親は子を看護する義務はあるが、子は親を介護する明確な義務にはなっていない。
肉親や家族間でのトラブルはできるだけ避けたい。
遺産総額が5千万以下で約8割に相続争いが発生している。
兄弟は他人の始まりと言うが、思うに両親からの相続時に財産の価値も考慮しながらも、血の分けた兄弟姉妹の間で悲しい骨肉の争いは避けたいもの。
この著者は、相続で裁判になって苦労の末、兄弟の絆を断ち切り縁を切ったのも当然の状態となっていた。
兄弟姉妹がいる人で、ある一人が主に介護をした場合でも相続時にその労苦が反映や考慮がされない事例、家庭裁判所で介護費用が公平に扱われなかった事例、兄弟姉妹の間に弁護士が入り法定相続分の要求がされていた容赦ない事例などがあった。
このような良くない事例を避けるためにはどうすればよいのか。
できればそうならなければ良いが、仮にそうなっても大丈夫なよう生前からの用意が必要であろう。
例えば、生前贈与や公正証書での遺言書を作成し親の意思を反映しておく等、事前に準備をしておくことが必要なのかと感じた。
5P
この本を執筆するにあたって、介護を経験した方たちに多数取材をさせていただいたが、かなりの方が異口同音に語られたのは「自分が看ることになったら、他の兄弟姉妹たちはあっさり逃げてしまった」というナマの声であった。そして、そのうち相当数の人たちが「いざ親が亡くなると、もう介護の必要がなくなった他の兄弟姉妹は、自分の相続権を主張してきた」と語っている。著者も似た経験をした。
44P 介護は終わりが見えない
兄弟姉妹が仲良く平等に介護を分担したというケースは、現実には少ない。誰かが主な介護になっている場合がほとんどと言ってもよい。そして介護しなかったものに限って、相続は平等を主張する傾向があることは否めない。「介護は少なめに、相続を多めに」という自己中心の発想者は多いのである。
介護から逃げるだけ逃げておいて、相続財産についてはどんどん権利主張をしていく。そのためには手段を選ばない。そういう兄弟姉妹に対して、どう対処して行ったらいいのか。それが本書の主な目的である。
147P 再び家族による介護の時代が到来するのだろうか
女性の就業率は増えており。子世代の親を介護することは、男性の大半が、そして女性の多くが離職することにつながる。
それなのに、現在の法制度のスタンスや裁判所の考えが、家族の介護は家事の延長線上に置かれ、ボランティア扱い同然で本当にいいのだろうか。
介護退職は介護のための明らかな経済的損失と言えそうだが、それを相続財産から補填するという発想は今の裁判所にはないし、法律の定めもない。
<目次>
まえがき
序章 「きょうだいは他人の始まり」か?
第一章 相続争いの現実
第二章 親孝行をした者が受けた現実―実例を踏まえて
第三章 法律や裁判所はどう考えているか―親孝行はボランティアなのか
第四章 調停と裁判の現実
第五章 社会問題としての介護
第六章 もし自分が要介護者の立場となったなら
第七章 介護からの逃げ得を防ぐために
終章 立法・司法への提言
あとがき
参考文献一覧
姉小路 祐さん
1952年京都市生まれ。大阪市立大学(現・大阪公立大学)法学部卒業。高校社会科教員をしながら、’91年に第11回横溝正史賞を受賞。2008年、親の介護のために高校教員を退職する。
【No1905】介護と相続、これでもめる!不公平・逃げ得を防ぐには 姉小路 祐 光文社(2025/04)
