あさひのブログ
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現地では「西遊記之大聖帰来」を超える人気だという3Dアニメーション。

「哪吒之魔童降世」(2019年 監督/餃子)
110分

※日本語版はありません。

哪吒は道教の神様の一人で、子供の姿をしていて超怪力で暴れん坊、日本でいうと金太郎の悪ガキバージョンな?
暴れん坊の悪ガキが偉い大人や神様たちを困らせるという、「西遊記」の孫悟空的なプロットで子供向けアニメによく用いられるキャラクター。

――むかしむかし、仙人の太乙真人の元に、魔力を得て人語を話すことのできるようになった混元珠という石が弟子入りしたいとやって来た。石ころが弟子入りとはお笑い草だと太乙真人が馬鹿にしたため混元珠は怒り暴れだした。手の付けられない混元珠に、仙人界の王たる元始天尊が出てきてやっとのことでその力を封じた。元始天尊は間もなく始まる戦を前にこの混元珠の力を利用しようと考え、混元珠から霊珠と魔珠を作り上げた。これを人の赤子に封じることで強い魔力を持つ仙人を生み出すのだ。ただし魔珠は魔性を持つため放置すれば人々に危害を加えるだろう、三年後に天雷によって魔珠が破壊されるよう呪文を仕込んだ。
元始天尊から霊珠と魔珠を預かった太乙真人は人間界の将軍である李靖の夫人の妊娠している子に封じることにした。だがその出産時に何者かの邪魔が入ってどちらかの珠が奪われてしまった。生まれてきた子に封じられたのは果たして…魔珠だった。太乙真人は魔性の子が育つのを恐れてすぐに"処分"しようとするが、夫人や李靖が責任持って育てると必死に頼むため様子を見ることにした。赤子は哪吒と名付けられた――

[ここからネタバレ-----
二年後。哪吒は生まれながらに持つその怪力で町の人々には恐れられ子供たちからは悪魔の子だと嫌われていた。哪吒が暴れて人々を傷つけることを恐れた両親は彼を屋敷に閉じ込め外に出ないよう厳しく言いつけていたが哪吒はたびたび見張りをだましては外へと遊びに出かけてはトラブルを起こした。太乙真人は哪吒が天から与えられた霊珠の生まれ変わりで将来妖怪を倒し人々を救うために生まれてきたのだと吹き込み、その力を正しく使うよう諭した。

ある日海の妖怪が町を襲い幼い女の子を連れ去った。自分は妖怪と戦うヒーローだと教え込まれてきた哪吒は嬉々として妖怪退治に向かう。だが海へ逃げた妖怪に手こずってしまう。そこへ現れた白衣の少年が妖怪と戦い女の子を奪還した。しかし妖怪の魔術によって体が石化してしまった。哪吒は妖怪を倒して少年と女の子を石化から救った。町の人々が駆け付け女の子は戻っていったが、人々は哪吒が女の子を拉致したのだと罵声を浴びせるのだった。
白衣の少年は助けてくれた哪吒に礼を言い、二人は友達になった。

この白衣の少年は人間の姿をしているが実は海底に住む龍王の子。二年前、龍王の元に申公豹という仙人が現れ、仙人界が間もなく戦を始めようとしていると知らせた。仙人と妖怪は同じ魔力を持つ者で、その出生が人間か否かで"仙人"と"妖怪"に区別されているに過ぎない。仙人らが妖怪をせん滅しようと目論んでいると知った龍王は怒り、申公豹が持参した霊珠を自分の子に封じその対抗勢力に育て上げることにした。その子がこの白衣の少年・敖丙なのだった。

妖怪退治しても人々からは嫌われ続けることに不貞腐れた哪吒は部屋に閉じこもる。心配した母親が誕生会を開いて人々を屋敷に招こうと提案した。哪吒はまたこっそり屋敷を抜け出すと海岸へ行き敖丙からもらったほら貝を吹く。すると一瞬の間に敖丙が現れた。哪吒はぜひ誕生会に来てほしいと照れながら招待する。だが父王から自分が魔珠を宿した子である哪吒を倒すために生まれてきたと知らされた敖丙はすぐに答えられない。哪吒はそんな彼の表情に気づくことなく「絶対来てね!」と言って走り去っていった。

誕生会当日。李靖と夫人の顔は浮かない。実は元始天尊が魔珠に仕込んだ呪文が発動する日、つまり哪吒が"処分"されてしまう日なのだ。哪吒は敖丙が来てくれると信じ楽しみにしていたが、そこへ黒衣の仙人・申公豹が現れ、哪吒に彼の出生の秘密を暴露する。お前は両親の子ではなく元始天尊が作った魔珠で人々を苦しめる運命を負っているのだ、と。
みんなウソつきだ!傷つき怒った哪吒は両親と太乙真人に殴りかかる。元々の剛力に加え太乙真人につけられた修行もあって哪吒は三人がかりでも抑えられない。
このまま哪吒が三人を殺すのを待って襲い掛かれと申公豹は敖丙に囁く。申公豹は人の姿をしているが実はその正体は豹、彼は仙人ではなく妖怪なのだった。哪吒を殺さなければ龍族は滅ぼされる…一族の存続のために心を決めた敖丙は哪吒に襲い掛かる。魔珠と霊珠の力を宿した二人の力は拮抗する。また申公豹のたくらみを知った太乙真人もそれを阻止するため戦う。
その時、天が割れ轟音が響き始めた。天雷が近づいている!哪吒は両親にこれまで育ててくれてありがとうと言うと雷に向かって飛んでいく。自ら天雷に飛び込もうとする哪吒を敖丙が止めようとする。二人は白光に飲み込まれた。魔珠と霊珠の二つの力が混じり合い、そのパワーが天雷を少しづつ押し返す、そして大爆発が起こった…。

町には巨大なクレーターができており爆発の凄まじさを表していた。夫人は半狂乱になってわが子の姿を探す。するとクレーターの底から太乙真人の投げた秘宝・七色宝蓮が出てきた。あの衝撃で二人の肉体は消滅してしまったがこの宝蓮によって二人の魂は守られていたのだ。(終)
-----ここまで]

いや確かに、とても面白かった!素晴らしい!爆  笑
第一のウリはとにかく見てて爽快なアクションシーン!スピーディ&リズミカル!
絶妙なスローモーションのはさみ込みでギャグとしてもパンチ効いてるし子供は絶対笑う!
第二のウリはストーリー。孤独な主人公に初めてできた友達との友情、それからどんな時でも自分を守ってくれる母親の愛情。正統派でしっかり泣ける。その王道を地盤にしながら、主人公が見た目にワルすぎるという変化球や人種差別に絡む社会派テーマを仕込んでるあたりが、大人にも鑑賞たりうる物語になってて幅広い!
絵柄というか、ぱっと見はすごくディズニーだなぁ二番煎じだなぁと思ったけど、それ以外の部分にもぜひ注目してみてほしい。

あらすじには書ききれなかったけど、この作品のテーマは「自分の運命は(出生に縛られることなく)自分で切り開ける」というもので、主人公の哪吒は普段からそうありたいと願っており他人にもそう言ってるのに、自分自身がその呪縛に囚われてることに苦しんでる。いやこれが普通の青少年ならともかく、10歳に満たない幼い子供にこんな苦行ヒドイ!哪吒は太乙真人につけられた首輪でその力を抑えられてると同時に成長も止められてるようで、見た目が3~4歳のまま。だから余計にヒドイって感じてしまう。
でもこれが可哀想な物語にならないのは、哪吒の人相の悪さ、そしてしっかりクソガキっぷりが描かれているから。性質の悪いイタズラも根底にあるのは他人とコミュニケーションを取りたいという願望。彼は彼なりに孤独という押し付けられた運命を切り開こうと努力してるんだよねぇ、やっぱ泣ける…。

[ここからネタバレ含む-----哪吒の敵に誰を持ってくるかっていうところで、龍にしたのは良いアイディアだなぁと思う。哪吒は元々「炎を上げる輪に乗り火を噴く槍を持つ」という設定の神様なので、それに対して水を司る神様である龍王の息子にすることで火vs水、赤vs青という子供にもめちゃくちゃわかりやすいコントラスト。
そして敖丙が心底悪人ではない(理由があって主人公に敵対する)のは昨今のアニメ悪役の流行りに沿ってるけど、黒幕である申公豹までもがよくよく考えると悪人ではない(そもそも出生で差別してる元始天尊が悪い)っていうのが、最近のアニメは随分と複雑に作られてるなぁと感心してしまった。
-----ここまで]
そしてその全てがわかってなくても、各々の理解で十分楽しめる作品になってるのが素晴らしい。
「老炮儿」のクワン・フー(管虎)監督がプロデュースした連続ドラマ。

「怒晴湘西」(2019年 監督/費振翔 主演/潘粤明、高偉光)
全21話

※日本語版はまだありません。

別名「鬼吹灯之怒晴湘西」。トレジャーハンター(=墓荒らし)胡八一らが活躍する大人気小説「鬼吹灯」シリーズの、これは7巻目の実写化。物語としては外伝に当たるようだ。
胡八一らは冒険の最中に受けた太古の呪いを解くために、手掛かりを知る陳瞎子(めくらの陳)の元を訪ねた。陳は胡八一に昔々の物語…自らの実体験を語り始めた。
ということで胡八一らは一切出てこず主人公は陳瞎子。シリーズを全く知らなくても大丈夫。ニコニコ

――その昔、中国には摸金、発丘、搬山、卸嶺という四大トレジャーハント組織があった。陳玉楼は義侠集団・卸嶺の頭目として大勢を率い、獲得した宝は飢えた村を救うために使ったため多くの人々に慕われていた。その噂を聞きつけた軍閥の羅老歪がお宝情報を持ってやってきた。苗族の村の近くに元代の王族の墓が隠されているというのだ。発見したお宝は折半ということで協力して探索に行くことに。
道中で陳玉楼は狸の妖術(?)にかかり動けなくなった。それを救ったのは搬山の鷓鴣哨ら三人の道士だった。彼らもまたこの近くにあるという瓶山に隠された秘宝「雮塵珠」を探していたのだ。目的地が同じと知った陳玉楼は助けられた気恥ずかしさからも一緒に協力して宝を探すことを提案したが、分け前が減ると心配した羅老歪が反対し結局協力は叶わなかった。

苗族の少年の案内で瓶のような外観の不思議な山にたどり着いた陳玉楼達は山上から梯子を下ろして深い崖へと降りていく。と、すぐ横で鷓鴣哨らもロープを使って崖下へと降り始めた。
崖の下には瓦のようなものが敷き詰められた床、そして大きな穴が開いていた。注意深く降りていくが、そこには先に降りた二人の偵察隊の衣服だけが残されている・・・とその時ざわざわと周囲から波打つような音が聞こえてきた――

「インディ・ジョーンズ」みたいな墓荒らし系アクションもの。太古の遺跡やら墓やらに侵入したらトラップが作動して逃げ惑いながらも知恵と勇気で困難を乗り越えお宝ゲットだぜ!という、物語としてはごくごくありきたりなアドベンチャー。でもとても面白く最後まで楽しく見られた。
アドベンチャーものだと普通は主人公を含む数人で挑むけどこれは陳玉楼は卸嶺の一団を率い、羅老歪は軍隊を率い、とかく大勢の人海戦術で難関に挑むパターンになってる。トラップに対してもその場でひらめいて困難を乗り越えるわけではなく一旦退却して対策を練ってからリベンジするというのが、ドラマとしては新しいなと感じてしまった。(現実的に考えれば当たり前の話だけど。)

物語に目新しさがないにも関わらず面白かったのはなんといってもテンポの良さでしょう!ホラーっぽい要素をふんだんにちりばめて、構図やカメラワーク、効果音と、ドキドキハラハラさせる見せ方やキャラクターの活躍を格好よく見せる場面づくりが上手いというか手慣れてる感。意味ありげなカットで伏線を印象付けるとかとにかく無駄なシーンがない。そしてキャストが主演からモブまでみんな手抜きなく芝居が上手い!けっこう中国の連続ドラマはモブ役の手抜き感が目立つんだけど、この作品に限っては画面に映る全ての人がエキストラではなく役者じゃないかと思う。屋内が多いのでロケに比べたら撮りやすいかもしれないけど規模も大きくて細部までリアルなセットだしCGもすごく頑張ってる。映画並みのクオリティですごくお金使ってるんじゃないかと。
1話約30分で比較的コンパクトな物語なので、ぜひ日本に上陸してほしいと思う非常にクオリティの高いエンターテイメント作品!爆  笑

主演は「白夜追凶」で驚くべき演技力を見せつけてたパン・ユエミン(潘粤明)。義侠団の頭目で器の広い人間…ということになってるけど実はちっちゃいプライドを固持してるというほんのひとクセある好人物をやはり見事に演じ切っていた。本当に上手いなぁ。
しかしこの作品の真の主演は鷓鴣哨を演じるガオ・ウェイグァン(高偉光)。物語は陳玉楼の視点になってるけど実際一番活躍してるのはどうみてもこの人。陳玉楼はチームで攻略する人だけど鷓鴣哨ら搬山道人は個々で攻略する人なので一人で各種能力に長けてるし、設定では凄腕ガンマンらしいけど相手が相手(化け物とか)なので普通に素手の格闘技アクションの方が目立ってる。ハンサム長身ストイックとまぁモテ要素満載でヒロインとはカタツムリな速度で接近していく…この焦らしっぷりも女子にはたまらんキャラクターよね!!チュー
ツンデレなヒロイン紅ちゃんもよかったけど個人的には花霊を演じるアリヤ(阿麗亜) ちゃんが終盤意外と凄かった。ありがちなシチュエーションでありがちな演技をしないのが新鮮。
他にも羅帥、老洋人、崑崙、拐兄、楊副官…とにかくみんなお芝居が上手くてキャラクターがしっかりと印象に残る。そういった愛着のわくキャラクターがでも物語の流れ上次々と消えていくのは悲しかった、良い意味で。

アドベンチャー要素にホラー要素、近年流行りのゾンビもの要素もあるし、それから任侠ものの要素もあり、どれかにひっかかれば損はしない作品です。
「剣・干将莫邪」(2019年 監督/麦田 主演/劉澤庭)
80分

※日本語版はありません。

中国の有名な寓話。剣の名匠である父を殺された息子が遺品の剣を持って復讐に挑む。

――春秋時代。楚王は国を象徴するような唯一無二の剣を造るよう命じるが、国内のどの剣匠も王を満足させる剣を造ることができなかった。怒った王は剣匠を次々と殺していった。このままでは職人らが殺されていく一方だと危惧した朝臣が呉国に住む名匠・干将を訪ね剣を造ってくれるよう頼んだ。当時楚国と呉国は敵対しており干将は敵国にに加担する真似はできないと拒むが、職人らの命を救うためと言われやむなく剣を造り始めた。
干将と妻の莫邪は苦心の末ふた振りの鋳剣を造りだした。自分たちの名を取って干将、莫邪と名付けた剣のうち莫邪剣だけを持って干将は楚王の元へ。楚王はその剣の出来に大いに満足するが、剣の名を知ると、国の力を象徴する剣が女名なのは許せないといって干将を処刑した。

十年後。干将の息子の赤は父親の仇を討つため母に内緒で旅の剣客・宮から剣技を学んでいた――

[ここからネタバレ------
病に臥せっていた莫邪は息子に干将剣を授けると息を引き取る。赤は母から仇討よりも生きることを選ぶようにと言い残されたがやはり仇討をあきらめることができず干将剣を持って楚都へと向かった。
首尾よく楚王の部屋に忍び込んだ赤は楚王を襲うが逆に剣を奪われ突き付けられた。楚王はその素晴らしい剣と赤の顔を見て彼が干将の息子であると気づいた。だが楚王は赤を殺さずついてこいと言う。
楚王が連れてきたのは干将の墓だった。楚王は当時短絡的に彼を処刑してしまった事を後悔しているといって去っていった。赤は父の墓の前で泣き崩れる。

剣客・宮は実は楚王の暗殺を狙っていた。楚王が帰城したところを狙うがあと少しのところで失敗する。殺されそうになった彼を救ったのは赤だった。
赤は宮の案内でとある隠里へやってきた。ここは楚呉の戦で焼かれ村を追われた人々が集まっているのた。宮はこの里の人々のために楚王を暗殺しようとしていたのだ。そして実は、楚王の弟・長楽君がひそかに彼らを支持しているのだった…。
赤は隠里で会った娘・桑桑と恋仲になる。だが隠里の存在が楚王にばれて軍隊が里を襲った。桑桑は楚将軍に犯され殺された。赤は帰り道の軍隊を襲い将軍を討ち取ったが赤を庇って宮は帰らぬ人となった。

楚王の元には幾度となく暗殺者が差し向けられたが、命を狙われていると知っている楚王の万全の準備にことごとく失敗した。
長楽君から暗殺者・冷の存在を教えられた赤。彼女は十数年前楚王の暗殺を試みたが失敗しからくも逃れた。隠者となった冷の元を訪れた赤。冷は未だ楚王の暴政が続く国のために赤に協力する。それは彼女自身の首を差し出すことだった。
長楽君は王の元に参内し名剣・干将を手に入れたといって献上した。莫邪剣と対になる干将剣は間違いなく名剣の光を帯びており楚王は大いに喜ぶ。長楽君はさらに朗報があるという。かつて王を暗殺しようとした女・冷の首を持ってきた者がいると言うのだ。楚王はすぐにその者を召し出せと命じる。
赤は冷の首を持って楚王の前に参内する。冷の首を見た楚王は間違いなくあの時の暗殺者だと言って嗤い、すぐに首を釜茹で(処刑方法の一つ)にしてしまえと命じる。ぐつぐつ煮えたぎる油釜が準備され、楚王はその前で高笑いする。その時、赤が干将剣を掴むや否や一刀のもとに楚王の首を刎ねた。首はまっすぐ油釜の中へと消えていった。

その後、長楽君が王に即位し楚呉の戦争は終わった。赤の行方は誰も知らないが剣の伝説だけは今も残っている。(終)
-----ここまで]

うーん…誰向けの何の目的の映画なんだろうと首を傾げる作品だった。物語の大筋を知ってる上での早すぎる展開なので、子供向けの教養ドラマかなと思う。でも子供向けならもうちょっと主人公の赤を格好よく共感できるキャラクターにしてほしかったという気が。登場人物のキャラがみんな似たり寄ったりで区別がつかない…。

色々とダメ出しだらけの作品だけど、おそらく若手の、大学出たての新人監督とかが撮ってると思われる。インディーズ映画だと思うと結構頑張ってるなという感じはする。ただ頑張る方向が違うというのか…格好良いと思ってやってる演出(スローモーション、キメポーズ等)が「誰が見て」格好良いと思うのかがわかってない感じ。
冒頭からキャストが全員20代30代で統一されてて老人役があまりに若すぎるとか、美術・メイクも安っぽいし、一国の王の部屋に簡単に潜入できるとか王様が供を連れずに刺客と出歩くとかもうツッコミ所満載で、舞台劇と間違えてるんじゃないかという演出。(舞台劇なら演出のしようによってはアリなお芝居や脚本。)でもストーリーがこんだけ端折っててもちゃんと分かるようになってるところはちゃんと考えてるなって気が。人間の心情はまったく描けてないからダメなのものはダメなんだけどさ…。チーン

監督はなぜこの作品を作ろうと思ったのか、この作品によって誰に何を伝えたいのか、誰に何を考えてもらいたかったのかとか、そういうところもっと頑張ってほしいよね。「なぜあなたは映画を撮るのか」という所を…。
「心理罪」「白夜追凶」で破天荒な刑事を好演していたワン・ロンジョン(王瀧正)がクールな私立探偵を演じる。

「罪夜無間」(2019年 監督/麦利雅斯 主演/王瀧正、甘露、紀寧)
全27話


――中華民国時代、上海。警察署長の郭が娼婦と共に殺される事件が発生。被害者の二人の顔にはなぜか京劇のメイクが施されていた…。
私立探偵の陳一鳴の下に郭夫人がやってきて、事件を捜査してほしいという。郭署長は部下と折り合いが悪かったようで夫人は部下らの捜査が信用できないのだ。陳一鳴は捜査を始めるが、その最中に偶然会った警部補のどら息子・張天笑とアメリカ帰りの帰国子女・姚菲の二人が彼の探偵所に入所することになり、ドタバタ騒ぎの中犯人とその目的を追う――

私立探偵・陳一鳴とその仲間らが殺人事件を解いていくミステリ連作。「失念」「兩舌」「刹那」「邪願」「断惑」「嗔孽」「寂滅」の七つの物語から成る。1話30分程度でひとつの物語は短いもので2話、長いもので5話。
漫画か何かの原作があるのかなという雰囲気のキャラクターもの。あまり個性がなく一人常識人な陳一鳴、典型的お坊ちゃんの張天笑、姉御肌のデキる女性・姚菲、ロリータ系なカフェのねーちゃん、パンチパーマのダメ刑事(ボケ役筆頭)、あばれる君とハライチ澤部のような巡査コンビ(ボケ役)、ケチなコソ泥・陳飛、水戸黄門的万能感を醸し出す一鳴の義父など…個性的なキャラクター達で物語を進めていくタイプのミステリ。キャストはこれからを期待されるような若くてそれなりの美男美女を揃えてるんだけど、お芝居がやっぱりアイドル…。なのでコメディテイストにしてるんだけどこのコメディが茶番としか言えないくらい酷い。間延びが本当に酷い。これで笑える人がいるんだろうか??ゲロー
茶番が特に酷い最初の「失念」(第1~3話)で大半の人はリタイアすると思われるが、「兩舌」「邪願」「寂滅」なんかは若者向けのライトなミステリとしてそれなりに楽しめる。一鳴が実質一人で推理を進め犯人に近づいていくところは普通に面白い。物語は伏線、ミスリード、推理の根拠もはっきりわかりやすく丁寧に作られていて、つまりシリアスなシーンは面白いんだよ。
これ、ワン・ロンジョンを主役に置いたのはある意味失敗かと…お芝居はこの中ではズバ抜けてできるんだけど、周りと差がありすぎて浮いてる。一鳴がいくらクール設定だといっても茶番に対してツッコミもボケもせず終始静観してるだけなので主人公なのに影が薄いし、脇役らが無意味にわちゃわちゃ騒いでるだけで余計に白ける。彼はコメディのお芝居くらいできるはずなのになぜしない、させない??そして主役張るには地味…イケメンだけどなんか華がないよなぁ。そういう意味では張天笑を演じるジー・ニン(紀寧)の方が華やかで主人公然としてる。
アイドルものらしく、ヒロインの姚菲やカフェのねーちゃんが毎回レトロで可愛いファッションに身を包んで出てくるのはコスプレみたいでまあまあ楽しい。
あとは最初から出てくる作家・蒋涵知を演じるアナン(阿楠)のお芝居はけっこう良い、ワン・ロンジョンの次くらいに。(もうぶっちゃけこの二人以外のお芝居はイタイ!よく最後まで観たな自分チーン

コメディがなく一鳴の独壇場な「断惑」(第18~20話)はアーティスティックな構成でサスペンスあるいはホラーとして非常に面白い。やればできるじゃんムキー、としか言いようがない。つまりこの監督はコメディシーンが下手なんだと思う。アイドル路線捨てて生真面目にシリアスなサスペンス撮ればいいのに。
「サイレント・ウォー」(2012年 原題「聴風者/The Silent War」 監督/麦兆輝、庄文強 主演/梁朝偉、周迅)
120分


原作は麦家の「暗算」。これは「听風者」「看風者」「捕風者」の三部作で、この映画は第一部「听風者」を基にしている。

――1950年代中国。中国共産党は台湾へ逃れた国民党と水面下の戦いを続けていた。諜報機関701では台湾の発する通信を傍受し暗号で隠された情報の解読に日々追われていた。だがある日突然台湾の通信が途絶えてしまった。敵は周波数を変更したようだ。
701の女諜報員アル・リンリンこと張学寧は、素晴らしい聴力の持ち主だというピアノ調律師・羅三耳に協力を仰ぐため上海へ飛んだ。だが実際会ってみると羅三耳よりも助手をしている盲目の青年・何兵の方が驚異的な聴力を持っていると分かり、彼を強引にスカウトしてきた。

人里離れた山奥の701に連れてこられた何兵は張学寧から通信傍受とモールス信号の聞き取りをみっちり叩き込まれる。そして彼女の見込み通り、その聴力ですぐに台湾の周波数を突き止めて見せた。成果に一安心する張学寧だが、間もなく何兵から好意を抱かれていることを知る。張学寧はそれとなく友人の女性を何兵に紹介するが彼は他の女性には非常にぶっきらぼうな態度を取るため女性はみんな遠ざかっていくのだった――

は…?いやこれ何の変哲もないありきたりなスパイ映画じゃね?頑張ったけど1時間でリタイア。チーン
原作に準じたヒューマンドラマだろうと思って見てたらダマされたし、何の意外性もない淡々とした物語進行で退屈が過ぎる。よく見るとこの監督は「非凡任務」とか「関雲長」を手がけてる人か…納得。

これ、「盲目だが驚異的な聴力を持つ男が軍諜報部にスカウトされて成功する」って部分だけを原作から持ってきて、後は全く違う。主人公の名前も性格も境遇も脇役も、それから最後のオチも調べたけど当然違う。
原作では主人公は盲目であるだけでなく軽い知的障害がある設定で、物語もだからこそのオチがついている。(抜群の聴力で功を挙げて成功者の仲間入りを果たし結婚もするが、妻が浮気して他の男との子を出産したことをその聴力のせいで知ってしまい自殺する。)でもこの映画では目が見えないだけで(しかも光は少し見えるようだ)性格もクセのないただのイケメンだし、だからこそ原作と同じオチはあり得ない。スパイの仕事と恋愛のはざまで思い悩む姿を描くみたいな、とにかくベタすぎ、使い古されすぎ。スパイを題材にしてるけど、サスペンス性…この先どうなるのだろうというドキドキは全くないので、恋愛をメインに据え置きたいのだろうか。

主人公の何兵を演じるトニー・レオン(梁朝偉)は曇ったカラーコンタクトを入れてのお芝居。しかし、あんまり盲人には見えない…視線はクリアしてるけど例えば手足の探るような動きとかもうちょっとそれっぽくなりませんかねぇ。
それに対してヒロインの張学寧を演じるジョウ・シュン(周迅)はやっぱり素晴らしいお芝居!デキる女スパイ、強さと賢さと美しさを兼ね備えるスーパーウーマンが似合いすぎる。しかも万能で満たされた虚構感ではなく若干泳ぐ視線などで人間らしさを繊細に表現。1時間も見続けられたのは彼女のおかげ。

麦家の原作は日本語訳されてないのでもちろんきっちり読んだことはないけど、「風聲」にしてもプロットに意外性があってミステリ風というのか、オチがついて初めてテーマが見えてくるという構成は粋だと思うし、せっかくの原作の趣をこんな形でぶち壊さないでほしいと思う…。