朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -3ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

転職や退職などで損をしないため、雇用・健康保険、国民・厚生年金、税金などの手続きを紹介している。

特徴

• 2025年度の最新制度・法律に完全対応、退職願いの書き方から、保険・年金・税金までの退職に必要な手続きを網羅。年度版改訂により、失業給付金額などのデータも最新情報に更新している。

• 安心の一冊

退職時の手続きは、ちょっとした勘違いや提出漏れで大きな損失につながることもある。提出書類の実例を豊富に示し、令和7年度の法令に即してわかりやすく解説する。

• 退職から再就職までを徹底サポート

雇用保険・健康保険・国民年金・厚生年金・税金などのすべてを実例で紹介する。

例えば、「失業保険はいくらもらえるのか」「将来の年金額はどうなるのか」「退職後の税金はどう支払うのか」など、知っておきたいポイントを整理し、スムーズで安心できる再スタートを支援する。

 

目次

はじめに

1. 転退職前にすること

2. 雇用保険の活用

3. 退職前後の健康保険

4. 年金のしくみ

5. 退職後の税金

6. 解雇・やむを得ない退職

7. 賢い再就職のしかた

 

著者紹介

中尾幸村さん

東京都社会保険労務士会会員(第1311783号)。1980年、第12回社会保険労務士試験合格。現在、東京労務総合事務所所長。労働法令・社会保険諸法令の実務的運用を中心に、企業の労務顧問として活躍。

中尾孝子さん

東京都社会保険労務士会会員(第13050584号)。アパレル企画・生産業務を経て、1993年行政書士試験合格。1994年、第26回社会保険労務士試験合格。現在、社会保険労務士として労働法令・社会保険諸法令の実務に従事。

 

【No1935】図解わかる会社をやめるときの手続きのすべて2025-2026年版 中尾幸村 中尾孝子 新星出版社(2025/06)

医療現場の疲弊と報道の葛藤が交錯する姿は、今もなお忘れられない現実を思い起こさせる。

 

コロナ禍の医療現場を題材にした小説。

日々奮闘する医師・伊達允彦が勤務する病院を、反ワクチン団体「阿神儀会」が襲撃する。その代表が院内で死体となって発見され、事態は一層混迷を深めていく。

 

週刊春潮副編集長・志賀倫成らによる報道、伊達ら医療従事者の苦悩と疲弊、承認欲求に囚われた陰謀論者たちの暴走――それらが複雑に絡み合い、物語は進展していく。

 

コロナ禍の混乱を背景に描かれているため、現実の重みを伴う描写に胸を突かれるように感じ、実体験と重ね合わせながら最後まで一気に読み進めた。

ジャーナリスト志賀の葛藤、医師としての正義感に燃える伊達の憤り、そして想定の範囲内に近いながらも鮮やかなどんでん返しがあり、胸に迫る読後感を残す作品だった。

 

目次

一 閉塞

二 内圧

三 外圧

四 亀裂

五 崩壊

著者略歴

中山七里さん

1961年岐阜県生まれ。会社員生活のかたわら執筆を続け、2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。翌年デビュー。

要約
バブル世代、ゆとり世代、団塊ジュニアなど、異なる世代の視点を理解し合い、学び合うことで新たな気づきが得られる。世代間の価値観を尊重し、柔軟に取り入れながら共通の目的に向かって進むことが、よりよい職場やコミュニティを築く鍵となる。各世代の強みや経験を活かし協力できる環境が整えば、大きな成果を生み出し、互いに成長できる関係が築かれる。

Z世代とは
•     アメリカ流の呼び方で、X世代・Y世代に続く世代。
•     1996年~2012年生まれ。次の世代はα世代。
•     現在13~29歳。消費者としては世帯形成や子育てなどライフステージが分岐する時期。
•     職場では若手社員として現場の最前線を担う。

Z世代の特徴
コミュニケーションスタイル
•     異なる考え方を許容する。
•     仲間に理解されれば十分で、外部には強く自己主張しない。
 消費者として
•     コスパ・タイパを重視。
•     ただし「推し」には惜しみなく時間とお金を使う。
•     推しがないことは「格好悪い」と捉える傾向。
就労者として
•     就労価値観は他世代と大きくは変わらない。
•     プライベート重視はさとり世代にも共通。
•     会社の発展より自分のキャリアや専門性を重視する姿勢は昔から存在しており、Z世代特有ではなくコミュニケーションの違いが目立たせている。

Z世代がバブル世代などに求めること
•     努力の「量」で評価するのはやめてほしい。
•     効率化には「頑張り」ではなく仕組みやツールなど物理的な対策を。
•     失敗談を共有する際は、共感だけでなく「どう乗り越えたか」まで伝えてほしい。
•     学歴・経歴重視、年功序列、性別役割分担など古い慣習が今の時代に合っているかを共に考えてほしい。

本書のまとめ
Z世代に限らず、多様な人々とストレスなくコミュニケーションし、意欲を持って共に何かを成し遂げるために必要なこと
1.     「まったく違うものが見えるかもしれない」との前提に立ち、相手の価値観に沿って物事を見てみる。
2.     「言わなくてもわかるよね」から脱却し、言葉にして伝える。
3.     「言ってもわからない」と世代で切り捨てず、意思疎通を諦めない。

目次
     はじめに
     序章 コミュニケーションのすれ違いを可視化する
     第1章 Z世代の「普通」を知る
     第2章 話してみたら見えてきたZ世代の本音
     第3章 Z世代から見た上の世代
     第4章 こんな風に声をかけてほしい
     終章 最後にお伝えしておきたいこと
     おわりに

著者紹介
松下東子さん
野村総合研究所コンサルティング事業本部マーケティング戦略コンサルティング部シニアプリンシパル。1996年東京大学大学院修了後、野村総合研究所入社。消費者動向の研究を一貫して行い、マーケティング戦略立案、広告効果測定、ブランド戦略、需要予測などを支援。「生活者1万人アンケート調査」(1997年~)を担当。
梅畑友理菜さん
野村総合研究所コンサルティング事業本部マーケティング戦略コンサルティング部シニアコンサルタント。早稲田大学法学部卒業後、イタリア・ミラノのファッションスクール Istituto Marangoni に留学しラグジュアリーブランドのマーケティングを学ぶ。2020年入社後、化粧品・ラグジュアリーブランド・金融機関のマーケティング戦略に従事。生活者データを活用したコンサルティングや社内新規事業のマーケティング支援にも携わる。

 

【No1933】Z世代コミュニケーション大全 松下東子 梅畑友理菜 東洋経済新報社(2025/07)

子どものころを振り返ると、両親からよく言われていたのは「人様に迷惑を掛けてはいけない」という言葉でした。友人からの何気ないひと言でも、胸に深く刺さり、長く残ってしまうことがあります。もしそれがトゲではなく、鋭いナイフのように抜けないものだったら……そう想像すると、少し怖さを覚えます。

 

多くの本は一度読んで終わりですが、この本のように何度も読み返す価値のあるものには、数千冊に一冊出会えるかどうかです。じわじわと心が温まるように書かれていて、読み返すたびにその意味が深まっていきます。

 

悩みを晴らすためには、一度だけでなく二度、三度と同じ箇所を繰り返し読むことが大切です。手垢がつくほど読み返すうちに、自分の心に刺さった言葉のトゲに気づき、その抜き方を学び、再び刺さらないようにしてくれる「有難う」といった魔法の言葉を体に染み込ませることができます。やがて、その言葉がトゲそのものを溶かしてくれるのだと思うのです。

4P 「(悪い言葉の)トゲの存在に気づいてもらい、そのトゲを抜くお手伝いをしながら、人生のお守りとなる“言葉”を渡し続ける。私はいま、そんな毎日を過ごしています。」

 

 

「和顔愛語」

本の中であふれ出てくる秋田緑さんによる人型のイラストも、内容に寄り添いながら表情の変化を描いていて、とてもかわいらしいですね。

 

 

心に響いた言葉たち

135P「大丈夫、心配するな、なんとかなる」

生きているといろいろなことがありますが、これまでなんとかやってきましたし、これからもきっとなんとかなります。悩みすぎないことが大切です。シンプルな言葉ですが、悩みに直接届いて救われる人がいると感じました。

143P 心の距離をとるためのコツ

グチや悪口には乗らないと“決意”する

ネガティブな発言には反応しない

相手を否定も批判もせず、聞き流すように心を外側へ素通りさせる。ネガティブな言葉はネガティブを呼びます。文句を言えば言うほど、文句を言いたくなる状況がやってきます。「イライラ」と口にすることで、さらにイライラを招いてしまうので注意が必要です。

 

出版記念イベントに参加して

先週、kokkoさんの出版記念講演会に参加しました。新刊に書かれている言葉を選んで語られていたため、内容がより深く伝わってきました。

 

自分の人生という物語を、どう演じていきたいのか。

相手を変えることはできませんが、自分は自分で変えることができます。人は言葉によって形づくられるものだからこそ、発する言葉を大切にしなければならない。悪い言葉は人を悪くし、良い言葉は人を良くする。人生は、使う言葉の方向へと動いていくのです。

 

世の中には呪いのような言葉、毒やトゲのような言葉があふれています。それらは心や体に突き刺さり、痛みを残すこともあるでしょう。けれども、チャップリンの「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇である」や、シェークスピアの「この世は舞台、人はみな役者」といった名言を積み重ねていけば、心の層を厚くすることができます。そうすれば、トゲを抜く前に少しずつ溶かしていけるのではないでしょうか。

良いことも悪いことも、いまの自分を形づくるために必要な要素です。大切なのは「気づく」こと。そして気づいたら、自分を変えていけばよいのだと感じました。

 

そのときはまだ読み終えていませんでしたが、講演会に参加してこのような感想を持ちました。

世の中には心にトゲが刺さったまま苦しんでいる人がたくさんいます。

そんなときに、kokkoさんのように「お助け寺」のように寄り添ってくれる存在が必要です。

この本を手に取ることで、トゲに気づき、変わるきっかけとなることを切に願っています。

 

 

<目次(抜粋)>

プロローグ 言葉のトゲを言葉で抜く

本書の使い方

第1部 心に刺さったままの“言葉のトゲ”に気づく(「ちゃんとしなさい!」→ちゃんとってなに?手を抜いたって大丈夫。「人に迷惑をかけるな」→人に迷惑はかけて当たり前。ありがとう。助かりました。「泣くな!」→泣いてもいいよ。「ほめられて調子に乗るな」→ありがとうございます!うれしいです。「うそ~って言うな」→人に対しての失礼な言葉に気づける自分えらい! ほか)

第2部 自分に“いい言葉”をかけて、自分の人生を生きる(自分に“いい言葉”をかけるとは?がんばっている私えらい、負けるが勝ち、大丈夫、心配するな、なんとかなる、「正しい」よりも「楽しい」を選ぼう ほか)

エピローグ “言葉”のごちそう

あとがき

【参考図書】自分の中の“小さい子ども”を育てるのにもオススメの本たち

 

著者紹介

kokkoさん

ハート・カウンセラー。東京生まれ。2010年よりメンタルセラピストとして活動開始。1000人以上の言葉に耳を傾ける中で「親の言葉の呪い」に苦しむ人が多いことに気づく。自身も親の言葉に縛られた経験から、2015年『親毒 なぜこんなに生きづらいのか』(コスモ21)を出版。現在は個人カウンセリングのほか、女性が幸せに生きるための講座やイベントを開催。さらに「オンラインkokkoくらぶ」を主宰し、人生を良い方向へ動かすための言葉を伝えている。モットーは「言葉でしあわせな生き方を伝える」。

 

 

【No1992】心に刺さったままの言葉のトゲをじょうずに抜く本 kokko 青春出版社(2025/09)

岸博幸さんは、経済産業省官僚として竹中平蔵氏の大臣補佐官を務めた経歴を持つ。

政治家に求められる資質は大きく三つ――政策においてクリエイティブな発想や構想を描けること、「伝える技術」として説明能力を備えていること、そしてケンカのように激しい議論を戦わせる胆力を持つこと――だと語る。

 

岸さんは現在、多発性骨髄腫という血液のがんを患い、余命10年との宣告を受けながらも治療を続けつつ精力的に活動している。本来なら療養に専念すべき状況でありながら、参議院選挙への出馬、テレビ出演、講演活動など、可能な限り「行動」を選び続けている。その姿勢に、私自身も学ぶべきものがあると感じている。

「たとえ明日、人生の終わりがやってくるとしても納得できるように、今日という1日を全力で生きる。僕の取り得る選択肢は、もうそれしかない」

 

目次

 まえがき

 第1章 ザイム真理教の真偽

 第2章 霞が関に巣食う真理教

 第3章 霞が関の問題点

 第4章 ザイム真理教と消費税減税

 第5章 政治のこと

 第6章 人生と仕事

 あとがき

 

著者略歴

岸博幸さん

経済評論家。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。1962年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。在籍中にコロンビア大学経営大学院へ留学しMBAを取得。資源エネルギー庁長官官房国際資源課などを経て、2001年には小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣・竹中平蔵氏の大臣補佐官を務める。経産省退官後はテレビや講演など幅広く活躍。2023年1月、多発性骨髄腫の診断を受ける。

 

 

【No1931】ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋 岸博幸宝島社(2025/07)

今年の夏は記録的な酷暑でした。10月まで30度近い暑さが続き、残暑バテや秋バテとも言えるような不調に悩まされました。秋になり気温が下がっても、体がなかなか順応できず、疲れが抜けない感覚がありました。

 

規則正しい生活、季節の食材をいただく、暴飲暴食を避ける、適度な運動、前向きな思考――どれも大切で当たり前のことですが、実際には継続するのが難しいものです。年齢や「気のせい」として放置してはいけない、と著者は警鐘を鳴らします。

本書は、バテの原因を明らかにし、日常から気をつけるための“処方箋”を提示してくれる一冊です。

 

夏バテ、残暑バテ、秋バテ、冬バテ、アルコールバテ、宴会・接待バテ、長距離移動バテ、スマホバテ、連休バテ、オフィスバテ――多様な「現代バテ」のパターンを紹介し、それぞれの症状がなぜ起こるのかを解説。さらに、タイプ別の回復マニュアル、簡単にできるエクササイズやツボ押し、音楽療法なども紹介されています。

 

なんとなくの不調や加齢のせいと見過ごされがちな症状に、分かりやすい対処法を示してくれる内容です。バテが気になる方にぜひおすすめしたい本です。

 

目次

まえがき

第1章 あなたの体調不良、気のせいではなく「バテ」です

(医師は夏バテに対処できない?/「バテ度」をチェックしよう ほか)

第2章 「現代バテ」はこうして起こる

(主犯格は“自律神経の乱れ”/自律神経失調症とは何か ほか)

第3章 「現代バテ」即効回復マニュアル―タイプ別バテのメカニズム&処方箋

(「夏バテ」に効く処方箋/残暑バテの正体―夏バテとの違い ほか)

第4章 現代バテに効く!簡単エクササイズ

(自律神経を整える方法/即効バテ対策―自分で押せる10のツボ ほか)

あとがき

 

 

谷口英喜さん

神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長兼栄養部担当部長。医学博士・麻酔科医。

1991年、福島県立医科大学医学部卒業後、横浜市立大学医学部麻酔科に入局。救命救急センター、集中治療室、神奈川県立がんセンター麻酔科などで勤務。2011年より神奈川県立保健福祉大学教授、2016年より済生会横浜市東部病院にて現職。東京医療保健大学大学院客員教授、慶應義塾大学麻酔科学教室非常勤講師も務める。臨床業務・研究・教育・講演活動を継続し、臨床栄養の生涯教育サイト「谷口ゼミ」を開塾。医療従事者の生涯教育に力を注いでいる。

 

 

【No1930】即効回復マニュアル 現代バテ 医師が伝える最新予防法&とっておき処方箋 谷口英喜 評言社(2025/06)

風間公親を演じる木村拓哉さんの姿が、思わず脳裏にちらついた。
相手の表情や態度から真実を読み取る、その感覚はまるで奇跡のようだ。
第六感が研ぎ澄まされているのではないかと思うほどの凄み。
会話を遠くから聞いていたかのように、核心をすでに掴んでいる。
心を見抜かれ、射抜かれている――風間教官には、嘘は通じない。
観察眼と洞察力の圧倒的な力を、改めて思い知らされた。
短編ごとのエピソードには、十崎逮捕を果たした風間道場の教え子たちが登場する。
風間の対応は、厳しさの中に確かなやさしさが滲んでいた。
同期の郷村秀初と岩国禾刀が描く「会意のトンネル」、
警察学校の総代争い、揺れるこころ追掛冬和子の「金盞花の迷い」
これらは特に練り上げられた秀逸なストーリーだと感じた。

<目次>
•     プロローグ
•     会意のトンネル
•     不作為の鏡
•     遺恨の経路
•     黒白の極性
•     犯意の影法師
•     金盞花の迷い
•     エピローグ

長岡弘樹(1969年山形県生まれ、筑波大学卒)
2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞しデビュー。
2008年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。
2013年刊行の『教場』は週刊文春「2013年ミステリーベスト10国内部門」で第1位に輝き、翌年本屋大賞にもノミネートされた。

コメの価格高騰は、消費者の生活を直撃する大きな出来事となった。

令和の「コメ騒動」の主因は、需要と供給の均衡が崩れたことにあると考えられた。

コメをめぐる課題は、後継者不足や食料自給の問題にとどまらず、農村というコミュニティの維持、国土の開発・保全、さらには文化・社会・経済といった広範な領域にまで及んでいる。これらは一朝一夕に解決できるものではない。

だからこそ、国・都道府県・市町村・土地改良区など多様な関係団体を巻き込み、丁寧な議論と持続的な対策を積み重ねていくことが不可欠だと感じた。

 

 

 <目次>

はじめに 「令和のコメ騒動」はコメ農業の地殻変動の前兆なのか

序章 ドキュメント「令和のコメ騒動」

第1部 「令和のコメ騒動」は、こうして発生した(「令和のコメ騒動」は、どの程度の問題か、「令和のコメ騒動」が発生した真の原因とは、「令和のコメ騒動」の犯人説は正しいか、令和7年産の見通し/令和4年~6年産で需給バランスが崩れた原因)

第2部 今日までのコメの生産と消費、コメ政策の歩み(減少する水田面積・コメ需要、戦後~1990年頃までのコメ政策、GATTウルグアイ・ラウンド以降の日本の農業、現在のコメ政策と、その評価)

第3部 日本のコメの「確かなミライ」を描く(日本の農業・コメ生産の厳しい見通し、食料安全保障の考え方、維持すべきコメ自給、コメ農業を守るために必要なコスト、日本人が日本のコメを食べ続けるために)

おわりに

 

 

稲垣公雄さん

滋賀県生まれ。京都大学経済学部経営学科卒。1990年、三菱総合研究所入社。これまでに、関西センター長、ものづくり事業革新センター長、経営イノベーション本部副本部長として事業会社・金融機関などのコンサルティングに従事。2021年より食農分野担当本部長、24年10月より研究理事/フェロー。現在は、企業経営戦略・農業政策に関する研究提言、農業分野を中心に社会課題解決を実現する企業・経営体や行政組織の事業改革、事業創出に取り組む。

こんな風に理解していければ地理っておもしろそう。

世界の地理がわかれば、日本の地理も自然と見えてくる。

地理とは、単に地形や気候といった自然環境を学ぶ学問ではありません。農業、工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にまで広がり、世界のあらゆる営みを結びつけて考える学問です。

著者・宮地さんが地理学を志したきっかけは、高校時代の恩師の言葉だったそうです。――もし自分もそんな先生に出会っていたら、人生が変わっていたかもしれない。

「一見関係なさそうな知識がつながって、一つの物語が出来上がる。知識が増えれば増えるほど、それらがつながってどんどん面白くなる」

 

有限だからこそ、需要と供給によって価値が決まる。地理を学ぶことで、この「土地と資源の奪い合い」に込められた人間の行動を、より深く読み解くことができるのです。

 

私にとって特に印象的だったのは、経済を理解するための「地理の視点」。

母なる大地――自然は人類に与えられた土台

規模の経済・スケールメリット――大きく見るか、小さく見るか

資源の奪い合いが起きる理由

• 4つの経済の距離――物理・時間・経済・感覚

因果関係と相関関係の違い――複数要素を考慮する柔軟な視点

普遍性と地域性を同時に考える――大きな視点と小さな視点の往復

景観という考え方――自然環境・歴史・文化・経済活動が織りなす物語

こうした視点を通じて読むと、地理は単なる地図の学問ではなく、人間の営みを解き明かす壮大な物語に変わっていきます。

 

例えば、

223P 日本が経済大国になれた理由

1. 教育水準が高く、技術開発が進んだこと

2. 世界12位の人口を誇り、国内需要が大きかったこと

企業間競争が活発に起こり、競争力が高まった。日本は「貿易立国」ではなく「内需依存型」である、という指摘も新鮮でした。

240P 東京が発展した理由

1. 沿岸部に位置し、石油や石炭など資源の輸入に便利だったこと

2. 関東平野が広がり、河川・道路・鉄道など交通手段の発展に適していたこと

大阪や名古屋にも共通点があると知ると、都市の成り立ちを比較する楽しみも広がります。

 

 <目次>

はじめに 経済とは、土地と資源の奪い合いである

序章 経済をつかむ「地理の視点」

第1章 立地 地の利で読み解く経済戦略

第2章 資源 資源大国は声が大きい

第3章 貿易 世界中で行われている「駆け引き」とは?

第4章 人口 未来予測の最強ファクター

第5章 文化 衣食住の地域性はなぜ成り立つのか?

おわりに 時代が変われば、「正解」が変わる

 

宮路秀作さん

代々木ゼミナール地理講師。日本地理学会企画専門委員会委員。鹿児島市出身。「東大地理」「共通テスト地理探究」など、代ゼミで開講されるすべての地理講座と高校教員向け講座「教員研修セミナー」の講師を担当する「代ゼミの地理の顔」。一部の講師しか担当できないオリジナル講座も任され、これらの講座は全国の代々木ゼミナール各校舎・サテライン予備校にて配信されている。各種セミナーや講演会などにも積極的に登壇し、社会に「学び」を届ける活動にも力を注いでいる

現状維持バイアス、エコーチェンバー、メタ認知、マインドワンダリングとマインドフルネス、コーピングとレジリエンス、初頭効果と親近効果、ザイアンス効果、ミラーリング、アサーション、ピグマリオン効果、自己効力感、心理的安全性、サンクコスト効果、フレーミング効果、プラセボ効果……。

心理学を学ぶと必ず耳にする有名なキーワードが並びます。

 

本書は、見開きごとにテーマが整理され、簡潔な説明とシンプルなイラストで構成されているため、とても読みやすい入門書です。

 

心理学的な性質の違いは、私たちの日常や仕事に確実に影響を及ぼしています。少しでもその仕組みを知っておけば、状況への対処がぐっとしやすくなるはずです。

 

上司や部下、同僚、顧客など、多様な人との関係性の中で、私たちは自分自身の欲求や不安、価値観と向き合いながら過ごしています。他者の心を理解し、自分の心を見つめ直すことで、仕事がうまく進む場面も少なくありません。

 

職場の悩みは特別なものではなく、多くのビジネスパーソンが日常的に抱える課題です。その根底には「心の働き=心理」があり、心理学の視点から仕事を捉え直すことで、課題を読み解き、よりよく働くためのヒントを得られるのではないでしょうか。

 

目次より

• はじめに

1.脳のクセを知ると行動の理由がわかる!認知バイアスに気づく

(ポジティブ・イリュージョン、セルフ・サービング・バイアス ほか)

2.やる気もストレスも自分でマネジメントできる セルフコントロール力を高める

(セルフコントロール、目標伝染 ほか)

3.人間関係がよくなり成果が上がる!コミュニケーションに強くなる

(初頭効果&親近効果、ザイアンス効果 ほか)

4.結果の出せるチームをつくる!部下指導にも悩まない マネジメント力を高める

(リーダーシップ理論、サーバント・リーダーシップ ほか)

5.消費者心理を知り売れる製品&サービスにつなげる マーケティングに強くなる

(プライミング効果、サブリミナル効果 ほか)

索引/参考文献

 

著者プロフィール

宮本聡介さん

明治学院大学心理学部心理学科教授。博士(心理学)。京都府生まれ。1996年筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。常磐大学人間科学部准教授などを経て、2009年より現職。専門は社会心理学、社会的認知。

 

【No1926】60分でわかる!仕事の心理学超入門 青山編集室 宮本聡介/監修 技術評論社(2025/06)