コメディタッチのサバイバル物語。
「一出好戯」(2018年 監督/黄渤 主演/黄渤、舒淇)
134分

※日本語版はまだありません。
――馬進はどこにでもいるような冴えないサラリーマンだ。同僚の姗姗に片思いだが全く相手にされてない。ある日社員旅行で水陸両用バスに乗り込んで出かける。スマホをいじっているといつも買っている宝くじがなんと一等六千万元に当選していることが判明!大浮かれするがその時大津波が襲ってきてバスは飲み込まれてしまった…。
気が付くとバスは無人島に乗り上げていた。奇跡的にみんな無事だ。見渡す限り周りは海でスマホの電波も届かない。同僚の一人が世界は海に沈んでしまったのではないかと言い出す。というのもつい先日NASAがある隕石が地球に向かって飛来しているというニュースを発表していたからだ。隕石で自分達以外の人類は滅亡してしまったのではないか…!?
バスの雇われ運転手の王はくどくど嘆くことしかしない社員らをよそに、自ら島を探索し水や果物を確保してきた。そうして幾日か過ぎるが社員らは相変わらず働こうとしないので王は腹を立て、生きるために働く気がある奴だけ自分についてこいと宣言する――
[ここからネタバレ-----
王は木登りが得意で腕っぷしも強くとにかくサバイバルにかけては皆の中で間違いなく一番だった。社員らは彼をリーダーとして生きて行こうと合意する。普段偉そうな顔をして顎で使って来たサラリーマンらを今度は自分が従えるようになった王は、だんだん調子に乗ってきて彼らを叱責したり無茶なノルマを課すようになってきた。
数十日が経ち、王を頂点とするピラミッド型のバワーバランスが築かれていた。その底辺にいる馬進らの間には不満が募る。ある日同じく底辺にいる張社長が王とは別のやり方で生きていきたいと決別を宣言する。馬進ら十余名が張社長に従いグループを離脱した。張社長はひそかに見つけていた隠れ家へ案内する。それは転覆して乗り上げた巨大船舶で、中には缶詰の食糧や漁網、日用品も多く残されていた。
張社長のグループが大量の魚を持っていたと知った王のグループはすぐに巨大船舶へやってきた。張社長は欲しいものがあれば物々交換に応じようと提案する。そしてトランプのカードを紙幣替わりとして運用し、労働に見合うだけカードを与えカードで食糧を手に入れるというルールを作った。王はそんなやり方はまっぴらだと怒って去っていった。一方で馬進は結局張社長が以前のように自分達の上に立ちこき使われる生活が戻って来るのかと腹を立て興と二人で離脱した。
川沿いにあった壊れた小型船舶を住処に暮らす馬進と興。宝くじの換金期限は90日間だがもう60日が経っていた。一日一日と期限は迫って来る。いよいよ宝くじ引き換え期限残り1日。一等六千万元だけが生きる希望だった馬進は茫然として河原に佇む。と、突然激しい雨と共に大量の魚が降って来た。沖で竜巻に巻き上げられた魚が落ちて来たのだ。
宝くじはだめだったが、別の宝を手に入れた…。馬進は大量の魚を一夜干しにして王のグループへ持って行き何でも物々交換してやった。そしてメカに強い興に工夫して発電機を作らせた。
丁度その頃物資の尽きて来た王のグループは行き詰まり巨大船舶へ行き物資を強奪しようとして大乱闘となる。その時、馬進が発電機を使って船舶のライトを点けた。皆はその光に茫然となる。馬進は世界は滅びこの島の物資には限りがあるのだから我々は協力して生きて行かなければならないと説いた。その声に皆は賛同し、王と張社長も皆で協力していくことを約束する。
馬進は水車を作って水力発電機を作り、電気は皆の生活をより一層豊かにした。皆は馬進に感謝しあの姗姗も尊敬のまなざしを向ける。得意になる馬進だが、ある夜妙な音がするので王と一緒に音の鳴る山の頂上へ行くと、なんと沖で一隻の客船が花火を打ち上げていた。王は助けの船が来たと大喜びする、世界は滅んでいなかったのだ!だが馬進は諦めた宝くじのことを思い出すと腹が立って仕方がない。さらに世界が滅んでしまったと思っているからこそ一致団結している皆が事実を知ればまた諍いが生じるかもしれない。馬進は王が気が触れて船舶の幻影を見たのだと言いふらした。船が来たとおおはしゃぎする王に皆は憐れみの目を向ける。
興はスマホに残っている張社長の幼い娘の動画をネタにして張社長を強請り、彼に全ての財産を譲ると一筆書かせた。馬進はやりすぎだと非難するが興は冷たい視線を向ける。興は二日後に船舶がこの付近を通る情報を得ていた。この機にこっそり島を出るというのだ。
馬進はついに皆の前で世界は滅んでおらず助けの船が来ると明かすが、皆は彼が王と同じように気が触れてしまったのだと思った。
馬進は王に二日後船舶が通ることを告げ協力を仰ぐ。二日後の夜、馬進は浜辺で宴会を催す。皆が焚火を囲んで酔っ払っている間に王は巨大船舶の機関内部のパイプを壊し重油を流出させた。その頃、馬進は皆にまた世界は滅んでおらず今日迎えの船が来ると皆に叫ぶ。馬進が油の流出した船舶に火を点けようとしていると気づいた皆は制止するが、その騒ぎに船舶から出てきた張社長の煙草の火が燃え移り、果たして船舶は巨大な炎に包まれた。これで沖の舟は自分達に気づいてくれるはずだ!馬進は山を駆け上がる。だが突然切り立った崖に出て来た馬進は崖から転落した。その最中に沖で花火を打ち上げる船舶の姿が見えた…。
気が付くと海岸に打ち上げられていた。浜辺には燃え尽きた巨大船舶の残骸が。そしてその手前にはいくらかの食糧が集められている。物音がして振り向くと、岩の上に姗姗が座っていた。皆は助けに来た船に乗り、彼女は馬進が生きていると信じて一人島に残っていたのだ。(終)----ここまで]
ちょっと長いけど良かった、面白かった。
現代人の集団が突然サバイバル生活を強いられて…という設定こそ漫画的だけど、ほんの少しのユーモアを交えた人間ドラマで人の欲を描き出し、最後までしっかり満足できる作品だった。
サバイバルものでも差し迫った命の危険はなく、人間関係・社会性に焦点を当てていて、原始的な社会生活から徐々に文化的な生活を手に入れていく、その中で新たに発生する問題とか、人類の文化の発展の縮図みたいになってるのが風刺的で面白い。失って手に入れるものと、手に入れることによって失うものを今一度考えさせられる。
コメディタッチなんだからそこまで頑張らんでもというくらいセットが凄くて、リアルなCGや、転覆した船舶という設定で天地が完全に逆さまの船内は目を見張るばかり。コメディなのに物語の設定以外に安っぽさがないんだよなぁ、キャスティングにしても。
監督・主演のホアン・ボー(黄渤)は「西遊記-はじまりのはじまり-」でひょうきんな孫悟空を演じていた人。コメディ俳優らしいけど、今作でのお芝居はシリアスな面でもとっても良い!コメディ俳優さんはどうしても喜怒哀楽を大げさに演じがちだけど、彼はごく自然に表現してる。今回はそういう役だからってのもあるけど彼は引き出しが多そうだ。
同じく「西遊記-はじまりのはじまり-」で共演していたスー・チー(舒淇)がヒロインを。彼女はおいしい作品にばっか出てるなぁ、さすが大女優。
脇役なのにどうしても目が行ってしまう小王役のワン・バオチャン(王宝強)。その軽い身のこなしはさすがにただの運転手なわけないだろうとツッコミ入れたくなるけど、とにかく彼はカワイイのよねぇおばちゃん大スキ!最初から最後まで活躍(?)するのでファンの方はぜひどうぞ。
他にもなんか見た顔ばっかり出て来るのでかなりお金のかかった作品なのではと思う。
サバイバルものが好きでこういうのついつい見てしまうのだけど、サバイバルに必要なのは食糧の前に精神力、心の強さだよなぁといつも思う。

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