「怒晴湘西」(2019年 監督/費振翔 主演/潘粤明、高偉光)
全21話

※日本語版はまだありません。
別名「鬼吹灯之怒晴湘西」。トレジャーハンター(=墓荒らし)胡八一らが活躍する大人気小説「鬼吹灯」シリーズの、これは7巻目の実写化。物語としては外伝に当たるようだ。
胡八一らは冒険の最中に受けた太古の呪いを解くために、手掛かりを知る陳瞎子(めくらの陳)の元を訪ねた。陳は胡八一に昔々の物語…自らの実体験を語り始めた。
ということで胡八一らは一切出てこず主人公は陳瞎子。シリーズを全く知らなくても大丈夫。
――その昔、中国には摸金、発丘、搬山、卸嶺という四大トレジャーハント組織があった。陳玉楼は義侠集団・卸嶺の頭目として大勢を率い、獲得した宝は飢えた村を救うために使ったため多くの人々に慕われていた。その噂を聞きつけた軍閥の羅老歪がお宝情報を持ってやってきた。苗族の村の近くに元代の王族の墓が隠されているというのだ。発見したお宝は折半ということで協力して探索に行くことに。
道中で陳玉楼は狸の妖術(?)にかかり動けなくなった。それを救ったのは搬山の鷓鴣哨ら三人の道士だった。彼らもまたこの近くにあるという瓶山に隠された秘宝「雮塵珠」を探していたのだ。目的地が同じと知った陳玉楼は助けられた気恥ずかしさからも一緒に協力して宝を探すことを提案したが、分け前が減ると心配した羅老歪が反対し結局協力は叶わなかった。
苗族の少年の案内で瓶のような外観の不思議な山にたどり着いた陳玉楼達は山上から梯子を下ろして深い崖へと降りていく。と、すぐ横で鷓鴣哨らもロープを使って崖下へと降り始めた。
崖の下には瓦のようなものが敷き詰められた床、そして大きな穴が開いていた。注意深く降りていくが、そこには先に降りた二人の偵察隊の衣服だけが残されている・・・とその時ざわざわと周囲から波打つような音が聞こえてきた――
「インディ・ジョーンズ」みたいな墓荒らし系アクションもの。太古の遺跡やら墓やらに侵入したらトラップが作動して逃げ惑いながらも知恵と勇気で困難を乗り越えお宝ゲットだぜ!という、物語としてはごくごくありきたりなアドベンチャー。でもとても面白く最後まで楽しく見られた。
アドベンチャーものだと普通は主人公を含む数人で挑むけどこれは陳玉楼は卸嶺の一団を率い、羅老歪は軍隊を率い、とかく大勢の人海戦術で難関に挑むパターンになってる。トラップに対してもその場でひらめいて困難を乗り越えるわけではなく一旦退却して対策を練ってからリベンジするというのが、ドラマとしては新しいなと感じてしまった。(現実的に考えれば当たり前の話だけど。)
物語に目新しさがないにも関わらず面白かったのはなんといってもテンポの良さでしょう!ホラーっぽい要素をふんだんにちりばめて、構図やカメラワーク、効果音と、ドキドキハラハラさせる見せ方やキャラクターの活躍を格好よく見せる場面づくりが上手いというか手慣れてる感。意味ありげなカットで伏線を印象付けるとかとにかく無駄なシーンがない。そしてキャストが主演からモブまでみんな手抜きなく芝居が上手い!けっこう中国の連続ドラマはモブ役の手抜き感が目立つんだけど、この作品に限っては画面に映る全ての人がエキストラではなく役者じゃないかと思う。屋内が多いのでロケに比べたら撮りやすいかもしれないけど規模も大きくて細部までリアルなセットだしCGもすごく頑張ってる。映画並みのクオリティですごくお金使ってるんじゃないかと。
1話約30分で比較的コンパクトな物語なので、ぜひ日本に上陸してほしいと思う非常にクオリティの高いエンターテイメント作品!
主演は「白夜追凶」で驚くべき演技力を見せつけてたパン・ユエミン(潘粤明)。義侠団の頭目で器の広い人間…ということになってるけど実はちっちゃいプライドを固持してるというほんのひとクセある好人物をやはり見事に演じ切っていた。本当に上手いなぁ。
しかしこの作品の真の主演は鷓鴣哨を演じるガオ・ウェイグァン(高偉光)。物語は陳玉楼の視点になってるけど実際一番活躍してるのはどうみてもこの人。陳玉楼はチームで攻略する人だけど鷓鴣哨ら搬山道人は個々で攻略する人なので一人で各種能力に長けてるし、設定では凄腕ガンマンらしいけど相手が相手(化け物とか)なので普通に素手の格闘技アクションの方が目立ってる。ハンサム長身ストイックとまぁモテ要素満載でヒロインとはカタツムリな速度で接近していく…この焦らしっぷりも女子にはたまらんキャラクターよね!!
ツンデレなヒロイン紅ちゃんもよかったけど個人的には花霊を演じるアリヤ(阿麗亜) ちゃんが終盤意外と凄かった。ありがちなシチュエーションでありがちな演技をしないのが新鮮。
他にも羅帥、老洋人、崑崙、拐兄、楊副官…とにかくみんなお芝居が上手くてキャラクターがしっかりと印象に残る。そういった愛着のわくキャラクターがでも物語の流れ上次々と消えていくのは悲しかった、良い意味で。
アドベンチャー要素にホラー要素、近年流行りのゾンビもの要素もあるし、それから任侠ものの要素もあり、どれかにひっかかれば損はしない作品です。