今月の頭にAmazonから一通のメールが届きました
「Audibleを今なら月100円で始められます」
ちょうど去年の今頃
オードリー若林正恭さんと
どきどきキャンプ佐藤満春さんのポッドキャスト
「佐藤と若林の3600」
を聴くために
Audibleを加入しました
お二人の大ファンである香月は月額1000円という金額に震えながらも
お二人の極秘トークを貪るように聴いていました
そして当時配信されていたトークを全て聴き終えたので、Audibleを退会しました
それから1年経ってAmazonが
「またAudible始めませんか?
今ならお安くしときますよ〜」
と別れた元カノから
「元気?
よかったら今度ご飯でもいこ〜」
と誘われるように
まんまと再加入してしまいました
月100円はお安くてありがたいです
そして再びポッドキャストを聴き倒していたのですが
本来Audibleは本の読み聞かせをしてくれるものだ!
と思い出して
せっかくなので何か聴いてみよう!
と思い立った、とある日の午後でした
よくわからんから表紙とタイトル見ててきとーに決めよう!
そうして選ばれたのがこちらの作品です
著 朝倉秋成
【六人の嘘つきな大学生】
(こちらの作品はネタバレすると台無しになってしまうので、ネタバレしないように気をつけて書きます
でも感想すらもヒントになりかねないので
未読の方はぜひ先に読んでみてください
めちゃくちゃおすすめです)
普段一冊の本を読むのに2.3ヶ月かかってしまうのですが
面白すぎるせいかAudibleのおかげか
3日で聴き終えてしまいました
しかもこの3日間も
特別な時間を設けたわけではなく
移動時間や家事をやってる間など
すきま時間に簡単に聞けるのがとても便利でした
あと寝る時に流していると、とても良い睡眠を取れる気がします
本の読み聞かせというのは初めてだったのですが
思いのほか内容が頭に入ってくるし
目を閉じて聴くことで情景が浮かんでとても臨場感があり楽しめました
この本が元々すごく読みやすい
というのもあったと思いますが
たぶんナレーションの方の実力も凄かったんだと思います
聴きやすく、キャラクターの演じ分けも素晴らしかったです
Audibleでの読み聞かせにハマってしまいそうです
【六人の嘘つきな大学生】
は就職活動中の大学生六人の物語です
超大手IT企業の最終選考に残った六人の大学生
最終選考で行われるグループディスカッション
その内容次第では六人全員に内定が貰える
そう聞かされて六人で協力して準備を進め
絆が深まっていく
しかし直前になって変更された
「内定者は一名」
この1枠を多数決で勝ち取るために暴かれていく嘘と本性
就職活動の意義
人の表と裏の顔
さらにその奥の真実……
なんかすごいカッコつけましたが
ネタバレ無しだとこんな感じのあらすじになります
主人公はそこそこ頭が良くて協調性がある男の子
奇跡的に超大手の最終選考に残れたけど
周りは強者だらけ
さわやかイケメンでリーダーシップ半端ない奴
元野球部のキャプテンでボランティアサークルの代表で場を和ませるのが上手い奴
モデル級の美女でコミュ力おばけで英語ペラペラな奴
超絶頭良くておしとやかで洞察力すごい奴
めちゃくちゃ仕事早くて執念深くて真面目な奴
こんな化け物たちに囲まれて圧倒されてしまいます
でも最終選考の内容次第では全員に内定が貰える
そう言われていたので
みんなで一緒に内定貰おう!
と一致団結して準備をしていました
ところが突然「内定者は一人」と言われる
それでも「フェア」に戦おう
と決め
内定者を決める多数決を六人で行う
その途中で現れた謎の封筒
その中にあった告発文が全てをぶち壊します
完璧な人間だと思っていた仲間の罪
暴かれる本性
そしてその封筒を用意した犯人は誰なのか
というミステリーです
展開が早くて聴きやすいし
ハラハラして続きが気になって止まりません
展開を予想しながら聴いていたのですが
予想をことごとく上回ってくださいました
ミスリードにもまんまと引っかかりました
途中、流れ的につまらない結末になりそうだな〜
なんて思ったりもしました
(例えば、登場人物全員共犯とか
真犯人は二重人格とか)
でもそんな事なく
納得できて面白い着地、これを何度も魅せてくれたのでとても楽しめました
しかも聞き返すとちゃんとヒントを散りばめていて流石だなーと感心しました
なので、自分みたいに予想しながら読んでしまうおませさんにもぜひおすすめです
今回、初めてAudibleを聴いたのですが
Audibleならではの嬉しい誤算もありました
【六人の嘘つきな大学生】は
就職試験編と8年後の真犯人探し編
の2部構成になっています
Audibleの画面にはこのように表示されます
この-就職試験-の再生が終わったら完結だと思っていました
しかし実際はここからが本番というか
8年後の-それから-がめっちゃ面白かったです
-就職試験-でも十分満足していたのに
さらにそこから伏線回収のパートが始まって
驚きとワクワクで寝れませんでした
普通に本で読んでいたら
残りのページ数からある程度予想できるのですが
Audibleのおかげでこの嬉しい誤算が生まれました
Audibleマジでハマりそうです
この本を聴いて思ったことは
相手を知ろうとする努力を怠ってはいけない
ということです
まず相手を見た目とかで判断しない
そして表面上の態度だけで知った気にならない
また、過去に起こしてしまった事などの
「出来事」だけを聞いて判断しない
その時の状況や心情
事情を知る努力をして、初めて相手のことを理解できるんじゃないかと学びました
恥ずかしながら自分も、相手のことを
(こいつ合わねぇ)
と決めつけて遠ざけてしまうことが多々あります
そしてその人の悪い噂などを耳にしたら
(ほら、やっぱりだ)
と確信めいた悦に浸る習性があります
これはとても危険なことだとこの本から教わりました
犯人もあと少し相手を知る努力をしていたら
あんな事件は起こさなかったと思います
目の前で起きてる光景だけで判断せずに
その裏にあった優しさや思いやりに目を向けなければ、勝手に失望して傷つくのは自分なのです
その結果、人のことを傷つけてしまって
誰も幸せになれません
逆に主人公は
強い心で人を信じてみる
そうすると見えてくるものがあり
真実に辿り着くことができていました
この本を聴いて
昨今のネットニュースというものが持つ危険性もひしひしと感じました
「芸能人が〇〇と発言していた」
という扇動的な見出しと
行為だけを切り取った文章
その発言に至るまでのプロセスや感情を一切排除したインスタントなもの
それによって起きる勘違いなどを
ともすれば意図しているような
この本に出てきた告発文も似たような感じでした
過去の出来事だけを不本意に切り取られ
人間性まで疑われてしまい
弁解もできない
しかもこの登場人物はみな、自分にも社会にもとにかくストイックでした
「自分はクズだ」
「騙される方が悪い」
そんな風にストイック過ぎるあまり
自分も社会も許せなくなってしまう
自分に激甘な香月は
すごいな〜
と思いつつ
もっとゆるくいこうぜ〜
と思いました
透明な銃で透明な敵を撃ち続けるのは
なかなかしんどいと思います
でもきっと何かを成し遂げるのは
こういうストイックな人たちなんだと思います
読み進めていくうちに
前半で語られていた行為、その印象が後半でガラッと変わっていてその度に
(自分はなんて浅はかな人間なんだ〜)
と思っていました
でもそれこそが作者の狙いだったんじゃないでしょうか
つまり僕は、まんまと策略にはまり
(そうだったのか〜!)
という驚きと感動の連発でした
前半のラストでは
身も凍るほどのゾクゾクした恐ろしさを味わえて
後半ではその謎が解きほぐされていく感覚で
柔らかいナレーションを聴き終わったら
冷えた肩にブランケットをかけてもらったような
暖かい安堵に包まれました
ナレーションが良かったのか
内容が良かったのか
わかりませんが、たぶん両方だと思います
こんなに興奮してハマった本は数年ぶりです
めちゃくちゃ面白かったので
ぜひ本かAudibleでお楽しみください
僕が嘘つきかどうかは
読んで確かめてください