120分

原作は麦家の「暗算」。これは「听風者」「看風者」「捕風者」の三部作で、この映画は第一部「听風者」を基にしている。
――1950年代中国。中国共産党は台湾へ逃れた国民党と水面下の戦いを続けていた。諜報機関701では台湾の発する通信を傍受し暗号で隠された情報の解読に日々追われていた。だがある日突然台湾の通信が途絶えてしまった。敵は周波数を変更したようだ。
701の女諜報員アル・リンリンこと張学寧は、素晴らしい聴力の持ち主だというピアノ調律師・羅三耳に協力を仰ぐため上海へ飛んだ。だが実際会ってみると羅三耳よりも助手をしている盲目の青年・何兵の方が驚異的な聴力を持っていると分かり、彼を強引にスカウトしてきた。
人里離れた山奥の701に連れてこられた何兵は張学寧から通信傍受とモールス信号の聞き取りをみっちり叩き込まれる。そして彼女の見込み通り、その聴力ですぐに台湾の周波数を突き止めて見せた。成果に一安心する張学寧だが、間もなく何兵から好意を抱かれていることを知る。張学寧はそれとなく友人の女性を何兵に紹介するが彼は他の女性には非常にぶっきらぼうな態度を取るため女性はみんな遠ざかっていくのだった――
は…?いやこれ何の変哲もないありきたりなスパイ映画じゃね?頑張ったけど1時間でリタイア。
原作に準じたヒューマンドラマだろうと思って見てたらダマされたし、何の意外性もない淡々とした物語進行で退屈が過ぎる。よく見るとこの監督は「非凡任務」とか「関雲長」を手がけてる人か…納得。
これ、「盲目だが驚異的な聴力を持つ男が軍諜報部にスカウトされて成功する」って部分だけを原作から持ってきて、後は全く違う。主人公の名前も性格も境遇も脇役も、それから最後のオチも調べたけど当然違う。
原作では主人公は盲目であるだけでなく軽い知的障害がある設定で、物語もだからこそのオチがついている。(抜群の聴力で功を挙げて成功者の仲間入りを果たし結婚もするが、妻が浮気して他の男との子を出産したことをその聴力のせいで知ってしまい自殺する。)でもこの映画では目が見えないだけで(しかも光は少し見えるようだ)性格もクセのないただのイケメンだし、だからこそ原作と同じオチはあり得ない。スパイの仕事と恋愛のはざまで思い悩む姿を描くみたいな、とにかくベタすぎ、使い古されすぎ。スパイを題材にしてるけど、サスペンス性…この先どうなるのだろうというドキドキは全くないので、恋愛をメインに据え置きたいのだろうか。
主人公の何兵を演じるトニー・レオン(梁朝偉)は曇ったカラーコンタクトを入れてのお芝居。しかし、あんまり盲人には見えない…視線はクリアしてるけど例えば手足の探るような動きとかもうちょっとそれっぽくなりませんかねぇ。
それに対してヒロインの張学寧を演じるジョウ・シュン(周迅)はやっぱり素晴らしいお芝居!デキる女スパイ、強さと賢さと美しさを兼ね備えるスーパーウーマンが似合いすぎる。しかも万能で満たされた虚構感ではなく若干泳ぐ視線などで人間らしさを繊細に表現。1時間も見続けられたのは彼女のおかげ。
麦家の原作は日本語訳されてないのでもちろんきっちり読んだことはないけど、「風聲」にしてもプロットに意外性があってミステリ風というのか、オチがついて初めてテーマが見えてくるという構成は粋だと思うし、せっかくの原作の趣をこんな形でぶち壊さないでほしいと思う…。
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