「ブレードランナー ホワイトドラゴンカット」を愛でる会 | 映画復元師シュウさんのブログ

「ブレードランナー ホワイトドラゴンカット」を愛でる会

去る11月23日(土)ブレードランナーファンの有志で「ブレードランナー ホワイトドラゴンカットを愛でる会」を行った。

 

 

そもそも皆さんは「ホワイトドラゴンカット」をご存知か?

ファンエディットの一つで、北陸のブレランマニア、KAZUCHOICEさんが編集された逸品。
実は、過去にも少し紹介している。

“ぶれらん”編集仲間 降臨! | 映画復元師シュウさんのブログ

集中連載「ホワイトドラゴン・カット 最速レビュー」 その1 | 映画復元師シュウさんのブログ


集中連載とか言いながら、途中で止まってしまったのは恐縮な限り💦

この時は、バージョン4だったんだね。

 

要は、「ブレードランナー」の最初期の脚本である、1981年2月23日付けのデイヴィッド・ピープルズ名義の脚本をベースに、物語を初期の構想に戻す試み。

実は、僕の「究極試写版」と目指す方向性は同じなのだ。

 

ただ、アプローチの仕方が全く異なるため、お互い刺激を与えながら、これまで編集に励んできたのだ。

では、この「ホワイトドラゴンカット」が、僕の「究極試写版」とどこが違うのか?

 

「究極試写版」が、あくまでも”現存するブレードランナーの素材”にこだわって、可能な限り、初期のアイディアを目指すのに比べ、「ホワイトドラゴンカット」では、脚本そのものに忠実になるため、撮影されなかったシーンは、CGによって補完したり、追加したりしているのだ。

 

 

さらには、シド・ミードの構想した未来都市にも着目して、予算やスケジュールの関係で作られなかったオリジナルのセットデザインをCGで再現。

凄すぎるよね!

 

そして、めでたくも「ホワイトドラゴンカット」はバージョンは5.0を迎え、無事に完成したという!

こちらは、最終的な予告編。

 

そこでイベントの第一部では、「ホワイトドラゴンカット」でKAZUCHOICEさんが制作したCG部分が公開されたのだ。

これが、今回の上映のためにわざわざ作ったというブルーレイ。

「ホワイトドラゴンカット」のメイキングや、CG部分の映像がぎっしり詰まっている!

 

会場には、参加者が持ち寄ったブレードランナーにまつわるお宝グッズが所狭しと並べられた。

 

イベントは、KAZUCHOICEさん(右)の尋常ならざる情熱に当てられた3時間だった。
一例を紹介する。

 

シド・ミードの描いたビジョンを、どのようにCGで再現するか悩んでいた時に、実際の映画で様々なデザインを担当したトム・サウスウェルさんが、セットのブループリント(設計図)を提供してくださった話。

 

シド・ミードの描いた未来都市のイラストは、建設しやすいように、ワーナーのバックロットを基に描かれていた。
ところが、撮影場所に考えていた候補地のひとつが、映画「アニー」の撮影で使われてしまい、急遽別の場所での撮影になったという。

 

その撮影しようとしたシーンとは、レオンがロイと合流するシーンだった。

 

では、「アニー」で使われてしまった、本来の撮影場所とはどこだったのか?

KAZUCHOICEさんは、グーグルマップを駆使して、シド・ミードのイラストと見比べながら探したという。

そして、ついにその場所を発見し、サウスウェルさんに確認。

見事、その場所だったとのお墨付きを得た。

 

そこで「ホワイトドラゴンカット」では、判明したその場所の写真を基に、CGで作った看板やネオンサインを貼り付けていったという。

 

イベントの第1部の会場になったのは、いつもお世話になっている、浅草人形町にある「BASE-COM」。

脚本家のヘビー・ウェイト、柏原寛治さんが運営している私設の劇場。

KAZUCHOICEさんが持ち込んだお手製ポスターを、有難いことに柏原さんご本人が、セロテープなどで貼ってくださった。
かの「傷だらけの天使」「大都会」「あぶ刑事」「ルパン」「コナン」などなど、多くの名作を手掛けてらっしゃったあの大物に雑用をさせてしまい、本当に恐縮です…。

言い訳すると、スタッフは僕とKAZUCHOICEさんの二人きり。
どうしても人手が足りないんだよね・・・💦

 

柏原さんは大のポスターコレクターとしても有名で、今回のイベントに合わせて、通路には、リドリー・スコット作品のポスターをズラリと並べてくださった。

こういう心遣い、いつも本当にうれしくなる。

ああ、全部欲しい!!!!!!!

 

そして1部の終了後は、即席の写真撮影大会。

今回は、なんとブレードランナーが3人も!

それぞれ味があっていいっすね!

果たして、どれが本物なのか?

そして紅一点のレイチェルが印象的。

 

とはいえ、皆さん、生物学的には男性なんですよね😝

 

毎回、イベントでレイチェルのコスをしてくださるさやぶーさん、感謝感謝!

今回はここまで!

 

【深堀菜美のひとくちメモ】

image

KAZUCHOICEさんが復元しようとしたシド・ミードの画集がコチラだよ。

「ブレードランナー」だけでなく、「エイリアン2」や「トロン」「ガンダム」「ヤマト」などなど、色々な参加作品が紹介されているから、面白いよ!