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朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

真梨さんのいつもの“イヤミス”よりも、やや抑えめの印象だった。

顔を隠した70代の女・頼子が、困窮した生活や波乱に満ちた人生を語る動画――その胡散臭さがどうにも鼻につく。

 

その「頼子チャンネル」に魅せられたのが、法律事務所で働く高幡莉々子。

頼子が投げ銭で稼いでいることに強い違和感を覚え、旺盛な好奇心のまま行動に移す。

すると、次々に現れる“頼子”たち、そして次々に死んでいく人々。

 

さらに、推し活のように頼子へ執心する猪又千栄子という女も登場する。

タナカという女を探して辿り着いた先は複雑に見えるが、読み進めるほどに少しずつ真相が形を帯びてくる。

そして最後に「そう来たか」と思わせるオチが待っていた。

 

目次

序章

1章 湘南マリーナコーポ

2章 タナカさん

3章 汚部屋

4章 自白

5章 最後の頼子

後日談

竜崎シリーズは、今回も安定した読みごたえと面白さがあった。

 

鎌倉署管内で発生した、大物政治家宅での不審火と、それに絡む殺人事件が物語の中心となる。政治家、警務部長、県警本部長など、官僚組織の階級や立場によって形づくられる思考や行動が丁寧に描かれ、各人物の性格や人間性が自然と滲み出ていた。

 

本作の見どころは、政治家や警察上層部とのせめぎ合いである。どの相手にも一歩も引かず、理をもって対峙する竜崎刑事部長の姿が印象的だった。

不老長寿の可能性について書かれた本で、とても刺激を受けた。

不老不死への願いは、秦の始皇帝の時代から続く人類の夢である。

もちろん完全な不老不死はまだ遠い未来の話かもしれない。しかし、老化の進行を遅らせ実年齢より若い身体機能を保ち、健康寿命を延ばすという点では、すでに現実味を帯びてきていると感じた。

 

本書では、百寿者(100歳以上の人)に共通する特徴として、

・喫煙しない

・酒は飲まないか、嗜む程度

・性格は外交的でおおらか

といった点が挙げられていた。さらに、ビタミンDがアンチエイジングホルモンとして働く可能性、睡眠不足が老化を加速させること、寿命を延ばす酵素「サーチュイン」、ハダカデバネズミが老化細胞を除去する仕組みなど、科学的な知見も紹介されている。

 

もはやSFの世界だけの話ではない。

老化が何らかのメカニズムで進むのであれば、それを遅らせたり、部分的に逆転させたりすることも理論的には可能だ。専門家の間では、生物学的な若さの維持だけでなく、若返りさえ実現し得るという見方も出てきている。

 

「老いなくなる」という発想は、私たちの未来や社会のあり方、人生観そのものを大きく変える可能性を秘めている。こうした研究が進んでいること自体、人間の探求心のすごさを感じさせる。

 

そして結局のところ、

たばこを吸わない、酒を控える、食べ過ぎない、紫外線を浴びすぎない、適度な運動、十分な睡眠――こうした「当たり前のこと」が、やはり老化を遅らせる基本になるのだと思う。

本書を読み、自分のできる範囲でこれらを丁寧に続けていきたいとあらためて感じた。

 

目次

はじめに

・不老長寿はすでに夢物語ではない

・老化を知れば、生命科学の知識も身につく

 

炎症とは何か

・老化の敵は「慢性炎症」

・炎症は免疫の掃除が追いつかない状態

・慢性炎症によって起こる病気

・長生きの人は炎症が少ない

 

01 老化をとめるオートファジー

02 体全体の老化と細胞の老化は別

03 免疫は「自分」と「他人」を厳密に区別する

04 皮膚は環境老化の影響が大きい臓器

05 ハダカデバネズミは人間にたとえると数百歳生きる

06 老化を遅らせる可能性のあるNMN

07 100歳以上生きる人の違いを調べる研究機関

08 病気のゲームチェンジャーとなる「構造生物学」

09 老化研究に最適なのは「魚」?

10 睡眠不足は老化を加速させる

 

著者紹介

吉森 保さん

1996年、オートファジー研究のパイオニアである大隅良典博士(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げた際、助教授として参加。大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科教授などを経て、大阪大学名誉教授、同医学系研究科寄附講座教授。

 

朝井リョウさんは、時代の空気を鋭く切り取るのが本当に上手い作家だと思う。

本作は、白熱するオーディション番組から誕生したアイドルをめぐる“推し活”を題材に、三人の視点から物語が進む。

・久保田慶彦(47歳・大手音楽会社勤務)

・武藤澄香(21歳・久保田の娘)

・隅川絢子(20代後半・非正規雇用)

 

ファンダム経済をつくる側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側──。

三者の視点が重なることで、推し活の光と影、そして人の心の揺らぎが立体的に浮かび上がってくる。

 

物語の底には、「木を見て森を見ず」という言葉が静かに流れている。

視野が狭くなるとき、誰が得をし、誰が損をするのか。

何が正解で、何が不正解なのか。

その問いが、読者の胸にも返ってくる。

 

引用の中で特に心に残ったのは次の言葉。

「信じるものが欲しいんだと思います。この社会は生きづらい、自分はこの世界に不当に扱われていると感じている人ほど。」(192P)

 

推し活は、単なる娯楽ではなく、

“自分の居場所をつくる行為”でもあるのだと気づかされる。

また、

「今の私たちに必要なのは、他者との優しくて健やかな繋がりなんです。」(111P)

という一文は、作品全体のテーマを象徴しているように思えた。

 

メガチャーチとは、本来は教会の信者を増やすためのマーケティング手法だが、

“ストーリーとコミュニティを同時に提供し、価値を高く感じさせる仕組み”という点で、現代の推し活と驚くほど重なる。

本作は、その構造を物語として見せてくれる。

 

推し活のように、誰かに夢中になる文化は、

不確かでも、確かに“幸せの形のひとつ”なのだと感じた。

 

 

目次

久保田慶彦

武藤澄香

隅川絢子

“すみちゃん”

 

著者等紹介

朝井リョウさん

1989年、岐阜県生まれ。2009年、『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。『何者』で直木賞、『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞、『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞

 

 

【No2017】イン・ザ・メガチャーチ 朝井リョウ 日本経済新聞出版(2025/09)

人間の本質はなかなか変わらない。

他人を変えることはできないが、自分が変わろうとすれば、ものの見方や視点は変えられる──そんなことを考えさせられた。

 

● 印象に残った場面(p.172)

「人間も変われるもんですかね? この絵みたいに荒れていた頃から凪の状態みたいに」

「……難しいな。人間の本質は変わらへんのちゃうかな。俺も変わってない。描いている絵が変わっただけやな。荒れている海を見たかった子供が、大人になって凪いでる海を見たくなっただけ……。ただ、自分がなにを見ようとするかは決められるやん。でも、人間の本質は変わらんと思う。ごめん、わからん」

 

「屑は屑と言うことですかね」と問う主人公に対し、

「屑が屑の絵を描くかどうかは屑自身で決められる」と返す鹿野先生の言葉が胸に残った。

 

駄目な自分を受け入れ、周囲に迷惑をかけながら生きていくことに疑問を持たない──それこそが傲慢なのかもしれない。

 

● 読んでいて感じた苦しさ

この作品には「屑だ」「アホだ」と言われる人物が登場する。

屑とわかっていても、どこか人たらしのようで、振り回されても離れがたい不思議な存在。消息不明になっても「生きとるわ」と笑っていそうな男たちだ。

 

読んでいる間じゅう、胸が重くなる。

真っ当に生きてきた岡田が、横井との関係の中で壊れていくのではないか。

横井はなぜ詐欺師のような生き方から抜け出せなかったのか。

登場人物の多くが「ダメ男」で、読んでいて辛さが続いた。

 

社会的信用のある公認会計士・岡田と、嘘を重ね、大金を借りては踏み倒し、連絡を絶つ横井。

息をするように嘘をつく横井に、岡田は嘘と知りながらお金を貸し続ける。

返済を求めればいいのに、それができない。

成功者的男と底辺の男──その不可解な関係性が理解しがたく、読んでいてしんどかった。

世の中にこんな人がいるなら、両方とも近づきたくないとさえ思った。

 

● 著者紹介

又吉直樹さん

1980年大阪府寝屋川市生まれ。芸人・作家。

2015年、小説デビュー作『火花』で第153回芥川賞受賞。

テレビ、ラジオ、YouTubeなど多方面で活躍している。

安積係長を中心に、速水小隊長、佐治係長、相楽係長、水野をはじめとする部下たちが脇を固める。

それぞれが個性を持ち、人間味に触れられるため、どの短編を読んでも飽きがこない安定した面白さがある。

 

トクリュウ、ロマンス詐欺、モンスターペアレント、推し活など、近年の犯罪動向や社会の変化を題材にしつつ、人の機微を丁寧にすくい取っていて読みやすかった。

部長や課長といった役職に就けば、その立場にふさわしい人物像へと自然に変わっていくように、長く警察官であり続けることで、立ち居振る舞いや雰囲気が“警察官らしさ”を形づくっていくのだろう。

 

p.63

安積は言う。

「警察官らしさというのは、髪型や服装ではないだろう。おそらく、立ち姿やきびきびとした行動とか、目つきとか、そうしたすべての要素によって生まれる印象なんだ」

「そうだな。俺たちは目つきが悪いと言われるからな」

 

目次

「黄落」安積の先輩の退職にあたっての心残り

「心得」署員のファッション

「社交」職員のコミュニケーション力

「軋轢」鑑識 vs. 強行班

「我慢」捜査一課・佐治係長への不満

「願望」ロマンス詐欺

「取説」取説・マニュアルを読む派と読まない派

「夕凪」地域課の緊配に協力

「憂慮」教師へのモンスターペアレント

「明鏡」芸能人に会わせる詐欺と恐喝

 

著者紹介

今野敏さん

1955年北海道生まれ。

上智大学在学中の1978年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。

卒業後、レコード会社勤務を経て専業作家に。

2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、2008年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞・日本推理作家協会賞を受賞。

2017年「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞、2023年に日本ミステリー文学大賞を受賞。

 

「他人と過去は変えられない。しかし、自分と未来は変えられる」

 

体調がすっきりしない、身体のどこかに違和感がある、頑張りたいのに頑張れない――そんな不定愁訴のような症状を経験したことがあります。

私たちは社会の中で生きている以上、どこかで生きづらさを感じ、悩みや葛藤を抱えるのは自然なことなのだと思います。

 

これまで、考え方や物の見方を変える、認知のゆがみを正す、ポジティブに捉える、良い面を見る――といった心理学や自己啓発のアプローチをよく目にしてきました。しかし、それだけで本当に解決できるのでしょうか。

 

たとえば、泣きたいときには泣く、エンプティチェアで抑えていた怒りを表現する、サードプレイスを持つ、無批判に受け入れてきた価値観を見直す、デジタルデトックスをする、腹式呼吸や深呼吸をする、自然や動物に触れる、何もしない時間をつくる、プロのカウンセラーに話を聞いてもらう……。

こうした行動や思考のヒントを与えてくれるのが本書であり、「ありのままの自分」で人とつながり、社会の中で自分らしく生きるための処方箋が示されています。医師の診断を受けるほどではないけれど、生きづらさや心身の不調を抱える人に向けたメンタルヘルスの一冊です。

 

特に印象に残ったのは、「その人が適応できない環境にいるからこそ、身体に不調が出るのは当たり前であり、それは自分を守るための力でもある」という視点でした。

それが“心を病む力”、つまり「生きようとする力」なのだと腑に落ちました。

 

p.125 より 

自律神経の状態に応じて生まれる生理反応や感情・思考の変化は、性格やメンタルの強さ・弱さが原因ではありません。

生まれつき攻撃的な人、心配性な人、ジャッジばかりする人、完璧主義者がいるのではなく、環境との関係性によって自律神経レベルで起きている反応にすぎないのです。

生の脅威を感じる環境に長く身を置けば、人は心身に不調をきたすようにできています。それこそが「心を病む力」であり、身体の活動を最小限に抑えて命を守ろうとする働きでもあります。

 

目次

はじめに

イントロダクション

序章 生きづらいのは誰のせい? 社会と人間関係への「過剰適応」

第1章 私たちは「生きづらさを感じて当たり前」の世界を生きている

第2章 生きづらさを生む心のメカニズム

第3章 身体で感じる生きづらさと自律神経

第4章 過剰適応から自分の心身への適応へ

第5章 見失った自分を取り戻すための処方箋

第6章 社会との関係を再構築するための処方箋

参考文献

おわりに

 

著者紹介

上谷美礼さん

千葉大学医学部卒。労働衛生コンサルタント、公認心理師、医学博士。産業医として独立し、延べ1万人以上の面談・カウンセリングを実施。アドラー心理学、ゲシュタルト療法、ポリヴェーガル理論を専門とする。

 

【No2014】心を病む力 生きづらさから始まる人生の再構築 上谷美礼 東洋経済新報社(2025/09)

「袖すり合うも他生の縁」という言葉がぴったりくる。

ほんのささやかな出会いにも意味がある。

血のつながりがなくても、ご縁があって必ず人は出会うもの。

偶然のようでいて、どこか必然めいた出会い。

従来の枠にとらわれない新しい家族の在り方を考えさせられた。

 

完璧主義で融通がきかない野宮薫子と、女豹のようにクールな小野寺せつな。

姉の薫子は、弟・春彦の元恋人のせつなと出会う。

突然亡くなった弟が、せつなに宛てに遺言書を残していたから。

相続人に指定されていたせつなとの出会いをきっかけに物語が動き出す。

 

弟の死の裏側に隠されたまさかの真実が、予想を超える展開で明かされていく。

「一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。」

やさしくて、せつなくて、心にそっと寄り添う。

傷つき悲しみを抱えた薫子のこころをゆっくりと食を通じ回復していく。

 

家事代行サービスの仕事を通して、人と共に生きる意味や食の大切さを知っていく薫子。せつなの胸の奥にある本音も、少しずつ見えてくる。

人と人とのつながりと温もりが心地よい。

終盤には、二人の心の変化に胸が大きく揺さぶられた。

 

ちなみに、この家事代行サービス会社の名前は「カフネ」で、

79ページによると、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」を意味するという。ロマンティックで、薫子が好きなのだというのもわかる。

 

人の役に立つことが、めぐりめぐって自分を助けることになる。

そんな心境に、薫子は少しずつ近づいていった。

97ページより。

帰り際、岡崎氏は玄関まで見送りに出てきてくれた。

薫子とせつなが「失礼します」と挨拶した瞬間、額が膝につくほど深く頭を下げた。

「どうもありがとうございました」

その言葉が耳の奥で何度もリフレインし、軽トラが走り出すと、薫子の目の奥に思いがこみ上げる。

長い間、自分には価値がないと思い込んでいた。

誰にも愛されず、必要とされないと感じていた。

けれど今、誰かの役に立てた。

たった二時間の、ささやかなことでも。

「ありがとう」と言ってもらえた。

助けたのではなく、助けてもらったのだ――薫子はそう気づく。

 

阿部暁子さん。

岩手県出身。2008年『屋上ボーイズ』(応募時タイトル「いつまでも」)で第17回ロマン大賞を受賞しデビュー。

著書に『どこよりも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』『パラ・スター “Side百花”』『パラ・スター “Side宝良”』『金環日蝕』『カラフル』など。

年齢を重ねるほど、「自分の時間をどう使うか」が人生の質を左右していくように思います。

誰かの期待に応えようと頑張り続けるのではなく、静かに、気ままに、心のままに過ごす時間を大切にすること。それは決して怠けることではなく、むしろ“これからの人生を自分の手に取り戻す”ための大切な選択なのだと感じました。

 

好きな音楽を何時間でも聴いたり、気になるDVDをゆっくり見たり、読みたい本を思うままに開いたり――。

誰にも邪魔されず、自由気ままに過ごす時間こそが、心を整え、人生を豊かにしてくれる「よい時間の使い方」なのだと思います。

 

128ページ 「孤独に慣れるのもいい 誰もが通る道。今から練習」

テレビや映画を見たり、本を読んだり、音楽を聴いたり。

そんな“一人で過ごす時間”に、少しずつ慣れておきたいと感じました。

一人になると、悲しいことや苦しいこと、あるいは嬉しいことがあっても、それを誰かにすぐ伝えるのではなく、自分の中で受け止め、消化していく必要があります。

孤独とは、老いとともに誰もが通る道であり、生きることそのものに深く結びついた感情です。

避けられないものであるなら、孤独を恐れるのではなく、できるだけ“楽しむ”方向へ心を向けてみませんか。

 

静かに自分と向き合う時間は、思っている以上に人生をしなやかにしてくれるのかもしれません。

 

✦ 目次

まえがき

第1章 我慢はしなくていい(「もうやーめた」のスタンスでいい、一周回って、はじめの自分に戻っていい ほか)

第2章 無理はしなくていい(自慢していい、過去の栄光にしがみついていい ほか)

第3章 気をつかわなくていい(「予定変更」が前提でいい、ぎすぎすしない、南国気質でいい ほか)

第4章 好きな人とだけつき合えばいい(年寄りらしくなくていい、人と違ってていい ほか)

第5章 楽しいことだけすればいい(自分史を書いてみる、ブログを始めてみる ほか)

 

✦ 著者紹介

樋口裕一さん

1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程満期退学。

フランス文学・アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、受験小論文指導の第一人者として活躍。

現在、多摩大学名誉教授、東進ハイスクール客員講師。通信添削による作文・小論文専門塾「白藍塾」塾長。

 

生前の著作から選び直され、やさしい言葉で再編集された一冊。悩んだり迷ったりする読者の心に、そっと染みこんでいく温かさがあります。

斎藤茂太さんの言葉には、時を経ても色あせない普遍的な力があります。何度も読み返し、自分の中で「使える言葉」として育てていきたいと思わせてくれます。短いエピソードが添えられており、それぞれの格言の意味が自然と理解しやすくなっているのも特徴です。読み終えるころには、心がじんわりと温まります。

 

● 心に残った言葉

38P 頑張ってもいいが、頑張りすぎてはいけない。 

悪循環から抜け出す基本は、無理をせず、頑張りすぎないこと。

気長に構え、性急な対応を避け、時を待つことが大切だと説いています。

 

50P 精神的な疲れを取るための休み方 

神経の疲れは、睡眠や栄養だけでは解消できない。

そんなときこそ、体を動かす趣味に打ち込むのがいちばん良い休息になる。

 

71P 悪口は「ブーメラン」言えば自分に返ってくる 

「悪口は青銅に書かれ、恩恵は砂に書かれる」

人間関係を壊したくなければ、どんな状況でも悪口を言わないこと。

一度壊れた関係を修復するには、時間も労力も必要になる。

 

172P 「とりあえずの幸せ」「ささやかな喜び」を積み重ねる 

「今」を大切にすることで、「明日」が開けていく。

一日一日の小さな充実感や満足感の積み重ねこそが、未来をひらく大きな鍵になる。

 

● 目次より

はじめにかえて いつかは必ずいい日がやってくる

第1章 いい人生の作り方 

(結論は誰にもわからない。プロセスが楽しいのが人生、「大丈夫。きっと何とかなる」と信じて生きる ほか)

第2章 人間関係 ほどよい距離の見つけ方 

(人づきあいは「つかず、はなれず」がちょうどいい、ライバル意識が自分を向上させる ほか)

第3章 感情の上手な整理整頓 

(捨てておきたい3つの「シー」、腹が立ったことは日記に書く ほか)

第4章 後半生の楽しみ方 

(笑顔にはその人の歩んできた人生があらわれる、物事を面白く見れば世の中は面白くなる ほか)

 

● 著者紹介

斎藤茂太さん

精神科医。斎藤病院元名誉院長。1916年東京生まれ。歌人・斎藤茂吉の長男。

慶應義塾大学医学部で精神医学を専攻し、1955年より斎藤病院に勤務。

日本精神科病院協会名誉会長、アルコール健康医学協会会長、日本旅行作家協会会長などを歴任。2006年逝去。著作は200冊を超える