
鹿野救急医の意見のなかで「少子化問題」を取り上げました。
ぼくは、もうすでに早くないと思っていましたが、いまこの時期になにか対策を講じるべきであり、まだ間に合うかも!?というような意見を論じている人がいることを明らかにしたかったのです。
夫婦が結婚後に子どもを産み育てる前の段階において、夫婦が安心して産み育てたくなるような環境や雰囲気を社会で強力に形成してほしい。
出生した子ども一人に1億円を支援することは、現実的には極端なはなしです。
しかしながら、経済的に貢献するのであればそれはよいのではないか!と。
このような覚悟で思い切った政策をやらなければ出生率が上がらないし少子化を食い止めることができないことにぼくは同感しました。
169P 誤算だらけの未来予想図
少子化問題の深刻さを日々の診療で実感している立場から、現状の対策が不十分だと感じています。
仮にですが、少子化対策のひとつの大胆な提案として。子ども1人1億円の支援はどうでしょう。突飛に聞こえるでしょうか。しかし、それほどの価値があるのです。
もちろん、お金だけでは解決しません。働き方改革や保育サービスの拡充など、社会全体で子育ての環境を整える本気の対策が必要です。
子どもは未来への投資であり、その価値は計り知れません。1億円は極端かもしれませんが、それぐらいの覚悟で少子化対策に取り組むべき時期に来ているのです。
223P 次世代への処方箋
私は、少子化は止められるものと確信しています。ライフスタイルの変化などがあるにせよ端的に言えば少子化問題は経済問題です。収入が多いほど、そして正職員など身分が安定するほど婚姻率は上がり子供の数も多いのは厳然たる事実です。正しい経済政策で国民一人ひとりが豊かになり専業主婦の復権やベビーシッターの利用など子育て環境が改善されれば、必ず出生率は上向きます。それでも少子化が食い止められない場合、例えば、赤ちゃんが生まれた時にお祝い金を出し、出生率が目標値に達するまでは、徐々にお祝い金の額を上げていくのもよいでしょう。何事も医療と同じで、常に効果を検証し修正していくのです。
子供一人の生涯賃金は、2億から3億と言われています。今後、経済が成長すれば5億、6億と増えていくでしょう。そのことを鑑みれば、私はお祝い金を1億出しても問題ないと思います。その1億が消費に回ればさらに経済成長を後押しすることになり一石二鳥です。
<目次>
はじめに
第1章 誰も教えてくれない救急医療の裏側(「延命治療」や「高度な医療」には負の側面がある、救急時に「高度な治療」を選ぶということ ほか)
第2章 医師が明かす延命治療の真実(「生きる意味、死ぬ覚悟」を改めて問う、「蘇生を試みない」という選択肢もある ほか)
第3章 医療現場の「常識」と「非常識」(ランキング、手術実績…。表面的な「数字」を鵜呑みにするのは危険、信頼できる病院に出会うための心得 ほか)
第4章 人生100年時代の健康管理法(「特定健診」が教える長寿の秘訣、見た目が若くても高齢者並み!?「血管年齢」と「骨密度」 ほか)
第5章 重症患者「日本」の病巣(岐路に立つ「長寿国」日本の医療、財政難と揺らぐ「国民皆保険」 ほか)
おわりに
鹿野晃さん
医療法人社団 晃悠会 むさしの救急病院 理事長・院長。医療法人社団 晃悠会 ふじみの救急病院 名誉院長。
2002年藤田医科大学医学部卒業。青梅市立総合病院(現・市立青梅総合医療センター)救命救急センター医長などを経て、医療法人社団晃悠会を設立。2024年にはむさしの救急病院を開院し、院長に就任した。「すべては患者さんのために」を理念に掲げ、医療における理想のスピード、コンビニエンス、コミュニケーションの実現のために、24時間365日、誰でもいつでもためらわずに受診できる体制や専属の救急車の活用などを通して、訪れるすべての方に、信頼され、心温まる病院づくりに尽力している。