第1問を解くために必要な知識はこれだけです。

 

【必要な知識】

藤原宮 飛鳥時代末

国分寺・国分尼寺の造営  仏教によって国家の安定を図るため

慮舎那の仏像 奈良時代に造られた

奈良時代  勝手に出家するものが続出した

天平文化で寺院の中心となる仏像  漆で塗り固めたものが多い

天平文化  唐や西アジアの影響を受けた

行基

 ① 橋や道路,灌漑施設などをつくる社会事業をおこなった

 ② 大仏の造立の際,大僧正に任じられた

光明皇后  病人に薬を施す施設をつくった

山背国に遷都 平安時代

平安京  平城京の寺院を移築しなかった

 

 基本的な問題が揃っている印象があります。全問正解も十分に可能です。

 

問題文はこちらにあります。

https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=434&f=abm00003695.pdf&n=2023_os_05_nihonshiB.pdf

 

 

第2問

問1 ④ 空欄補充

興福寺といえば阿修羅像が有名だよね。[ ア ]作られたものなんだ。

  木を芯として数層の粘土を途り固めて

  原型の上に麻布を巻き,漆で塗り固めて,後で原型を抜き取って

 

解説

 今後の共通テストの方向性を示した問題ともいえます。文化史について文化財の名前や作者の名前ではなくその特徴を理解できているかどうかを問う問題が主流になっていくでしょう。

 興福寺の阿修羅像は天平文化を代表する彫刻です。阿修羅像は興福寺の中心となる仏像なので,漆で塗り固めた乾漆像です。

 

【必要な知識】

天平文化で寺院の中心となる仏像  漆で塗り固めたものが多い


 

イ 東大寺境内には正倉院宝庫があるんだね。正倉院宝庫の中には「漆胡瓶」のような[ イ ]宝物が納められているらしいよ。

  北魏様式の影密を受けた  唐や西アジアの影響を受けた

 

解説

 正倉院の宝物がどの文化の影響を受けているかを答える問題です。

 天平文化は唐や西アジアの影響を受けています。ちなみに北魏様式の影響を受けているのは飛鳥文化です。

 

【必要な知識】

天平文化  唐や西アジアの影響を受けた

 

 

問2 ④ 誤文選択

 ① 開墾を奨励する法令のもと,灌漑施設の構築や整備を進めた。

 ② 民衆のために橋や道路を建設した。

 ③ 大僧正に任じられ,大仏の造立に協力した。

 ④ 封戸を財源として,病人に薬を施し,貧民を救済する施設を設立した。

 

解説

 「行基=社会事業」といった一問一答的な知識ではなく,内容を深く理解することを要求した問題です。

 

① 開墾を奨励する法令は行基の活躍した時代には出されていました。また行基は灌漑施設などを作る社会事業を行っていたので、この選択肢は正しいと判断してください。 

② 行基は、民衆のために橋や道路を建設する社会事業を行いました。この選択肢は正しいです。

③ 行基は,大仏の造立の際に,大僧正に任じられ,大仏の造立に協力しました。この選択肢は正しいです。

④ 病人に薬を施したのは光明皇后です。行基ではありません。社会事業については共通テストではクローズアップされる分野でもあるので、この機会に知っておくと良いです。

 

 この問題は①を正しいと判断できれば,④がわからなくても正解できます。

 

【必要な知識】

行基

 ① 橋や道路,灌漑施設などをつくる社会事業をおこなった

 ② 大仏の造立の際,大僧正に任じられた

光明皇后  病人に薬を施す施設をつくった

 

 

問3 ② 年代整序

Ⅰ 明日香宮より藤原宮に遷りましし後,志貴皇子の作りませる御歌

 采女の袖吹きかえす明日香風京を遠み

Ⅱ 大納言藤原小黒麻呂・左大弁紀古佐美らを遣わして,山背国葛野郡宇太村の地を相せしむ。遷都せんがためなり。

Ⅲ 皇帝,紫香楽宮に御しまして,慮舎那の仏像を造り奉らんがために始めて寺の地を開きたまう。

 

解説

 史料文にあるキーワードをもとに問題を解いていくと良いです。

 

Ⅰ 「藤原宮」に遷りとあるので,7世紀末の藤原京遷都の時期の文章となります。

Ⅲ 「紫香楽宮に御し」,「慮舎那の仏像」を造りとあるので,8世紀半ばの大仏上造立の頃の文章となります。

Ⅱ 「山背国」に「遷都」とあります。平安時代の長岡京や平安京の遷都か,奈良時代の恭仁京の遷都か迷ったかもしれません。

 

 恭仁京と紫香楽宮の遷都はほぼ同時期のものです。共通テストでそこまで細かい年代配列は要求しません。これは平安時代の遷都と考えてください。

 

【必要な知識】

 藤原宮 飛鳥時代末

 慮舎那の仏像 奈良時代に造られた

 山背国に遷都 平安時代

 

 

問4 ② 正誤判定

X 空海は,山中で修行し,その後唐で学んだことが分かる。

 

解説

 史料文には「山中に坐禅し」,「海外に道を求め」たとあります。この選択肢は正しいと言えます。


 

Y 空海は,故郷のために用水施設を造ることを讃岐国に要請したことが分かる。

 

解説

 かぎかっこの中は「讃岐国」の言葉です。「讃岐国」が,「万農池に隄す」る際に,「僧空海」を「別当(役所や寺院で事務などを統括する者)に充て」るよう「伏して請う」ています。空海の要請ではないので誤りとなります。

 

 

問5 ① 正文選択

a 仏教によって国家の安定をはかる思想に基づき,諸国で国分寺・国分尼寺の造営が進められた。

b 正式な僧侶になる資格や手続きは律令に定められ,勝手に出家した者はいなかった。

 

解説

こういうタイプの問題の場合どちらか一方がわかれば正解できます

 

a 奈良時代は仏教によって国家の安定を図る鎮護国家思想に基づいて,諸国で国分寺・国分寺の造営が進められました。この選択肢は正しいです

b 律令体制では税負担から逃れるため勝手に出家するものが続出しました。そのためこの選択肢は誤りとなります。

 

【必要な知識】

国分寺・国分尼寺の造営  仏教によって国家の安定を図るため

奈良時代  勝手に出家するものが続出した


 

c 山間の地に伽藍が設けられ,密教は在来の山岳信仰とも結びついていった。

d 遷都にともなって平城京の寺院も平安京に移転し,新たに大乗戒壇が設立された。

 

解説

d 平安京遷都の際,旧来の仏教勢力を排除するため,平城京の寺院は平安京に移転されませんでした。「平城京の寺院も平安京に移転し」の部分が誤りとなります。

 

【必要な知識】

平安京  平城京の寺院を移築しなかった