風間公親を演じる木村拓哉さんの姿が、思わず脳裏にちらついた。
相手の表情や態度から真実を読み取る、その感覚はまるで奇跡のようだ。
第六感が研ぎ澄まされているのではないかと思うほどの凄み。
会話を遠くから聞いていたかのように、核心をすでに掴んでいる。
心を見抜かれ、射抜かれている――風間教官には、嘘は通じない。
観察眼と洞察力の圧倒的な力を、改めて思い知らされた。
短編ごとのエピソードには、十崎逮捕を果たした風間道場の教え子たちが登場する。
風間の対応は、厳しさの中に確かなやさしさが滲んでいた。
同期の郷村秀初と岩国禾刀が描く「会意のトンネル」、
警察学校の総代争い、揺れるこころ追掛冬和子の「金盞花の迷い」
これらは特に練り上げられた秀逸なストーリーだと感じた。
<目次>
• プロローグ
• 会意のトンネル
• 不作為の鏡
• 遺恨の経路
• 黒白の極性
• 犯意の影法師
• 金盞花の迷い
• エピローグ
長岡弘樹(1969年山形県生まれ、筑波大学卒)
2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞しデビュー。
2008年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。
2013年刊行の『教場』は週刊文春「2013年ミステリーベスト10国内部門」で第1位に輝き、翌年本屋大賞にもノミネートされた。
