罪夜無間 | あさひのブログ
「心理罪」「白夜追凶」で破天荒な刑事を好演していたワン・ロンジョン(王瀧正)がクールな私立探偵を演じる。

「罪夜無間」(2019年 監督/麦利雅斯 主演/王瀧正、甘露、紀寧)
全27話


――中華民国時代、上海。警察署長の郭が娼婦と共に殺される事件が発生。被害者の二人の顔にはなぜか京劇のメイクが施されていた…。
私立探偵の陳一鳴の下に郭夫人がやってきて、事件を捜査してほしいという。郭署長は部下と折り合いが悪かったようで夫人は部下らの捜査が信用できないのだ。陳一鳴は捜査を始めるが、その最中に偶然会った警部補のどら息子・張天笑とアメリカ帰りの帰国子女・姚菲の二人が彼の探偵所に入所することになり、ドタバタ騒ぎの中犯人とその目的を追う――

私立探偵・陳一鳴とその仲間らが殺人事件を解いていくミステリ連作。「失念」「兩舌」「刹那」「邪願」「断惑」「嗔孽」「寂滅」の七つの物語から成る。1話30分程度でひとつの物語は短いもので2話、長いもので5話。
漫画か何かの原作があるのかなという雰囲気のキャラクターもの。あまり個性がなく一人常識人な陳一鳴、典型的お坊ちゃんの張天笑、姉御肌のデキる女性・姚菲、ロリータ系なカフェのねーちゃん、パンチパーマのダメ刑事(ボケ役筆頭)、あばれる君とハライチ澤部のような巡査コンビ(ボケ役)、ケチなコソ泥・陳飛、水戸黄門的万能感を醸し出す一鳴の義父など…個性的なキャラクター達で物語を進めていくタイプのミステリ。キャストはこれからを期待されるような若くてそれなりの美男美女を揃えてるんだけど、お芝居がやっぱりアイドル…。なのでコメディテイストにしてるんだけどこのコメディが茶番としか言えないくらい酷い。間延びが本当に酷い。これで笑える人がいるんだろうか??ゲロー
茶番が特に酷い最初の「失念」(第1~3話)で大半の人はリタイアすると思われるが、「兩舌」「邪願」「寂滅」なんかは若者向けのライトなミステリとしてそれなりに楽しめる。一鳴が実質一人で推理を進め犯人に近づいていくところは普通に面白い。物語は伏線、ミスリード、推理の根拠もはっきりわかりやすく丁寧に作られていて、つまりシリアスなシーンは面白いんだよ。
これ、ワン・ロンジョンを主役に置いたのはある意味失敗かと…お芝居はこの中ではズバ抜けてできるんだけど、周りと差がありすぎて浮いてる。一鳴がいくらクール設定だといっても茶番に対してツッコミもボケもせず終始静観してるだけなので主人公なのに影が薄いし、脇役らが無意味にわちゃわちゃ騒いでるだけで余計に白ける。彼はコメディのお芝居くらいできるはずなのになぜしない、させない??そして主役張るには地味…イケメンだけどなんか華がないよなぁ。そういう意味では張天笑を演じるジー・ニン(紀寧)の方が華やかで主人公然としてる。
アイドルものらしく、ヒロインの姚菲やカフェのねーちゃんが毎回レトロで可愛いファッションに身を包んで出てくるのはコスプレみたいでまあまあ楽しい。
あとは最初から出てくる作家・蒋涵知を演じるアナン(阿楠)のお芝居はけっこう良い、ワン・ロンジョンの次くらいに。(もうぶっちゃけこの二人以外のお芝居はイタイ!よく最後まで観たな自分チーン

コメディがなく一鳴の独壇場な「断惑」(第18~20話)はアーティスティックな構成でサスペンスあるいはホラーとして非常に面白い。やればできるじゃんムキー、としか言いようがない。つまりこの監督はコメディシーンが下手なんだと思う。アイドル路線捨てて生真面目にシリアスなサスペンス撮ればいいのに。