問題文はこちらにあります。

https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=434&f=abm00003695.pdf&n=2023_os_05_nihonshiB.pdf

 

必要な知識はたったこれだけです。

 

【必要な知識】

オランダ人を出島に移住させた  17世紀前半

佐倉惣五郎  義民の代表例

漢訳洋書の輸入制限の緩和  8代将軍徳川吉宗(18世紀前半)

松平定信  18世紀後期に政治の補佐を行った

海岸防備を説いた書物が発禁処分となる  寛政の改革(18世紀末)

江戸時代後期  品位を落とした貨幣が流通していた

異国船打払の政策  19世紀前半

寄席  講談や落語が上演された

恋川春町  読本(勧善懲悪を趣旨とする歴史長編小説)の作者ではない

 

 

問1 ③ 正文選択

① 三井家のような両替商は,主として金貨の秤量や紙幣との両替を行った。

② 『国性爺合戦』が初めて上演された年にはすでにケンペル著『日本誌』の一部が『鎖国論』と題して和訳され,「鎖国」という言葉も広まっていた。

③  鄭成功が台湾に拠点を置いた年にはすでに長崎の出島にオランダ商館が存在した。

④  赤穂浪士の討ち入り事件の結果として,幕府は大名に対して末期養子の禁止を緩和した。

 

解説

 このように見慣れない内容の選択肢が出てきた場合は自明のものから正解を絞り込むようにしてください。

 ③の「 鄭成功が台湾に拠点を置いた年」はメモを見ると1661年で,17世紀後半となります。オランダ人を出島に移住させたのは17世紀前半なので,この頃には「すでに長崎の出島にオランダ商館が存在した」となりこの選択肢は正しいです。

 

【必要な知識】

オランダ人を出島に移住させた  17世紀前半

 

 

問2 ② 正誤判定

X 惣五郎を義民としてたたえる伝説が形成され,彼をモデルとするこの作品が作り出される土台となった。

 

解説

 「(佐倉)惣五郎」は,百姓一揆の先頭に立ったため「義民としてたたえ」られました。ですからこの選択肢は正しいです。

 

【必要な知識】

佐倉惣五郎  義民の代表例

 

 

Y この作品は幕末までに,村々に常設された寄席で上演されて流布した。

 

解説

 下線部を見ると,この作品は「歌舞伎」と記されています。寄席は講談や落語を上演したところなので「寄席で上演され」の部分が誤りとなります。

 

【必要な知識】

寄席  講談や落語が上演された

 

 

問3 ⑤ 年代整序

Ⅰ ロシアの南下に対して海岸防備を説いた『海国兵談』が発禁処分となった。

Ⅱ 江戸幕府の異国船打払政策の危険性を警告した高野長英が処罰された。

Ⅲ 厳しく制限されていた漢訳洋書の輸入が一部許され,野呂元丈らにオランダ語の習得が命じられた。

 

解説

Ⅲ 「漢訳洋書の輸入が一部許され」たのは,8代将軍徳川吉宗の頃で,18世紀前半となります。

Ⅰ 「海岸防備を説いた」書物が「発禁処分」となるのは,寛政の改革の頃で18世紀末となります。

Ⅱ 「江戸幕府」が「異国船打払政策」をとっていたのは,19世紀前半です。

 ですから、ⅢーⅠーⅡの順となり,正解は⑤です。

 

【必要な知識】

 漢訳洋書の輸入制限の緩和  8代将軍徳川吉宗(18世紀前半)

 海岸防備を説いた書物が発禁処分となる  寛政の改革(18世紀末)

 異国船打払の政策  19世紀前半

 

 

問4 ② 空欄補充

 史料1の作者が得意としたのは[ ア ]であった。

  a 世相を風刺した絵入りの小説

  b 勧善懲悪を趣旨とする歴史長編小説

 

解説

 史料の出典を見ると,作者は恋川春町と記されています。恋川春町は黄表紙の作者です。黄表紙とは「世相を風刺した絵入りの小説」なのでaが正解となります。

 「勧善懲悪を趣旨とする歴史長編小説」のことは読本と言いました。恋川春町は読本の作者ではないので,そこからもaが正解であることが分かります。

 

【必要な知識】

  恋川春町  読本(勧善懲悪を趣旨とする歴史長編小説)の作者ではない


 

 史料1のジャンルの文芸がはやった時期を考えると,史料1の主人公・菅秀才は,儒学を奨励して幕府政治を主導した[ イ ]を暗示していると推測される。

c 徳川綱吉  d 松平定信

 

解説

 恋川春町は,18世紀後半の人物ですし,「世相を風刺した絵入りの小説」が流行したのも,18世紀後半以降です。

 徳川綱吉は17世紀後半の人物です。しかも,「史料1の主人公・菅秀才」は,史料1を読むと,「政道補佐の臣」つまり,政治を補佐する人物と記されています。菅原道真も補佐する人物でした。ですから将軍徳川家斉のもとで政治を補佐した松平定信が正解となります。

 アがa、イがdとなり、答えは②です。

 

【必要な知識】

松平定信  18世紀後期に政治の補佐を行った

 

 

問5 ③ 正文選択

a 史料2によれば,『偐紫田舎源氏』は,父母が写して子どもに読み聞かせたことが分かる。

b 史料2によれば,『偐紫田舎源氏』は非常に評判となり,柳亭種彦の著作は女性や子どもにも読まれたことが分かる。

 

解説

b 史料2を読むと,「この人(柳亭種彦)」の,「狂才(一風変わった才能)」は,「世の婦幼の評す所」であると記されているので,彼の作品が女性や子供にも読まれていたことが分かります。正しい選択肢はbです。


 

c 『偐紫田舎源氏』が刊行され始めた時期には,幕府が品位を落とした貨幣を大量に流通させて貨幣経済が活発になり,大奥の生活も華美になっていた。

d 『偐紫田舎源氏』が刊行され始めた時期には大御所徳川家慶の子女の縁組費用や大奥の出費がかさんで幕府の財政がひっ迫していた。

 

解説

c 史料3を読むと,『偐紫田舎源氏』は「大奥の事を書いたもので」,「その頃の大御所」は妾(側室)の四十人もあって,子が六十人もあった程の豪奢な方であった」と記されています。つまり「大奥の生活も華美になっていた」わけです。

 また,江戸時代後期は「幕府が品位を落とした貨幣を大量に流通させて」「貨幣経済が活発」化していました。ですからcが正しい選択肢となり,正解は③となります。

 

【必要な知識】

江戸時代後期  品位を落とした貨幣が流通していた