芸歴11年目のお笑い芸人
まだまだ地獄は続きそうです
現状がにっちもさっちもいかなすぎて、何か変えなきゃいかんぞと思っている今日この頃です
とりあえず毎晩やってたゲームをやめて
コンビの活動を知ってもらうためにTikTokを始めようかと思っています
今更かもしれませんが、始めるのに遅すぎるなんてことはないと思うのです
そのためにまずはTikTokをダウンロードして一通り覗いてみました
しかし30歳のおじさんには何が面白いのかさっぱりわからなくて非常に焦りました
よくわからない曲に合わせてよくわからない人がよくわからないダンスを踊る
そんな風邪ひいた時の夢みたいな動画たちをスクロールした先に、光り輝くライブの映像が流れてきました
それがこちらでございます
今週の一曲
神門「pellicule」
心掴まれて魂揺さぶられます
神門さんの真っ直ぐで熱い歌い方と歌詞に
胸の奥が熱くなります
そしてこの曲にはたくさんの熱いメッセージが込められているみたいなので
野暮かもしれませんが少しご紹介させていただきます
pelliculeは元々、不可思議/wonderboyという方の曲で神門さんのpelliculeはそれに対するアンサーソングの様なものだと思っています
不可思議/wonderboyさんは若くして事故でこの世を去った伝説的なポエトリーラッパーの方です
不可思議/wonderboyさんが亡くなった後
彼が残したpelliculeへ、親交が深かった神門さんがアンサーソングを歌ったというかなり熱いストーリーがあるのです
不可思議/wonderboyさんのpelliculeも彼の友達に贈られた歌で、原曲も素晴らしいのでぜひ聞いてみてください
神門さんのpelliculeは不可思議さんの歌詞を引用している部分もあれば
不可思議さんに向けて変えてある箇所もあって
その全てがもう泣きそうなくらい切ないです
「お前水割り頼んでぜんぜん飲まねーの
言葉だけ飲んで寝てぜんぜん飲まねーの
あれもしかして今俺うまいこと言ったかな
楽しかったなぁ
また騒ぎてぇなぁ
初対面でいきなし対バンしようぜ
その後は酔って死ね死ねただ連呼
まぁそんなこんなあってすぐ仲良うなって
なんせあの日撮った写メ全部お前笑ってる」
不可思議さんと神門さんの思い出のハイライトが蘇ります
ここでの「今俺うまいこと言ったかな」は
不可思議さんのpelliculeのサンプリングで
不可思議さんは
「あれもう二度とやりたくないけど」
と歌っていますが
神門さんは
「楽しかったなぁ、また騒ぎてぇなぁ」
と再会を望んでいます
この対比がまた涙を誘います
そして、「あの日撮った写メ全部お前笑ってる」
この後の
「ワンちゃんの名前でフリー取っておくから
身分証がないことも伝えとくから」
とても泣けてきます
ワンちゃんとは不可思議/wonderboyさんのことで、ライブには来るはずが無いけど
いつまでも、どんな形でもいいから来るのを待ってる
という意味かなーと思っております
「それにしてもみんないつの間にかいなくなるよな」
この歌詞は不可思議さんのpelliculeにもあって
不可思議さんは
「みんな日々の忙しさの中でいつの間にか集まりに顔出さなくなる」
と言う意味の歌詞だと思います
でも神門さんは
いつの間にか本当にいなくなってしまった不可思議さんに向けているんだと思います
「今はありがとう、とかまた会おうとか、
ありふれたことが言いたい」
本当に泣けてきます
「待ってる、俺たちはいつまでも待ってる」
これは不可思議さんの帰りを待っているのでしょうか
「こういうのってあんまし
カッコよくはないけど
初めから俺達は
カッコよくなんてないしな」
このフレーズもめちゃくちゃ沁みます
過去に縋って美化する行為は、えてして揶揄されがちな気もしますが
それでも今日だけは戻らない日々を思い出して笑おう
たまにはそんな日があってもいいんじゃないかと思います
「俺たちっていつかさ、結婚とかすんのかな
子供とかできてさ
庭付きの一戸建てをローン組んで買ったら
出来た気になるかな」
これは不可思議さんの歌詞で
まだ20代前半の若かりし頃
ずっと先の未来のような
そんな絵空事のように歌っていました
「それ今年俺全部叶えたよ」
止まらない時間の中で進み続けた神門さんが
30代半ばで不可思議さんに未来を叶えたと報告するバースがめちゃくちゃ熱いです
「タイムマシンに乗って先週に戻って
一つだけ未来を変えていいって言われたら
ロトシックス買わずお前に一本電話入れる
近々事故には気をつけろよ」
ここでいつも泣いてしまいます
事故で亡くなってしまった不可思議さん
何かしてやれることは無かったのか
神門さんもそんなことを後悔しているのかも知れません
だからロトシックスの当たりなんていらないから
一言忠告だけさせてほしい
そんな儚い願いが込められている素敵なバースでございます
「人がどんどん素通りする路上ライブ
いつか売れるんでその時は自慢してください
売れる前に一度不可思議/wonderboyと
あの日飲めたことが今じゃ俺の自慢だ」
不可思議さんが行っていた路上ライブ
今となっては幻のような
お客さんたった6人の路上ライブで
「いつか売れるんでその時は自慢してください」
そう言っていました
その時のライブもYouTubeで見れるのでよかったらぜひ
今現在、売れていないお笑い芸人の自分には刺さりすぎてもはや辛いです
僕たちもお客さん6人のライブなんてよくあります
でもその度に
「いつか絶対売れるんで、その時はここにいたことを自慢してください」
そう思ってネタをやっています
いつか見てくれた人たちに恩返しできることを
そしてこういう路上ライブを見て、立ち止まることができる人間になることを目指して日々精進していきます
「迷路にハマった？抜けれなくなった？
けどさっき道を聞いてヒントをもらった？
声よ距離を超えて響き渡れよ
次交差点出たならば右に曲がれよ」
これは不可思議さんの「世界征服やめた」
という曲とリンクしていて
その曲で不可思議さんは
「最近迷路にハマっちまってさ
すぐに抜け出せると思ってたんだけど
なかなかそうもいかなくて
でもさっき道を聞いたら
交差点に出るたび左に曲がれば
大丈夫だって言ってたから
もうきっと、きっとすぐだよ」
と歌っています
交差点で左に曲がった結果事故に遭った不可思議さんに、距離を超えて伝えたい言葉が
「次交差点出たならば右に曲がれよ」
熱すぎて言葉が出ません
亡き友の歌をサンプリングしここまでリアルに真っ直ぐに歌い上げる神門さんに感服致します
神門さんのpelliculeで一番好きなフレーズが
「過去に名残を 夢に続きを
止まった時間の先に未来を
こういうのってあんまし
カッコよくはないけど
初めから俺達はカッコよくなんてないしな」
言葉だけなぞると少しクサいこの歌詞も
二人のラッパーのことを思うと泣けてくる最高のリリックです
いつの時代も真っ直ぐで熱い人達は
嘲笑の的となりスポイルされるのでしょう
こんな野暮な文章を笑の一つも入れられずに書いている僕もきっとダサいのでしょう
でも僕にはもう不可思議さんと神門さんの曲がついているから大丈夫です
この先何があっても立ち向かっていけると思います
どんなに打ちのめされても
どんなにダサくても立ち上がって前に進んでいけます
初めから俺はカッコよくなんてないし
今週の一曲
神門「pellicule」
