アドルフ・ヒトラー「我が闘争」、スターリン「レーニン主義の基礎」、毛沢東「書物主義に反対する」、クラウゼヴィッツ「戦争論」、カルロス・ゴーン「カルロス・ゴーン経営を語る」、堀江貴文「ゼロ」、「地球星人」村田沙耶香など、日本人の社会常識や倫理観に反する危険な書、いわゆる「悪書」と呼ばれた本を読み解くポイントをわかりやすく解説されている。この中で気になった箇所だけでも読んでみる価値はあった。
4P 選書の基準
現代の日本人にとって異質さを感じる著者もしくは作品
このまま歴史に忘れ去られてしまってはもったいない作品
現実社会を動かした(動かしている)人物の書いた作品
タブーに挑んだ作品もしくは人間の本質をえぐるような作品
ぼくは、悪書でなくても良書においても、あらすじをちゃんと言えることより、この本を読んでどのように感じたのかという点に注目する大切さは変わらないと思う。
235P
「悪書」と向き合うにあたって重要なことは「そこになにが書かれているか」よりも、「それを読んだ自分がどう感じたのかを知ること」である。
良書と呼ばれるものだけを読んでいると、偏った思考になるのではないか。
大局的な見地から見ると、自分の心の滋養となるためには、自分の価値観と異なるとか、生理的に受けいれがたい色々な種類の本を読むべきだと。
例えば、カラダを健康にするために、運動のほかに、青いもの、黄色いもの、緑色などいろんな野菜を食べる必要があるのと同様、今回の悪書の一端を肌で感じることで教養の幅を広げることに役立つものだと思った。
237P
今回取り上げたような異質な作品を、「良い悪い」や「好き嫌い」といった主観に引っ張られ過ぎずに大局的な視点から読んでみることは健全な常識を育む有効なトレーニングになるし、抵抗力を高めるワクチンの役目を果たす。
<目次>
はじめに
第1章 独裁者の哲学―彼らはいかにして人を操ったのか?(『わが闘争』アドルフ・ヒトラー、『レーニン主義の基礎』スターリン ほか)
第2章 過激派の知略―彼らはなぜ暴力を用いたのか?(『戦争論』クラウゼヴィッツ、『クーデターの技術』クルツィオ・マラパルテ ほか)
第3章 成功者の本性―彼らは何のために富を得たのか?(『カルロス・ゴーン経営を語る』カルロス・ゴーン/フィリップ・リエス、『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』ドナルド・J・トランプ/トニー・シュウォーツ ほか)
第4章 異端者の独白―彼らはタブーを犯して何を見たのか?(『わが闘争・猥褻罪―捜索逮捕歴31回』大坪利夫、『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年』宮崎学 ほか)
おわりに
1960年東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了。外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、2009年6月執行猶予付有罪確定。2013年6月、執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞など、多数の著書がある。









