加齢により身体は少しずつ下降していくかもしれません。しかし、脳の前頭葉に刺激を与えることで成長し続けるという著者の考えに強く共感しました。私自身も、これからもそうありたいと思います。
本書には示唆に富んだ名言や格言が数多く紹介されており、その意味を考えていくことで「生きがい」に辿り着けるのではないかと感じました。技能や資格を取得した経験を思い返すと、この言葉の重みを納得できます。
238P 成功する人の共通点はIQや才能ではなく、長期的な目標に向かって粘り強く取り組む力である。
生きがいを支える5つの柱(214P)
• 今ここに集中する(マインドフルネス)
• 自分だけの小さな喜びを大事にする(ドーパミンが放出される)
• 調和と持続可能性があるもの(内面に根差した喜び)
• 自分を忘れて夢中になれる(没頭・無我・フロー状態)
• 小さく始める
「終身現役・一生勉強」をモットーに、脳も自分自身も成長し続けたいと思います。そしてその実践の場として、図書館活動や地域での学びを結びつけ、知の共有と人とのつながりを育んでいきたいと考えています。
22P 脳に余生はない。いくつになっても成長し続ける。
年齢を重ねるほど、新たなチャレンジを重ね、自分の可能性を広げる時間が増えていきます。小さな挑戦を積み重ねることで驚くほど大きな変化が起きる。限界を決めず、生涯現役の姿勢を忘れないことが大切だと改めて感じました。
98P 体験への投資
ワクワクドキドキする体験をできるだけ多くしたいものです。モノを手に入れるよりも、コンサートや旅行、美術展といった体験に投資するほうが幸福感を得やすいとのこと。大切な経験や思い出を生む対象にこそ、お金を使うべきだと心に響きました。
100P 利他の精神
「人のためにお金を使うと若返る」という指摘も印象的でした。自分のためではなく他人のためにお金を使うことが、脳に良い刺激を与え、心の豊かさや幸福感を高めることが科学的に示されているそうです。人に喜ばれ、感謝されるときに脳が大きな喜びを感じる――この仕組みを意識して、できる範囲で一肌脱ぎたいと思います。
165P 感性を磨く
文化や芸術に触れることで感性が豊かになり、人の気持ちを理解しやすくなる。音楽や美術などの体験は、自分の感情をコントロールし、他者理解を深める助けになります。オペラやバイオリン、オーケストラのコンサートに足を運ぶことが多いですが、それが自分の感性を養う大きな力になっていると実感します。
176P マインドフルネス
マインドフルネスとは、過去の経験や先入観に縛られず、目の前の出来事や自分の感情をそのまま受け入れる行為。これもまた、脳を成長させる大切な習慣だと感じました。
全体を通じて「脳に余生はない」という言葉が強く心に残りました。年齢を重ねても挑戦を続け、文化や芸術に触れ、利他の精神を持ちながら、ワクワクする体験を積み重ねていきたい。そしてその歩みを、図書館活動や地域での学びと結びつけることで、知の共有と人とのつながりを広げていきたいと思います。
図書館は脳の成長を支える場でもある――その場を生かしながら、自分自身も成長し続けたい。
<目次>
はじめに 60台は脳の分かれ道
第一章 定年後にボケる人が急増中!脳をダメにする習慣
第二章 ポジティブ・シンキングが脳を活性化する!
第三章 人生は楽しんだもの勝ち!最高の脳を手に入れる日常習慣
第四章 孤独は脳を蝕む!脳を活性化させる人間関係を育もう
第五章 「第三の黒船」AIをフル活用して、脳を返らせよう
第六章 「生きがい」で、脳を最高に活性化させよう
茂木健一郎さん
脳科学者。1962年10月20日、東京生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。屋久島おおぞら高校校長。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory)。東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。岐阜大学客員教授。Kyutech ARISE顧問。イマジン大学学長。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現職。脳活動からの意識の起源の究明に取り組む。2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞










