問題文はこちらにあります。
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=434&f=abm00003695.pdf&n=2023_os_05_nihonshiB.pdf
近現代は前近代に比べて必要とされる知識が細かくなります。
ただ,用語を暗記するというよりは現象面を理解できているかどうかを問う傾向が見られます。
【必要な知識】
「富嶽三十六景」 葛飾北斎
台湾出兵 1870年代前半
開拓使の官有物払い下げ事件 1880年代前半
ボアソナード 明治時代に法律の分野で活躍した
大日本帝国憲法
内閣:天皇を補弼
国務大臣:天皇に対して責任を負う
政府による海運奨励策 日清戦争直後
台湾 日本の支配に対して抵抗運動が起こったが,日本はそれを鎮圧した
第5問
問1 ④ 空欄補充
X 『富嶽三十六景』が代表作である, この人物の絵手本が出品された。
a 喜多川歌麿 b 葛飾北斎
解説
「富嶽三十六景」の作者は葛飾北斎です。喜多川歌麿は,大首絵の名手で風景画の人物ではないので,そこからもbが正解であることが分かります。
【必要な知識】
「富嶽三十六景」 葛飾北斎
Y 1864年から駐日フランス公使に就き,幕府の軍制改革を支援したこの人物が,幕府にパリガ国博覧会への参加をすすめた。
c ボアソナード d ロッシュ
解説
幕府の軍政改革を支援したのはロッシュです。ボアソナードは,明治時代に法律の分野で登場した人物なので,そこからもdが正解であることがわかります。
【必要な知識】
ボアソナード 明治時代に法律の分野で活躍した
問2 ② 年代整序
Ⅰ 琉球の問題と関わって, 日本の軍隊が台湾に出兵した際,政府は岩崎弥太郎が起業した海運会社に軍事輸送を委託した。
Ⅱ 政府による海運奨励策を背景として,日木郵船会社が,ヨーロッパやアメリカと日本とを結ぶ定期航路を開設した。
Ⅲ 政府が,官有の船舶も含む開拓使の官有物を政商五代友厚らが関係する会社に安価で払い下げようとしたが,世論の反発で中止された。
解説
Ⅰ 「 日本の軍隊が台湾に出兵した」のは,1870年代前半のことです。
Ⅲ 「開拓使の官有物」を「払い下げようとした」事件は,1880年代前半に起こりました。
Ⅱ 「政府による海運奨励策」が出されたのは日清戦争直後の1890年代後半のことです。
よって,ⅠーⅢーⅡとなり,答えは②です。
【必要な知識】
台湾出兵 1870年代前半
開拓使の官有物払い下げ事件 1880年代前半
政府による海運奨励策 日清戦争直後
問3 ① 正誤判定
X 図2の「旅券」には日木の外務大臣から相手国の担当部署に対し,「旅券」を交付された者の保護を要請する文言が記されている。
解説
図2を見ると,「日本の外務大臣」「小村寿太郎」から,相手国である「布哇国」の「諸官」に対して,旅券を交付されたものに対して「保護扶助を」与えるよう「希望」しているので,この選択肢は正しいです。
Y 図2の「日本皇帝陛下外務大臣」という記載に関して,大日本帝国憲法では国務各大臣は天皇を輔弼し,天皇に責任を負うと定められていた。
解説
大日本帝国憲法では内閣は天皇を補弼するとあります。内閣を構成するのは国務大臣なので,「国務各大臣は天皇を輔弼し」の部分は正しいとなります。
また,大日本帝国憲法では国務大臣は天皇に対して責任を負うと記されています。そのため,この選択肢は正しいとなり正解は①です。
【必要な知識】
大日本帝国憲法
内閣:天皇を補弼
国務大臣:天皇に対して責任を負う
問4 ③ 正文選択
a 史料1と史料2によれば,不動産の売却を拒否した台湾住民は,下関条約の批准から2年の間に台湾総督府管轄区域外に退去させられたことが分かる。
b 史料1と史料2によれば,下関条約の批准から2年の間に台湾総督府管轄区域を退去しなかった台湾住民には, 日本国籍が付与されたことが分かる。
解説
a 史料1を読むと「自由に其の所有不動産を売却して退去すること得べし」とあります。つまり強制的に退去させられたわけではないので,この選択肢は誤りとなります。
b 下関条約の2年後に記された史料2には,「台湾総督府管轄区域外に退去せざる台湾住民」は,「日本帝国臣民と視為す」とあるので,この選択肢は正しいとなります。
c 下関条約調印後,台湾では日本の支配に抵抗する運動が見られたが, 日本は軍隊を派遣し,抵抗運動を抑え込んだ。
d 下関条約の批准から2年後に, 日本政府は, 日本帝国臣民の義務として台湾住民にも徴兵制度を施行した。
解説
c 「台湾」では「日本の支配に抵抗する運動」が見られたが, 日本はこの「抵抗運動を抑え込んだ」のでこの選択肢は正しいとなります。
【必要な知識】
台湾 日本の支配に対して抵抗運動が起こったが,日本はそれを鎮圧した