養老孟司さんが壇上に現れます。
会場の参加者が養老さんのそのものの存在に対して引き込まれてしまうような大きな力を感じました。朴訥として静かに語る口調に乗って、ゆっくりとかみ砕くような言葉のなかには、静かな闘志が漲っていました。
著書「日本が心配」に詳細が書かれてあります。
「米などの食料自給のことや、天災等の地震のこと、国民への年金も。減反するとどうなるか!いまの足らなくなるこういう状況は、じつは当初からわかっていたはずだと。
いまは当たり前は当たり前ではない。昔は貧乏だったがいまは贅沢になった。
天災が起きる前にいまできることをみんなで考えなくてはいけない。
前々からずっとこうなることがわかっている。
みんな知らんふりをしているだけ。
頭で考えたくないだけ。
地震などの天災が起こったのち、江戸幕府を終わらせ明治維新を起こしたり、大正時代デモクラシーを終わらせて軍国主義に突き進んだことがあった。
南海トラフのよる大きな地震による天災は、太平洋側はもちろんのこと、日本の国全体に大きな影響を与えることを、これまでの歴史からしっかりと日本人は学ぶべきだ」
養老さんは、人と人とはなぜ分かり合えないのか!の本質を突いた「バカの壁」の大ヒット作があるベストセラー作家です。
これまで10冊ほどの本を読んできました。初期に読んだ本のなかには、表面的に理解することが難しい時もあってすこし立ち止まりながら、ここはどういう意味なのか考え込むことがありました。
養老さんに会えるのは、実に嬉しくて楽しかったです。彼と同じ空間でいて同じ時間を共有できたことは、客観的に見てみるとまこと幸せです。直接声を聴いて学べるこういう機会はなかなかありません。これからも本を読んでいきたい欲望が増してきました。
養老さんが発することばには、人生を達観した哲学的な要素があるので理解しにくい部分もあるのかと思います。また、彼の言葉に物凄く重い含蓄があります。、虫の収集体験に裏付けられた人生を楽しむヒントのようなものがあると感じました。
おわりに、「人生の壁」を読んだ時の感想がこうでした。
「養老孟司さんのような人生の大先輩からぼくら後輩たちに対して、人生経験を踏まえた苦言をたくさん呈してほしい。ぼくらは僕らのためにちゃんと聞く耳を持っていたい。養老さんの知恵とか信念、価値観、性格などのなかに、心に刺さることがありました。アドバイスのような中には、いわゆる名言とか格言のような含蓄がある素晴らしい言葉がいっぱいありました」









