0メートルの旅 日常を引き剝がす16の物語 岡田 悠 ダイヤモンド社(2020/12) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

旅は、非日常だ。

ワクワクドキドキしながら、煌めく宝石のように大切な思い出となる。

それを日常との間に挟むと、魔法のように一瞬にしてキラキラと輝き見違えるように楽しい、ケジメのある日々となる。

岡田さんの貴重な体験を味わいたかった。

ぼくは、彼の旅行記を読んで疑似体験をしたかったのだ。

ここには、リアルに経験しないとわからない五感を伴った真実が書かれてあると感じた。

 

10P

旅とはなにか。

その問いに僕なりの答えを導き出すため、これまでの旅の記憶を辿ることにした。この本に登場する16の物語は、どれも僕にとっては宝石のような存在だ。

 

16の国と地域、日本から1600万メートルの地の果て南極から始まり、だんだんとその距離は近づいてきて、最後は自分の部屋の中で完結する。

遠くに行くことだけが旅ではない。

日常の中に非日常を見出して、予定不調和を愛する心があれば、いつでも、どこでも、誰でも旅ができるのだ。

 

9P

そこには意味や生産性といった日常で求められる様々な要素は一切登場しない。偶然で、非生産的、それでも心動かされる純粋な瞬間があった。

辞書を引くと、「旅とは定まった地を離れて、ひととき他の場所へゆくこと」とある。額面通りに受け取ると、あくまで遠くへ移動することを指しているように思える。

だが道草に夢中になったあの日、僕は確かに旅に出ていた。それは日常を引き剥がす冒険だった。激しくきらめく閃光だった。いつもの通学路という「定まった地」を離れて。ひととき他の世界へとダイブした。だとしたら、たとえ遠くへ行かなくても、旅はどこでも始められるのではないか。

 

同じように流れていると思われる毎日の時は、そのように見えるがじつはそうではない。

「角度を変える」こと。

僕が思うには、例えばいつもの道をただ歩くのではなく、逸れてみる、逆に歩いてみる、走って見るなど、試みにいくつもトライしてみることだ。

そうすると、見える風景が変わってくる、違ってきて新鮮に見えてくるはずだと思った。

147P

何度も行った土地であっても、角度を変えるだけで新鮮な驚きに出会えること。それはかつて誰もが試した「白線を踏んだら死ぬ」というルールに近い、何百回と通った道でさえ、そのルールを設けただけでスリルあふれる綱渡りに変わるのだ。

だから僕の中での国内旅行の魅力とは、いつも着ているパジャマを裏返すことに似ている。わざわざ海を渡らなくても、少し足を伸ばしてみれば、また新しい物語に巡り合える。そう思うから、今日という日を過ごすことができる。

 

言葉が新鮮。表現力とユーモア、エピソードの構成が素晴らしかった。

281P

旅を辞書で引くと、「旅とは定まった地を離れて、ひととき他の場所へゆくこと」と書かれてある。

定まった地とは、きっと日常そのものだ。日常は安心で、快適で、大切な僕らの基礎である。だけど予定通りの毎日を繰り返していくうちに、だんだんとその存在が曖昧になっていく。日常が身体にべったりと張りついて、当たり前になって、記憶にすら残らない時がただ過ぎ去っていく。

旅とは、そういう定まった日常を引き剥がして、どこか違う瞬間へと自分を連れていくこと。そしてより鮮明になった日常へと、また回帰していくことだ。

(中略)

予定通りにいかないことを、受け入れた瞬間。

 

偶然の巡り合いに、心奪われた瞬間。

 

いつもの視界に、新しい景色を創った瞬間。

 

どこへ行こうとも、予定も目的も固定概念もすべて吹っ飛ばして、いま目の前にある0メートルを愛すること。

それが旅の正体ではないか。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 海外編―旅のわからなさに救われて(16350000メートル 南極、13549000メートル 南アフリカ、11525000メートル モロッコ、9159000メートル イスラエル、9153000メートル パレスチナ、7809000メートル イラン、6238000メートル ウズベキスタン、5906000メートル インド)

第2章 国内編―旅の魅力は距離に比例するか?(376600メートル 仙台、352000メートル 青ヶ島、54500メートル 箱根ヶ崎、34200メートル 国立)

第3章 近所編―旅を創るということ(1300メートル 駅前の寿司屋、800メートル 郵便局、350メートル 畑のフランス料理店)

最終章 家編―旅とは目的ではなく、過程にある(0メートル 部屋)

おわりに 

 

1988年兵庫県生まれ。ライター兼会社員。有給休暇取得率100%。そのすべてを旅行に突っ込み、訪れた国は70か国、日本は全都道府県踏破。Webメディアでエッセイを執筆し、旅行記を中心に絶大な人気を博す。『0メートルの旅―日常を引き剥がす16の物語』収録のイランへの旅行記で「世界ウェブ記事大賞」を受賞。『0メートルの旅―日常を引き剥がす16の物語』が初の著書。

 

 

【No.944】0メートルの旅 日常を引き剝がす16の物語 岡田 悠 ダイヤモンド社(2020/12)