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突然ですが、現在、半導体不足が深刻化していることをご存知でしょうか。

もともと半導体は2020年秋頃から、新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦などの影響で先行きの透明性を失っており、作りすぎないように保守的な生産を続けていたようです。

しかし実際には、外出自粛やテレワークなどが拡大し、巣ごもりによるスマホ・パソコン・ゲーム機などの需要が想定していたよりも大きくなりました。加えて第五世代移動通信システムが普及したことや、自動車生産が回復したことなども影響してしまい、半導体の奪い合いが起きてしまったといえます。

2021年2月中旬には米テキサス州を寒波が直撃し、停電により韓国サムスン電子の半導体工場や自動車用半導体大手であるインフィニオンテクノロジーズの工場は生産停止となり、現在も再開されていません。

それに加えて2021年3月19日、茨城県ひたちなか市にあるルネサスエレクトロニクスの那珂工場で火災が発生しました。

ルネサスの那珂工場は、自動車走行を制御するマイコンの世界最大手です。この火災が世界的な半導体不足に追い打ちをかけた状況となったため、自動車生産はその影響を受けてしまう最悪のタイミングと考えられます。

半導体は、国際競争が激化しやすく優劣が明確になりやすい業界のため、上位のメーカーで何らかのトラブルが起きれば世界がその影響を受けやすくなってしまいます。

自動車向けとスマホ・データセンタ―向け、これらの半導体を比較すると自動車向けの方が収益性も低いため、後回しになりがちです。

さらに自動車向けの場合、メーカーや車種に合わせて作ることになるため使用量も少なくなります。海外の半導体メーカーに依頼する場合でも、協力関係が確立されていなければ増産の要請も断られてしまう可能性も考えられます。

自動運転などの研究・開発も進み、実用化に向けて取り組んでいる今だからこそ、半導体の使用量は今後さらに増えることが見通されています。

しかし不足が続く中どうしようもなく、すでにホンダでは部品調達について在庫の持ち方や見直しが必要か検討している状況のようです。

自動車生産への影響は避けられないのであれば、自動車メーカーは一定量の減産しなければならなくなります。自動車産業は国の基幹産業の1つともいえるため、日本経済へも影響が及んでしまうでしょう。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の2021年度上半期国内自動車大手の減産規模の試算は165万台に上るとしています。その内訳は、トヨタ自動車65万台・ホンダ29万台・日産自動車27万台となっており、4月以降、在庫が切れれば生産への影響が明確にあらわれてくると予想されているようです。

半導体不足の影響を受ける業界では、この危機を乗り越えるための対策を行っておくことが欠かせないと考えられます。