道高一丈 | あさひのブログ
ニエ・ユェン(聶遠)、タン・カイ(譚凱)W主演、ベテラン俳優陣によるノワールサスペンス。

「道高一丈」(2017年 監督/姜凱陽  主演/聶遠、譚凱)
96分

※日本語版はありません。


――中国墨江市。チンピラだった宋朝はある日ヤクザに追われたところを警察官の劉守義に助けられ、彼の勧めで更生し警察学校へ入った。だが卒業して間もなく、宋朝は劉守義を殺害して姿を消した。劉守義の息子で警察官の劉海洋は宋朝の行方をずっと追っていた。

三亜市で暮らす宋朝の元に友人の立果から恋人の金子夢を迎えにきてほしいと連絡が。弟分に車を出させたが、金子夢は突然現れたヤクザらに拉致されてしまった。
再び立果から連絡があり、彼が現在ヤクザの朱大能に拉致されており、金子夢に持たせたUSBを持って助けに来てくれと言う。朱大能は墨江市に本社を構える大手商社・貫宇グループの下で暗躍するヤクザだ。宋朝は再び墨江市へと飛ぶ。
宋朝は朱大能が一人でいるところを狙って彼を拉致したが、朱大能は口から泡をふいて事切れた。何者かに毒を飲まされていたのだ…。宋朝を発見した劉海洋は後を追うがまかれてしまった。――

[ここからネタバレ-----
劉海洋の同僚の黄天成の元に宋朝が現れた。彼ら三人はかつて警察学校で共に学んだ友人だった。重い腎臓病を患う妻の看病を続ける天成に宋朝は黙って札束の入った封筒を渡す。なぜ海洋の父を殺したんだ?天成のその問いに宋朝は殺したのは自分ではなく胡龍だと言って去っていった。

貫宇の本社に乗り込んだ宋朝は女社長の胡紫薇を人質に取り地下室に囚われていた金子夢を救い出した。USBのありかを問うが、彼女は立果から貰ったのは携帯の充電器くらいだという。そういえば彼女を迎えに行かせた時に車内に充電器が落ちていた。そこにUSBが隠されているのだろう。宋朝は弟分に連絡し警察署へ行って充電器を劉海洋に渡せと伝える。
宋朝は立果が閉じ込められている冷凍倉庫へ急行する。裸でつるし上げられ凍死寸前になってる立果を救い出し車へ戻るが、中では金子夢が血を流して死んでいた…!
その時銃声が。そこに立っていたのは黄天成だった。立果は宋朝をかばって銃弾を受ける。宋朝は急ぎ彼を車に押し込んで発進させた。天成は仲間に連絡し道路を封鎖させる。宋朝が現れたとの報せに劉海洋も現場へ駆けつけた。海洋が追ってくるのを見た宋朝は彼に電話し、劉守義を殺したのは胡龍であり、天成が子夢を殺したことを告げる。そして激しいカーチェイスの末逃亡していった…。

劉海洋は黄天成に女を殺したのかと問うが、天成は犯罪者の言葉を信じるのかと苦笑する。実は黄天成は胡紫薇から妻の腎臓移植のための大金を受け取っていた…。天成は上司に海洋が宋朝をわざと逃がしたのだと誣告した。長年の親友だと思っていた彼に裏切られた海洋は愕然として帰宅する。すると家で待っていたのは宋朝だった。海洋は怒りを沸騰させるが、妻の楚洁がこれには誤解があると制止する。
宋朝は劉守義の死に関わる秘密を海洋に告白する。実は守義は裏社会を牛耳る貫宇グループのヤクザと繋がっている警察官をあぶりだすために宋朝をヤクザの元へ送り込み極秘に捜査していたのだ。やがてその存在が知られ襲われた守義を宋朝は護ろうとしたのだが胡龍に殺されてしまった。あの現場で釈明する時間はなく逃亡したのだと。その話の証拠はあるのかと問われた宋朝は立果のUSBの事を思い出す。弟分に連絡するが、彼は充電器を黄天成に渡していた。
そこへ居場所をつきとめたヤクザらが襲い掛かって来た。宋朝は応戦しながら海洋と楚洁を逃がす。海洋は負傷した妻をタクシーで病院へ送り、自らは宋朝を助けに戻る。なんとかヤクザらを撒いて警察学校の保健室へと逃げ込んだ。

宋朝は独自に調べたことを劉海洋に伝える。貫宇グループは自社の施設建設に反対する住民をヤクザを使って殺してきた。立果や金子夢は殺された住民の子供なのだ。劉守義を殺した胡龍は朱大能に殺されたという。数年前に入社しあっという間に社長にまで成り上がった胡紫薇に宋朝は大きな疑念を抱いていると話す。
翌日、海洋は楚洁に連絡するが、彼女はすでに胡紫薇に拉致されていた!USBを持って行かなければ彼女を助けられないと制止する宋朝を振り払い、海洋は胡紫薇の指定する氷雪祭り会場へと向かう。

黄天成は充電器をこじ開け中に隠されていたUSBを発見した。と、その頭部に銃が突きつけられる。宋朝だった。お前のような奴が社会の悪だ…。肩を撃たれた天成は転げ落ちる。集まって来た警察官に宋朝はこのUSBを解析しろと放り投げるとパトカーを猛発進させて去っていった。

劉海洋は胡紫薇らに捕えられ銃を突きつけられていた。海洋は胡紫薇にお前の正体は胡龍だろうと突きつける。劉守義を殺したあの時に守義に急所を打ちぬかれた胡龍は手術をして女性に生まれ変わっていたのだ。秘密を暴かれた胡紫薇は激高し雪に埋められ凍死寸前の楚洁の元へ海洋を連行する。そこへ宋朝がかけつけヤクザらを射殺するが胡紫薇に打たれ倒れた。海洋は最後の力を振り絞って胡紫薇につかみかかりその首を締め上げる…そこへようやく警察がかけつけた。

担架に乗せられ救急車へ運び込まれる宋朝。彼は劉海洋に言う、なぜ自分が劉守義の捜査に協力しようと思ったか、それは彼が「善い人になれ。いつからでも遅くはない。」そう言ったからだ。(終)
----ここまで]

序盤の流れからニエ・ユェンが主人公のヤクザものかと思ったらタン・カイが主人公の刑事ものだったね…。
カーチェイスで車ボッコボコにしながら逃走するとか、宋朝がたった一人でヤクザをなぎ倒してくとかいうシーンもあるにはあるけど、なんか普通。よくあるドンパチを見せるアクションものではなく、物語性に重きを置いてる人間ドラマ寄りのノワールだったな。日本の映画にありそうな感じの。全然悪くはないんだけど、一言で言うと地味!
劉海洋が父の仇である宋朝を憎むも真実を知って事件の黒幕を追うという物語において、劉海洋の宋朝に対する心情がいまいち見えにくかったんだよなぁ。変に奥さんを間に挟んだり昔の友情をからませたりするものだから結局何を描きたかったの?って。宋朝の心情は一貫してわかりやすかったので、物語としては劉海洋が主人公なんだろうけど宋朝の方が圧倒的に光ってた。
エンタメ性はないし、かといって映画マニア向けかと言うとそこまで掘り下げたテーマもない。個人的には物語がしっかりしてたので満足はできたけど、これは正直なところ主演俳優目当てのファン向けかなぁ。

そんなこんなで宋朝を演じるニエ・ユェンはさすがというところのお芝居。
そして彼よりも凄い!と思ったのが敵役である胡紫薇を演じるベテラン女優ユィ・ミンジァ(于明加)。ミステリアスであったり冷酷であったり、またボスからの圧力による板挟みだとか、過去の秘密を暴かれた時の"変身"ぶりだったり、なんかもうその時々の機微とした表情が凄い。完全に胡紫薇という一人の人間を作りあげてるなぁと。
あとは「天盛長歌」の寧斎を演ってたチュイ・ガオウェイ(曲高位)がここでも二面性のあるキャラクター。イケメンだけどちょっとキツい顔してるからこういう役回って来るんだろうけど、お芝居もとても良いんだけど、彼にはもっと主人公っぽい善人役やってほしいなぁ…。

主な舞台がいわゆる札幌雪まつりみたいな氷像や滑り台やらすごい規模で並んでる場所で、どうもハルビンの国際氷雪まつりの会場らしい。アクションでさんざんぶっ壊してるけど、それはさすがにセットなのかな…。凍り付いた大河の上でのカーチェイスとか、ちょっと見慣れない北国の風景は驚きに満ちてた。もしやそういう観光名所を見せたい宣伝映画だったのか?