職場の盗人⑥
こんばんは、しろくまです。本日は職場の盗人⑤に続いて、本日は⑥になります。※前編はこちら↓職場の盗人①職場の盗人②職場の盗人③職場の盗人④職場の盗人⑤※多方面にご迷惑がかからないよう少し脚色しております私「急なお電話で申し訳ございません。お子さんの入浴は大丈夫でしたでしょうか?」嫁「全然大丈夫です!今は大人しくしてくれてて、TV見てます」いきなり、会社で窃盗事件が起きました!とは当然言えることもなく、世間話からすることに。私「最近B君はいかがですか。ご自宅に帰られてない日があったり、帰ってくくるのが遅いと聞いておりましたが…。最近は残業は殆どさせていないので、改善されていたら良いのですが」嫁「残業してないんですか?!」私「え、ええ。繁忙期はお願いすることもありますが、今の時期は割と業務量も少ないので、ほぼ定時には帰っていますよ。」それは本当のことだった。私が毎月従業員のタイムカードを確認しており、Bの残業時間は月単位で平均5時間にも満たない。嫁「…主人からは残業時間がかなりの時間になっていると聞いておりました。先週もお休みだったのに、休日出勤を言い渡されて、しかも無給だったと…」私は一瞬頭の中が真っ白になった。えーっと…一体、何がどうなるんだ?そんなことあったっけ?私「…因みに、最近ご自宅に帰られるのは何時くらいでしょうか?」嫁「9時位には、子供と一緒に寝てしまうので正確にはわかりませんが、大体11時過ぎくらいだと思います」私「そうなんですね…どんなに遅くても20時過ぎには帰られてる事になっておりますね。宜しければ、タイムカードの開示をしましょうか?」嫁「はい!ありがとうございます。因みに、シフト表などもいただけますでしょうか?」給与明細には、開示することが法に抵触するか不安だったので提案はしなかったが、特に問題ないものについてはデータをお送りした。私「お答えできる範囲で構いませんので、ご主人のお小遣いについてお聞きしても宜しいでしょうか。」……短い沈黙が流れる。奥様の中で何か思うことがあったのだろう。口火を切ったのは奥様からだった。嫁「…会社で、何かあったのでしょうか?」私「実は、会社で盗難事件が起きてしまいました。私の管理不行き届きで皆様にご迷惑おけしてしまい大変申し訳ございません。今現在、従業員のご家族の方からも何かわかることがないかお伺いしている所なのですが…」嫁「…なるほど」私「気分の良いお話ではありませんよね、ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。」火蓋は切って落とされた!もう後には引けない!突っ込め!!!私「B君のお小遣いについて、気になることがございまして…一週間に2~3度財布を忘れることがあり、その度すぐに返してはくれるんですが、貸すことがあって、ただ忘れているだけなら良いのですが…」嫁「……」私「忘れたのならと昼飯はごちそうすることもあるのですが、飲み物とタバコが買えないとのことで、1,000円程度を貸すことが多いのですが…」嫁「タバコですか?!主人は職場でタバコを吸っているんですか?」奥様の声に、感情の色がついたのが感じられる。戸惑いもあるが、強いのは怒りのようだ。私は少し狼狽えながら、1月の20時、吹雪いてきた極寒の中、声が聞こえるよう電話を手で覆う。…ちゃむい……トイレ行きたい…私「え、ええ。電子タバコですが吸われてます」嫁「家ではタバコはやめたと、子供の成長に悪いから、一緒にやめたんですが…」私「そうでしたか…。追い打ちをかけるようで大変申し訳ないのですが、B君は、パチンコは行かれたりしますか」Bがパチンコに行く事は前から知っていた。私もたまに打っていたし、他の従業員の子がBをパチンコ屋でよく見かけていたのだ。一緒に打つこともあるらしい。嫁「…それも、私にはやめたと言っております…」私「そうでしたか…。」嫁「それで主人に疑いがかけられているんですね」今度は感情の色が見えてこない。諦め、悲しみ、いらだち、なんだろうな。ひどくからっぽな声色。私の財布も空っぽ⑦に続く。