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その3:「ブレードランナー」撮影されなかったゾラのスネークダンスを再現する「ボーティン登場」

成り行きの連載としてお届けしている、撮影されなかったゾラのスネークダンスについて。
実は、一つ思い出したことがあった。

僕が敬愛している元映画ジャーナリスの中子真治さんに昔インタビューした時、彼からゾラのスネークダンスについて、興味深いエピソードを伺っていたのである。


それがこちら。↓ 14分35秒からご覧いただきたい。


いかがだろう。
特殊メイクアップアーティストのロブ・ボーティンによるスネークダンスの案が紹介されていたのである。

※注:動画の中ではロブ・ボーティンの発音を「ボッティン」と表現しているが、中子さんは、ロブ本人から「ボーティン」だと直接聞いている。

「ゾラの腹が裂けて、中から大蛇が現れる。
そして、その大蛇とファックし合うようにして踊る…」

これは、なかなか刺激的なアイディアだが、我々が知る「ブレードランナー」のイメージとはかけ離れているようにも感じる。

とはいえ、前回の記事で紹介したように、スネークダンスをクレイアニメ(ストップモーションアニメ)で撮影を予定していたという話からすると、この可能性はあったと考えられる。
 

さらに他の文献では、ロブ・ボーティンに参加要請があったのは事実で、驚くことに、中子さんがボーティンから聞いた内容と異なるアイディアも披露されているのである。

恐らくだが、スネークダンスは、その企画開発中に、様々なアイディアが生まれては消えていったのだと考えられる。

そこで、非常に興味深い話なので、ロブ・ボーティンのアイディアによるスネークダンスをまとめた研究記事を、そのまま紹介する。

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リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』の制作史には、映画本編には登場しなかった伝説的な未使用コンセプト、シーン、サブプロットが数多く存在する。
たとえば、後に続編で再利用されることになった農場のオープニング、ハロウィンⅢの女優ステイシー・ネルキンが演じる予定だったレプリカントのメアリー、レプリカントの大量の死体が埋められた墓からロイ・バッティが這い出してくるという別バージョンのオープニング(脚本家ディヴィッド・ピープルズは、後にカート・ラッセル主演のSF映画『ソルジャー』で似たシーンを使用している)、バッティがレプリカントのタイレルを殺した後に発見する、冷凍保存された「本物の」エルドン・タイレルなどである。
 

しかし、リドリーがこの映画のために考えていたアイデアの中には、あまり知られていないものが一つある。

それは、史上最高のモンスター造形師の一人の才能を必要とするものだった。

1981年の春、スコットが『ブレードランナー』の撮影を開始した頃、ジョー・ダンテ監督は、ホラーというジャンルを映画の未来へと引っ張っていこうとする新作ホラー映画を公開した。

それが『ハウリング』だった。


ダンテは、当時まだ新進気鋭だったクリーチャー・エフェクト・アーティスト、ロブ・ボーティンの協力を得て、狼男映画を現代化しようとしていた。

この映画の最大の見せ場は、ロバート・ピカード演じる狼男の連続殺人犯エディ・クイストが、スクリーン上で狼男へと変身するシーンだった。

ボーティンと彼のスタッフによる精巧な特殊メイクとアニマトロニクスを使ったエフェクトによって、それまでにない変身シーンが作り上げられた。


同じ年、ボーティンの師匠であるリック・ベイカーも、『狼男アメリカン』の変身シーンで同様の技術を駆使した。

そして翌年、『ブレードランナー』とジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』が同じ日に公開されることになる。

カーペンターの映画では、人間からさまざまな異形の宇宙生物へと変貌する場面が、ボーティンの手によって次々と描かれた。

 

SF・ホラー映画は変わりつつあった。

そしてボーティン、ベイカー、スタン・ウィンストンのようなアーティストたちは、それまで映画では実現不可能と思われていた新しい生物や光景をスクリーン上に生み出すことで、映画業界そのものを変えようとしていた。


では、なぜリドリーは、エイリアンやモンスターがほとんど登場しないSF映画のために、こうしたクリーチャー造形のスペシャリストを必要としたのだろうか?

それは『スター・ウォーズ』やリドリー自身の『エイリアン』、そしてそれらの模倣作品が大量に生み出した「エイリアンやモンスター」の映画とは、明らかに一線を画すものだったはずだ。

もし『ブレードランナー』もまた、人間――あるいはアンドロイド――がスクリーン上で「別の何か」へと変身する映画だったとしたら?

【ゾラ】

『ブレードランナー』の脚本家ハンプトン・ファンチャーと、『レジェンド/光と闇の伝説』の脚本家ウィリアム・ヒョーツバーグは、リドリーとともに行った素晴らしい脚本開発セッションについて語っている。

そこではアイデアが次々と飛び出し、そのたびに前のアイデアよりもさらに大胆なものになっていったという。

そして最終的には、リドリー自身が現実的に実現可能な範囲までアイデアを抑えなければならなかった。

おそらく、そうしたセッションの一つで、リドリーは非常に奇妙で、しかし魅力的なアイデアを思いついたのだろう。


「もしレプリカントが姿を変えられるとしたら?」

ロブ・ボーティンはリドリー・スコットから『ブレードランナー』への参加を依頼されたものの、それを断らざるを得なかった。

後に二人が『レジェンド』で仕事をした際、ボーティンは『シネファンタスティック』誌にその理由を語っている。

「すでに『遊星からの物体X』の仕事を引き受けていたからだ」

1985年、『レジェンド』公開前のインタビューで、リドリーは『スターログ』誌にこう語っている。

「ロブとは2年ほど前から知り合いだった。ある時点で、彼に『ブレードランナー』へ参加してもらおうとしたんだ。『ブレードランナー』が、最終的に出来上がったものよりもずっとエキゾチックな映画として設計されていた頃のことだ。

ロブには、人間から出現し、ストリップショーの最中に動物へと変化していくクリーチャーを作ってもらう予定だった。

だから、実際にはストリップショーではなかった。メタモルフォーシス(変身)だったんだ。

素晴らしいものになっただろう。でも、実現しなかった」

リドリーが言っているのは明らかに、計画されていたものの撮影されなかったゾラのスネーク・ダンスの非常に野心的なバージョンのことである。

ジョアンナ・キャシディ演じるレプリカントのゾラは、舞台名「サロメ」を名乗り、タフィー・ルイスの「スネーク・ピット」というバーで踊る予定だった。

これは、ブライアントがデッカードに語るブリーフィングにも新たな意味を与える。

ブライアントがゾラの経歴資料を確認した後、

「美女と野獣ってわけだ。彼女はその両方だ」

と皮肉を言う場面である。

 


シド・ミードとメンター・ヒューブナーは、どちらもこのスネーク・ダンスのコンセプトアートを制作している。

しかし、そこにはゾラ本人やダンスが具体的にどのような姿になる予定だったのかを示すものはなく、観客やホールの空間の中にいる彼女の姿を遠くから描いたものにとどまっている。


また、現在オンラインで閲覧できる脚本にも、”セックスショー”を示唆する非常に漠然とした記述はあるものの、変身についての具体的な説明はない。


ファンチャーによる初期稿では、ゾラはベリーダンサーで、籠から蛇を取り出すことになっている。

ただし、場所はタフィーの店ではなくオペラハウスだった。

これはフィリップ・K・ディックの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』から直接取り入れたものだ。

ゾラのモデルとなったキャラクター、ルーバ・ラフトはオペラ歌手である。

ちなみにクラシック音楽は、ディックが非常に強い関心を持っていたものの一つだった。


ファンチャーとピープルズの両名がクレジットされた別の脚本稿では、ゾーラと蛇がそれぞれステージ上の卵から出現することになっている。

つまり、「エロティックな誕生シーン」である。

そして、その後のダンスについては観客――あるいはリドリー――の想像に委ねられていた。

「ステージ上では、蛇とサロメがセクシーなことをしている」

とだけ記されている。


映画公開から25年後、リドリー・スコットは包括的なメイキング・ドキュメンタリー『デンジャラス・デイズ』の中で、このシーンについて、これまでとは逆方向の説明をしている。

ゾーラが蛇へ変身するのではない。

「彼女自身が蛇であり、そこからゾーラへとモーフィングする」というものだった。

ロブ・ボーティンを撮影前に確保することができなかったにもかかわらず、スコットはなおこのシーンを撮影する構想を持っていた。

「クレイ・アニメーション」、つまりストップモーションを使う予定だった。

ステージ上の泥の穴から、ゾラ=蛇が現れる。

そして変身が起こり、その変身シーンから、実際のジョアンナ・キャシディが蛇を抱いて踊る場面へとつながっていく。


キャシディを使ったメイクアップ・テストも撮影されている。

そこでは彼女は、粘土あるいは泥のような質感のメイクを施され、エジプト風に見えるヘッドドレスを着けている。映画の悪名高い予算問題を考えると、リドリーにはこの実写部分を撮影する資金すらなく、ましてやポストプロダクションでストップモーションによるエフェクトを制作する資金など残されていなかった。

【サロメのダンス】

しかし、この「壮大な」セットピースが存在したことを裏付ける証拠は、ほかにはほとんど残っていない。

脚本も、ストーリーボードも、リドリー自身が描いた「リドリーグラム」と呼ばれるスケッチも存在しない。

では、このシーンの詳細は、リドリーの頭の中だけに存在していたのだろうか?

実は、プリプロダクション時代の資料の多くは、制作拠点が開発オフィスからワーナー・ブラザースの撮影所へ移された際、引っ越し業者によって捨てられてしまった。

『ブレードランナー』研究家ポール・M・サモンに対して、制作責任者のケイティ・ヘイバーはこう嘆いている。

「あれは大惨事だった。

今日、『ブレードランナー』の初期段階についての資料を見つけるのが非常に難しい理由の一つだと思う。

撮影が始まる前に、すべて失われてしまったんだから」

しかし、ボーティン自身は、1986年に後の映画監督クリストフ・ガンズ(彼は後に『ジェヴォーダンの獣』や『サイレントヒル』といった優れたジャンル映画を監督することになる)からフランスの映画雑誌『スター・フィックス』のインタビューを受けた際、初めてリドリー・スコットに会ったときのことと、スコットが彼に「完全な自由」を与えて作らせようとしていたシーンについて語っている。

「ワーナーでリドリーに会った。

彼はそこで『ブレードランナー』を始めたところだった。

彼は『ハウリング』が大好きだと言って、僕に『ブレードランナー』でエフェクトを担当してほしいシーンがあると話した。

キャバレーで、あるクリーチャーがストリップショーをするんだ。

そして最後には、そのモンスターの中から美しい女性が現れる。

実は、そのモンスターは一種の繭にすぎない。

彼は、その繭のデザインについて僕に完全な自由を与えると言った。

そして、そのエフェクトの撮影を監督する権利も与える、と。

僕は彼に、『遊星からの物体X』の契約をすでに結んでいるので、彼の仕事をすることは不可能だと伝えた。

すると彼は、『ブレードランナー』の後に、『Legend of Darkness』という映画をやる予定だと言った。

それはトールキン風の、多くのクリーチャーが登場するおとぎ話だ、と説明してくれた」

1982年6月25日、「ブレードランナー」と「遊星からの物体X」は、ほぼ同時に公開された。

しかし両作品を待っていたのは、批評家からの冷淡な、あるいは露骨に敵意のある反応と、低調な興行成績だった。

当時、この2本の映画が後にそれぞれのジャンルを代表する古典として評価されるようになるとは、おそらく誰も予想しなかっただろう。
 

一方はディストピア未来像の決定版となり、もう一方は、想像力と映像表現において、おそらく二度と超えられることのない究極のモンスター映画となった。

数十年後、ギレルモ・デル・トロはツイッター(X)でこう振り返っている。

「82年、『ブレードランナー』を観た。
客席は半分も埋まっておらず、映画館では実際にブーイングが起きていた。

それとはまったく対照的に、僕には映画の視覚的な境界そのものが広がっていくのを感じた」

そしてリドリー・スコット自身も、『ブレードランナー』だけが不当に評価されているわけではないことを認識していた。

  
1982年、『ブレードランナー』の宣伝中に『スター・バースト』誌のインタビューを受けた彼は、『遊星からの物体X』についてこう語っている。

「『遊星からの物体X』は、とてもよくできた映画だと思う。

彼(カーペンター)のこれまでの作品の中でも、特にうまく作られた映画の一つだ。

実は、次に僕が作る映画でロブ・ボーティンと一緒に仕事をしたいと思っているんだ。

その映画は1年前から脚本が書かれていて、今まさに製作へ移ろうとしているところだ。

暗黒時代を舞台にしたおとぎ話なんだ。

もし一緒に映画を作ることになれば、僕たちは二人とも、クリーチャーの世界にもっと穏やかな側面を持たせたいと思っている。

僕は本当に、ボーティンが最高の人物だと思っている。

『遊星からの物体X』で起きていることには、実に驚くべきものがあるよ」  

その2:「ブレードランナー」撮影されなかったゾラのスネークダンスを再現する

またまた「これで終わり詐欺」しちゃいました💦
「撮影されなかったゾラのスネークダンス」の完全版をリリースです。

 

プロトタイプからの変更点としては…
・AIで生成した映像は、プロトタイプよりも、さらに色の調整を行って、前後の本編映像との違和感を低減させた。
・ステージから砂丘が消える場面をスローにして、よりスペクタクル感を増した。
 ・ヘビがゾーラの首を絞めつける場面で、ゾラの吐息を追加した。

僕は「映画復元師」とかいうインチキな名前で活動しているけど、手垢がついたと思ってる映画を改めてフカボリすると、思いがけない「発見」や「視点」が見つかることが多い。

いま編集している「ブレードランナー究極試写版」でも、新たな発見があって、見慣れたはずのブレードランナーに新たな印象が加わっている。
特にこの一枚の写真を見た時が、新たな視点を得た瞬間だった。


本来ゾラは、このエジプトの冠風の帽子を被ってダンスをするはずだったんだと気が付いたから。

この帽子については、高橋ヨシキさんにアドバイスを頂き、さらには「ブレードランナー」のソフトの特典「デンジャラスデイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー」には、なんとジョアンナ・キャシディが、この帽子を被っているテストショットが紹介されているではないか!

これによって、この帽子を被ってダンスするはずだったことは間違いなかったと確定した。

そこから色々とリサーチを重ねる中、ゾラを演じたジョアンナ・キャシディーのインタビューでも、この帽子について言及されていて、詳細が徐々に明らかになっていった。


となると、ずっと、どうにかして「視覚化」できないかと模索していたわけだ。
これまでは、技術が追い付かないし、スコットが撮影した素材のみで構成するのが”筋”だと考えてきたから、このシーンの再現も視野の外に追いやっていた。

だが、資料も揃ったし生成AIの技術で、ある程度まで「視覚化」できると分かったため、「禁断」の領域に踏み込んだのである。

ただし苦労の連続で、ゾラは全裸に近いゆえに生成AIのサブスクモデルだと弾かれてしまい、困っていた。
結局は、オープンソースのminimax H3の登場でなんとか再現に漕ぎつけられたという次第。

でもね、AIモデルがなかなかいう事を聞いてくれないのは生成者の悩みの常だ。
例えば、ゾラが砂丘から現れるシーンでは、「ゾラは昇降台乗ってステージに登場するが、昇降台そのものは見せない」というプロンプトを打っても、昇降台がしっかり映ってしまう。


また、「センシティブな表現、乳首や局部は見せない」という指示を与えても、なぜかAIは、見せようと頑張ってしまうから、編集段階での修正が大変だった😅

本来ゾラは、局部に”前張り”が施され、煌びやかなスパンコールを纏っているから、全裸ではないし、セクシーだけどイヤらしい印象はないんだよなあ。

実は、ゾラのスネークダンスを調べていくと、なぜスコット監督が、クレイアニメを使ってゾラのスネークダンスを表現しようとしたのか、その驚くべき内容が明らかになってきた。

それは改めて紹介する。


【資料的な価値が高いアイテムたち】

 

 

 

その1:「ブレードランナー」撮影されなかったゾラのスネークダンスを再現する

「ブレードランナー」で、魅惑的なスネークダンスを披露する予定だったレプリカントのゾラ。

残念ながら、このダンスは撮影される事は無かった。
この件について、ゾラを演じたジョアンナ・キャシディはインタビューでこう語っている。
ジョアンナ・キャシディ
「観客が初めてゾラを目にするのは、『スネーク・ピット』と呼ばれるいかがわしいナイトクラブの廊下を、楽屋に向かって歩いていくシーンです。脚本上では、ハリソン・フォード演じるデッカードが謎を解き明かし始めるちょうどその頃にあたります。リドリー・スコット監督と私は、ヘビとのダンスシークエンスについて話し合い、スローモーションで砂丘から現れるゾラの姿を思い描いていました。まず彼女の手が砂粒をまとって現れて彼女の存在を示し、ダーリン(注:キャシディの飼いヘビ)も同じように姿を現すという演出です。」

ジョアンナ・キャシディ
「リドリー・スコットが描いた絵コンテでは、すり鉢状の非常に急な傾斜の客席に囲まれたアリーナの中央にステージがあり、観客が巨大な砂丘を見下ろす構造になっていたの。ヴァンゲリスによる音楽が流れ始める――とても官能的な旋律よ。そして砂丘の片側からゾラの指先がスローモーションでゆっくりと砂から現れ、反対側からはヘビが同じように姿を現す。二者は出会い、触れ合い、互いを見つけ、絡み合ってダンスを始めるの。砂は床の隙間から下へと吸い込まれていき、最後に残ったプラットフォームの上でダンスが繰り広げられるという演出だった。映画の撮影期間中ずっとそのダンスのリハーサルを重ねていたのに、結局撮影されることはなかったのよ。」

https://media.bladezone.com/zhora.php
ジョアンナ・キャシディ
「ダンスシークエンスにおいて、リドリーは全裸のゾーラがヘビと舞う短くも美しい描写を望んでいました。しかし実際の撮影段階になると、衣装を着せる方針に切り替えました。その衣装は、絶妙な位置に配置された比較的小さな3枚のナイロン地と、私の肌に直接丁寧に貼り付けられた何千枚ものスパンコールで構成されていました。あのシーンのメイクには3時間もの時間を要し、多大な忍耐が求められました。」


ジョアンナ・キャシディ
「ダンスシークエンスの衣装に関して言えば、パフォーマンスを終えたゾラが「スネーク・ピット」の楽屋へ持ち帰る(身につけている)、エジプト風のヘッドドレスについても触れておきたいと思います。エキゾチックなヘビのダンスシーンに向け、リドリーが観客に抱かせたかった印象は、砂丘の下の埋葬地から蘇った女王の姿でした。結局ダンスシーン自体がどうなったにせよ、あのヘッドドレスが本来どう映るはずだったのかは分かりませんが、結果として小道具として使用され、その役割を十分に果たしました。ダークなメイクと相まって私の姿を巨大に見せ、まるで頭から直接生え出ているかのような見事な仕上がりでした。」

今回の「ブレードランナー究極試写版5.1chリマスター」では、この証言を基に、失われたゾラのスネークダンスを再現する。
 
ポイントは、キャシディの証言にもあった、ゾラが持っていたエジプト風のヘッドレストだ。
実はテストショットではキャシディ姐さんはこれを被っており、スチール写真でも、ゾラがヘッドレストを持っているのが確認されている。
これを被れば、これまで皆さんが抱いていたゾラのスネークダンスとは、異なる印象になると思われる。

ちなみに興味深いのは、「フューチャーノアール/メイキング・オブ・ブレードランナー(P.M.サモン著)」では、このゾラのスネークダンスは、クレイメーション(人形アニメ)で行われる予定だったと記されている点だ。

ジョアンナ・キャシディ
「ゾーラは砂山で覆った一段高いステージで踊ることになっていたのよ。最初に、砂山から小さな砂の流れが始まる。風に吹かれたようにしてね。そして、キャメラが引くと、小さな砂の流れが集まって、人間の形を作る…私の姿になってゆくの。私は砂山から出て、砂の下から出てきたヘビに手を差し伸べる。するとヘビの舌が、私の手に向かってチョロチョロと出る。ヘビを持ち上げると同時に、ゾーラのダンスが始まるのよ。クレイメーションのエキゾチック・ダンスなんて。ちょっと素敵じゃない?」

 
お分かりのように、キャシディの証言には、少し食い違いがある。
そのため、どう表現すればよいのか頭を悩ませてしまった。

 
だがヒントは、キャシディが語っているスコットの狙いにあった。
「
リドリーが観客に抱かせたかった印象は、砂丘の下の埋葬地から蘇った女王の姿でした。」

そう!女王の復活を印象的に表現できれば良いのだ。
砂粒が集まって人の形になるのは、確かにクレイメーションとしては魅力的だけど、実際のステージでの表現だとしたら、ややリアリティに欠けるし、ブレードランナーの世界に合うのか疑問が残る。

そこで、最初のインタビューの証言を採用して、ステージに堆く盛られた墓場のような砂山から、ゾラの2本の腕がしなやかに飛び出し、やがて、優雅にゾラが砂山から現れる…という表現で行くことにした。


(↑今回生成したステージのイメージ)
 
いずれにしろ、あまりにもハードルが高い再現だけど、誰も観たことがないダンスだからこそ生成する価値がある。
なかなかminimax H3は言うことを聞いてくれないから大変だけど、何となく目処がついてきたからお伝えしました💦
 
少しずつ、焦らず作っています。 なお、AIのGeminiに作らせた絵コンテがコチラ ↓ 確かにキャシディの証言に近いけど、リアルさがない。
参考にしつつ、結局は、コンテを切るのは自分で行っている。
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