問題文はこちらにあります。
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=434&f=abm00003695.pdf&n=2023_os_05_nihonshiB.pdf
必要な知識はたったこれだけです。
【必要な知識】
宣旨枡 後三条天皇が統一した枡
延久の荘園整理令 摂関家の荘園も例外とはされなかった
戦乱の後,畿内・西国に多くの地頭を配置 承久の乱(鎌倉時代)
中世 神が主であり仏は従という考えが生まれた
荘園や公領の年貢の半分を守護が調達 半済(室町時代)
中世の百姓 一揆は強訴や逃散をおこなった
年貢高を銭に換算し知行として家臣に与える 貫高(戦国時代)
第3問
問1 ④ 空欄補充
・後三条大皇が統一した枡は[ ア ]枡と呼ばれたが,中世社会においては様々な大きさの枡が使われていた。
ア 京 宣旨
解説
「後三条大皇が統一した枡」は宣旨枡です。知識として覚えていても解けますが,「天皇が統一した枡」ということは天皇の命令で統一されたということになるので,天皇の命令を表す宣旨が入るのではないかと連想できます。
ちなみに京枡は,豊臣秀吉が太閤検事の時に統一した枡です。
【必要な知識】
宣旨枡 後三条天皇が統一した枡
・度会家行は神本仏迩説を唱え,[ イ ]であると説いた。
イ 仏が主であり神は従 神が主であり仏は従
「神本仏迩説」は,「神が主であり仏は従」の考えです。
別解1
これは中世の考え方であると記されています。古代は仏が主の考え方が主流でしたが,中世になると神が主の考え方が出てきました。ですから正解は「神が主であり仏は従」です。
別解2
「神本仏迩説」という文字を見ると「神」が「本」であると記されています。ですから正解は「神が主であり仏は従」です。
【必要な知識】
中世 神が主であり仏は従という考えが生まれた
問2 ③ 正文選択
① 増加する公領(国街領)が荘園を圧迫したため,公額(国街領)が削減された。
② 記録所の役人に大江広元が起用され,証拠轡類の不備な荘園が停止された。
③ 摂関家の荘園も例外とはされず,証拠書類の提出が求められ審査された。
④ 貴族・寺社が支配する荘園と武士が支配する公領(国術領)との区別が明確になった。
解説
③ 後三条天皇の延久の荘園整理令では,「摂関家の荘園も例外とはされず」荘園整理の対象となり「証拠書類の提出」が求められ「審査され」ました。正解は③です。
参考
① 増加する荘園が公領(国街領)を圧迫しました。書かれていることが逆なので誤りです。政府にとっては「公領(国街領)」が増加しても困ることはありませんので誤りです。
② 「大江広元」は,鎌倉幕府初期頼朝のもとで活躍した人物です。この頃の人物ではないので誤りです。
④ 「武士が支配する」土地は「荘園」です。「公領(国術領)」ではないので誤りです。
【必要な知識】
延久の荘園整理令 摂関家の荘園も例外とはされなかった
問3 ④ 年代整序
Ⅰ 領主や百姓から自己申告させた年貢高を銭に換算し,知行として家臣に与え,それに応じて一定の軍役を務めさせた。
Ⅱ 戦乱の後,畿内・西国の荘園や公領にも多くの地頭を配置し,地頭の収益が少ない場合には,新たな基準を定めて加徴米や土地などを給与した。
Ⅲ 内乱が続く中で,兵土に与える食料を確保するため,荘園領主の年貢を保証しつつ,荘園や公領の年貢の半分を軍費として調達するよう守護に命じた。
解説
Ⅱ 「戦乱の後,畿内・西国」に「多くの地頭を配置」し,「地頭の収益」に「新たな基準を定めて加徴米」「などを給与した」とあるので,これは承久の乱の後,地頭に任命された人たちに対する内容であるということが分かり。鎌倉時代の内容となります。
Ⅲ 「荘園や公領の年貢の半分」を「調達するよう」「守護」に命じたとあるので,これは室町時代の半済の内容であることが分かります。
Ⅰ 「自己申告させた年貢高」を「銭に換算」し,「知行として家臣に与え」,「それに応じて一定の軍役を務めさせた」とあるので,戦国時代の貫高の内容であることがわかります。
【必要な知識】
戦乱の後,畿内・西国に多くの地頭を配置 承久の乱(鎌倉時代)
荘園や公領の年貢の半分を守護が調達 半済(室町時代)
年貢高を銭に換算し知行として家臣に与える 貫高(戦国時代)
問4(1) ② 正文選択
a 東寺が重藤十六名の枡で収納した年貢米を下行枡で支給すると,束寺のもとに余分の米が残ったと考えられる。
b 公田で重藤十六名の枡が使われたのは,百姓たちの年貞負担が公田の枡を使うよりも少ないからと考えられる。
解説
a 表を見ると,重藤十六名の枡で収納すると0.867斗,下行枡で支給すると0.585斗となります。つまり,差額の0.282分だけ「束寺のもとに余分の米が残った」と考えられるので正しいです。そのためbは自動的に誤りとなります。
c 束寺は,枡の容呈の達いによって生じた差額は代官の支払いとするのが先例であると主張している。
d 代官は,枡の容量の違いによって生じた差額は代官の収益とするのが先例であると上張している。
解説
d 史料2の代官の返答を読むと「(枡の容量の違いによる)差額」は「先年より代官の得分となっていた」ので、「この先例の通りにしてください」と言っているのでdが正解となり自動的にcは誤りとなります。
問4(2) ② 正誤判定
X 枡の容量の違いで.年貢の収納や配分の際に差額が生じるため,中世の人々は自らに有利な枡を利用しようとした。
解説
「公田の枡」が「容量を大きく改変されてしまった」ので,「百姓」は「元に戻すよう荘園領主」に「要求してきました」が、「その要求は,代宮によって妨害」されてしまったと記されています。さらに「代官」「元の枡」を「取り上げて」,「容量の大きい枡」を「押しつけ」た上に,その「枡が元の枡よりも容量が小さいと主張」して,「さらに大きい枡を使うよう強要」したとあるので,自らに有利な枡を利用しようとしていたことがわかります。この選択肢は正しいです。
Y 百姓は.代官が強制する枡を拒否するために.代官に対して国一揆を起こした。
解説
国一揆は,国人と呼ばれる地元の土着の武士による一揆です。百姓が起こす行動は,強訴や逃散なので誤りとなります。
【必要な知識】
中世の百姓 一揆は強訴や逃散をおこなった