少子化の進行により、企業の中ではミドル層が増え、若手層が減少しています。さらに、パワハラ防止法や働き方改革関連法などの法整備によって若者を守る動きが広がり、コロナ禍を経てリモートワークが普及しました。通勤時間の削減や柔軟な働き方、多様性の尊重、職場環境の改善などにより、今の若者世代の「働く意識」は以前とは大きく変化しています。
私自身、新卒で就職したころ「最近の若者は…」と呼ばれたことを思い出します。少子化の時代にあって、若者への理解を少しでも深め、うまく接することができればと思い、この本を手に取りました。
「せっかく採用したのに、なぜすぐ辞めてしまうのか」「どうすれば長く働いてもらえるのか」。働き始めて間もない若者が3年目で退職していくのはなぜなのか――その答えを知りたかったのです。読んでみると、目から鱗が落ちるような事実がありました。
125P 若者の離職の実態
• 8割の若者が転職を視野に入れている
• 6割は「転職前提」で就職を考えている
• 3割は3年以内に辞めている
132P 働く「新・三種の神器」
1. リモートワーク:着替えも通勤も不要。PCの前に座ればすぐ仕事ができる
2. フリーアドレス:ロッカーに荷物を入れ、好きな席に座れる
3. 服装自由:ネクタイ不要、クールビズやワンマイルウェアでリラックス
39P 転職理由は複合的
若者が突然辞めるように見えても、実際は小さな不満が積み重なった結果です。
• きっかけは上司の一言や服装など些細なこと
• しかし本質は仕事内容、人間関係、待遇など複合的要因
• 転職先候補が見えると、今の会社の「粗探し」が始まり、理由を固めていく
• 人事部に伝える時点では、すでに翻意できないケースが多い
若者は不満を人事部に直接訴えることはほとんどなく、気まずさを避けて「転職でリセット」する道を選びます。そのため周囲が気づいたときには、すでに退職準備が整っているのです。
152P 若者とのコミュニケーション極意十ヶ条
1. 3年で転職する前提で接する:タイパを意識し、自己研鑽とキャリアデザインを尊重
2. アンコンシャスバイアスをなくす:性別などの偏見や先入観を排除
3. ホワイト企業の定義を再確認:有休100%消化、誕生日休暇などを導入
4. 上下関係をなくす:役職ではなく「さん付け」、ITは若手に教わる
5. 最初に全体像を説明する:仕事の意味や分担理由を丁寧に伝える
6. 口頭ではなく文字で伝える:リンクやテキストで明確に指示
7. ホウレンソウ不要:信じて任せ、相手が聞いてくるまで待つ
8. 断定しない:選択肢を提示し、本人に決めさせる
9. 昔話をしない:タイパ重視の若者には不要
10. 傾聴の極意は質問しないこと:自然に相手が話し出すのを待つ
この本を通じて、若者が辞める理由は「突然」ではなく、複合的な積み重ねの結果であることを理解しました。
極意十ヶ条を意識することで、若者との接し方を少しずつ変えていけるのではないかと感じました。
目次
はじめに
第1章 人事部は知らない!若手が辞める本当の理由
第2章 職場の不協和音、ミドル層も悩んでいる
第3章 未曾有の強気社員が生まれた背景を考察する
第4章 若者との溝、最大の理由は「キャリア権」
第5章 去っていった若者はどこへ行ったのか?
第6章 誤解を生まない、齟齬を生まない、軋轢を生まない 若手とのコミュニケーション十ヵ条
第7章 人が辞めても困らない職場へ―働くことは幸せの追求
おわりに
著者等紹介
上田晶美さん
株式会社ハナマルキャリア総合研究所代表取締役。1983年、早稲田大学教育学部卒業。同年流通企業に入社し、広報、人事教育などを経験。1993年、日本初のキャリアコンサルタントとして創業。大学生の就職、社会人の転職、主婦の再就職の支援に携わる。これまでに約2万人の相談を受けてきた。現在は100人の講師が登録する会社を経営しながら、「仕事の悩みをゼロにする」ことを目標に活動中。テレビ、ラジオにも出演多数。都内の大学で講師を務める。
【No1936】若者が去っていく職場 人事部は知らない!若者の離職の本音 上田晶美 草思社(2025/06)
