今年になって日本だけではなく、世界のあちこちでリチウムイオン電池(以下バッテリーと書く)が燃えまくっている。

今年1月16日に、カリフォルニアのMoss Landinf発電所の送電網バッテリーが発火し、大火災を起こしたのも記憶に新しい。

EV車がいきなり爆発するのも,毎年起こっている。

ちょっと、怖いですね。

さて、欧州を飛行機で旅行すると必ずひっかかる問題なのだが、
ICAOという民間航空団体(日本は昔から理事国だ)が、バッテリーの輸送に制限をかけている。
 

今年の2月以降、容量で300whを超えるバッテリーは、飛行機に持ち込みができない。
300wh以下のものに限って1個だけ機内持ち込みができ、
1個が160wh以下のものであれば、2個まで、という条件になっている。

これは、ICAO参加社の最大値であって、個々に、もっと厳しい数字を出している航空会社もあるようだ。
(欧州はテロに神経質な航空会社が多いのでね)

最近は、飛行機だけではなく、ドーバーを渡るユーロエクスプレスでも、チェックが厳しくなってきた感がある。

日本でも中華バッテリーの爆発が相次いでいるから、近いうちに厳しくなるだろう。

ところで、whという単位は、パソコン内蔵バッテリーでは使われるが、モバイルバッテリーでは使われていない。
モバイルで使われる単位は、mAhだろう。
W(ワット、電力)とA(アンペア、電流)は、簡単に変換できる。


W=VA であり、リチウムイオン電池の1セルの内部電圧は3.7Vだから、

A=W / V= 1/3.7

つまり 1wh=270.72mAh である。

だから、
160wh=270.27x160 =43243.2 mAh
となる。

パソコンでも、携帯でも、マトモなメーカーであれば、バッテリーの容量はスペックに必ず記載がある。

 

また、windowsのノート型パソコンであれば、
コマンドプロンプトから、バッテリーレポートを出す命令をたたけば、容量情報が出る。

つまり、こう.
>powercfg /batteryreport
と打てば、whの情報が出る。

僕の場合、飛行機に乗る時は、超軽量のPCを持ち込むので、いちいち容量の確認を受けた
ことは今までに一度もないが、一応念のため、この情報をコピーして、裏蓋に張り付けている。

ちなみに、富士通の世界一軽いnotePCを使っていて、質量は650g程度で、25whのバッテリーだった。

最新のnotePCであれば160whを超えることはない(と思う)が、
40000mAh(4万)を超える大きなモバイルバッテリーも日本では普通に売っている。

中華販売サイトでは(たとえばAliExpress)、4万mAhどころか、50万Ahのバッテリーも売っている。

これが爆発すると、結構大きな発火が起こる。

たとえて言えば、ドラゴンという火花が激しくとび散る家庭用花火があるけど
これ。

 

これが数発分のエネルギーで発火が起こる。
こんな危険な花火を、皆はカバンに入れて運んでいるようなものですよ。
 

少なくとも海外旅行には持ってゆかない方が良いです。

昔の大きなノートPCを持ち込む人も、一度チェックしてみると良いと思う。

真夏がやってきた。

欧州では、熱波がやってきて、原子炉が停止に追い込まれた(スイス)。
なんで停止したかというと、河川の温度が上がっているからだそうだ。
冷却水が高温になると十分な冷却ができなくなる恐れがあるので、
予防的に停止したのだという。

夏に電力供給が途絶えると、エアコンが使えなくなり、最悪死者を出す。
スペインのあちこりで山火事が発生した。気温もポルトガルでは50度になった。

そんないやなことを吹き飛ばすためにも、お祭りに出かけよう。

欧州の夏は音楽祭の宝庫なのだ。

バイロイトとか、ザルツブルグは、昔からNHKでライブをFMで流していたので、
日本でもかなりポピュラーだと思う。

でも、これからでは、チケットは手に入るまい。

経験上、今からでもチケットはまず手に入る、中身の濃い音楽祭をいくつかピックしてみる。

真っ先に思い浮かべるのは、エジンバラ国際フェスだ。
https://www.eif.co.uk/
今年は、8/1-24まで開催する。

もともとが、グラインドボーンの総監督が有志をあつめてスタートしたものなので、

クラシック、オペラが素晴らしい。

でも、ダンス、演劇などいろいろなジャンルのプログラムもかなり優れている。

ダンスと言えばケルト語圏でダンスといえばリバーダンスがあるし上演もされる。
 

エジンバラ市中にあるエジンバラ城の横にThe Hubという建物で行われるが、

近隣のあちこちの場所で、いろいろなショーやパフォーマンスが行われていて、

それらをすべて合わせて、ひとつのお祭りを形成している。

どれかの催しは、当日ふらりと行っても参加できる。

ついでに、スコッチモルト好きにはたまらない、ウィスキー博物館も行く価値がある。


お次は、ベートーベンフェス。
https://www.beethovenfest.de/

モーツァルトの祭りがザルツブルグ。ワーグナーの祭りがバイロイト。
ならば、ベートーベンだってあるでしょ。
あります。

しかも、あのリストが創始者だ。
今年は、8/28-9/27 まで開催する。

ベートーベンは、後期はウィーンに渡ったみたいだが、ボンで育った。
ボンの数少ない観光資源なのだが、生家は博物館として公開されているし、
その周辺にベートーベンの研究センターやホールを併設した資料館もある。

で、この祭りは、Oper Bonnがメイン会場で開催されるが、ここでのチケットは、入手が難しい。

でも、期間中に、あれこれ100近いコンサートが連日、複数の中小ホールに
分散して開催されるので、その周辺コンサートであれば、当日でも買える。

正直言って、メイン会場での演奏は、バイロイトとか、ましてやザルツブルグに比べると、
(かなり)見劣りするので、周辺コンサートの参加で十分だ。

 むしろ、ジャズ風ベートーベンのような普段は聞けないゲテモノの方が楽しいと思う。
これだって、立派なベートーベンフェスの催しなのだ。


最後のおすすめ、ベローナ オペラフェス。
https://www.arena.it/en/arena-verona-opera-festival/

エジンバラフェス、ベートーベンフェスと比べると、圧倒的に高名なフェスだと思う。
会場は、ベローナで、要するにローマの円形競技場(当然屋外にある)で開催される。
日が落ちる少し前の夕方から始まり、日が暮れると光の演出が相まって、雰囲気は最高だ。

主にベルディの作品を上演するが、プッチーニやチャイコなども上演されるし、
オケ、バレエなども行われる。

ここは、何をみた、というより、ここで何か(なんでもいい)、を見たという体験に価値がある。

超有名なフェスだが、3万人を収容できるように拡張されており、有名な割にはチケットは入手しやすい。

とにかく、古代ローマから使われているこの場所で、ものすごい人数の中で、
光と音響演出の催しをライブで見ることができる。ひたすら、素晴らしい.
こんな経験ができるのは、エジプトの古代遺跡前か、ローマしかない。

 

こんなリアルな雰囲気を、立体画像とマルチchで、部屋で疑似体験できる日は、おそらく来ないと思う。

本物と疑似は、まったく異なるのだ。

 

Queen の1stアルバムのATMOS版が出た。

昨年(Y2024)に、Queenの初期のアルバムがリマスターされた。ハイレゾ化、5.1ch化されて、既にAppleが配信しているし、パッケージメディアでも出ている。

 

これは、そのappleの音源とは別物だ。appleの音源は一層の5.1chで音が出るだけ、というものであった。この時は、音に対してメンバーは携わっていなかったと思う。おそらく、その音がいまいちだったので、作り直したかったのではないだろうか。

 

このATMOS版は、ルイス・ジョーンズとシャーリー=スミスが、あのATMOS設備が完璧なアビーロードスタジオでマスタリングしている。ブライアンメイとロジャーテイラーも、かかわって、音楽全体を再解釈、再構築しているという。
ATMOS化である以上、15.1ch=9.1.6chのATMOSフルフォーマットですべての音が鳴っていてほしい、と期待して買った。

そして、期待通りに、ちゃんと15.1chすべてが使われていた
すばらしい。

 

さて、このオリジナルLPは、1973年に出ている。日本では、初期の3アルバムすべてが1974年に出た。1年に3枚も(日本で)アルバムが出したのは、たぶん、シアーハートアタックからキラークィーンが日本でブレイクして、慌てて1st 2ndを出したのだ。

 この当時購読していたロック雑誌『ミュージックライフ』では、Queenというバンドは毎月大きく取り上げられたし、渋谷陽一がMCをしていたFM番組『若いこだま』でもよくかけられていた。

Queen初期の作品を,queen売出し時期として最初の3枚までとすると、シアーハートアタックは傑出していたけれど、音作り、曲調はいずれも同じようなものだった。

さぁ、再解釈、再構築したこの音源は、オリジナルとどう変わったのか?

どの曲も、曲からコーラスとギターを分離し、イマーシブな感じを出すように工夫されている。Queenから、コーラスを分離するということは、重要な部分はすべてマルチchのためにリマスタリングされているということだ。つまり、これが、再解釈、再構築ということになるのだと思った。
 オリジナルの良さを打ち消すことはなく、どちらかというと、クィーンの重要な音粒である、ボーカル、コーラス、ギターを空間に漂わせるつくりである。音楽的には同じであって、再解釈、再構築というおおげさなものではない。もとのマスターテープは一緒だから当然だ。

でも、オーディオ的にはえらく異なる。バンドの良さを生かしたイマーシブ化なのだ。解像度が劇的に上がっている。今まで聞こえなかった音が聞こえる。これを聴いた後、オリジナル版で同じ部分を再生してみると、確かに、その音は入っている。気が付かなかっただけだ。

ひとつひとつの音粒が、オリジナル版では団子状粒としていっしょになっていたものが、ここでは分離して気持ちよく聞けるというものだ。プリンスのような横のSPだけから声がピンポンするような違和感のある気持ち悪さはない。
さすが、バンドのオリジナルメンバーが関与しているだけある。

15.1chのスペクトラムを付しておこう。
5曲目、My Fairy Kingの冒頭からボーカルが入ったところまでの数秒のピークホールドである(赤線)。緑線は、瞬間のスペクトラムだがポーズを押してスナップショットをとっているので、残留ノイズと考えてほしい。

15chもあるので、ペアがあるchはL側だけを示した。
どのchにも音が出ているのがわかるし、それぞれの帯域特性と音圧もわかると思う。

FWだけは特別扱いしていて、使い方が違うので、このchを再生できる人だけは、再構築の解釈を完全に聞き取ることができると思う。ここまでFwを特別扱いするということは、オブジェクトベースではなく、チャネルベースでマスタリングしていると思う。
 

以前書いたプリンスといい、Queenといい、ATMOS音源は面白くなってきた。

ATMOS 15.1chの再生装置をそろえてでも、聞く価値は十分にあると思う。1st 2nd がATMOS化され出ているが、2ndよりも1stの方が満足度がより高いと思う。おそらく、シアーハートアタックもいずれ出ると思う。楽しみだ。

ATMOS 15chのスペクトラム

 

Fr  さすがにフロントchは音量、帯域ともに最大である。


C  このchを含め、フロント以外は低域は絞られている。


 

Fw
このchだけは、ほかのchを異なるので、注記する。
ピークホールドをみるだけではわからないが、時間軸でみると、ほかのchを異なり、多くの時間では鳴っていない。でも、ここぞというとき(強く意図して再構築された局面だろう)、特にギターとボイスが鳴る。

 

Sr

 

Sb このchは、Fwと並んで無視されているchだが、かなり広い帯域を再生する必要がある。


Tf


 

Tm


 

Tb

 

イマーシブ度 ★★★★★

聴く価値         ★★★★★

おすすめ         ★★★★★

 

東京は、6月としては異例の真夏日がきたという。
7月も熱いことだろう。

欧州も負けずに暑い。

いや、日によっては明らかに勝っているというべきか。。。

アフリカからの熱波が、偏西風に乗って直接波としてやってくるからだ。
波が一時反射して弱まってくれるとよいのだが、西欧州には直接やってくる。
いや、一昨日は東欧州もすごかった。

この熱波はものすごく熱い。

どのくらい熱かったかというと、スペインは、一番波が強いので、
先日気温が46度(摂氏ですよ!!!) になった。

想像できないでしょ。
まぁ、フィンランド式のサウナでは100度になるのだから、
耐えられるはずではあるけれどね。

直接波は、アフリカから遠くなるにつれ弱くなるが、パリは40度。
ロンドンはそこまではいかないが、30度ちょい。
こうした日が、6月にも2度きた。

日本と違って湿度が低いし夜は涼しいので、昼の30度程度であれば
家やオフィスでは問題はないのだが、地下鉄は凄いことになる。
簡単に地下が30度を超える。

車両の中は、混めば混むほど上昇し、さらに数度は上がる。

東京と違って、地下鉄は冷房の普及が低いので、厳しいのだ。

車両だけでも冷やせばよいではないか、と思うのは甘い。
トンネルを伝って熱がホームに来るので、待っている間は地獄になる。

東京をマネして、駅からトンネルから、地下を丸ごと冷やすという発想が最適なのだが、
欧州では実現は難しい。
なぜかというと、熱を逃がす巨大な室外機を街中のあちこちに設置することは、街づくりと
して認められないのだ。

これは、家でも同じで、集合住宅のベランダに室外機を置くことは美観を損ねるという
理由で認められないことが多い。

もういっそ、スコットランドに遷都するのがよいのに。

いや、おれが引っ越せばよいだけかもしれない。
 

パープルレイン、これは1984年の歴史的な名盤だ。


この1つ前の「1999」は1982年に出た作品だった。
2枚組で、丁度出現したばかりのCDでは1枚で発売されたので、LPより割安に買えたことを覚えている。

ただし、収録時間の都合で1曲少なかったはずだ。なんの曲かは知らない。だって入っていなかったのだから。
今だったら、トラックピッチを狭めて無理無理収録できただろうに。

時代背景をついでに書くと、マイケルジャクソンのスリラーが出たのが1982年。
1984年はジャクソンズがヴィクトリーを出して、マイケルが頂点を極めた年だった。

その1984年に出たのが、この作品というわけ。CDでは、本当に素晴らしい作品に仕上がっていた。

大ヒットしたWhen Doves Cryは、ベース音にシンセ(ドラム)をつかっている。
当時のテクノの流儀を取り入れ、ききずらい音を出したことで成功したといえる作品だ。

さて、この曲をATMOSで再生すると、最初から驚きの連続になる。
1984年に真面目に聞いていた人ほど、違和感をもつと思う。

とにかく、1層のサイドch(SL,SR)をつかって、大胆なリライトを行っている。

僕の再生設備による視聴位置では,SL,SRのスピーカーは、ほぼ真横よりわずかに後ろに位置するが、
フロントスピーカー以上に存在感をもって鳴る。

しかも、奇妙に感じる音なのだ。

チンドン屋が、盛大にどんちゃら演奏している感じ。

1層を主に使っており、1層は、全9chが鳴る。
2層の音は、重視されていないようで、天井にSPを設置していなくても楽しめると思う。

when ..は、曲の冒頭プリンスのダミ声は、左右にピンポンするようなミックスになっていて、
しかも、やけに長く続くように感じる。

左右の耳に直接届くので、耳に突き刺さり、聞きづらい。

おそらく、だけど、
この曲のもつ、聞きづらさという要素を、わざと強調したのではないだろうか。

僕は同時代的に聞いていたソースで、オリジナルCDの2chでの音を強くイメージしている。
だからこうしたミックスは好きになれない。

せっかく買ったので全曲を聴こうを思ってたのだけど、ここで耐えられなくなって、
途中で聞くのを止めて,最後の曲までスキップした。

その曲は、最も重要なtitle truck。

この名曲は、やはり、2chで聞く方がよいと思った。
このATMOSのミックスは、好きになれないのだ。

昔からのプリンスファンにとっては、好きになれない人が多い気がする。

昔のイメージをぶち壊した、別作品であり、リライトである。
 

BDメディアだが動画は入っていない.

2ch ハイレゾでも入っているが、そんな音源はとっくに出ているので、

このBDはもっぱらATMOS音源としての価値しかない。

 

ATMOSでは、全ての曲が大胆なリライトがされていてびっくりする。

 

とはいえ、

本人が作り上げたトラックを使っているものであり、聞く価値はある。

僕も、少し時間をおいて、いずれ あらためて聞くことにする。

 

プリンス 2016年死去
1985年の、We are the world 曲の収録では参加に誘いがあったらしいが、
いちパートだけでは大勢と横ならびになるのでイヤだったような記事を当時みた。
 

We are the worlsのアルバムには4 the Tears in Your Eyesという曲を提供している。この曲は、キリストの死に関する解釈を詩にしたもので、プリンスらしからぬ真面目さがある点で、評価している。凄く盛り上がった live aidの英米ライブには、せめて参加してほしかったのだけど、残念だ。
 

もうマイケルも、プリンスもこの世にはいない。
マイケルジャクソン 2009年死去

天才は短命だ

 僕は親から高校生の時にステレオセットを買ってもらったのだけど、最初に買ってもらったのはチュナーとカセットデッキで、しばらくはスピーカーは使わないで音楽を楽しんでいた。

その後、追加したコンポは、トリオのSP(たぶんLS707)、サンスイのアンプ(AU-D907)、マイクロのプレーヤー(DD-100)だった。

トリオのSPは、めっちゃ重いフロア型で33cmウーハ、12cmスコーカはアルニコ鋳造というかなり高級なユニット、ツィータはホーン型、バッフル面は傾斜してタイムアラインメント管理されたという、きわめて優れたものだった。

時代の最先端をゆく設計だったと思う。なぜか、これは不人気で売れ残っていた。トリオといえばチュナーとかアンプであって、トリオのSPなんて買う人はいなかったのだろう。その証拠に、展示品ではなく全くの新品が4割引きで投げ売りされていた。本当は、YahamaのNS1000を狙っていたのだけど、予算の都合でこれに抑えた。正解だった。

サンスイは、初代D907で初ロットを買った。当時のサンスイは不人気で、3割も引いてくれた。山水のアンプ、人気に火が付いたのはこのアンプが大ヒットしたからなのだけど、初ロットの段階では、まだヒットしていなかったので、安く出してくれたのだ。パワーアンプ部だけでも価値がある素晴らしい性能、プリはヘッドアンプ付きで、機能も音も、いう事がなかった。

プレーヤーはマイクロ。確か、DD-100 の特別仕様だったと思う。
 プラッターだけで5.2kgもあった。電源は独立型、アームはロングタイプML505LS、内部のケーブルは銀線のモデルであった。しかも、バネで針圧をかけるダイナミック型で、演奏中でも針圧を変えられる。
マニュアル操作だったが、触れる感触も、素晴らしいものだった。なんといっても、プラッター直径が40cmもあって、ダストカバーもぶ厚いアクリルで重量があり、圧倒的な存在感があった。

 しかーし、使ってわかったのだが致命的な欠点もあった。最も重要なシャフトが細くてチャチすぎる。ターンテーブルは、シャフトだけで支えられている、これが細くてチャチなので、僅かな力をかけても、ターンテーブルが簡単にフラフラ傾いでしまうのだ。たとえば、クリーナーを当てるとターンテーブルが下に傾く。強くあてると、しまいには偏心してくる。だんだんと、その偏心が大きくなり、ターンテーブルの外周では、上下にゆれて回転する。使用半年で、上下に1mm揺れるようになった。

クリーナーを軽く充てる程度にしておけばよかったわけだし、音は良かったのだけど、その後、シャフトが太いプレーヤーを選ぶようになったのは、この教訓からだ。

そして、この先、二度とマイクロの製品は買うことがなくなった。

まぁしかし、このシステムで聞く音は、なんとも雄大で、とにかく、気に入った。

この時のコンポの選定は、カタログやら、雑誌やら、で一応リストアップした候補はあったものの、店舗でみて、手に取ってからその場で決めた。重量感とか、操作時のSWなどの感触を重視して、音なんて聞かないで選んだものだった。雑誌の評価なんかも気にしなかった。

アンプなんて、まだ店頭に並ぶ前だったから、通販で安くい売っている店を選んで買った。確か、秋葉原のラジオ会館にあったF商会なる店だったとおもう。


 音というのは、その時の体調や気分で、かなり印象が変わる。でも、見栄えや感触の印象は不変だ。目に見えるものなのだから見栄えは重要だし、毎日つかうのだから操作感は重要だ。だから、コンポを買うときは、操作感やデザインを音なんかより優先した。いまでも、基本、音は聞かないで買っている。

しばらくはステレオで使っていたのだけど、あるとき、余っていた小型SPが2つあることに気が付いた。

当時、アンプは、スピーカー出力を切り替えできて、A, B, A+B という3通りの切り替えできた。
Aには2ch、Bにはマトリクス用の2つのスピーカーをつなぎ、マトリクスで聞きたいときだけ、A+Bで聞く。

この方法は、たしか月刊ステレオという雑誌で紹介されていた手法なのだが、たぶん、その記事は長岡鉄男ではない人だったと思う。大昔から知られていた方法のようだ。

マトリクス配線で4ch化した構成で、ピンクフロイトの狂気を聞いたのだが、もう、音がグルグル回って、すさまじいのだ。マトリクス4chの効果に、ひっくり返った。

最初にきいた、マトリクスサラウンドであった。
 

毎年5月に開催される、欧州ハイエンドショーが始まる。

15-18日までミュンヘン。


日本のハイエンドショーと全く異なり、B2Bで、主に代理店や評論家などのプロを対象としたメッセであり、
本来は一般客向けではない。

いままで、フランクフルト、ミュンヘンで開催され、今年もミュンヘンで開催されるが、これがドイツ最後になる。来年から少なくとも3年間は、オーストラリアはウィーンに移る。


ミュンヘン会場は、幕張メッセのような会場である。
広い空間はよいが、要するに広い体育館であり、きちんとした部屋に区切ることができないので、使いずらいし、音も悪い。そんな理由もあったのではなかろうか。

ウィーンの会場は、昔からfinest audio showを開催している会場で、小部屋も多数ある。
東京の有楽町で開催される、ハイエンドショのような展示ができるので、良い方向になったと思う。

ところで、Auro-3Dに大きな動きがあった。

マルチchを主体とした配信サービスが今年7月から行われる。フォーマットには、ATMOSではなく、7.1.4ch PCMが採用されるが、Auro-3Dも使われる。
今まで、2Lが孤高でがんばっていたソースも、高い値段で空輸しないでも、こちらからストリーミングで聞けるようになる。

Sunnyvaleにある Pure Audio Streaming 社がミュンヘンのハイエンドショーで、初披露するという。
 Room H1, Stand K1Bで、Auro-3Dとのコラボ。
とアナウンスしている。

配信のサービスは、7月25日から始まるが、このハイエンドショーがおわる5月18日までに申し込んだ先駆者マニア向けにβ版が提供される。これは5月25日からサービスされる書いてある(日本に向けても配信されるかどうか不明だ*)。

https://pureaudiostreaming.com/pure-audio-streaming-unveils-exclusive-early-adopter-program-for-audiophiles-at-high-end-munich-2025/

*専用機材として、受信,デコード.HDMI出力のために、(amazon fire HDのライバル製品である)Nvisia shild TV proが必要で、これは、all regionで使えるわけではない。 僕も使っているが、iPAD miniを2枚(いや、3枚かな)重ねたような大きさで、amazonfire HDよりもでかいが、さすがにNvideaだけあって256コアで処理が早く、メモリも16GBと大きく(さらにSDで増設可能

)、フリーズしない点で優れている。今の版は2019年登場なので、枯れて安定していると思った方がよい。

   日本では正規販売はしていないと思う。Auro-3D 11.1chを再生するには、firm 9.1.2以上にする必要があり、設定はナイトリスニングoff, システム音off,オーバーサンプリング off ,Dolby オーディオ off 、とする。日本から、updateできるかどうか不明。

ロイターによると、フランシスコ教皇がなくなったらしい(ソースはバチカン)。

webで確認したくてバチカンにアクセスすると、入れない。
集中しているのだろう。世界中の人々が、同じことをしているに違いない。

12年の在位だったようだ。

昨年、イタリアで開かれたG7サミットに教皇として始めた参加したのは記憶に新しい。

 

その前のベネジクトゥス16世は生前に退位した。約8年の在位。

さらにその前のヨハネパウロ2世は26年半続いた。
 

フランシスコ教皇は、266代だというから、概算だと2025年間で266人、

一人平均7.6年間が在位期間になる。

比較のため、日本の天皇と比べてみる。
紀元前660年が初代神武天皇と記録されている。

現在の天皇は126代、今上(きんじょう)天皇。
概算だと、2685年で126人、一人平均 21.3年が在位期間となる。

ローマ教皇より、2.8倍も在位が長い。
即位が若いからだろうか。


興味で横綱とも比べてみた。
1700年くらいから記録されていて、初代明石横綱から、74代豊昇龍まで、325年で74人誕生している。
平均 4.3年に一人誕生している。

ただし,横綱は、同時に複数在位できるし、空位の時もある。
平均在位期間は、5.2年だから、在位している最後の年に、(平均的には)次の横綱が誕生していることになる。

ついでにしらべてみると、

日本の首相は、103代。
1885年に初代首相が誕生して,140年で103人。

なんと、平均的には、1.36年に一人も首相が誕生してきたという事になる。
ずいぶん、なり易いんですね。


横綱の価値の方が、はるかに高そうだ。

 

 僕はクリスチャンではないけど、クリスチャンでなくても正月の挨拶を観にいけるので、年末にバチカンに行ったことがある。
何年まえだったか、あまり覚えていないが、バスもタクシーも動いていないので、歩くしかない。幸いローマはそれほど大きくもないので、問題ないが、それ以来(ローマにはいっても)バチカンには行ってない。
 

次の教皇が決まって(選挙で決まるが、こんくらーべ、という長時間かかりそうな名前がついている)

少し落ち着いてから、行ってみようかな。

 

本日は、朝から欧州中が、教皇崩御のニュースでいっぱいだ。
宗教が違う英国でさえ、そうなのだから。

日本語では、こうした方々の死を崩御と呼ぶが、新聞にはなんと出るのだろうか。

 昭和時代の中学生は、高校受験でうまいこと高校に合格し入学すると、親からご褒美として、ステレオセットをもらうという習わしがあった。

我が家も、兄がその習わしに従って、CD-4ステレオ一式を買ってもらった。

僕の場合、高校入学の年はリフォームや車の買い替えと一致したので、家計の問題があると踏んで、
親とディールを交わした。

1年間、僕がステレオ一式を買ってもらうのを待つ。
 そのかわり、2回に分けて買う。かつ、1年待つ分、2回合計予算を増やすというものだった。
家だって、僕のためにリフォームしてくれたのだけど、そこにつけこんで僕のほしいステレオの予算をupする、という図々しい交渉だったが、成功した。
総合予算は、30万から50万に上げてもらった。
当時、定価から25%引きで購入できたので、実質、定価70万円でコンポを組めるという戦略だ。

最初、まず、チュナーとカセットデッキを買う。予算10万円.
これで、エアチェックはできるし、ヘッドホンで音楽は聴ける。

翌年、予算40万円でアンプ、スピーカー、プレーヤーを買う。

このディールはとても良いものだった。
しかも、リフォームで部屋が余分にできたので、そこをオーディオ専用の部屋として使えた。
戦略成功である。

ただ、戦術でミスがあった。
カセットデッキに、エルカセットを選んでしまったのだ。

エルカセットは、テープ幅は倍、サイズは倍(したがって体積8倍)。

テープスピードも倍。音は圧倒的に良い規格である。
比較するとわかるが凄い大きさだ。これを見よ。

当然、良い音だった。

コンパクトカセットは、決してケースからテープは出ないので、回転精度を上げるのに限界がある。

Lカセットは、カニの手のようにカセットケースが開いて、そこからテープが外に出てデッキの中にローディングされる.

当然 回転精度は良い。

 

これを買ったおかげで、テープレコーダーのメカに興味がわいた。

ビデオデッキの技術を応用したという売り文句だったが、別に回転ヘッドがついているわけではない。
テープ自体はオープンリールテープと同じ規格であり、流用が利く、ということであった。

しかし、だれも買わない。
だから投げ売りされたのだが、なぜ売れないかというと、なんといっても、テープが高い。

コンパクトカセットだと、C60は4本で1000円で売っている。1本だと250円。安い。
Lカセットは、同じ60分では1500円、値引きしてもらっても1400円する。
普及しないので、値引きも悪いのだった。


こんな高いテープでエアチェックするのだったら、輸入盤でLPを買った方がよい。
 

ランニングコストの問題は、買う前から頭の中では知っていた。

では、なんで選んだというと、SONYのEL-5という中級機が、あまりに売れなかったので、半額で投げ売りされていたのだ。

6万円だった。半額という触れ込みに合理的な判断がゆがんで、本能で買った(正確に言うと買ってもらった)わけ。

 

実際に製品を買った後、テープが余りに高くて、何本も買うなんて、とてもできない。
挽回のできない、決定的なミスをした。

まぁしかし、世の中、なんとかなるものである。
ちょうど、兄がカセットデッキ買い替えて、TEAC A-450がいらなくなったというので、ゆずりうけた。

これで、僕もカセットデッキがつかえるようになった。

自己録再するのであれば互換性不要と思っていた考えは全く間違いであった。

総合コストを考えねばならぬ。

教訓になった。

もうずいぶん前の話。

我が家に最初の音響セットがやってきたことを覚えている。

30cmのLPレコードが乗って、ターンテーブルがくるくる回る、レコードプレーヤー。
スピーカーも内蔵していたけど、スピーカーを別に購入して、ステレオ音声が再生できた。

電蓄と呼ばれる、今からみるとチャチな玩具だけど、高級なモデルは、いかにも高級そうな
ケバケバした木の装飾がついていて、車より高価なものもあったと思う。1960年代の話だ。
 

1970年代に入り、我が家で買いこんだ買ったステレオセットが、テクニクスのCD-4対応の製品だった。
この時代が、サラウンド再生のスタートになったと思う。

レシーバーとプレーヤーが1つの木調家具調ラックに一体化され、そのラック下部は空きがある。その空きはレコードを入れるようになっているのだけれど、カセットデッキを入れる人が多かった。FMステレオ放送が始まっていて、エアチェックするのが流行っていたのだ。

カセットデッキは、デッキTEACのA-450だった。

ドルビーFMに対応していた機器で、それで選んだのだと思うけど、そんなFM放送は実用化されなかったな.

 

ワウフラッター0.07%、ドルビーNR、VU計+ピークLEDという当時としては圧巻の性能機能だったけど、それよりも、ピアノタッチの操作メカの感触は素晴らしかった。これですっかり僕はTEACファンになった。1972年発売とTEACの歴史に書いている。

CD-4ステレオセットの型式は覚えていないけど、同じ年の製品だったのだと思う。

CD-4のステレオセットには、スピーカーが4本ついていた。
フロント2chは、家具調のレシーバーに合わせた豪華に見えるがスカスカに軽い木製。
さらに、リアスピーカーがついていた。高い位置に壁掛けするようにできていて、部屋の後ろ側に設置するよう推奨されていたので、今風にいうと、バックサラウンドハイになる.

壁掛けができるくらいに、十分に軽い、いいかえるとチャチなものだった。

4chのフォーマットは、世の中にたくさんあったけど、CD-4だけが4chで完全に独立した音が出る。

いまにして思うと、セパレーションも悪かったし、そもそも、ソースがなかった。

ステレオセットを買うとオマケにくれるLPがあって、ポールモーリアと、尾崎紀世彦のCD-4の世界、その2枚のみしか、我が家にはなかった。

だって、売っていないのだから、仕方がない。
いま検索をかけても、3流のソースだけしかなかったようだ。


結局、ステレオレコードをCD-4 モードで再生しても、4chにデコードできないので、リアSPは無用の長物だったわけだ。

CD-4以外の、マトリクス方式の4chであれば、2chソースも4ch化できるので、それを買った方がよかったことになる。

でも結局、4chの再生方式は、どの方式も、すべてコケた。

各社がソース不在の中、技術優劣だけを自社が優れていると主張する,ガキのケンカ並みのレベルの低さ、だったのだ。

 まぁ、家にあっただけであって、僕が選んで買ったものでないけど、このステレオセットのおかげで、オーディオに興味を持ったので、思い出深い。