に宋朝は大きな疑念を抱いていると話す。
翌日、海洋は楚洁に連絡するが、彼女はすでに胡紫薇に拉致されていた!USBを持って行かなければ彼女を助けられないと制止する宋朝を振り払い、海洋は胡紫薇の指定する氷雪祭り会場へと向かう。

黄天成は充電器をこじ開け中に隠されていたUSBを発見した。と、その頭部に銃が突きつけられる。宋朝だった。お前のような奴が社会の悪だ…。肩を撃たれた天成は転げ落ちる。集まって来た警察官に宋朝はこのUSBを解析しろと放り投げるとパトカーを猛発進させて去っていった。

劉海洋は胡紫薇らに捕えられ銃を突きつけられていた。海洋は胡紫薇にお前の正体は胡龍だろうと突きつける。劉守義を殺したあの時に守義に急所を打ちぬかれた胡龍は手術をして女性に生まれ変わっていたのだ。秘密を暴かれた胡紫薇は激高し雪に埋められ凍死寸前の楚洁の元へ海洋を連行する。そこへ宋朝がかけつけヤクザらを射殺するが胡紫薇に打たれ倒れた。海洋は最後の力を振り絞って胡紫薇につかみかかりその首を締め上げる…そこへようやく警察がかけつけた。

担架に乗せられ救急車へ運び込まれる宋朝。彼は劉海洋に言う、なぜ自分が劉守義の捜査に協力しようと思ったか、それは彼が「善い人になれ。いつからでも遅くはない。」そう言ったからだ。(終)
----ここまで]

序盤の流れからニエ・ユェンが主人公のヤクザものかと思ったらタン・カイが主人公の刑事ものだったね…。
カーチェイスで車ボッコボコにしながら逃走するとか、宋朝がたった一人でヤクザをなぎ倒してくとかいうシーンもあるにはあるけど、なんか普通。よくあるドンパチを見せるアクションものではなく、物語性に重きを置いてる人間ドラマ寄りのノワールだったな。日本の映画にありそうな感じの。全然悪くはないんだけど、一言で言うと地味!
劉海洋が父の仇である宋朝を憎むも真実を知って事件の黒幕を追うという物語において、劉海洋の宋朝に対する心情がいまいち見えにくかったんだよなぁ。変に奥さんを間に挟んだり昔の友情をからませたりするものだから結局何を描きたかったの?って。宋朝の心情は一貫してわかりやすかったので、物語としては劉海洋が主人公なんだろうけど宋朝の方が圧倒的に光ってた。
エンタメ性はないし、かといって映画マニア向けかと言うとそこまで掘り下げたテーマもない。個人的には物語がしっかりしてたので満足はできたけど、これは正直なところ主演俳優目当てのファン向けかなぁ。

そんなこんなで宋朝を演じるニエ・ユェンはさすがというところのお芝居。
そして彼よりも凄い!と思ったのが敵役である胡紫薇を演じるベテラン女優ユィ・ミンジァ(于明加)。ミステリアスであったり冷酷であったり、またボスからの圧力による板挟みだとか、過去の秘密を暴かれた時の"変身"ぶりだったり、なんかもうその時々の機微とした表情が凄い。完全に胡紫薇という一人の人間を作りあげてるなぁと。
あとは「天盛長歌」の寧斎を演ってたチュイ・ガオウェイ(曲高位)がここでも二面性のあるキャラクター。イケメンだけどちょっとキツい顔してるからこういう役回って来るんだろうけど、お芝居もとても良いんだけど、彼にはもっと主人公っぽい善人役やってほしいなぁ…。

主な舞台がいわゆる札幌雪まつりみたいな氷像や滑り台やらすごい規模で並んでる場所で、どうもハルビンの国際氷雪まつりの会場らしい。アクションでさんざんぶっ壊してるけど、それはさすがにセットなのかな…。凍り付いた大河の上でのカーチェイスとか、ちょっと見慣れない北国の風景は驚きに満ちてた。もしやそういう観光名所を見せたい宣伝映画だったのか?
「ロスト・レジェンド 失われた棺の謎」(2015年 原題「鬼吹灯之尋龍訣」 監督/烏尔善 主演/陳坤、黄渤、舒淇)
125分


原作は中国で大人気の小説「鬼吹灯」シリーズ。

――1980年代ニューヨーク。不法滞在している中国人の胡八一と王凱旋はかつて古代の墓の盗掘で一山当てたのだが今は移民局に追われるヒッピーだ。王凱旋はプロの盗掘師を自称していたが胡八一は盗掘からは足を洗いまともな生活をしなければと考えていた。
ある日日本のとある組織が王凱旋に中国北部に眠る古代王国の墓を探し当てるよう依頼してきた。その手がかりとなる古代の鏡に刻まれた彼岸花の印は20年前に偶然迷い込んだ日本軍の地下設備で見たものと同じだった。王凱旋はわずかな記憶を頼りにその地下墳墓を発見することに成功した。
王凱旋からビデオメッセージで彼岸花の印を見せられた胡八一は恋人のシェリーと後を追う――

頑張って1時間見たけどギブ。つまらーん。チーン
どこかで見た事あるようなベタベタなトレジャーハント×ゾンビもの。あまりに二番煎じすぎるのと、ハリウッド的単純明快ストーリーが個人的にど退屈。
ただCGも頑張って金かけてるし主役を張るチェン・クン(陳坤)はイケメンだし駄作と一言で斬り捨てるほどでもなくて、「トゥームレイダー」とかのアドベンチャーが好きな人は時間つぶしに見るにはアリなのかもしれない。

この監督はモンゴル人らしいけど作風はアメリカ的な臭いがする。香港映画というよりはアメリカのB級って感じ。
あのトンデモミステリ「大明按察使」が帰って来た!!

「鉄面御史」(2014年 監督/黄克敏 主演/姚櫓、李芯逸)
全40話

※日本語版はありません。

当初「大明按察使2:鉄血断案」というタイトルで放送されたけど、2018年に再放送する際に「鉄面御史」に改題されたようだ。

――杭州で科挙の不正疑惑があり調査のため朝廷から派遣された礼部右侍郎の傅玉堂が妓楼で死んでいるのが発見された。品行方正で知られる彼がそのような場所で発見されるのは疑念が残る。皇帝は周新を再び浙江按察使に任命し、傅玉堂の死について調べて来るよう命じた。
杭州へ向かう周新の前に一人の剣侠が現れた。それはあの思琪だった。思琪は今の杭州は陰謀が渦巻いており大変危険だと言い、彼を守るためついていくと言う――

監督も脚本家も同じなのに、前作のトンデモさを期待するとがっかりしてしまうほどこれはちゃんとミステリの形になってる、ラストを除けば…。滝汗
馬鹿正直に正義を貫き融通の利かないキャラだった周新は歳をとったからなのか今作では余裕があり相手を油断させ翻弄するとかの小技も駆使できるように。相変わらず敏腕というわりには後手後手に回ってたり脇が甘すぎたりでダメじゃんってツッコミ所もあるけど、行動原理に不自然なところはない。
前作でまさかの退場と相成ったトンカチ君の代わりにボタン君という子供キャラが登場、思琪やボタン君が証拠を集めて来て周新は犯人はお前だって突きつける役。キャラクターもはっきりしてて全体的にとてもわかりやすい「水戸黄門」的勧善懲悪エンターテイメントに仕上がっている。高年齢層におすすめ。前作では余人傑と良い雰囲気になってたはずの思琪が今作では初回から周新にラブラブモーションかけまくりで呆気にとられるけど、やっぱり中国ではおじさん×若い女の子のカップリングじゃないと視聴率取れないってことなんでしょうかね。

周新、紀綱など一部キャストは同じ人が演じてるけど、殆どが一新されてる。(てか同じ俳優さんが全く別の役を演ってたりして若干の混乱もあり…。)
思琪がひっじょうにナイスなキャスティング!演じるリー・シンイー(李芯逸)の立居振舞、見得の切り方とかシナの作り方とかがもうベテラン臭ぷんぷんしてて、時代劇がこれでもかというくらい似合う。ほぼ彼女が主人公w 清純派だった前作の思琪は忘れて下さい、こっちのが断然イイ!爆  笑
で、対照的に余人傑がイケてなくてこりゃ今作でもくっつかんわっていうダメさが最初から…。
ヤオ・ルー(姚櫓)さんが演じる周新は今作ではとっても愛嬌があってかわいい。おじさんにかわいいなんて言葉は変かもしれないけど、元がコワモテなだけに冗談を言って笑い合ってるようなシーンが微笑ましすぎる。タヌキ親父っぷりがまた似合うし!
そして今回は最初から出て来るライバル・紀綱役のティン・ヨンダイ(丁勇岱)さんは「復讐の春秋」で野心家な伯嚭を演じてた人。まーぁこの人の悪役ってわかりやすくてスキだわー。

しっかしこの脚本家…どうしても王道にはしたくないのか前作のトンカチ君を上回る衝撃のラスト。ミステリの禁忌を踏むようなこの前代未聞のオチに対して、怒るか逆にスゴいと思うかは観る人にお任せします…。ゲロー


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