本日でお年玉もラストになります。
明日は、共通テスト本番。
今回のお年玉でお話ししたアプローチを使えば、必ず正解への糸口が見つかるはずです。
見つかるようにできているのが共通テストです。
皆さんの検討を祈ります。
問題文はこちらにあります。
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=434&f=abm00003695.pdf&n=2023_os_05_nihonshiB.pdf
こちらは、追試験終了まで公開します。
追試験が終わったら、再編集して書籍化される予定です。
【必要な知識】
高橋由一の「鮭」 明治時代
日本が中国に特殊利益を持つことを認める日米間の協定 日露戦争の頃に締結
辛亥革命 1910年代
九カ国条約 第一次世界大戦の直後に締結
小林多喜二 プロレタリア文学(大正時代後半以降)
補助艦の保有量を定めた軍縮条約 昭和初期に締結
朝鮮特需 1950年代前半
サンフランシスコ平和条約 日本が独立を回復した条約
佐藤栄作内閣(1960年代) 日韓基本条約が締結された
高度経済成長期 沿岸部に工業地帯が形成された
高度経済成長期 第一次産業従事者が減少していた
四日市ぜんそく(四大公害訴訟) 大気汚染を原因とする
1980年代半ば以降 急速な円高が起こった
第6問
問1 ① 正文選択
① 1908~1915年の漁獲是の推移には,日露漁業協約によってロシア沿岸の漁業権が日本の漁業者にも対等に認められた影響が表れていると考えられる。
② 1916~1918年の漁獲呈の推移には.日本国内の不況による需要の減退の影誓が表れていると考えられる。
③ 1919~1921年の漁獲量の推移には日露漁業協約の期限切れにともなうロシア沿岸の漁場からの日本の漁業者の締め出しの影響が表れていると考えられる。
④ 1922~1928年の漁獲畢の推移には.浜口雄幸内閣による産業合理化政策の漁業への波及の影響が表れていると考えられる。
解説
① 1908年から1915年にかけて日本漁船の漁獲量は3倍以上になっています。史料1を読むと,第二条に「日本国臣民は」,「露四亜国臣民と同一の権利を享有」するとあるので,この選択肢は正しいと言えます。
参考
② 1916~1918年は,日本は大戦景気の真っ只中でした。ですから「日本国内の不況による需要の減退」の部分が誤りとなります。
③ 1919~1921年の漁獲量は上がっているので,「日露漁業協約の期限切れにともなう」悪影響は出ていないと考えられ,この選択肢は誤りとなります。
④ 「浜口雄幸内閣による産業合理化政策」は1930年代初頭のことです。「1922~1928年」のことではないので誤りとなります。
問2 ① 正文選択
X 荒縄でつるされた塩鮭を題材とする絵が,高橋由ーによって描かれた。
a 西洋の産業技術や社会制度,生活様式を取り入れて,文化や生活の西洋化を推進しようとする,文明開化の風潮が生じていた。
b 第一次世界大戦後の都市化と工業化の進展のなかで,市民の生活や文化の洋風化が進んだ。
解説
高橋由一の「鮭」は,明治時代に書かれた絵画です。bは大正時代のことを記しているので,自動的にaが正しいとなります。
【必要な知識】
高橋由一の「鮭」 明治時代
Y 蟹の缶詰め作業に従事する労働者を題材とする小説が,小林多喜二によって書かれた。
c 日清戦争前後における労慟力需要の高まりのなかで,待遇改善を求める手段として,上場労働者たちによるストライキがはじまった。
d 各府県に特別高等警察が置かれ,共産主義運動に対する取り締まりが強化された。
解説
小林多喜二は,プロレタリア文学の小説家です。プロレタリア文学は大正時代後半以降に登場します。日清戦争前後の小説ではないのでcが誤りとなり,正解はdです。
【必要な知識】
小林多喜二 プロレタリア文学(大正時代後半以降)
問3 ③ 年代整序
Ⅰ 中国の領土保全・機会均等を確認する9か国間の条約が締結された。
Ⅱ 日本が中国に特殊利益を持つことを認める日米間の協定が交わされた。
Ⅲ 主要国間で補助艦の保有量を定めた軍縮条約が締結された。
解説
Ⅱ 「日本が中国に特殊利益を持つことを認める日米間の協定」とは,日露戦争の頃に締結された桂・タフト協定です。
Ⅰ 「中国」に関する「9か国間の条約」は,第一次世界大戦の直後に行われたワシントン会議で締結された九カ国条約です。
Ⅲ 「補助艦の保有量を定めた軍縮条約」は,昭和初期に締結されたロンドン海軍軍縮条約です。
よって,ⅡーⅠーⅢとなり,正解は③となります。
【必要な知識】
日本が中国に特殊利益を持つことを認める日米間の協定 日露戦争の頃に締結
九カ国条約 第一次世界大戦の直後に締結
補助艦の保有量を定めた軍縮条約 昭和初期に締結
問4 ① 正文選択
a この会議が開かれた1920年代には山東出兵が行われ,中国側との武力衝突が起きた。
b この会議が開かれた1920年代には辛亥革命が起こり,中国との関係が悪化した。
解説
辛亥革命は1910年代に起こりました。よってbは誤りとなり正解はaです。
【必要な知識】
辛亥革命 1910年代
c この会議では,中国領海に接近して紛争が起こっても事後対応で構わないと考える漁業者に対して注意を与えなければならないとされた。
d この会議では,中国が日本の出漁船に対策を講じるような場合は,艦船を派遣して中国に警告するとされた。
解説
c 「漁民」は「其の後に対策を講ずれば良いと云う考えを抱く者」が少なくないので「彼等に充分の注意を与うる事必要」と記されています。ですからcが正しいとなります。
参考
d 「日本の出漁船に対し何等かの対策を講ずべき情報あれば」,「当業者に警告」するようにとあります。「艦船を派遣して中国に警告する」のではないので誤りとなります。
問5 ② 空欄補充
アジア太平洋戦争(太平洋戦争)での敗戦により,日本は連合国の占領下に置かれ
た。日本は[ ア ]に調印して独立を回復すると,近隣諸国との国交樹立に際して
漁業協定を締結した。
ア サンフランシスコ平和条約 日米行政協定
解説
日本が独立を回復した条約はサンフランシスコ平和条約です。日米行政協定は米軍基地に関する協定です。
【必要な知識】
サンフランシスコ平和条約 日本が独立を回復した条約
佐藤栄作内閣期に[ イ ]が締結されるなどしたが,そこでは必ず漁業協定について交渉することが取り決められたのである。
イ 日ソ基本条約 日韓基本条約
佐藤栄作内閣の時期ということは1960年代になります。1960年代に締結されたのは日韓基本条約です。日ソ基本条約は1950年代の鳩山一郎内閣の時に締結されました。
【必要な知識】
佐藤栄作内閣(1960年代) 日韓基本条約が締結された
問6 ④ 正誤判定
X 1950年代半ば以降の主要エネルギーの転換によって,高度経済成長期に工業地帯は沿岸部よりもむしろ,内陸部にひろがった。
高度経済成長期は太平洋ベルト地帯を中心とする沿岸部に工業地帯が形成されました。「内陸部にひろがった」の部分が誤りとなります。
【必要な知識】
高度経済成長期 沿岸部に工業地帯が形成された
Y 工業化が進むなかで発生し,四大公害訴訟で知られる4つの公害病は,水質汚濁を原因とする点で共通する。
四大公害訴訟のうち,四日市ぜんそくは大気汚染を原因とするものでした。「水質汚濁を原因とする点で共通する」の部分が誤りとなります。
【必要な知識】
四日市ぜんそく(四大公害訴訟) 大気汚染を原因とする
問7 ③ 正文選択
① 1950年代後半に,一人当たり消費置が50kgを超えた。背景には,この時期に生じた朝鮮特需による所得の上界がある。
解説
朝鮮特需は,1950年代前半のことです。「1950年代後半」ではないので誤りです。
【必要な知識】
朝鮮特需 1950年代前半
② 1960~70年代には一人当たり消費量が増えても,自給率は100%前後を維持できていた。背景には,この時期に続いていた第一次産業従事者の増加による漁獲量の増加がある。
解説
高度経済成長期は第一次産業従事者が減少していました。「第一次産業従事者の増加」の部分が誤りです。
【必要な知識】
高度経済成長期 第一次産業従事者が減少していた
③ 1980年代半ば以降自給率は低下した。背景には,急速な円高による魚介類の輸入の容易化がある。
解説
1980年代半ば以降,急速な円高が起こりました。円高になると,外国製品の輸入はしやすくなるので,この選択肢を誤りとすることはできません。
【必要な知識】
1980年代半ば以降 急速な円高が起こった
④ 1990年代に,一人当たり消費量は減少した。背景には,この時期にインスタント食品が登場し食生活が多様化したことがある。
解説
インスタント食品の登場は,1950年代です。「この時期にインスタント食品が登場し」の部分が誤りですが,これは共通テストの範囲を若干超えた内容となっています。ただし,他の選択肢から正解を導き出すことができるので,この問題を正解することは可能です。