朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -3ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

題名のとおり、退職金、公的年金、失業給付、健康保険、税金、再就職、資産運用など、定年前後に押さえておきたい要点が幅広く整理されている一冊である。

定年後の生活イメージが具体的に描けるため、老後のお金に対する不安を和らげ、第二の人生を迎える際の安心材料にもなる。

 

本書の中から、問い合わせの多い点や気になった箇所、重要だと感じた部分をいくつか抜粋する。

 

■老後の家計の基本姿勢

現役時代のような収入は期待できない前提で、毎月入ってくるお金の範囲でやりくりすることが大切になる。支出を減らすために、何かをやめたり、倹約を取り入れたりする工夫も有効である。

 

3P 老年期にお金に困らないための3原則

収入の範囲内で生活する

借金をしない

この二つを生涯にわたって守り続ける

 

■定年後の3つの収入源(12P)

公的年金(国民年金・厚生年金)

 

資産所得(預貯金、貯蓄型保険、運用資産など)

 

労働所得(働いた対価として得る収入)

 

これらに加えて、節約の姿勢が家計を支える柱となる。

 

■65歳以上の夫婦無職世帯の家計(69P)

平均的には、

収入:約26万円

支出:約23万円

となり、約3万円の赤字になる計算。医療費や介護費は別途準備が必要となる。

 

■65歳以上で働いている人の割合(79P)

約55%が就労しており、週5日・35時間以上働く人が最も多い。

働く理由として、

 

収入のため

 

体によいから

 

老化防止

 

自身の知識・能力を活かせるから

などが挙げられ、今後も就業率は高まる見通し。

 

■定年後の健康保険の選択肢(117P)

国民健康保険(前年所得で保険料が決まる)

 

任意継続制度(勤務先の健康保険を継続)

 

家族の健康保険の被扶養者として加入

 

■年金は「自動的」ではない(138P)

受給要件を満たしていても、自分で請求手続きをしなければ支給は開始されない

請求しない場合は、自動的に繰り下げ受給を選択したとみなされ、請求するまで繰り下げ状態が続く。

 

■年金を増やす3つの方法(144P)

年収アップ:給与水準に応じて将来の受給額が決まる

 

勤続年数を伸ばす:長く働くほど受給額が増える

 

受給開始時期の繰り下げ:最大75歳まで繰り下げ可能で、一定の率で年金額が増える

 

■60歳以降の働き方(169P)

継続雇用:同じ環境で働き続ける、安定重視

 

転職:新しい職場で挑戦

 

フリーランス・起業:成果も責任も自分次第

 

■目次

タイプ別・最強家計プラン 

 定年後の生活を支える3つの収入源、「年金+労働+資産」の収入はどれくらいか

 

数字でわかる定年前後のリアル 

 60代の月の生活費、平均給与、赤字額など

 

定年前後のToDoリストと受け取れるお金 

 50代からのライフプランニング、定年前後にやるべきこと

 

定年後の働き方と生き方 

 60歳以降の働き方の選択肢、就ける仕事

 

定年前後にやっておきたいお金の増やし方 

 将来の年金は増えるか減るか、必要な老後資金はいくらか

 

■著者紹介

井戸美枝さん 

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、経済エッセイスト。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員を歴任。国民年金基金連合会理事。講演・執筆・テレビ・ラジオなどを通じ、生活に身近な経済・年金・社会保障の解説を行っている。

本書は、憲法をめぐる議論を「右」「左」といった立場から距離を置き、制度としての憲法をどのように理解すべきかを、具体的な事例を交えながら平易に解説する一冊である。

 

あとがきで著者は、憲法の役割について次のように述べている。

 

「敢えていうと憲法の役割は、日本の自然や文化や伝統が美しいと思う人も、そう思わない人も、どうでもいいと思う人も、一緒に国の中でどうやってうまくやっていくかを調整することなのです。」

 

この視点は、憲法を特定の価値観の代弁者としてではなく、多様な考えを持つ人々が共存するための調整装置として捉える姿勢を示している。

 

■ 日本国憲法の改正手続と比較の視点

日本国憲法は制定以来約80年間、一度も改正されていない。これは、憲法改正手続が通常の法律より厳格に定められた「硬性憲法」であることが一因とされる。

諸外国では、憲法に日本の個別法で扱うような内容が含まれている場合もあり、改正回数の多寡だけでは比較できないという指摘がなされている。

 

著者は、「改正回数」よりも「どの部分をどのように改正するか」という中身こそが重要であると述べ、現状を理解するためにまず憲法の構造と歴史を知る必要性を強調する。

 

■ 帝国憲法から現行憲法への転換と学説

天皇主権から国民主権への転換を含む改正過程を振り返りながら、

 

・八月革命説

 

・改正限界説・無限界説

 

・憲法改正案の発議主体(内閣総理大臣か、国会議員か)

など、憲法学で議論されてきた主要な論点を紹介している。

 

これらは政治的立場によって解釈が分かれることもあるが、著者は学説として整理し、立場の違いを評価することなく淡々と説明している点が特徴である。

 

■ 憲法解釈と制度上の課題

条文に明記されていない事柄についても、既存の条文の趣旨を応用して解決している実例が示される。

また、内閣が全員死亡するなど「内閣が存在しない状態」では国会召集や総理大臣指名が困難になるという、制度上の不備も指摘されている。

 

こうした説明は、憲法を「固定された答えのあるもの」と捉えるのではなく、現実の政治・行政運営との関係で理解する必要性を示している。

 

■ 全体の印象

本書は、憲法をめぐる議論を特定の政治的立場から語るのではなく、

制度としての憲法をどのように理解し、どのように運用しているのかを、事例を通して学べる入門書である。

 

単なる知識の羅列ではなく、現行憲法の構造や課題を俯瞰できる内容であり、憲法を中立的に学びたい読者にとって有益な一冊だと感じた。

 

目次

まえがき

第1章 死刑囚が異世界ラノベを書くとき

第2章 刑罰と税金から始まる憲法と人権の話

第3章 人権というものにもいろいろある

第4章 憲法の解釈がなぜ分かれるの?

第5章 平等と差別と多様性

第6章 緊急事態と緊急でない事態

第7章 靖国神社とハラル給食―信教の自由と政教分離

第8章 9条にできること、できないこと

第9章 憲法から見た天皇・皇族のあれこれ

第10章 そもそも合憲と違憲ってどう判断するの?

第11章 憲法ってどこまで改正できるものなの?

あとがき

 

著者等紹介

堀新さん

1963年生まれ。1987年、東京大学教養学部教養学科第三(相関社会科学)卒業。1987年、株式会社東芝入社、主に人事・労務部門で勤務。2001年~2003年、社団法人日本経済調査協議会に出向。2006年、司法試験に合格、2007年、最高裁判所司法研修所にて司法修習。2008年、弁護士登録。

仕事が終わらない理由と、その対処法が具体的に書かれていた。

ただやみくもに進めても、見えない「手戻り」が多く、思ったように終わらない。

これまでの自分の働き方――やりながら考え、集中できず、再開時に手戻りが発生する――その無駄がよく分かり、学びが多かった。

 

本書では、仕事を細分化してゴールまでの計画を立てること、分断を防ぐ環境づくり、そして中断時には未来の自分へ手書きメモで引き継ぐことを提案している。

 

著者の言う通りにすべてはできなくても、「仕事を終えるための要点」が理解できたので、できるところから実践していきたい。

 

1 作業のムダ=手戻りが多い

何をどの順番でやれば終わるのか不明確なため、作業が何度も止まる。

⇒ 計画技術 

仕事を分解し、ゴールと道筋を明確にする。ステップごとに進め、脳内でリハーサルして成功を検証する。

 

2 集中力のムダ=集中できていない、切り替えが多い

別の仕事が頭に浮かび、判断や選択が増えて力を発揮できない。

⇒ 実行技術 

迷わず手を動かせる状態にする。割込みが来ない環境を整え、他の仕事は事前に考えておく。「やりながら考える」をやめる。

 

3 自分のムダ=一度考えたことを忘れる

浮かんだアイデアや次の行動を保存していないため、再開時に思い出し直してしまう。

⇒ 中断技術 

未来の自分は他人だと考え、「引き継ぎ書」を残す。

「進捗・次・違和感・思考」を含む具体的なタスクを、アクション動詞で書く。安心して「中断」できるようになれば、プライベートの時間も充実する。

 

 

目次

イントロ

序章(ガイダンス)仕事が終わらない原因は3つの隠れたムダ

第1部 仕事が終わる3つのモード(「計画モード」で終わる計画を作る、「実行モード」で迷わず手を動かす、「中断モード」で前やったことを忘れない、アクション動詞でタスクを書く)

第2部 計画・実行・中断モードをアクション動詞で使いこなす(計画モードを実践する、実行モードを実践する、中断モードを実践する)

終章 ブーストモード すべての経験を活かす「保管・再生」モード

おわりに

 

著者紹介

萩原雅裕さん。

企業でのプロジェクト管理・生産性向上の経験をもとに独立し、講演や執筆を行う。タスク管理ツール「Asana」アンバサダーとしてMVPを受賞するなど、生産性向上の専門家として活動

 

 

【No2077】「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術 萩原雅裕 ダイヤモンド社(2026/01)

家事や食事、通院の工夫から、ケガや病気を防ぐための生活のコツまで──介護歴30年のプロである藤原清明さんが、親が自宅で安全・安心に暮らすためのヒントを幅広く紹介している一冊でした。

 

高齢期には、健康な状態から要介護へ移行する「中間の段階」としてフレイル(虚弱)があり、筋肉量が低下するサルコペニアという現象も知られています。筋力や認知機能が衰え始めた状態ではあるものの、適切な対応を続ければ元の状態に戻れる可能性が高いとされています。

 

要介護に至る典型例としては、認知症の発症、転倒による骨折からの入院・寝たきり、脳梗塞による半身麻痺などが挙げられます。

だからこそ、親本人だけでなく家族も意識して、日常生活の中に予防のヒントを取り入れていくことが大切だと感じました。

 

以下では、印象に残った箇所や、これからの生活に役立ちそうなポイントを取り上げます。

 

■ 色のコントラストで「見やすさ」をつくる

老化に伴い視力が弱くなるため、メリハリのある色使いが暮らしやすさにつながるという視点が新鮮であり、色のコントラストは、気づいた瞬間に世界の見え方が変わる工夫でした(94P)

 

・濃く鮮やかな赤・オレンジ・緑などで皿や椀の色を統一する

 

・同系色ではなく、コントラストをつけて識別しやすくする

 

・便座カバーは濃い色にして見分けやすく

 

・階段と手すりの色を変えて安全性を高める

 

「見えるように工夫する」ことが、転倒防止や自立支援につながるのだと改めて気づかされました。

 

■ 食欲を引き出す“甘口・とろみ・香り”

カレーライスは老若男女問わず好まれる料理ですが、高齢者にとっても食べやすく、食欲不振の打開策になると紹介されています。(98P)

 

・甘口で食べやすい

 

・とろみがあり飲み込みやすい

 

・具材で多様な食品を摂取できる

 

ほかにも、だしの香りが食欲をそそる茶碗蒸し、牛乳で作るカルシウム豊富なアイスクリームなど、日常の食事に取り入れやすい工夫が示されていました。

 

■ 親の老いを責めず、言葉の選び方で関係を深める

心遣いの言葉が、親とのきずなを深めるという指摘が印象的でした。(144P)

藤原さんは「NGと言い換え例」を挙げ、地雷を踏まないコミュニケーションのヒントを示しています。

 

・「その話はもう聞いたよ」

 →「そうだよね。あとさ……」と話題を変える

 

・「さっき言ったでしょ?」

 →「ここにメモしておくね」

 

・「何言っているのかわからない」

 →「それって、こういうこと?」

 

・「どうだっていいじゃない」

 →「そうなんだ、心配だね」

 

・「もう年なんだから私がやるよ」

 →「大変だろうから、私がやってもいい?」

 

・「年寄なんだから気をつけてよ」

 →「怪我したら心配だから、気をつけてね」

 

・「年甲斐もない」

 →「おお、似合うね!素敵」

 

・「どうせできないでしょ」

 →「ちょっと手伝わせて」

 

言葉の選び方ひとつで、親の尊厳を守りながら寄り添う姿勢が伝わるのだと感じました。

 

■ 日常で気をつけたいポイント

親に優しい環境づくりは、他の家族にも安全で優しい環境になります。

 

・電気コードやケーブルを床に放置しない

 

・床に物を置かない

 

・しまい込む収納より、使う場所にフックで「見せる収納」

 

・立ち上がりやすいよう椅子の位置を工夫

 

・夜間の階段・廊下にはセンサーライトを設置

 

どれもすぐに取り入れられる工夫で、日常の安全性が大きく変わると感じました。

 

■ 目次

はじめに 介護のプロならではの知恵で介護未満の親を健やかに・ハッピーに!

第1章 この道30年の介護のプロが伝授する 70代からの暮らしの知恵

第2章 「要介護」にさせないためには「未病」が肝心 高齢者の健康チェック

第3章 飲み忘れ・飲みすぎ防止。「一病息災」を叶える 毎日の服薬管理

第4章 介護現場でも実践中のメソッドを家庭でも 体力・脳力の低下対策

第5章 老後はなお一層「医食同源」 ちょっとした食事の工夫で介護予防!

第6章 「後悔先に立たず」だから今すぐ! つまずきやケガ・事故への防御策

第7章 親も介護者もより快適&安全に! トイレ・入浴をスムーズにするコツ

第8章 高齢者ならではの問題を解決! 親が快適&健康に過ごせる衣食住+α

第9章 コミュニケーションが増えれば認知症予防にも 老いた親と会話するレッスン

第10章 楽しさは笑顔を生み、暮らしに張りが出る 趣味・娯楽で老化を遅らせる

第11章 一人で抱え込むのは「百害あって一利なし」 地域包括支援センターや公的サービスを利用しよう

第12章 長期戦だからこそプロに助けを求めよう 「介護未満」の親と子を支える有料サービス

おわりに 介護未満の暮らし方を意識すれば、要介護の予防になる!

 

■ 著者紹介

藤原清明さん 

1977年京都府生まれ。京都社会福祉専門学校卒。合同会社ライフさぽーと代表。介護業界歴30年。介護福祉士としてデイサービス、ヘルパー、特養などで15年間勤務し、1000人以上の高齢者の介護に携わる。2013年に独立し、兵庫県豊岡市と大阪府豊中市で自立支援型デイサービスを中心に4施設5事業所を経営。毎月約350人の高齢者にサービスを提供している。

 

 

インターネットは便利な一方で、感情を煽る炎上や真偽不明の情報が拡散しやすいという弱点を抱えている。

フェイク情報や陰謀論は以前から問題視されてきたが、いまや政治や選挙にまで影響を及ぼすようになった。

SNSが標準的な情報インフラとなった現在、私たちはその暴力性とどう向き合うべきなのか。

触れる情報の信頼性を自ら確かめ、真実を選び取る眼を持つことがますます重要になっていると感じる。

 

(家族であっても他者である以上、完全に分かり合うことは難しい。まして他人ならなおさらだ。分かり合えない前提で向き合う方が、むしろ健全なのかもしれない。)

 

🔥 炎上のメカニズム(要点)

・SNSでは極端な意見が可視化されやすい(68頁) 

中庸な声は沈黙し、怒りなど強い感情の投稿ばかりが表に出る構造がある。社会的関心が高いテーマほど炎上が起こりやすい。

 

・誹謗中傷をする人はごく一部(72頁) 

メディアとSNSが共振することで、炎上が社会全体の騒ぎとして広がってしまう。

 

・炎上参加の心理(81頁) 

社会への不満、自己評価の高さ、論争に勝ちたい欲求が背景にある。他者を論破すること自体が目的化し、意見の違いを許容できなくなる。

 

・「正義中毒」という現象(83頁) 

他者への制裁で快楽物質が出るため、正義を行使することが癖になる。エコチェンバーやフィルターバブルが加わると、自分の正義への確信が強まり、行動は過激化する。

 

 

🌀 フェイク情報の構造(要点)

・民主主義の基盤を揺るがす(92頁) 

人は自分の信念に合う情報を受け入れやすく、SNSのアルゴリズムはそれを増幅する。フェイクは構造的なリスクとなっている。

 

・小さな発信源でも広がる(94頁) 

受け手が不安を抱けば一気に拡散する。フェイクは歴史的に根絶できないため、「存在を前提にどう影響を最小化するか」が現実的な課題となる。

 

・立ち止まって検証する習慣(99頁) 

発信者の意図を考え、一次情報や複数の信頼できる情報源で裏付けを取ることが、社会の判断力を守る。

 

・感情がフェイク拡散を後押しする(111頁) 

「役立つから知らせたい」という善意だけでなく、怒りや不安を共有したいという衝動も拡散の一因となる。

 

・生成AIの利便性と危険性(117頁) 

AIは社会を豊かにする一方、ディープフェイクは選挙や世論を左右する力を持つ。使い方だけでなく「どう守るか」という視点が必要。

 

・真実が見抜けない社会(121頁) 

動画や音声だけでなく、選挙演説やニュース映像さえ疑わしくなる。民主主義の前提である「事実に基づく判断」が揺らぎかねない。

 

・政治的フェイクの目的(129頁) 

狙いは相手を貶め、自分に有利な状況を作ること。事実そのものより「人々がどう思い込むか」が重視される。

(正直、毎回自分でファクトチェックするのは大変だと感じる…)

 

 

目次

はじめに SNSが選挙を動かす時代

第1章 SNSが選挙を変えた年―2024年の衝撃(2024年―SNSと選挙の転換点、2025年参院選―加速したSNSの影響、SNS×選挙が人々にもたらしたもの、「注目されたもの勝ち」の経済原理は民主主義に何をもたらすか?)

第2章 炎上のメカニズム―「言葉の刃」としてのSNS(「言葉の刃」が人を萎縮させる、炎上する民主主義、炎上が広がるメカニズムとは?誰が炎上に参加しているのか?)

第3章 フェイク―民主主義を揺るがす誤情報(フェイク情報が選挙結果を左右する、実証研究が示す「人はこうして騙される」、生成AIによる「withフェイク2・0時代」の到来)

第4章 規制で解決できるのか?―情報流通の社会的枠組みを問い直す(法的規制の光と影、民主主義を守るための情報社会設計とは何か?)

第5章 人類総メディア時代をどう生きるか?―未来への提言(人類総メディア時代の生き方、歴史から「今」を見る、「表現の自由」を軸とした社会的進化)

あとがきにかえて 情報社会の未来を生きる私たちへ

参考文献

 

 

著者紹介

山口真一さん 

国際大学GLOCOM准教授。専門は社会情報学・情報経済論。メディア出演や政府の有識者会議などで、情報社会の課題を研究・提言している。

 

【No2075】炎上で世論はつくられる 民主主義を揺るがすメカニズム 山口真一 筑摩書房(2026/01)

日本には、市外局番、ナンバープレート、旧国名、海上の境界線など、さまざまな「区分け」が存在します。

本書では、歴史・生活・社会・政治・自然・文化・スポーツといった幅広い領域から、日本列島のどこに境界線が引かれ、なぜそのように線引きされてきたのかを丁寧に解説しています。

地域性や多様性、そして積み重ねられてきた歴史の厚みを感じられる内容でした。

 

旅先でテレビのチャンネル操作に迷った経験があります。

 

NHK総合は地域によって1と3、NHK Eテレは全国で2。

民放も地域差が大きく、

日本テレビ系列は4・10・1・5・7、

フジテレビ系列は8・1・3、

テレビ朝日系列は5・6・1、

TBS系列は6・4・3・1・5……と、同じ系列でも番号が統一されていません。

こうした違いも「区分け」の一例として興味深く感じました。

 

印象に残った点をいくつか挙げます。

 

・日本には未確定の県境が全国で17か所あり、いずれも山岳地帯や河川・湖沼などの非居住地に存在する。

 

・タクシーの初乗り料金には地域差があり、千葉県の500円から北九州の860円まで幅がある。

 

・海上保安庁、高等裁判所、林野庁、管区警察局、地方整備局などの官公庁は、それぞれ独自の地域区分を用いて業務を行っている。一般的な区分と一致する場合もあれば、業務の特殊性を反映した独自区分もあり、背景にはそれぞれの歴史がある。

 

・みそやだし、角餅と丸餅、お中元の時期、方言など、食文化や慣習にも地域差が見られる。

 

日常的に使う言葉が地域によって異なるのも面白いところです。調査結果として知っておくと、ちょっとした話題にもなりそうです。

 

・いる(居る)……イル、オル、アル

 

・いえ(家屋)……イエ、ウチ、ヤー

 

・すてる(捨てる)……ナゲル、ステル、ウッチャル、ブチャル、ホウル、ホル

 

・しもやけ(凍傷)……シモヤケ、ユキヤケ

 

日本の「区分け」は、単なる線引きではなく、地域の暮らしや文化、歴史の積み重ねが形になったものだと改めて感じました。

 

 

目次

歴史

生活

社会

政治

自然

文化・スポーツ

番外編

 

 

【No2074】47都道府県だけじゃない 日本の分け方 様々な“境界線”から日本の「今」が見えてくる! 成美堂出版(2026/03)

本書では、「推し活」が人々の人生にどのような影響を与え、時に病的なまでにエスカレートしていくのかを、当事者の語りを通して探っている。界隈で使われる用語や慣習を丁寧に拾いながら、「なぜ人は推すのか」という根源的な問いに迫る語り口が印象的だった。

 

109ページには、「推しは推せる時に推せ」という界隈の格言が紹介されている。ただし、その熱量は永続するものではなく、推し活の盛衰には必ず波があるという指摘が続く。

 

小学館『デジタル大辞泉』によれば、推し活とは「自分の好きな芸能人やスポーツ選手、キャラクターなどを応援する活動の総称」である。

 

本書で描かれるのは、推し活によって人生の選択を大きく変えた人々の姿だ。AKB47、ホスト、VTuber、アニメキャラ、ゲーム、地下アイドル、AV女優、ビジュアル系バンドなど、対象は多岐にわたる。推し活には確かに効用があり、心身にほどよい刺激を与え、生活に彩りを添える。

 

生活に張りが出ればストレス解消につながり、新しい世界や仲間と出会える。友人ができることもあるし、自己肯定感を得たり、現実の恋愛とは異なる安心感や疑似恋愛のときめきを感じる人もいる。娯楽としての推し活に救われた人がいるのも事実だ。

 

一方で、推し活には宗教的な構造に似た側面もある。お布施や聖地巡礼といった消費行動の疑似性があり、信仰ではないものの「崇拝」に近い感情が擬態しているようにも見える。

 

負の側面として、本書は搾取の問題を避けずに描く。推し活の資金を得るために風俗やパパ活に手を出すケース、「頂き女子りりちゃん」事件のように詐欺に巻き込まれ身を滅ぼす例も紹介される。消費者自身が「自分の選択だ」と思い込むよう巧妙に仕向けられている構造があり、依存の深刻さが浮かび上がる。

 

推し活は楽しいものであってほしい。

だからこそ散財には注意し、自分自身も含めて節度ある距離感を保ちたい。

身の程をわきまえ、冷静さを持って推し活を楽しむことが、長く健やかに続けるための鍵なのだと思った。

 

📚目次

はじめに 病的なまでにエスカレートする「推し」

第一章 「結婚するなら、もちろんアイドル」──“推しのためにマンションを売った”トップオタ

第二章 「ホストはコスパがいい“推し活”」──“ホス狂い”風俗嬢のコスト意識

第三章 「二次元は“恋愛対象”になるか」──アニメ、VTuber、2.5次元、声優の推し活

第四章 「結婚できなかったのはアノ子のせいじゃない」──女性アイドルを14年間推し続ける中年女性の憂鬱

第五章 「AV女優に求める純潔」──秩序を守るAV女優アイドルとトップオタの女子校教師

第六章 「“運営”は搾取しているのか」──元ジャニーズJr.・地下アイドル運営の見果てぬ夢

第七章 「推しがいないこの世界に、生きる意味はない」──推しの後追いで自殺未遂した納棺師

第八章 「オタクとアイドルは運命を捻じ曲げて共に生きる」──オタクでアイドルだった彼女のSNSに残る未練

おわりに 「『推し』という病」への処方箋

 

著者紹介 

加山竜司さん 漫画ジャーナリスト、ライター、編集者。1976年静岡県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2005年よりフリーランス。

 

「時間をムダにしている」と感じるのは、脳がもつ癖が原因だという。本書には、その癖に気づき、自分の時間を取り戻すためのヒントが詰まっている。

 

人によって時間の感じ方は異なり、先延ばしの傾向や時間の使い方も違う。

慌ただしい毎日の中で、ゆとりと達成感を増やしたいと思い手に取った。得たヒントを行動に移し、習慣として体に染み込ませたい。

 

幸福な人生のための3つの習慣(別の本より引用)

最近読んだ本では、幸福度を高める3つの習慣が紹介されていた。

 

コーピング 

物事の捉え方を柔らかくし、悪い方向ではなく良い方向へ考え直す習慣。

 

誰と過ごすか 

信頼できる人、ポジティブな人と過ごす時間が、脳と心を健康にする。質のよい人間関係が幸福度を左右する。

 

マインドフルネス 

ヨガの時間は、寺に満ちる有難い気の中で自分と向き合う静謐なひととき。

「いま、この瞬間」に集中する時間の積み重ねが、心を豊かにしてくれた。

 

 

✦ この本で心に残ったポイント

 

ジャネーの法則(29P) 

年齢とともに時間が短く感じられる。だからこそ「いま、ここ」に集中することで体感時間が戻り、幸福度も高まる。

 

仕事は時間いっぱいまで膨張する(45P) 

締切りを短めに設定し、意味や内容で区切る。少し時間が足りないほうが集中力が増す。

 

時間の流れを遅くする(68P) 

遠くを見る、体を動かすなどして空間を広げると、狭い世界から抜け出せる。

 

動けばやる気が出る(97P) 

まず体を動かし、いつもの習慣にくっつけることで脳のスイッチが入り、自然に行動できる。

 

分解して再構築する(149P) 

学んだ内容を整理し、例に落とし込む。教えるつもりで学ぶと理解が深まる。

 

判断の迷いを減らす(162P) 

できる人の思考をまねる「TTP(徹底的にパクる)」。真似ることは、学ぶより速く成長を現実に変える方法。

 

運がよいと信じる(167P) 

思い込みが行動を変え、結果を引き寄せる。

 

記憶力と集中力を高める(170P) 

勉強前の10分散歩、紙で読むこと。脳は血流と環境という物理条件で最大化できる。

 

誰と過ごすか(274P) 

信頼できる人、ポジティブな人と付き合うことが、人生を豊かにする最高の習慣。

 

三人称で話す(300P) 

自分を客観視することで脳が鎮まり、感情の暴走を防ぎ後悔を減らす。

 

不便益(306P) 

少し遠回りするなど、効率的でない道にこそ新しい発見や体験の厚みがある。

 

 

目次

まえがき

1 慌ただしい毎日に、自分時間を取り戻す 「時間が足りない」をなくす習慣(なぜかいつも時間が足りない人の共通点、マルチタスクこそ一番の時間泥棒だ ほか)

2 意思の力もやる気もいらない 「先延ばし」を防ぐ習慣(先延ばしの正体は、不安をスマホで紛らわす脳、先延ばしグセをなおす3つの基本習慣 ほか)

3 疲れを残さず、サッと集中 「仕事と勉強の効率」を上げる習慣(笑う、最強のコスパ習慣。教えるつもりで学ぶ ほか)

4 不安がふくらむ前に、心を落ち着ける 「考えすぎ」を減らす習慣(「今さらやめられない」を手放す、スマホでダラダラ検索しない ほか)

5 ストレスを減らし、豊かな時間を増やす 「人間関係」を整える習慣(挨拶をする、コーヒー片手に雑談する ほか)

あとがき

参考文献

 

 

著者紹介

堀田秀吾さん

言語学者(法言語学・心理言語学)。明治大学教授。

シカゴ大学で言語学博士号を取得し、司法分野のコミュニケーションを中心に、言語学・心理学・脳科学を横断する研究を行っている。

 

 

 

【No2072】ハーバード、スタンフォード、科学的に証明された時間をムダにしない人の習慣 堀田秀吾 アスコム(2025/12)

 

和田秀樹さんの著作をこれまでにも多く読んできたので、本書の趣旨や背景がすっと理解できました。認知症にならないための具体的な方策が丁寧に示されており、すでに取り組んでいることもありますが、改めて習慣として定着させていきたいと感じました。

 

本書で示される「和田式脳メンテ」とは、前頭葉の刺激・体調の管理・意欲の保持という三つの柱を、日々の生活習慣として積み重ねていくことだと理解しました。

 

■ 前頭葉への刺激

人やAIとのコミュニケーション、テレビや新聞を批判的に読む、習い事を始める、車の運転、旅に出る、オペラなど本物に触れる体験、よく笑うこと、趣味を通じた仲間づくりなど、多様な刺激が前頭葉を活性化させる。

 

■ 体調の管理

栄養や牛乳の摂取、眼や歯の健康維持、難聴への補聴器対応、便秘を防ぐこと、BMI25〜30程度の“ちょっとぽっちゃり”、散歩やウォーキングなどの適度な運動、自律神経と生活リズムの調整、質の高い睡眠など、身体の土台を整えることが重要。

 

■ 意欲の保持

趣味を通じた社会とのつながり、できるだけ仕事を続ける姿勢、生涯現役を目指す心構え、恋愛や推し活、肉食や食欲の維持など、心のエネルギーを保つ工夫が挙げられている。

 

認知症は、外出を避けたり身だしなみに気を遣わなくなるといった意識の低下から始まり、物の置き場所を忘れる、同じ話を繰り返すといった記憶障害、日時や季節・場所・人が分からなくなる見当識障害、そして会話が成り立たなくなる知能低下へと、ゆっくり進行していくとされています。

 

脳の老化が最も早く始まるのは前頭葉であり、運動・感情・言語・記憶・思考など、人が人間らしく生きるための“コントロールタワー”の役割を担っています。

だからこそ、脳の老化を遅らせるためには、まず前頭葉を鍛えることが第一であると強調されています。

 

■ 前頭葉を鍛える5つのポイント

「想定外」を求める──初めての体験を探す

 

やってみないと分からないと考える──「やらずに後悔」より「やって後悔」

 

へそ曲がりになる──本当にそうか?と問い直し、二分割思考に陥らない

 

アウトプットを心がける──自分の考えをまとめ、人に伝える

 

他者とコミュニケーションをとる──表情や態度など多様な情報を処理することで脳がフル回転する

 

いきいきとした人生を歩むために、こうした習慣を取り入れていきたいと感じました。

 

 

■ 目次

はじめに 脳をメンテナンスする生活習慣を

第1章 復習・脳・MCI・認知症

第2章 認知症予防のポイント

第3章 自分でする脳メンテ1 前頭葉刺激習慣の実践

第4章 自分でする脳メンテ2 身体管理習慣の実践

第5章 自分でする脳メンテ3 意欲保持習慣の実践

おわりに

 

■ 著者紹介

和田秀樹さん 

精神科医、臨床心理士、作家、映画監督。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国立水戸病院(現・国立病院機構水戸医療センター)を経て、高齢者専門の浴風会病院で精神科医として勤務。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、国際医療福祉大学大学院教授を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。

 

【No2071】和田式脳メンテ 気になるあなたの新・認知症対策習慣 和田秀樹 白秋社(2026/07)

 

夜空に咲く花火は、ただの夏の風物詩ではない。

長岡の花火には、戦争で奪われた命への鎮魂と、未来へ希望をつなぐ祈りが込められている。

 

先の大戦で空襲により街は焼かれ、多くの尊い命が失われた。その痛みと願いが、時を越えて現代へと受け継がれていく――本作は、長岡まつり大花火大会を舞台に、過去と現在が静かに結び直される物語である。

 

「ずっと君に会いたかったです」

高校入学してすぐに葉山煌から夏目誠が当然の告白を受けた。

 

物語の鍵となるのは、一枚の古い絵。

真っ暗な夜を背景に、祈るように咲く白い大輪の菊花火が描かれ、そこには「夏目誠」のサインがあった。裏面には長岡市内の住所と「2026年8月1日14時」とボールペンで記されている。

まるで過去からの呼び声のように、その絵は主人公たちを未来の約束へと導いていく。

 

「(葉山)煌、長生橋で絶対、絶対いっしょに花火を見よう」

 

果たされなかった約束を胸に、主人公は覚悟を決める。過去から託された想いを受け取り、途切れた夢を未来へ継いでいくために。

 

作品には、花火が人の心を照らす力が繰り返し描かれる。

 

290P

「花火師となって世界中の爆弾を花火にするんだ」

 

207P

「どんげにつらいことがあっても花火を見れば元気になる。

つらくても難儀でも花火みたいに煌めいて一生懸命生きようなぁ」

 

過去に生きた人々のおかげで今の自分があるという事実に向き合う場面も胸に迫る。

 

277P

自分のちっぽけな命が過去に生きた人々のお陰で今ここにあるという事実に直面すると、その命の不確かさがとても重たく感じられて怖さを覚えた。

 

章立ては季節の移ろいとともに、登場人物の心の変化を静かに映し出す。

 

第一章 春

第二章 Summer

第三章 煌(あき)

第四章 ハル

第五章 ふゆ

 

著者・真戸香さんは、『あしたの私のつくり方』以来18年ぶりの小説執筆。執筆中にぎっくり腰となり鍼灸を体験したというエピソードも添えられている。8月3日生まれ。

 

長岡の夜空に咲く花火のように、過去の想いが現在の心を照らし、未来へと続いていく。

その光の連なりを、静かに受け止めたくなる一冊だった。