朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -4ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

加齢により身体は少しずつ下降していくかもしれません。しかし、脳の前頭葉に刺激を与えることで成長し続けるという著者の考えに強く共感しました。私自身も、これからもそうありたいと思います。

本書には示唆に富んだ名言や格言が数多く紹介されており、その意味を考えていくことで「生きがい」に辿り着けるのではないかと感じました。技能や資格を取得した経験を思い返すと、この言葉の重みを納得できます。

238P 成功する人の共通点はIQや才能ではなく、長期的な目標に向かって粘り強く取り組む力である。

 

生きがいを支える5つの柱(214P)

• 今ここに集中する(マインドフルネス)

• 自分だけの小さな喜びを大事にする(ドーパミンが放出される)

• 調和と持続可能性があるもの(内面に根差した喜び)

• 自分を忘れて夢中になれる(没頭・無我・フロー状態)

• 小さく始める

「終身現役・一生勉強」をモットーに、脳も自分自身も成長し続けたいと思います。そしてその実践の場として、図書館活動や地域での学びを結びつけ、知の共有と人とのつながりを育んでいきたいと考えています。

22P 脳に余生はない。いくつになっても成長し続ける。

年齢を重ねるほど、新たなチャレンジを重ね、自分の可能性を広げる時間が増えていきます。小さな挑戦を積み重ねることで驚くほど大きな変化が起きる。限界を決めず、生涯現役の姿勢を忘れないことが大切だと改めて感じました。

 

98P 体験への投資

ワクワクドキドキする体験をできるだけ多くしたいものです。モノを手に入れるよりも、コンサートや旅行、美術展といった体験に投資するほうが幸福感を得やすいとのこと。大切な経験や思い出を生む対象にこそ、お金を使うべきだと心に響きました。

 

100P 利他の精神

「人のためにお金を使うと若返る」という指摘も印象的でした。自分のためではなく他人のためにお金を使うことが、脳に良い刺激を与え、心の豊かさや幸福感を高めることが科学的に示されているそうです。人に喜ばれ、感謝されるときに脳が大きな喜びを感じる――この仕組みを意識して、できる範囲で一肌脱ぎたいと思います。

 

165P 感性を磨く

文化や芸術に触れることで感性が豊かになり、人の気持ちを理解しやすくなる。音楽や美術などの体験は、自分の感情をコントロールし、他者理解を深める助けになります。オペラやバイオリン、オーケストラのコンサートに足を運ぶことが多いですが、それが自分の感性を養う大きな力になっていると実感します。

 

176P マインドフルネス

マインドフルネスとは、過去の経験や先入観に縛られず、目の前の出来事や自分の感情をそのまま受け入れる行為。これもまた、脳を成長させる大切な習慣だと感じました。

 

全体を通じて「脳に余生はない」という言葉が強く心に残りました。年齢を重ねても挑戦を続け、文化や芸術に触れ、利他の精神を持ちながら、ワクワクする体験を積み重ねていきたい。そしてその歩みを、図書館活動や地域での学びと結びつけることで、知の共有と人とのつながりを広げていきたいと思います。

図書館は脳の成長を支える場でもある――その場を生かしながら、自分自身も成長し続けたい。

 

 <目次>

はじめに 60台は脳の分かれ道

第一章 定年後にボケる人が急増中!脳をダメにする習慣

第二章 ポジティブ・シンキングが脳を活性化する!

第三章 人生は楽しんだもの勝ち!最高の脳を手に入れる日常習慣

第四章 孤独は脳を蝕む!脳を活性化させる人間関係を育もう

第五章 「第三の黒船」AIをフル活用して、脳を返らせよう

第六章 「生きがい」で、脳を最高に活性化させよう

 

茂木健一郎さん

脳科学者。1962年10月20日、東京生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。屋久島おおぞら高校校長。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory)。東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。岐阜大学客員教授。Kyutech ARISE顧問。イマジン大学学長。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現職。脳活動からの意識の起源の究明に取り組む。2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞

「はじめに」から

富山だけでなく、多くの地方都市に共通する課題が描かれていると感じた。特に「女性」を統計の数字ではなく、生身の人間として描き出そうとする姿勢に強く共感した。

5P「女性」をただの数値から、血の通った生身の人間へ、解像度を上げることだった。

この言葉に、著者たちの本気が宿っている。数字や政策の議論だけではなく、当事者の声を聞くことの大切さを改めて思う。

 

山内マリコさんの「帰りたいけど帰れない」を受けて

富山を舞台に小説を書き続ける山内さんの姿勢には、表には出さない「帰りたい気持ち」が潜んでいるように感じた。小説の中で富山を描くことは、現実には戻れない/戻らない選択をしながらも、心の中で故郷と繋がり続けたいという表現なのではないか。

65P「もしかしてわたし、帰りたいかも。帰りたいけど、帰れないのかも。」

この一文に、地方出身者が抱える複雑な思いが凝縮されている。

 

ともみさんの言葉を受けて

自分自身の経験からも、男女関係なく一度外に出ることで地元を冷静に見られると思う。だからこそ「流出を止める」より「戻ってきたいと思わせる施策」が重要だと強く共感した。

135P「流出を止めるより“戻ってきたい”と思わせる施策を練る方がいいと思う。」

この視点は、地方の未来を考える上で欠かせない。

 

藤井聡子さんの「語る」を受けて

女性たちが自ら語ること、それが選択肢を広げる力になる。誰かに語られる存在ではなく、自分の言葉で語る主体になることが、地方に生きる人々の灯火になるのだと思う。

213P「語ることで生まれる対話は、彼女たちの足元を照らす灯火となるはずだ。」

この「灯火」という表現に、未来への希望を感じた。

 

上野千鶴子さんの「選択肢」論を受けて

選択肢があること自体が自由であり力になる。たとえ選ばなくても「知っている」ということが強みになるという視点は、地方に生きる人々にとって大きな励ましだ。

241P「選択肢があることが自由なのよ。」

この言葉を胸に刻みたい。

 

まとめ

この本を通じて、「地方女子」というテーマは単なる人口動態の問題ではなく、人生の選択・語り・自由の問題であると実感した。

地方に生きる人々が、自らの言葉で語り、選択肢を持ち続けること。それこそが未来を切り拓く力になるだろう。

 

 

 <目次>

はじめに

第一章 出ていった私たち

 地方女子の生きる道 上野千鶴子

 帰りたいけど帰れない 山内マリコ

第二章 女性たちの語り

 聞き取りにあたって ほか

第三章 対談 上野千鶴子×山内マリコ

 地方女子たちの選択

あとがき

 

上野千鶴子さん

1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。東京大学大学院教授。女性学、ジェンダー研究のパイオニア。1980年代以降、常に時代の先端を疾走し、現代社会のさまざまな問題を問い続けてきたフェミニスト。近年は、老い、福祉、ケアに専門領域を広げている。1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞

 

山内マリコさん

1980年富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」で読者賞を受賞。12年『ここは退屈迎えに来て』で作家デビュー

タイトルから少々気になりました。

生活をしていると日常に様々なトラブルが潜んでいます。明日の私やあなたかもしれない数々の裁判沙汰の事件が書かれてあります。

積水ハウスの地面師事件や、定年後再雇用による基本給6割カットした件、洗剤の試供品を持ち帰ったら窃盗で銀行副店長が解雇された件、中学生の息子をいじめた生徒を父母が140分追及し訴訟合戦の泥沼事件等々。

いつ自分が加害者や被害者になるかも分からない。

だから、雇用関係のトラブルなどは、過去の同様の事例から事前に学び想定しておいたほうがよいのではないかと思います。

 

4P

事実はひとつでも、真実は人の数だけある。

ドラマ化もされた人気マンガ「ミステリと言う勿れ」にそんなセリフがありました。

判決が勝ち負けを明確に示していても、単純に「勝訴」「敗訴」と割り切ることが難しい事案は珍しくありません。同じ事実も立場が異なればまったく違って見え、双方の視点に立ってみれば、それぞれの言い分が説得力を持って響いてきます。

どんな争いでも、そこにいるのは紛れもない生身の人々。その切実な訴えと告白に触れたとき、気付かされることでしょう。

これは明日の私やあなたかもしれない。

 

314P

「法の不知はこれを許さず」という法諺がある。法律を知らなかった場合でも違法行為は罰せられる、との趣旨だが、本書にある具体的なトラブルを巡る適用法令や法解釈、司法判断を読むにつけ、得られるべき権利を守るためには「法の知」が不可欠であることを実感する。

 

 

 

 <目次>

はじめに 

第1章 会社員たちの転落劇。小さな慢心が悲劇を呼ぶ

第2章 まさか、あの会社で。有名企業のスキャンダル

第3章 平穏な家庭が壊れていく。溶けていくお金に、ご近所トラブル

第4章 会社員はつらいよ。今どき職場の悲喜こもごも

第5章 パパ活なのか、恋なのか。男女のすれ違いが事件になるとき

第6章 秘密資金に粉飾、脱税…闇落ちする経営者たち

第7章 職場であった本当に怖い話。日常に流れる狂気

第8章 SNSの闇。バズリから生まれる誹謗中傷、毀誉褒貶

第9章 若者たちの心に、司法はどこまで迫れるだろうか

おわりに 

初出・執筆者一覧

 

 

【No1923】まさか私がクビですか? なぜか裁判沙汰になった人たちの告白 日本経済新聞「揺れた天秤」取材班 日経BPマーケティング(2025/03)

この作品を読むのは、5年前の初読に続き、今回が二度目となる。

再読によって、文と更紗の関係性に対する理解が深まるかと思ったが、やはり彼らの感情に完全に寄り添うことはできなかった。

「幼い少女を連れていく」という行為の重さを知りながら、それでもそうしてしまう文の心情は、彼の立場に立たなければ分からない。

本能が湧き上がったとき、人はそれを理性で抑えられるのか──そんな問いが浮かんだ。

この物語が描く「事実」と「真実」の隔たりは、まるで月と地球ほどに遠く、曖昧で脆い絆の中に、愛とも恋とも呼びきれない感情が揺れている。

彼らの関係にぴたりと当てはまる言葉が見つからない。運命というにはあまりに不確かで、ただ「名づけ得ぬ何か」としか言いようがない。

 

十五年の歳月を経て、ふたりは再び出会う。

その間に現れた梨花という存在は、ふたりの間に静かに接着剤のような役割を果たしていた。

理解してくれる人がいることの幸福、そして、無為のようでいて有意義な時間を共に過ごすことの意味──梨花がもたらしたものは、救いであり、再生だったのだと思う。

 

読み終えたとき、私は願っていた。

文と更紗、そして時々梨花。三人で穏やかな日々を紡ぎながら、静かな幸せを育んでほしいと。

 

251P

「あ、あの、家内さん、もしでたらめだったとしたら、ぼくは抗議したほうがいいと思う。つらい思いをした人をさらに傷つけるなんて、そんなの許されないよ」

わたしはなにも答えられない。事実と真実の間には、月と地球ほどの隔たりがある。その距離を言葉で埋められる気がしない。黙って頭を下げているしかできなかった。

「ご迷惑をおかけしました」

謝罪しながら、頭の中が混乱していた。

一体わたしは、なんの罪で、誰に対して、なにを謝っているのだろう。

 

308P

これだけインターネットが発達した世の中で、ぼくと更紗が完全に忘れ去られることはないのだろう。生きている限り、ぼくたちは過去の亡霊から解き放たれることはない。それはもうあきらめた。あきらめることは苦しいけれど得意だ。

けれど悔し泣きをしている梨花と、その梨花を抱きしめている更紗を見たとき、そんな苦しさも、吐き出した息と一緒に空へと放たれていくように感じた。

事実と真実はちがう。そのことを、ぼくという当事者以外でわかってくれる人がふたりもいる。最初に更紗、次に梨花、ぼくは一時期関わった幼い少女ふたりの、今ではそれぞれ大人びた横顔を、ぼくは言葉にできない気持ちで見つめていた。

-もういいだろう?

-これ以上、なにを望むことがある?

 

 

 <目次>

一章 少女のはなし

二章 彼女のはなしⅠ

三章 彼女のはなしⅡ

四章 彼のはなしⅠ

五章 彼女のはなしⅢ

終章 彼のはなしⅡ

 

 

凪良ゆうさん

滋賀県生まれ。“小説花丸”2006年冬の号に中編「恋するエゴイスト」が掲載される。翌年、長編『花嫁はマリッジブルー』で本格的にデビュー

 

豊富な図表とビジュアルにより、日本の経済の気になる疑問にQ&Aでわかりやすく答えていました。

日本経済、企業や業界の動き、政策や世界の動向等々ある程度常識として知っておきたいものだ。

世の中を見るときには、人の目だけではなく、例えば、宇宙から眺める目、空の鳥からの目や、川の魚の目、虫の目などで、マクロやミクロで、客観的、多角的に俯瞰した冷静な視野・視座・視点を持って、物事を判断していく必要があるのではないかと思います。

 

こんな人におすすめです。

・就活や面接に備えて、この1年のニュースを手早く復習したい人

・おすすめニュースだけでなく、社会全体の流れをつかみたい人

・毎日ニュースを見ているけれど、説明してと言われたらとまどう人 など

 

35P Q:賃上げはこの先も続くのか

A:トランプ関税の影響で企業の業績は不透明感がありますが、人手不足やインフレの継続を背景に、引き続き賃上げのトレンドが続くと考えられます。企業はよりよい労働条件を提示することが人材確保で重要となります。

 

44P Q:金利はどのように変化していくのか

A:米国のトランプ大統領による関税政策の不透明さが重荷となりますが、消費の強さや物価の上がり度合いを見ながら金利を緩やかに引き上げていく方向です。

 

64P Q:外国人人口はどれくらい増えているのか

A:国の想定の2倍超のペースで増えており、10年前の1.8倍になりました。

 

69P Q:日本の労働力人口の現状と課題は

A:労働力人口は2024年平均で6957万人と、前年に比べ

32万人増加しました。働く女性や高齢者が増えたことで労働力を維持してきましたが、今後は減少に転じると見られています。

 

147P Q:日本の人口はどこまで減ってしますのか

A:国の推計では日本の総人口は2070年に8700万人と、現在より3割減ります。2120年には4123万人まで減ると予想されています。

 

156P Q:消費税は減税すべきなのか

A:政治の最重要の争点になっていますが、恒久減税となると代わりの財源がなければ社会保障に影響が出る恐れがあります。

 

 

 <目次>

今がわかる3Graphics

第1章 日本経済の「今」を知る(日本の景気は今どうなのか、物価の高騰はこの先も続くのか ほか)

第2章 企業と業界の動きをつかむ(日本の半導体産業は復活できるのか、日本企業の倒産件数は増えているのか ほか)

第3章 政策から日本を考える(日本の人口はどこまで減ってしまうのか、国の予算は100兆円を超え、過去最大級が続いているが大丈夫なのか ほか)

第4章 世界の動向を捉える(アジアの軍事バランスはどう変わったのか、中国経済の現状はどうなのか ほか)

用語索引

 

 

【No1921】Q&A日本経済のニュースがわかる!2026年版 日本経済新聞社 日経BP日本経済新聞出版(2025/09)

255P「メンデスの罪を告発するとき、必ず、人差し指を突き付けてこう言うのよ『あなたの犯罪計画は、どうしてそんなに杜撰なの?』―ってね」 名セリフだな。

 

赤ずきんがいろいろな国に立ち寄るとそこで事件に巻き込まれてしまいます。

赤ずきんは事件(死体)に出会わないといけないのだ。

殺人!?事件が起きると、赤ずきんが上手く謎を解き明かして解決するのです。

たいていいつもこうなることがわかっちゃいるけれども読んでいくのが楽しい!

 

ウサギとカメ、キツネとブドウ、オオカミ少年、アリとキリギリス、町のねずみと田舎のねずみ、北風と太陽など教訓あふれるイソップ童話がたくさん出てきます。

 

イソップが北風と太陽で伏線が回収される。

分かっているキャラクターたちが登場すると、一々説明することなく自然と脳にプロットされてストーリーの展開がしやすくなるのではないかと薄々かんずいていますよ。

 

 

 <目次>

うさぎとかめは移動する  

信用できないアリの穴

オオカミ少年ゲーム

幕間1 よくばった子犬    

幕間2 町のねずみと田舎のねずみ  

北風と太陽

 

青柳碧人さん

1980年千葉県生まれ。早稲田大学卒業。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回「講談社Birth」小説部門を受賞してデビュー。19年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は多くの年間ミステリーランキングに入り、本屋大賞にノミネートされた。

脳トレの第一人者川島隆太さんが65歳を迎えて、加齢研究成果をまとめた本です。

予期せぬ出会いが脳を活性化する。目標を立てることを習慣化すれば脳が若返る。

わからないことがあれば紙の辞書で調べるなど、人とコミュニケーションをとるにはスマホのメッセージではなく電話をかけて話をする、電話をするより実際に会いに行くなどのあえてのちょっと面倒な不便を選んで脳の老化を防ぐのです。

 

勉強になったことが2つありました。

飲酒の量に関係なく酒を飲んだら脳が委縮するということがわかってきたそうです。

124P 飲酒は適量ならいいのか?

お酒を飲み過ぎた後に、記憶が飛んでしまう状態は、アルコールによって引き起こされるアルコール使用障害というものですが、アルコールを過剰に摂取することは、恒常的になるとアルコール使用障害だけでなく、認知症のリスクも高まってしまいます。

「酒は百薬の長」という説は、近年の研究では残念ながら否定すべきものと言えるでしょう。

アルコール摂取は脳血管障害のリスク因子となることや、生涯におけるアルコール量が多くなるほど脳容量が少なくなる事も確認されています。

つまり、一度にではなくても、飲めば飲んだだけ脳は萎縮するということです。

 

脳が、まるで宝くじが当たったかのようになれますから、お互いに褒めましょう。褒められましょう。

154P 褒め言葉は宝くじ当せんと同じくらいの衝撃

褒めることが上手になると。脳が活性化するということです。

人を褒めるというのは、状況を理解して、かつ、その人の今の在り方や気持ちを理解した上で言葉を選んだり、自分の行動も鑑みながら発言したりするということですから、非常に高度な脳の活動です。人を褒めると前頭前野が強く活性化します。人の気持ちは置かれている状況によって揺れ動くものであるので。今この瞬間どうやって相手を褒められるか見つけ出すためにすごく脳を使っているのです。

言葉で褒められたときに、脳の中で何が起こるかというと、面白いことに、宝くじ当たってお金をもらえた時と同じ反応をしているのです。脳にとってのご褒美は、言葉であろうとお金だろうと何だろうと全部同じで、報酬系という回路が活発に働くということが分っています。

「日常のその服、よく似合うね」「このシチュー、すごくうまい」そんな何気ない一言が、相手の脳に宝くじで大金が当たったぐらいのインパクトを与えているのかもしれません。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 60代以降に老ける人と老けない人の差

第2章 続けると大きな差がつく毎日の習慣

第3章 脳と身体が健康になる運動習慣

第4章 「老けない脳」をつくる食事と睡眠の習慣

第5章 人とつながる習慣が人生を楽しくする

第6章 私、川島隆太流が実践する老後のための習慣

特別付録

おわりに 

 

 

川島隆太さん

1959年千葉県生まれ。医学博士。東北大学医学部卒業、同大学院医学研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、講師、所長を経て、現在は同研究所の教授を務める。脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能研究の第一人者。著書、監修書多数。認知症高齢者や健常者の認知機能を向上させるシステムの開発や、「脳を鍛える」をコンセプトとする産学連携活動に尽力している。2024年より宮城県蔵王町観光大使に就任。

喜久雄の父、立花権五郎が庭の雪を赤く染めてしまう冒頭のワンシーンが印象に強く残っていた。

読み始めた途端にその映画の場面が頭に蘇ってきた。

 

立花喜久雄は、任侠の家に生まれながらも歌舞伎の名門・花井家に引き取られて女形として芸の道に人生を捧げる。

普通に見ていると(読んでいると)その複雑な生い立ちと芸への情熱に胸が打たれてしまうだろう。

 

喜久雄役の俳優吉沢亮さん。「藤娘」など彼の美貌と演技力がある艶姿が頭から離れない。

先に映像を見てから本を読むのも、先に本を読んでから映画を見てもよい。どちらひとつでも両方でも楽しめたらそれでよいと思った。

 

337-338P

「いや、自分でも分かっちゃいるんですけどね、ここ最近ずっと、なんかこう探してるものが見つからねえっつか、無理に他のこととしてても、それが気になって仕方がねえっていうか」

「なんだい、その探してるものって」

「ほんとに、なんなんだろうねえ」

「え?自分で何探してるのかもわかってねえのかよ」

「景色は景色なんだけどね」

「景色?」

「そう景色。……そりゃあ、きれいな景色でさ。この世のものとは思えねえんだ。あれを舞台でやりてえなって。あんなかで踊れたら、俺はもう役者やめたっていいなって」

「だから、どんあ景色だよ?」

「だから、それがわからねえから困ってんじゃないですか」

 

378P

立ち尽くす喜久雄の耳に聞こえてくるのは、男たちの叫びでも、ましてや雪の静寂でもございません。ドロドロドロとさらに鳴り響く大太鼓、と同時に二階席の瓦屋根に現れたものが、怒りで頭から湯気を立たせ、大襖を頭上に掲げた父、権五郎。右に左に睨みを利かせ、「喜久雄!よう見とけ!しっかりその目で見とけよ!」

と、叫んだのは先か後か、諸肌脱いだその胸から噴き出した血潮が、庭の雪を、池の氷を、そして喜久雄の白い頬を、ぱっと赤く染めたのでございます。

 

 

 <目次>

上 青春篇

第一章 料亭花丸の場

第二章 喜久雄の錆刀

第三章 大阪初段

第四章 大阪二段目

第五章 スタア誕生

第六章 曽根崎の森の道行

第七章 出世魚

第八章 風狂無頼

第九章 伽羅枕

第十章 怪猫

 

下 花道篇

第十一章 悪の華

第十二章 反魂香

第十三章 Sagi Musume

第十四章 泡の湯

第十五章 韃靼の夢

第十六章 巨星墜つ

第十七章 五代目花井白虎

第十八章 孤独落日

第十九章 錦鯉

第二十章 国宝

解説 瀧 晴巳

 

吉田修一さん

1968年長崎県生まれ。97年に『最後の息子』で文學界新人賞を受賞し、デビュー。2002年に『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞を受賞。純文学と大衆小説の文学賞を合わせて受賞し話題となる。07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞、19年『国宝』で芸術選奨文部科学大臣賞と中央公論文芸賞を受賞

住宅団地の建設から時間が経ってくると、そこに住んでいる人が必然的に高齢化してくる。部屋を所有し誰かほかの人に貸し出すこともあるだろう。

平均年齢60歳!?

管理人がいない。リフォームされていない。バカという文字が書かれた落書きがある。放置された自転車等々。

この猿山団地は、高齢化も含めて諸問題が山積。生死や身寄りの有無など切実さも伝わってくる。

 

管理人となった桐子と孫のような雪菜とのコンビが好い感じで時間を進めていく。このふたりの人柄からとても好感が持てた。

久々の団地住民の名簿づくりから始めてみると、次々と住人の闇が明らかになっていく。

団地でのアウトリーチ活動により閉ざされた住人たちの心を徐々にほどいていく。

彼らが住む「管理人室」から、誰もが気軽に立ち寄れるような「相談室」へと変化していく過程は読んでいて気持ちがよかった。

またこれからも相談室日記が続いていくような終わり方はそれで良かったと思う。

 

 <目次>

第一章 老朽

第二章 病気

第三章 借金

第四章 結婚

第五章 孤独死

最終章 暴力

 

原田ひ香さん

1970年神奈川県生まれ。「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞

これまでの日記シリーズは、ほぼ著者が仮名でした。しかし、この著者の清水さんは、ネットで照会してみると列記とした本名であり元市長さんでした。

外務省に務めインドに駐在していた清水さんは、投票日の1カ月半前に急遽帰国して鎌ケ谷市市長選に出馬した、そのときの決意。5期務めた鎌ケ谷市市長を辞して衆議院選挙に日本維新の会の公認で挑んだ、そのときの決意など、それぞれの結果はともあれ、ぼくは、いずれも彼の覚悟を持った次への行動であったと思いました。

これまでの顛末も含めて、学歴詐称の話題もあって政治家としての日常の大変さや、日本ハムファイターズ対応での彼の人間味があふれ出る行動などがリアルに描かれていました。

これも面白い日記(読み物)でした。

 

 

 <目次>

まえがき 政治家の本が面白くないわけ

第1章 これが市長の日常です

第2章 落下傘候補、舞い降りる

第3章 市長を出せ!

第4章 終わり悪ければすべて悪し

あとがき 先行きの見えない日々

 

清水聖士さん

1960年、広島県生まれ。麗澤大学客員教授。早稲田大学卒業後、米ウォートンスクールMBA、伊藤忠商事を経て、外務省へ。2002年、前市長逮捕により行なわれた鎌ケ谷市長選挙に選挙権もないままインドから落下傘候補として出馬。763票差という大激戦を制し、市長に就任。以来、5期19年にわたって同市市長、千葉県市長会会長も務める。2021年、任期途中で市長を辞し、衆院選に出馬するものの…

 

【No1916】市長たじたじ日記 落下傘候補から、5期19年、市長務めました 清水聖士 三五館シンシャ フォレスト出版(2025/07)