著者は元NHKアナウンサー。
テレビ業界の凋落は、決して最近始まったことではありません。かつて新聞が「終わった」と言われたように、今や「テレビもオワコンではないか」と囁かれています。
先日、全国規模のテレビ局で多くのアナウンサーが退職したという話を耳にしました。
広告収入はネットの半分にまで落ち込み、若者の中には一日もテレビを見ない層が増えています。かつて就職人気ランキングの上位常連だったテレビ局も、今では100位圏外に沈んでいます。
著者は、衰退が止まらないテレビ業界をデータを駆使して分析し、現実と未来を客観的に描き出しています。
173ページより
「大まかな予想ではありますが、今から20年後には、テレビ番組をリアルタイムで視聴する人は3割程度にまで落ち込み、録画視聴やネット視聴を含めても、日常的に『テレビ番組』を見る人は国民の半数に満たなくなるのではないでしょうか。テレビは『テレビ番組を見るための機械』ではなく、『YouTubeやNetflixを大画面で楽しむための機械』になると思われます。」
さらに著者は、動画の「パーソナル化」という潮流を指摘します。
128ページより
「数社のテレビ局が何百万人に向けて番組を流す時代から、何百万、何千万の個人が番組を発信し、その中から自分に合ったものを選ぶ時代へと転換している。かつてはテレビ局だけが可能だった動画制作・配信も、今やスマホやPCで誰でも気軽にできるようになり、人々はテレビ局制作の番組よりも個人制作の動画を好んで見るようになっている。」
著者はテレビに対して前向きな提案も示しています。
テレビ局に蓄積された膨大なコンテンツを活用すべきだというのです。
134ページより
「過去に放送した番組やニュース映像、さらにはお蔵入りになった映像まで、あらゆるコンテンツを自由に視聴できるようにすれば、多くの視聴者を獲得できるのではないでしょうか。」
このままでは残酷な未来が待っています。
ネットでのパーソナライズされた世の中の流れを見据え、膨大な蓄積されたコンテンツを活用するなどの前向きな提案を受けて、現実的にどのように実行していけるのかが、テレビ業界がオワコンになるのかならないのかの今後の鍵となります。
187ページより
「テレビが言論の砦として存在し続けるのか、それとも恐竜のように完全に消滅してしまうのか。それは、テレビに向けられた不信や批判を払拭し、国民から『やはりテレビは必要だ』と思ってもらえるかどうかにかかっています。」
目次
はじめに
第一章 テレビ離れはここまで進んだ
第二章 落ち込む収入、広告はネットの半分に
第三章 就職人気ランキング100位から消滅
第四章 テレビへの信頼性はなぜ落ち込んだのか
第五章 テレビからネットへ、なぜ主役は交代したか
第六章 テレビに残された優位性はあるのか
第七章 テレビが終わる日
おわりに
著者等紹介
今道琢也さん
1975年大分県生まれ。99年、京都大学文学部(国語学国文専修)卒、NHK入局。十五年間アナウンサーとして勤務ののち2014年に独立し、インターネット上の文章指導専門塾「ウェブ小論文塾」を開講する









