絵本 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

モモは、丸い髪の毛がチリチリとした天然パーマの、小さな女の子です。いつもはだしで、少し変わった服装をしています。

よく見ると、青色の大きめのジャケットを羽織り、継ぎ接ぎのある黄色いワンピースを着ています。どれも体に合っておらず、ぶかぶかの服に包まれているようです。

 

モモは、この世でたった一人と言っていいほどの“聞き上手”。

動物たちの声さえ聞き取れるほどで、人の話を本当に聞ける人が少ないなか、その存在は特別です。

相手の話を遮ってしまう人が多い現代にあって、モモの姿勢はまぶしく映ります。

絵はどれも美しく、眺めているだけで心に何かが触れるようでした。

文字からも深い情感があふれ、胸に響くものがあります。

モモの純粋な世界観がぎゅっと詰まった、目の保養にもなる一冊でした。

 

小さなモモがだれよりも得意だったのは、ほかの人の話を聞くことでした。

ほんとうによく話を聞ける人は、ごくわずかしかいません。

モモは、この世でたった一人と言ってもいいくらいの聞き上手でした。

 

自分の人生は失敗だ、無意味だ――そう思い込んでいる人がいたとします。

ところが、その人はモモに向かって話しているうちに、その考えがまちがっていたと気づくのです。

自分は唯一無二の存在であり、世界にとって特別に重要なのだと理解するのでした。

モモはそんなふうに、人の話を聞くことができたのです。

 

あるとき、小さな男の子が、鳴かなくなったカナリヤを連れてきました。

それはモモにとってむずかしい役目でした。

カナリヤが再びうれしそうに歌い始めるまで、モモは一週間まるごと、その声に耳をかたむけ続けました。

モモは、あらゆるものの話を聞きました。

いぬ、ねこ、こおろぎ、ひきがえる。

それどころか、雨の音や木々のあいだを通り抜ける風の声まで。

すべてのものが、それぞれのやり方でモモに語りかけたのでした。

 

著者紹介

ミヒャエル・エンデ

1929–1995。ドイツを代表する作家。国際的な賞を多数受賞。

『モモ』『はてしない物語』などの作品は50以上の言語に翻訳され、累計発行部数は世界で3500万部に達している。

シモーナ・チェッカレッリ

科学者として半生を過ごしたのち、子どものころの夢を叶えるために絵の道へ。

2016年以降、世界中の出版社のために子どもの本や大人の本の挿絵を手がける。

現在は夫と2人の子ども、3つの国籍、4つの言語とともにスイス在住。

松永美穂

翻訳家、早稲田大学文学学術院教授。

訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(毎日出版文化賞特別賞)、

カトリーン・シェーラー『ヨハンナの電車のたび』(日本絵本賞翻訳絵本賞)など多数。

 

【No1969】『モモ(絵本版)』ミヒャエル・エンデ/作、シモーナ・チェッカレッリ/絵、松永美穂/訳 光文社(2024/10)