拉致被害者本人が著す24年にも及ぶ北朝鮮での生活を思いのほか克明に記したものであり、拉致という現実を当事者の視点から静かに語られた一冊でした。
読書を通じて、これまで知らなかったことやいままで考えてこなかったことに向き合う時間となりました。
この本を読んだことで、日本人は、日本人が拉致されたことをどう受け止めるべきなのか、そんな問いが心に残っています。
<目次>
はじめに ある人の言葉
1 問題は決して「解決済み」ではない(「八人死亡」は事実か、変遷する説明―横田めぐみさんをめぐって)
2 日本人拉致の本当の目的(直接の目的は何だったのか、世界各地で発生した事件)
3 拉致は北朝鮮に何をもたらしたのか(果たされなかった目的、まず「拉致」ありきの発想、計画を頓挫させたもの)
4 変容する思想教育(工作員育成のための「マインドコントロール」術、育成放棄後の思想統制)
5 独裁下を生きるということ―私に与えられた「革命任務」(一二人の工作員に日本語を教える、書庫での発見、異質な任務、動き出した事態)
おわりに 重層的な人権問題として
日本人拉致 関連年表
蓮池薫さん
1957年、新潟県柏崎市生まれ。新潟産業大学特任教授。中央大学法学部3年在学中の1978年に拉致され、24年間、北朝鮮での生活を余儀なくされる。帰国後、同大学に復学し卒業。拉致問題の啓発と解決のため、講演活動やメディア発信を積極的に行なう。
