朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -8ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

養老孟司さんが壇上に現れます。

会場の参加者が養老さんのそのものの存在に対して引き込まれてしまうような大きな力を感じました。朴訥として静かに語る口調に乗って、ゆっくりとかみ砕くような言葉のなかには、静かな闘志が漲っていました。

 

著書「日本が心配」に詳細が書かれてあります。

「米などの食料自給のことや、天災等の地震のこと、国民への年金も。減反するとどうなるか!いまの足らなくなるこういう状況は、じつは当初からわかっていたはずだと。

いまは当たり前は当たり前ではない。昔は貧乏だったがいまは贅沢になった。

天災が起きる前にいまできることをみんなで考えなくてはいけない。

前々からずっとこうなることがわかっている。

みんな知らんふりをしているだけ。

頭で考えたくないだけ。

地震などの天災が起こったのち、江戸幕府を終わらせ明治維新を起こしたり、大正時代デモクラシーを終わらせて軍国主義に突き進んだことがあった。

南海トラフのよる大きな地震による天災は、太平洋側はもちろんのこと、日本の国全体に大きな影響を与えることを、これまでの歴史からしっかりと日本人は学ぶべきだ」

 

養老さんは、人と人とはなぜ分かり合えないのか!の本質を突いた「バカの壁」の大ヒット作があるベストセラー作家です。

これまで10冊ほどの本を読んできました。初期に読んだ本のなかには、表面的に理解することが難しい時もあってすこし立ち止まりながら、ここはどういう意味なのか考え込むことがありました。

養老さんに会えるのは、実に嬉しくて楽しかったです。彼と同じ空間でいて同じ時間を共有できたことは、客観的に見てみるとまこと幸せです。直接声を聴いて学べるこういう機会はなかなかありません。これからも本を読んでいきたい欲望が増してきました。

 

養老さんが発することばには、人生を達観した哲学的な要素があるので理解しにくい部分もあるのかと思います。また、彼の言葉に物凄く重い含蓄があります。、虫の収集体験に裏付けられた人生を楽しむヒントのようなものがあると感じました。

 

おわりに、「人生の壁」を読んだ時の感想がこうでした。

「養老孟司さんのような人生の大先輩からぼくら後輩たちに対して、人生経験を踏まえた苦言をたくさん呈してほしい。ぼくらは僕らのためにちゃんと聞く耳を持っていたい。養老さんの知恵とか信念、価値観、性格などのなかに、心に刺さることがありました。アドバイスのような中には、いわゆる名言とか格言のような含蓄がある素晴らしい言葉がいっぱいありました」

交番や駐在所が舞台でありすべての事件は警察にかかわるものであった。

警察を定年退職し非常勤の交番相談員として働いている初老の警察OG百目鬼 巴。

彼女には県警本部の刑事部長も頭があがらない。科学捜査の知識も豊富に有している。未解決事件の捜査にあたってほしいと熱烈なお呼びが掛かっている……。

彼女の鮮やかな手腕は気持ちいいものだった。

彼女の推理により明らかになる真実には、ゾワッとかなり背筋に寒気がした。

糾弾することはなく真相を明かすだけで、その先どうするのかは本人の判断に委ねるところが始末が悪く、警察官の闇と罪に関わる事件ばかりでなんとも後味が悪い感じがした。

こう読者に感じさせるところは読ませるためのうまい手法でないかと思う。

 

 <目次>

裏庭のある交番

俊刻の魔

曲がった残効

冬の刻印

嚙みついた沼

土中の座標

本の表紙のとおり、足を延ばすことができないくらいに、あたり一面に生活に関係したゴミが散乱している。この部屋で殺人事件が起こった。

鑑定人の氏家京太郎はもちろん、特殊清掃会社の五百旗頭、元警視庁捜査一課刑事で現在探偵の鳥海秋彦などけっこう面白いキャラが出てくる。

氏家らが、容疑者のための証拠集めに東奔西走する。

今回の氏家シリーズ、止まらずにもう一気読み。

おわりの中山さんのドンデン返しはもうお見事。

なんでこうなるの!?

犯行が思い浮かばなかった。

中山さんはこちら側をけっして裏切らない作家さんだ。

 

 

異臭のするアパートで、天才ゲームクリエイターの九十九が腐乱死体となって見つかった。部屋には九十九が何者かに殺された形跡が残っており、現場に残っていた体液と一致した容疑者の御笠が逮捕される。

しかし御笠は犯行の否認、一度も九十九の家には足を踏み入れていないと主張する。弁護士は民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉に再鑑定の依頼をするが、依頼を受けた室長の氏家は、容疑者の名前を見て動揺を隠せなかった。

御笠は氏家のいちばん親しい級友だった。

 

 

 <目次>

一 隠された死体

二 隠された動機

三 隠された過去

四 隠された証拠

五 隠された策謀

 

中山七里さん

1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。音楽から社会問題、法医学まで幅広いジャンルのミステリーを手がけ、多くの読者の支持を得ている

北海道の空の景色は、どんなのだろうか?

くっきりとした青ではなく、白でも黒でもないグレーだと思う。

ぼくは、桜木紫乃さんの落ち着いた書きぶりも、独特の情感あふれる世界感も、紙面上に流れるグレー的な空気感も好きだ。

 

「兎に角」

 

二葉は、今日のふたりのように当人同士が節目と決めたところ写す、とっておきの一枚の手伝いをしたいという。

「写真をさ、プリントしたら残るじゃない。データもいいけど、やっぱり不意に目に入ってきたり、思わぬところで開いたり。額に入ってもいいし、本棚にそっと差し込まれるサイズで、時々見てしまうっていうのでもいいと思うのね」

 

「グレーでいいんじゃない」

 

楽しめばいいじゃない。突き詰めんなよ。グレーでいいじゃない―

 

「「わたしね、物心ついてから、ずっと白と黒の鍵盤しか見てこなかったの。何でも、この組み合わせで、美しく奏でられると信じてた。そんな私が、唯一息子のことだけは、グレーでいいと思うようになりました。人の一生を白と黒で分けるのは難しい。あの子がピアノを捨てなかったことが、すべてです。私は自分とあのこの生きた時間に満足します。順番は逆になりましたけど、そう遠くないところでまた会えると思うの。皆さん、どうか、あの子のことを忘れていてやってくださいな」

ひとしきり礼を言って、最後にピアノにひとつキスをしてママはマツに手をひかれながら店を出ていった。

 

 

 

 <目次>

兎に角 

スターダスト

ひも  

グレーでいいじゃない 

らっきょうとクロッカス  

情熱

 

 

桜木紫乃さん

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞受賞。07年同作を収めた『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第149回直木賞、20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。ほかに『ブルース』『裸の華』『緋の河』『ヒロイン』『谷から来た女』『青い絵本』『人生劇場』など著書多数。

コスパやタイパを大きく唱える時代だからこそ、愚直に味わって読む「遅読」がおすすめ!

 

すぐ役立つものはすぐに忘れるし廃れますから、そうならないためにはどう読むべきか。

 

知識を得るための速く読むのではなく、あえて立ち止まってゆっくりと味わって読む機会があっても良いと思います。そう思える本に出合いたいものです。

 

読書とは?遅読するとは?こういうことなんだ。

例示しながらわかりやすく説明がなされています。

 

齋藤孝さんの本を重ねて読み続けていると、文章や言葉の使い方、段落の取り方、ゴシック文字の記載方法、目次の活用などからわかるようになりさらにもっと読みやすくなります。難しいことでも平易な言葉にしてくれ伝わりやすいように工夫して書かれてあるから。

 

行間を読んだり、自分の経験と書かれた内容との関連を探したりするため、例えば、実用書や新書については、速読と遅読の2つのやり方を使い分けながら読んでいく方法があると説明があってこれは参考にしたいと思いました。

 

 

読書とは、自分の人生を豊かにするものだ。

17P

大切なのは、どれだけ多く読んだかではなく。その本をどれだけ自分の中に取り入れることができたかです。

29P

人格に影響を与えるものは、自分の外を流れる情報ではなく、自ら向き合い、蓄積して身につけた知識や教養なのです。

268P

人類の知性の蓄積として書き残されてきた本を読むということは、自分の知性を耕すことです。読書は人生を豊かにし、思索を深め、世界の広がりを与えてくれます。

 

 

遅読とは、時間をかけて味わい、相手に寄り添い、共感するものだ。遅読は、知識を得る方法ではなく、人生の伴走者と出会うための旅なのです。

3P 

あえて立ち止まり、ゆっくりと読むことをおすすめしたい。例えば、旅行に出かけたら、足早に観光名所を巡るのではなく、町の空気を吸い、風景を見つめ、記憶を自分の奥深くにまで探しに行くような方法があります。私は、読書にも同じような読み方があっていいと思うのです。

味読、一冊一冊の本を丁寧に読み。自分の心を豊かに育てることが必要です。

61P

終わってほしくない時間を大切にする読み方。もう二度とよみがえらせることができない時代、その作家が生きていた時間、その物語が生まれた空気。それらにじっくりとふれながら読むことが、醍醐味の一つなのです。

 

 

 

 <目次>

はじめに

序章 なぜ「遅読」が必要なのか―コスパ・タイパ時代の落とし穴

第1章 遅読とは何か―速読の対極にある「深く読む技術」

第2章 遅読をすると何が変わるのか―遅読の効用

第3章 遅読の具体的な方法―「読む」を鍛える技術

第4章 遅読に向いている本とは―ジャンル別・おすすめ本

第5章 遅読力を鍛え、読書の質を高める―実践的読書習慣

おわりに

 

 

齋藤孝さん

1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導

「あないみじ」

平安の心を学ぶ県立菅原高校平安部員の5名。平尾安以加、平安部長で平安時代が大好き。牧原 栞、赤染衛門似。大日向大貴、中学まではサッカー部、蹴鞠で実力発揮。明石すみれ、元百人一首部の幽霊部員。光吉幸太郎、元物理部、イケメンで女性にとてもモテる。

例えば、学校の文化祭の催しでの進行状況がリアルで楽しく伝わってきたことなど、わりと軽いノリで面白く読める青春小説だ。

平安部メンバー全員で協力して成し遂げたある結果は素晴らしい。

それに至るまでの経過が青春だ。

この小説を読んでよかったところだと思う。

歴史上ではあまり馴染みの少ない平安時代に興味が湧いてくる。

自分が通っている高校にこんな部があったならば入部するかもしれない。

うろこぐまさん、安以加ちゃんの祖父なども含めて、登場人物のキャラそれぞれ個性があって今後の展開が楽しみだ。

 

232P

「平安時代に意識を向けることで、令和を生きる自分たちの心を知る。そんな部なのかもしれない」

 

 <目次>

平安部って、何やるの?

俺たち初期メンじゃん

それじゃ、また来週

受けて立ちます

きっとうまくいくよ

それいけ!平安部

 

 

宮島未奈さん

1983年静岡県富士市生まれ。京都大学文学部卒業。2021年「ありがとう西武大津店」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞などトリプル受賞。同作を含むデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』は、坪田譲治文学賞、2024年本屋大賞など多数受賞。他の著書に『成瀬は信じた道をいく』『婚活マエストロ』

 

「なぜDXやリスキリングが必要なのか」「どのようにしてデジタル分野の知識やスキルを学べばよいか」「効果的な勉強法のコツは何か」などを知りたいと思い発端として手に取った。

例えば、ITに関する基礎的な知識を身につけることができる「ITサポート技能試験」受験への態勢を取ることが一つの起点になるかもしれない。

 

年功序列型や終身雇用制度がなくなりつつあるところであり、特にIT分野ではスキル格差が生じ始めているといわれていた。

その格差に乗り遅れないために、ビジネスパーソンは会社に所属しながら再教育を受ける―学び直しをしていく。積極的にリスキリングをしていくべきだと思った。

 

180P スキル格差社会が到来 リスキリングは不可避に

私は、日本では近い将来、スキル格差社会になってくるのではないかと予想しています。文字通り、知識やスキルの習得の程度により、社会的な格差が生まれる現象です。必要なスキルや知識をしっかり習得・管理して、継続的にアップデートして行く人々は、社会的にも成功していくでしょう。逆に、何も行動せず待ちの姿勢を取る人々は、脱落して行くことになるかもしれません。これはある意味で公平な社会と言いますが、厳しい競争社会でもあります。既に一部の業界ではそうなりつつありますが、今後は全てのビジネスパートパーソンがこうした社会に直面するでしょう。現時点でも年代や地域では特にIT分野でスキル格差が生じ始めていると思います。

 

 

 <目次>

はじめに

1 “リスキリング”とは何なのか?(なぜ日本でもDX―リスキリング?)

2 “デジタルの壁”を越えるための資格とスキル(「Di‐Lite」、DXの第一歩となる三大資格)

3 リスキリングは、何からどう始めるか(リスキリングの準備運動―キャリア開発への挑み方、国も促すDX人材育成、AIリテラシーの身につけ方、DXに必須のデータ活用術 ほか)

4 今後のキャリアはリスキリングで変えられる(地方の自治体でもデジタル人材育成(愛媛編)、地方の自治体でもデジタル人材育成(鳥取編)、【企業事例】イオンのデジタル人材育成、産官学連携で外国人のデジタル人材育成(宮崎編) ほか

謝辞

 

 

 

早津昌夫さん

トレノケート株式会社代表取締役社長。大学卒業後、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社へ営業として入社し、数多くの企業のIT導入に携わる。外資系ITベンダーを経て、2010年にトレノケート株式会社(旧名:グローバルナレッジネットワーク株式会社)へ参画。営業としてのキャリアを積み上げ、部長、本部長、役員を経て、22年4月より現職。デジタル人材育成学会の役員も務める

 

 

祁答院薫さん

デジタル教育推進機構理事長、デジタル人材育成学会会長。1989年に東京海上火災保険に入社。主にIT部門においてIT戦略の企画業務を担当。2015年から東京海上のIT企画部参与(部長)。19年、博士号取得を機に30年間務めた東京海上を退職して大学教員へ転じる。その後、名古屋経済大学教授や千葉工業大学教授を歴任。政府(経済産業省)やIPAの委員も務める

 

【No1881】今からでも遅くないデジタル・リスキリング入門 早津昌夫 祁答院薫 日本経済新聞出版 (2025/07)

コロナ後遺症の有無は見た目では判断できません。

「なんとなくだるい」「動けないほどツライ日がある」「頭が重い」「集中力が続かない」「息がしづらい」「動悸がする」、病院でいろいろと検査しても「異常なし」と言われるが、いつまで経ってもスッキリしない。

光と影なのかもしれません。

ワクチンを接種する意味や効果はあります。

コロナウイルスワクチン接種後に原因不明の体調不良を起こされた方や罹患した後にコロナ後遺症と判断されてからも生活に困難を抱えておられる方が国内に多くいらっしゃることをまずは知っておきたいと。

ちなみに、最も多く見られた臨床症状の紹介は、気分症状や倦怠感、睡眠障害などでした。

これから将来にわたっていろいろな症例の検証や事実の判明などによって、明らかになってくるものやことがあるものなのでしょうか。

22P 長期にわたり残ることもある後遺症

コロナ後遺症では、「入浴すると一日寝込む、一時間散歩した翌日から3日間ほぼ寝たきりになった、ドライヤーを持っていられない、かぼちゃを切ろうと力を入れたらだるくなって一日寝込んだ、体のあちこちが痛むのに検査で異常が出ない、CTで異常がないのに家の階段を登るだけで息が切れる、小走りをしただけで一週間足が痛い」といった症状が良く見られます。精神疾患を疑いたくなる。筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群と酷似した症状である。

23P

患者さんにはあとどれくらいで治ることが多いのですかとよく聞かれますが、何とか絶望させないように言葉を選びながら「数ヶ月で改善することが多いです」などといった説明するのが精一杯というところです。特に症状が重い患者さんの場合は、治療の当面の目標は「生活が楽にできるように、できれば仕事ができるところまで症状を「改善」させる」ということになります。もちろん、完全に寝たきりの方であっても、仕事ができるところまで改善することは充分にあるため、希望を失う必要はありません。

 

 

 

 <目次>

はじめに 

第1章 新型コロナ後遺症とは何なのか?

第2章 日常生活を脅かすコロナ後遺症

第3章 なぜ多様な後遺症に繋がるのか?

第4章 コロナ後遺症の検査

第5章 コロナ後遺症にどう向き合うか?

第6章 期待できる漢方・東洋医学の効果

第7章 臨床経験から気付いた膵臓との関連

第8章 コロナ後遺症に似ているワクチン接種後症候群

第9章 セルフケアの重要性

おわりに 

参考文献

 

 

平畑光一さん

医師。山形大学医学部卒業。東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などについて研究。胃腸疾患のほか、膵炎など、消化器全般の診療にたずさわった。2008年7月よりヒラハタクリニック院長。2020年からコロナ後遺症の専門外来を設置し、これまでに四千人以上の患者を診察している

人生においては、上り坂や下り坂のほかに、「まさか」という坂もあります。

このまさかには心して注意していく必要があります。

4P

主に65歳以上の方に焦点を当てて、私が出会った、または耳にしてきた「まさか」の死亡事例や、若いころには現れなかった医学的事象について解説していきます。危険を避けるための予防策についても記載しています。

 

五千体以上を検死・解剖してきた「死因のプロ」法医学者が事故例を紹介して、なぜ死に至ってしまうのか、どうしたらそのような危険を回避できるかを解き明かしていきます。併せてこの法医学者の主な業務が書かれてありました。

244P

突然死した方や事故、事件で亡くなった方の解剖を行い、死因を究明することです。そして、その結果を社会の安全や予防医学、臨床医学に生かされるよう還元することです。

 

「え、こんなことで人生終わるのか!?」

高齢者が餅を喉に詰まらせることが多いのです。次には、あのパンが多いとのことです。

高齢者の意外な死因が紹介されていました。

高齢者でなくても注意していきたいことが多かったです。

くしゃみ「失神、ろっ骨骨折」、ジャガイモの芽やイヌサフラン・野草など自然毒を食べて死ぬ「誤食」、田んぼを見に行って側溝で死ぬ「溺死」、デング熱やマラリアなど蚊に刺されて死ぬ「蚊媒介感染症」、軽い交通事故で死ぬ「遅発性外傷性脳内出血」、葬儀場で死ぬ、ドライアイスによる「二酸化炭素中毒」、バンジージャンプで死ぬ「頸髄損傷」

 

 

 

 <目次>

はじめに 

1章 日常生活に潜む死の危険(パンで死ぬ、熱いお茶を飲んで死ぬ ほか)

2章 家庭内に潜む死の危機(つまずいて死ぬ、押入れに頭をぶつけて死ぬ ほか)

3章 外出先に潜む死の危険(くしゃみで死ぬ、自然毒を食べて死ぬ ほか)

4章 レジャーに潜む死の危険(ジョギングで死ぬ、山菜を採りに行って死ぬ ほか)

5章 人はなぜ老いて、死ぬのか(高齢者の孤独死について考えてみた、「老い」はこうして作られる ほか)

おわりに

 

 

高木徹也さん

法医学者。1967年東京都生まれ。杏林大学法医学教室准教授を経て、2016年4月から東北医科薬科大学の教授に就任。高齢者の異状死の特徴、浴槽内死亡事例の病態解明などを研究している。東京都監察医務院非常勤監察医、宮城県警察医会顧問などを兼任し、不審遺体の解剖数は日本1、2を争う。法医学・医療監修を行っているドラマや映画は多数

 

【No1879】こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」 高木徹也 三笠書房(2025/04)

 

仕事や生活しているうちでいろいろな悩みに振り回せられないよう、心を穏やかに保つ―平常心をいかに保てるか!

これはそんな簡単ではありませんが、「目の前のことに集中する」など禅の教えになぞを解くヒントがあるようです。

 

日頃からプチ的禅を行っていることに気づきました。

ほんの小さな行動の積み重ねが、いつか大きな安心感に繋がります。

「マインドフルネス」

今、この瞬間に意識を集中して自分の思考や感情、感覚を評価せずに、ありのままの心の状態を保つのです。ぼくにとっては、まさに毎週のヨガの時間がそうです。また、コーヒーを入れているときや読書もそれにあたります。

人の脳は、一度に一つのことしか深く考えられません。つまり、目の前にある今この瞬間に意識を集中させれば、自分ではどうにもならない悩みの負のループから抜け出すことができるのです。

悩みの多くは、「まだ起きていない未来」や「すでに終わった過去」からやってきます。

しかし、私たちが生きているのは「今、この瞬間」だけです。だからこそ、呼吸に意識を向ける。手の動きに集中する。目の前の誰かの声をしっかり聞く。目の前の出来事を見る。

そうしたシンプルな行動が、悩みに心を奪われる時間を減らし、落ち着きを取り戻す一歩になるのです。

 

 

19P 禅に学ぶ平常心

禅の目的は、心を静かにし、自分の気持ちや想いをよく理解することです。私たちは、何かをしているときに。つい頭の中で様々なことを考えてしまいます。禅ではそうした「雑念」を取り除き、目の前のことに集中するように練習します。

例えば、座ってゆっくり呼吸に意識を向けたり、歩きながら足の動きや地面の感触に集中したりします。このようにすることで、心が落ち着き、物事に対して冷静に対処できるようになります。簡単に言うと、禅とは「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」なのです。

 

 

 

この本のなかで「今を大切にする」箇所を3つ取り上げてみました。

 

97P 一つひとつの時間を誠実に生きよう

今を生きるとは、自分の感情と丁寧に向き合うことでもあります。過去の痛みを無理に忘れるのではなく。今の自分にとって必要な物だけを選び取る。そうして選びとった経験は、やがて苦しみを成長の過程と変えてくれるのです。

 

101P 今やるべき一つのことに意識を向かわせる

不安や悩みが生じたときこそ。「今」に立ち返る。やるべき一つのことに集中する。その姿勢こそが、心の安心に繋がるのです。不安は、私たちを磨く機会とも言えるでしょう。感情に流されるのではなく、成長の糧として活かしていくことが、真の安心への道なのです。

 

171P 身の回りを整えれば、乱れない心がつくられる

今に意識を向けて、丁寧に積み重ねる。それが、心を整える最善の方法なのです。小さな行動の積み重ねが、やがて大きな安心感や自身へとつながっていきます。そうして心が安定すれば、不安に振り回される頻度が少なくなっていくでしょう。

床を磨き、ものを元の場所に戻す。

掃除や片付けなど、誰にでもできる当たり前の身近な行動こそが、心を整える手段です。

 

 

 

 <目次>

はじめに 禅語に学ぶ、しなやかな心の育み方

第1章 いつも忙しい人のための、しなやかに生きる禅語 ストレスフリーを手に入れるための整え方

第2章 感情に流されず、揺るがない決断力を養う禅語 新しい自分のつくり方

第3章 限りある時間をどう生きるか考える禅語 「今」に集中する作法

第4章 成果を求める気持ちを整える禅語 失敗と焦りに支配されないマインドセット

第5章 新しい自分が動き出す禅語 成長を続けるシンプルな習慣と挑戦的な行動の力

第6章 自分を磨いて、育てる禅語 心を進化させる静かな戦略

第7章 人と生きる禅語 平常心でつながる人間関係

おわりに 禅語の実践で育む感謝と平常心

 

 

枡野俊明さん

1953年、神奈川県横浜市生まれ。禅僧、庭園デザイナー、教育者、文筆家。曹洞宗徳雄山建功寺住職。多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺にて修行。以降、禅の教えと日本の伝統文化を融合させた「禅の庭」の創作を続け、国内外で数多くの作品を手がけている。芸術選奨文部大臣賞(1998年度)を庭園デザイナーとして初受賞。カナダ総督褒章(2005年)、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章(2006年)なども受賞している。2006年、『ニューズウィーク(日本版)』にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。教育の現場では、長年にわたり多摩美術大学で後進の指導にあたり、2023年、名誉教授の称号を受ける。著書には多数ベストセラーがあり、現代人の不安や悩みによりそう禅の言葉は、世代を超えて多くの支持を集めている

 

【No1878】気にしないコツ 感情に振りまわされない-禅の教え42 枡野俊明 総合法令出版(2025/06)