朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -2ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

本書は、分野横断的に「休養」の論点を網羅し、正しく休むための考え方と具体的なリカバリー手法を身につけられる一冊です。

疲労は睡眠だけでは半分しか回復せず、食事・入浴・呼吸・運動・マインドセットなど複数の要素を組み合わせてこそ本来の回復力が発揮されます。

 

慢性的なだるさ、集中力の低下、イライラ、判断ミスなどは、適切な休養によって改善できるはずのもの。

休養を「戦略的な身体への投資」と捉えることで、仕事のパフォーマンス向上や生活の質の向上につながると感じました。

 

◆疲労を“隠す”マスキングに注意(30P)

脳の働きや、甘いもの(血糖値の乱高下→コルチゾール分泌)、コーヒー・栄養ドリンク(カフェイン)によって、疲労感は一時的に見えなくなります。

しかし疲労そのものは消えていません。

 

この「マスキング」が続くと、実際の疲労と自覚している疲労感が乖離し、回復しづらくなるだけでなく、病気のリスクも高まるとの指摘が印象的でした。

 

◆7つの休養モデル(93P)

活力を高め、よりよい回復を実現するために、以下の7つの休養モデルを主体的に組み合わせることが重要とされています。

 

1.生理的休養

休息タイプ:睡眠、仮眠、休憩、ゴロゴロする

 

運動タイプ:軽い運動で血流を促し老廃物を除去。散歩、ヨガ、ストレッチ

 

栄養タイプ:腹八分目、胃腸に優しい食事、断食・ファスティング、白湯で身体を温める

 

2.心理的休養

親交タイプ:ペットとの触れ合い、家族とのハグ、雑談、森林浴

 

娯楽タイプ:映画・音楽鑑賞、推し活、習い事、キャンプなど

 

造形・想像タイプ:創作活動、DIY、詩・俳句、空想旅行、瞑想など

 

3.社会的休養

転換タイプ:環境を変えて気分転換。整理整頓、服を変える、外食、日帰り温泉、旅行など

 

◆パワーナップの効果(126P)

15分ほどの短い昼寝で睡眠を補う。寝すぎないことがポイント。

判断力・理解力・集中力の向上、やる気の回復、自由な発想の促進、作業効率の向上など、多くのメリットがある。

 

◆音楽の持つ休養作用(186P)

音楽には、生理的・心理的・社会的な休養作用がある。

 

生理的作用:自律神経の調整、セロトニン・ドーパミン分泌

 

社会的作用:演奏を通じた絆形成、感情の伝達、文化の継承

 

心理的作用:イライラの発散、心の浄化、自分の即興表現からの気づき、体調や気分の把握、過去の記憶の想起

 

 

休養は特別なことではなく、日常の小さな習慣の積み重ねです。

 

自分に合った休み方を見つけることが大切。

 

まずは一つだけ、できることから始めてみたらと思います。

 

◆目次

1 疲労の正体

2 疲労のメカニズム

3 休養の秘訣は「活力」にあり

4 マルチな力を持つ睡眠

5 自律神経を知って、攻めの休養へ

6 攻めの休養実践アイデア

7 「抑疲労」でさらによき休養を

索引

 

◆著者紹介

片野秀樹さん

博士(医学)、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。

東海大学健康科学部・医学部研究員、日本体育大学研究員、理化学研究所客員研究員などを経て、現在は博慈会老人病研究所客員研究員、日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、日本疲労学会評議員を務める。

 

 

【No2089】今さら聞けない休養の超基本 疲労ゼロを習慣化する ウェルネス教養 片野秀樹 朝日新聞出版(2026/03)

 

「万物斉同」――世界のあらゆるものは相対的に違って見えるだけで、絶対的な本質の差はない。

夢が現実となり、現実が夢となる。

読み終えたあと、ぼくはしばらくこの感覚の中にとどまっていた。

そのため、物語の意味を十分に読み込めたとは言えず、捉えどころのない奇妙な読書体験だった。

 

本書は「カリスマ」をテーマにした五つの物語から成る。

どの作品も、現実と非現実の境界が曖昧になり、読者の足場をふっと揺らすような構造になっている。

 

■物語

 

神馬に乗る女 

 美しい義母に“神が乗り移る”瞬間が訪れる。周囲の人々はその姿に畏怖と魅了を抱き、彼女はいつしか「神馬に乗る女」と呼ばれる存在となる。

 

胡蝶 

 予知夢を見る力を持つ一族の物語。夢で見た出来事が現実を左右し、登場人物たちは「夢が導く未来」に翻弄されていく。

 

夢見る家族 

 夫婦が夢の中で子どもを産み育てる。しかしその子どもは現実の世界にも存在し、親を異端視しながら成長していく。夢と現実の境界が最も揺らぐ一編。

 

金の糸 

 人と人をつなぐ“見えない糸”のような力を持つ人物が登場する。糸は祝福にも呪いにもなり得て、関係性の本質が問われる。

 

夢の子ども 

 夢の世界で生まれた存在が、現実の世界に影響を及ぼす。恩寵とは何か、与えられる側と与える側の関係とは何かを静かに問いかける。

 

■「胡蝶の夢」について

夢と現実の区別がつかなくなる状態を表す中国の故事成語。

荘子が「自分が蝶になって飛び回る夢」を見た。

目覚めたとき、彼は人間の荘子に戻っていたが、

「自分は蝶になる夢を見ていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか」

と考えたという有名な話。

 

■恩寵とは

「神や君主などの偉大な存在から受ける、恵みや慈しみのこと」。

本書では、この“恩寵”が人間の生活に入り込み、祝福とも呪いともつかない形で作用する。

 

■著者等紹介

三浦しをんさん 

1976年東京都生まれ。2000年に『格闘する者に○』でデビュー。

06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、12年『舟を編む』で本屋大賞受賞。

『あの家に暮らす四人の女』(織田作之助賞)、

『ののはな通信』(島清恋愛文学賞・河合隼雄物語賞)、

『愛なき世界』(日本植物学会賞特別賞)など著書多数。

荻原博子さんは、定年を迎えた60歳以降の人には「リスクのある投資は基本的にすすめない」と明言するなど、生活者の立場に寄り添った率直な語り口が印象的でした。庶民の肩を持つ味方のような姿勢で、お金とのつき合い方を具体的に示してくれます。

 

お金はあくまで道具であり、その扱い方が生活を左右する。

――本書には、老後を不安におびえるのではなく、賢く稼ぎ、守り、そして何のために使うのかを考えるための知恵が詰まっていました。

 

人生の先を歩く先輩たちの言葉に触れていると、老年期の時間をどう受け止め、どう過ごしていくかが大切だと気づかされます。

もし人生が100年あるとすれば、50代はまだ折り返し地点。前半で培った知恵や経験という武器を磨き、本当にやりたかったこと、心を満たすことに向かって全力を注げる時間がこれからやってくると思えば、後半戦が楽しみにさえ感じられます。

 

幸せな老年期を迎えられるかどうかは、人任せではなく、今この時の心がけにかかっています。会社や組織から離れても、一人の人間として自立して生きていく力を身につけることが、これからの時代を生き抜くために欠かせないと強く感じました。

 

幸福に生きるためのヒント

・やりたいことを選ぶ(97P) 

周囲がどう言おうと、自分がずっと挑戦したかった道を選ぶ人生こそ幸せにつながる。

 

・「いい人生だった」と思える時間を大切にする 

人はいつか必ず終わりを迎える。好きなことに没頭する時間を持つことが理想。投資が生きがいでないなら、無理に投資する必要はない。

 

・自然と触れ合うことで心が整う 

年齢を重ねると、海釣りなど自然との時間が心を落ち着かせてくれる。自然は思いどおりにならなくても腹が立たない存在であり、悩みごとも大きな自然に包まれるとちっぽけに思える。自分ではどうにもならない大きな存在に身を任せることは、心の休息になる。

 

目次

まえがき

第1章 定年廃人にならないために

第2章 50代からやるべきスキルの棚卸し

第3章 定年後に活きる「稼ぐ力」の鍛え方

第4章 定年後の生活を守る「資産戦略」

第5章 定年後を健康で自由に生きるライフデザイン

第6章 定年達人になるための20のヒント

 

著者紹介

荻原博子さん

1954年長野県生まれ。明治大学文学部卒業後、経済事務所勤務を経て独立し、経済ジャーナリストとして活動。家計経済の第一人者として、生活者の視点からお金の仕組みをわかりやすく解説している。

NHKドラマ『税金で買った本』を見ていることがきっかけで、図書館を題材にしたマンガに関心が向きました。

普段マンガを読まない自分が、マンガコーナーで偶然このシリーズを手に取り、気づけば7巻まで一気に読み進めてしまったのは、働く者として描写のリアリティに強く惹かれたからだと思います。

 

本作は、図書館の根幹業務である レファレンス・サービス を丁寧に描いた作品です。

蔵書点検で職員全員が汗だくになりながら書庫を確認する場面、専門的な相談を適切な機関につなぐ レフェラル・サービス、ダイバーシティ、多文化共生、ディスレクシア、郷土史研究など、実際の図書館で日々行われている業務が細やかに描かれています。

 

司書としてこれらの描写は「マンガ的誇張」ではなく、むしろ図書館の現場をよく取材した上で描かれた“実務のリアル”だと感じます。

利用者の相談は一件一件が異なり、時に人生の岐路に関わることもある。

その責任の重さと、うまく役立てたときの喜びが、この作品には確かに息づいています。

 

特に印象に残ったのは、5巻の「回想法」を扱ったエピソードです。

かつて走ることを断念したおばあちゃんは、病気で立ち上がることも難しい状況にあります。そんな彼女を元気づけたいと、葵ひなこや司書仲間たちは、30代の頃にお産で人助けをした新聞記事を探し出し、回想法を用いて寄り添います。さらに、同じように走ることを途中で諦めた経験を持つ女性介護士がハーフマラソンに挑戦し、その瞬間におばあちゃんにも小さな奇跡が起きる――思わず目が潤んでしまう場面でした。

 

葵ひなこたちが、利用者の過去の新聞記事を探し出し、回想法を用いて寄り添う姿は、図書館が“情報提供の場”であると同時に“人の心に寄り添う場”でもあることを思い出させてくれました。

図書館員が関わることで、利用者の心に小さな変化が生まれる――その瞬間の尊さに、思わず胸が熱くなったのです。

 

主人公の葵ひなこは、少しおせっかいで、熱心すぎて空回りすることもあるけれど、利用者の無意識のニーズを察し、寄り添い、涙するほど真剣に向き合う司書です。

その姿は、図書館で働く人にとっても初心を思い出させてくれる存在です。

『その人が前に進めるお手伝いを“本を渡す”という仕事を通じてできる。誰かのために役立てる事がうれしくて、これからも本を探し調べていきたい』

 

図書館のレファレンスは、利用者の人生を左右することもある。

本を通じて誰かの役に立つという、司書の仕事の崇高さを改めて感じました。

この時期にこの作品に出会えたことは、自分をもう一度見つめ直す良い機会になりました。

この本に出会えて、本当に良かったと思います。

 

著者紹介 

埜納タオさん

漫画家・イラストレーター。講談社mimi&kiss新人漫画賞入選でデビュー。広島県福山市生まれ。『図書館は誰にとっても身近な存在でいつもあたたかく迎えてくれる場所であってほしい。そんなことを思いながら描きました。』

お医者さんの立場や専門によって考え方が異なるのは当然だと思う。

最終的には、世間の常識や誰かの意見ではなく、「自分はどう生きていきたいのか」という感覚と判断に委ねられるのだと感じた。

 

6千人以上の高齢者を診てきた著者は、医学的に見ても 65歳を過ぎたら小太り(ちょいデブ)の方が長生きし、元気で、認知機能も落ちにくい と述べる。

「痩せている方が健康」というイメージは、アメリカの状況をそのまま日本に持ち込んだ“刷り込み”であり、脂肪は病気や転倒などのリスクから身を守る役割も果たしているという。

 

真に恐れるべきは「肥満」ではなく「やせ(低栄養)」

最も死亡率が高かったのは BMI18.5未満のやせの人

 

40〜50代の働き盛りとは異なり、高齢期には別のBMI指標や体型の考え方があるという指摘は、感覚的にも腑に落ちた。

 

がん細胞と闘う免疫力を維持するには十分な栄養が必要であり、コレステロール値が低い人ほどがんになりやすく寿命も短いという。

本来は健康な「小太り」であるはずの人が、誤った指導で無理に痩せさせられ、免疫力を落としてしまう実情もあるという。

 

■長生きする「ちょいデブ」の特徴

・栄養が体の隅々まで行き渡り、肌に張りがあり皺が目立たない。髪にも艶がある。

・「食べたい」「行きたい」という素直な欲求に従って生きているため、ストレスが少なく機嫌がよい。

 

例として、身長170cmなら 78kgでBMI約27

目指す範囲は BMI25〜30(身長170cmなら72〜85kg) とされる。

 

■ためになった点・気になった点

・噛むことは全身のバランス能力と直結し、転倒予防につながる。 

 さらに、膵液に含まれるペルオキシダーゼという酵素が食品の発がん性を消す働きを持ち、がん予防にも関係する。

 

・食べることへの興味を失ったとき、人は老いていく。 

 「食べたい」という気持ちは、そのまま「生きたい」という意欲につながる。

 

・無理して友人を作るより、没頭できる趣味がある方が健全。 

 勝ち負けにこだわりすぎず、3割は相手に価値を譲るくらいがちょうどよい。

 意識して脳に新しい刺激を与えることで、心の老化を防げる。

 

目次

はじめに 「健康」のために命を縮めるのは、もうやめましょう

第1章 「ちょいデブ」が65歳からの健康常識

第2章 シニアの“やせ”は老化を加速させる

第3章 医学的に見た“ちょいデブ”の力

第4章 無理なく“ちょいデブ体型”を守る方法

第5章 食べる喜びが寿命を延ばす

第6章 65歳からの気持ちと身の回りの整理術

おわりに あなたの人生の主治医は、あなた自身です

 

著者等紹介

和田秀樹さん 

1960年大阪府生まれ。精神科医。

東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、立命館大学生命科学部特任教授。

本書は、AIと折り合いをつけながら知性を高め、最終的には「自分自身で判断する力」を育てる重要性を説く一冊である。

これまでの『インプット大全』『アウトプット大全』で示されてきた「書く・話す・行動する」という行動中心の学びに、今回は フィードバックの視点 が加わり、さらに『ブレインメンタル大全』の核である「こころとからだのケア」も統合されている。

著者のこれまでの蓄積が結晶化し、より強力で最適な“能力を磨くための方法論”として提示されている。

 

■「知性」とは何か

本書では「知性」を次のように定義している。

 

・問いを立て、自分の頭で考え、自分で決断し、現実の中で行動する力

 

・試行力・判断力などを総合して運用する力

 

・本質を見抜き、よりよく生きるための必須の能力

 

・情報や知識を理解し、考え、判断し、行動へとつなげ、現実を変える力

 

・インプットとアウトプットを循環させ、学びを結果に変える力

 

どれも納得できる説明であり、「知性とは行動まで含めた総合力である」という視点が腑に落ちる。

 

■知性を磨く「知性サイクル」

知性を高めるためには、

知る → 考える → 決断する → 行動する → 修正する(フィードバック) 

というサイクルを回すことが重要だと説かれる。

 

・知る:良質な情報・知識をインプットする

 

・考える:情報を整理・比較・分析し、本質や因果関係を見抜く

 

・決断する:選択肢から「やる/やらない」を決める。価値観・優先順位・覚悟が必要

 

・行動する:決断したら実行する。行動のコツや工夫を知ることが大切

 

・修正する:気づきを明確化し、次のインプット・アウトプットにつなげる。成長の源となる

 

各章では、このサイクルを構成する要素が見開きでわかりやすく説明され、具体的な事例が豊富に示されている。

 

■「考える」章の印象

特に印象に残ったのは「考える」章である。

AIに整理を手伝わせるためのプロンプトづくりとして、

 

・目的の明確化

 

・基準

 

・形式

 

・制約

 

を設定する重要性が述べられていた。

また、思考を点→線→面→立体へと深める方法として、

 

・「なぜ?」を三回繰り返す

 

・壁打ちを活用する

 

など、日々の仕事・勉強・生活の中で実践できる工夫が紹介されている。

これらを少しずつ取り入れ、幸せで有意義な人生を歩むための知性を磨いていきたいと思う。

 

■AI時代に必要な姿勢

デジタル技術やAIにコントロールされるのか、それとも道具として賢く使いこなすのか。

その境界を見極め、適切に活用する力こそが「知性」である。

 

・メンタルを病まず

 

・脳を疲弊させず

 

・体の健康を保ちながら

 

・革新的技術と折り合いをつける

 

AIに丸投げせず、上手に活用し、共創し、人間にしかできない仕事を残す。

問いを立て、仮説検証し、インプット・アウトプット・フィードバックを回す。

その積み重ねが知性を磨き、成長へとつながる。

 

■目次

はじめに

1 「知性」とは何か?―知識を行動に変える

2 「知る」―インプットの質と量を改善する

3 「考える」―本質的な思考力を鍛える

4 「決断する」―意思決定でスピードを上げる

5 「行動する」―最初の一歩で現実を変える

6 「フィードバックする」―修正力を高めて成長につなげる

7 「整える」―自分の心と体に向き合う

8 AI時代にあえてすべきこと―人間本来の力を磨く

おわりに

知性を磨くためのブックガイド

参考資料

著者プロフィール

 

■著者紹介

樺沢紫苑さん

精神科医、作家。1965年札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年より米国シカゴ・イリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(70万人超)、メールマガジン(12万人)など累計110万フォロワーに情報発信を続けている。著書56冊、累計280万部突破のベストセラー作家。

ちょうど今、NHKで放送中の同名ドラマを視聴しているところで、1話15分という気軽さもあって続けて見やすい。ファンブックには登場人物のキャラクター紹介があり、名前の由来まで丁寧に書かれている。

 

たとえば、

小説家の 彩瀬まる さんと、小説家・脚本家の 村田紗耶香 さんの名前を組み合わせて生まれたのが、主人公の 早瀬丸小夜香

実在の作家名をもとにキャラクターが作られていると知ると、作品世界がぐっと身近になり、いっそう面白く感じられた。

 

マンガ版を読んでいない自分にとって、このガイドブックはとてもありがたい。キャラクター紹介やあらすじ、主要エピソードの要約がまとまっており、テレビ視聴の“事前学習”として予習するような楽しさがある。

 

 

📚 図書館という場所の「表」と「裏」

図書館は、誰もが利用できる公共の場だ。老若男女を問わず、あらゆる人が心地よく過ごせるように設計されている。

学生時代から利用してきたので「よく知っているつもり」でいたが、実は知らないことが多いと気づかされる。

 

本書では、

 

・図書館にどんなコーナーや設備があるのか

 

・それぞれの役割や特徴

 

・利用のルール

 

・図書館員の仕事の実際

 

・最新の図書館事情

 

といった内容が、具体的に紹介されている。

 

さらに、普段は見えない“裏側の現実”にも触れている。

たとえば、図書館を支える職員の 8割が非正規であり、その 9割近くが40代以上という現状。人材確保や待遇改善など、早急に対策が必要な課題があることも率直に書かれている。

 

司書になるための道筋、図書館の楽しみ方、利用者が抱きがちな疑問への答えなど、図書館をもっと身近に感じられる内容が詰まっている。ドラマとあわせて読むことで、作品世界と図書館のリアルが重なり、より深く楽しめる一冊だと思う。

 

 

📖 物語の魅力とファンブックの役割

主人公のヤンキー・石平くんが、10年前に借りた本を紛失していたことをきっかけに図書館でアルバイトを始める――そんなところから物語は動き出す。

図書館勤務らしい落ち着いた雰囲気の早瀬丸さん、迷惑利用者への対応で鍛えられマッチョになった白井さんなど、個性豊かな仲間たちとともに、図書館での日々が描かれていく。

 

ファンブックでは、こうした魅力的なキャラクターやストーリーを徹底的に紹介しつつ、図書館に関する豆知識も数多く学べる。本好きにはたまらない内容で、ドラマ視聴の楽しみをさらに広げてくれる。

 

 

📑 目次

取り扱い案内

 

登場人物ファイル

 

キャラクター診断チャート

 

クソ利用者図鑑(白井さんプロデュース)

 

ストーリーガイド ほか

 

 

【No2083】税金で買った本 公式ファンブック 図書館ともっと仲良くなれる本 講談社編(2023/05)

日本では、犯罪や刑罰について体系的に学ぶ機会は決して多くない。

そのため、死刑制度をめぐっても、いくつかの重要な点について誤った理解や、十分ではない認識が広がっていると著者は指摘する。

 

例えば――

 

■無期刑の運用について 

 「無期刑はいつか釈放されるのではないか」と考えられがちだが、

 日本の無期刑は、現実的には仮釈放がほとんど認められず、終身刑に近い運用となっている。

 

■殺人事件の発生率について 

 「戦後、殺人事件は増えているのではないか」と思われることもあるが、

 統計的には、戦後の殺人事件の発生率は減少傾向にある。

 

■死刑の抑止効果について 

 「死刑には犯罪を抑止する効果がある」と信じられることも多いが、

 死刑制度に抑止効果があるとする科学的な根拠は、現時点で確認されていない。

 

こうした点を知らない人、あるいは誤った認識を持ったままの人が少なくないことが、議論を難しくしているという。

 

著者は、死刑がどのように運用されているのかを具体的に知ろうとせず、

「なんとなく」のイメージや印象だけで、賛成・反対を表明してしまうことに問題があると考えている。

政府が刑の執行に関する詳細な情報を公開していない現状もあり、十分な情報やデータに基づいて考えることが難しい面もある。

 

また、絞首刑が憲法のいう「残虐な刑罰の禁止」に当たるかどうかについては、

70年以上前の東京大学医学部教授・古畑種基博士による「絞首刑は残虐な刑罰に当たらない」とする鑑定が、

その後の科学技術の進展や人権意識の変化を十分に踏まえないまま、今日まで維持されてきた経緯が紹介される。

 

死刑制度は、絶対不変のものではなく、その時代の価値観や社会の常識によって変化しうる制度である。

その点を見落としたまま議論してしまうことも、著者は問題提起している。

 

過去には袴田事件のような重大な冤罪事件もあり、

国家権力による強制的な捜査や、冤罪をいかに防ぐかという視点も欠かせない。

対象となる制度や運用の現状を、可能な限り具体的に把握し、論点を整理したうえで問題点を検討する――

本来はごく当たり前でありながら、つい忘れがちな姿勢の重要性が繰り返し示されている。

 

誤った認識を避け、運用の実態を踏まえたうえで死刑制度を考えていくこと。

そのために、十分な議論がなされるべきだという著者の姿勢には、共感するところが多かった。

 

死刑制度については、賛成・反対・中庸といった多様な立場がある。

どれか一つに急いで結論を出すのではなく、

それぞれの意見の根拠や背景を知りながら、

最終的には自分の判断を静かに形づくっていきたい。

そんな思いを改めて感じた読書体験だった。

 

■目次

はじめに

第1章 死刑はどのように運用されている?

第2章 刑事捜査の暗黒時代とその後

第3章 被害者を支援するとはどういうことか

第4章 死刑存置派と死刑廃止派の水掛け論

第5章 日本の市民は本当に死刑を望んでいるのか

第6章 「死刑は残虐な刑罰か」の過去・現在・未来

第7章 アメリカが死刑を維持するためにとった7つの観点

第8章 死刑存廃論のミニマリズム

あとがき

 

■著者紹介

丸山泰広さん

立正大学法学部教授。博士(法学)。専門は刑事政策・犯罪学。

日本犯罪社会学会理事、日本司法福祉学会理事。

2017年にロンドン大学バークベック校・犯罪政策研究所客員研究員、

2018年から2020年にカリフォルニア大学バークレー校・法と社会研究センター客員研究員。

生きていると、思い通りに進まない日がある。

けれども、そんなときに必要なのは、大きな答えや派手な成功ではなく、日々をほんの少しだけ前へ進めてくれる小さな工夫やひらめきだ。

それらは未来をそっと包み込み、優しくひらいてくれる──つまり「アイデア」である。

 

本書では、考えること、学ぶこと、気づくこと、試すこと、工夫すること、そしてときには失敗したことまで、著者の松浦弥太郎さんが積み重ねてきた経験から、「未来をひらくコツ」や「ささやかだけれど確かな処世術」が語られている。

 

松浦さんの数々のアイデアのなかで、特に心に響いた3つを取り上げたい。

 

① 友人の多さより「仲間」を大切にする(38ページ)

 

読書、ヨガ、ジム、朝活など、共通の趣味や思いを分かち合える仲間の存在は、これからの人生でも大切にしたい。

実際、これまでのチャンスも、そうした仲間から自然と運ばれてきた。

 

松浦さんは、友だちの“同一感”よりも、個として自立しつつ、必要なときに力を貸し合える距離感を持った「仲間」が必要だと説く。

仲間は固定された関係ではなく、流動的に変化していくもの。その柔らかさが、人付き合いをぐっと楽にしてくれる。

 

② 願いは「魔法」のように形になる(184ページ)

 

人生を振り返ると、まるで魔法が使われたかのように物事が実現した瞬間がある。

ただ思っているだけではなく、誰かに話し、可能性に向けて行動していたからこそ叶ったのだと感じる。

 

松浦さんは、考えること自体がエネルギーを放ち、具体的な形になると語る。

強く願い、あきらめずに考え続けることで、条件が整い、説明のつかない「思いの力」が働くことがある。

それが魔法であり、良いことにも悪いことにも使えるからこそ、使い方が重要だという。

 

自分が本当に強く願ったことは、たいてい叶ってきた。

「こうなればいい」「絶対にこうなる」という思いは、ひとつの魔法の力となり、自分にも他者にも働きかけ、願いを現実へと導いてくれる。

 

③ 本物とつき合うことで、自分の水準が上がる(72ページ)

 

美術館で絵画を鑑賞すること、お寺で仏像を拝むこと──こうした行動を続けることが、自分を高めることにつながっていると信じている。

 

松浦さんは、「本物のダイヤモンドだけを見ていると、偽物を出されても自然とはじき出せる」と述べる。

常に最上級のものと接していれば、自分の水準も引き上げられる。

アート鑑賞などを通して、上質なものを目に映す習慣を持つことが、自分を磨くことにつながるのだと思う。

 

目次

はじめに

1章 少しだけ「新しい」自分になりたいとき

2章 人生の土台をととのえたいとき

3章 ウキウキする時間を過ごしたいとき

4章 「学び」を始めたいとき

5章 運を呼び込みたいとき

6章 いざというときの処方箋

おわりに

 

著者紹介

松浦弥太郎さん

東京都生まれ。エッセイスト。

2002年、中目黒にセレクトブック書店「COWBOOKS」をオープン。

2005年から9年間『暮しの手帖』編集長を務めたのち、IT業界へ。

(株)おいしい健康取締役、公益財団法人東京子ども図書館役員、『DEAN & DELUCA MAGAZINE』編集長。

映画『場所はいつも旅先だった』監督。

2025年秋より「Papas」クリエイティブオフィサーに就任。

主犯格が姿を見せず、実行犯だけを使って犯罪を繰り返す「トクリュウ犯罪」。

弱みを握られ、脅され、抜け出せないまま事件に加担させられる――その負の連鎖が延々と続く。

 

高級時計強盗、なりすまし詐欺、未公開株取引などに関わった受け子・掛け子たちは、自分たちも弱みを握られた“被害者”だと主張する。しかし、安易に怪しいバイトへ手を出した時点で運命は決まっていたとも言える。個人情報を知られ、脅され、闇バイトをやめられない構図はまさに地獄であり、同情の余地は乏しい。

この作品は、トクリュウ問題の根深さと、そこに巻き込まれる人々の弱さを容赦なく描いている。

 

闇バイトの黒幕は、フィリピンの外国人専門の刑務所・収容所から電話で日本の手先に指示を出す。現実の事件と地続きの描写が続き、読んでいて背筋が冷えるほどだった。

 

詐欺で財産を奪われ、生きる希望を失った人々の無念を晴らすべく、ハングマンの復讐が始まる。

その“殺し方”は必殺シリーズを思わせる鮮やかさがあったものの、結末に爽快感はほとんど残らなかった。

むしろ、犯罪の連鎖が生む悲劇の深さだけが静かに沈殿していった。

 

この作品から得られる教訓

「弱みを握られる」という一点が、人を簡単に犯罪の加担者へ変えてしまう。 

どれほど軽い気持ちで始めても、一度情報を渡した瞬間に主導権は奪われる。

 

“楽に稼げる仕事”は存在しない。 

安易な選択は、人生を破壊するほどの代償を伴うことがある。

 

被害者と加害者の境界は、想像以上に曖昧である。 

弱さにつけ込まれた者が、別の誰かを傷つける側へ回る。その連鎖は止めるのが難しい。

 

犯罪の黒幕は、想像以上に遠く・深く・見えない場所にいる。 

表に出てくるのは“使われる人間”だけであり、真の悪意は姿を見せない。

 

復讐は何も解決しない。 

ハングマンの行動は痛快さよりも虚しさを残し、被害者の苦しみが消えるわけではないことを示している。

 

この作品は、犯罪の構造と人間の弱さを容赦なく突きつける一冊だったと思う。

 

目次

一 雛鵜

二 徒歩鵜飼

三 船鵜飼

四 鵜飼習得

五 鵜匠殺し

 

著者紹介

中山七里さん

1961年、岐阜県生まれ。会社員生活を経て、2009年『さよならドビュッシー』で第八回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年デビュー。

以降、法廷、音楽、医療、警察、社会問題など幅広いジャンルでミステリー作品を発表し続けている。