BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Black IvoryはNew York CityはHarlem出身のR&B Groupで、主に60年代末から70年代に活躍した。元々は69年の夏全員Teenagerによって結成されたMellow Soulsとして知られ、後にNew York Dance Music界のMaestroとして君臨するPatrick Adamsの電話!?でのAuditionを受けたところからキャリアをスタートしている。元々は5人いたメンバーはLeroy BurgessStuart Bascombe、Froilan (Vito) Ramirez、Lawrence (Larry) Newkirkの4人となり、Black Ivoryを名乗るようになる。BronxのRoosevelt High Schoolで行われたTalent Showで優勝した彼らは、 Ramirezが Russell Pattersonに交代し、NewkirkがGroupを離れたため、3人体制となってAdamsが待つPhiladelphiaSigma Sound Studiosへ向かうのであった。そこで“Don't Turn Around”と“I Keep Asking You Questions”の2曲が録音され、Adamsが設立したToday Recordsから71年SingleのAB面としてリリースされるのだった。そして72年に待望のDebut Albumとなる本作がリリースされる。Leroy Burgess、Stuart Bascombe、 Russell Pattersonの3人はVocalのみならずSongwritingも手掛け、アルバムではPatrck Adamsと共作したりするなどして、若々しくフレッシュな才能を発揮している。気持ちSweetなBalladが多すぎるようで、若々しく躍動感に満ち溢れたFunkyなナンバーも、もう少し欲しかったところだが、まあ、それはさておき、Debut Albumにして中々充実した作品に仕上がっており、流石Patrick Adamsといったところ。彼らは70年代5枚のアルバムをリリースしており、77年にBurgessが抜けた後も、BascombeとPattersonは解散する80年代初頭までDuo体制で活動を続けていた。その後、Black Ivoryは95年に再結成しており、Original Member3人をFeatureして活動を続けていたようだ。10代の若さでDebutして、苦難を乗り越え頑張ってきた彼らの結束は固いようだ。

 

 『Don't Turn Around』はBlack Ivory72年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はタイトル曲“Don't Turn Around”。Leroy BurgessFalsetto Vocal切ないSweetなBallad。この頃はまだ、Philly Soulの強い影響下にあったAdamsがSongwritingとProduceでStringsとChorusまで思いっきりベタに迫っているのが微笑ましい。

Surrender”はMotown的な若々しく躍動感に満ちたYoung Soulで、Funkyなリズム隊にのって初々しいVocalとChorusがイイ感じ。

I'll Find A Way”もBlack IvoryとAdams共作となるSweetなBallad。しかし捻りのある楽曲FalsettoChorusは中々のもの。アルバムで一番の聴きモノ。

上述のSingleB面となった“I Keep Asking You Questions”も生命感漲るFunkyなYoung Soul

Patrick Adams単独作の“She Said That She's Leaving”。VibraphoneHammondFalsettoのChorusが盛り上げまくる必殺のBallad。これはグッときますなあ。ウネるベースも最高。

Leroy Burgess単独作の“If I Could Be A Mirror”も甘々のBallad

Leroy BurgessとStuart Bascombe共作の“You And I”。これまた雰囲気タップリFalsseto VocalChorusが歌い上げるScaleの大きいBallad

ぶっといベースとOrgan、ドラムスの演奏メンバーの笑い声や話声が重なるOur Future”はFunkyなStreet感覚に満ちたインスト曲

Find The One Who Loves You”はBlack IvoryとAdams共作泣きのBallad

アルバム最後をシメるのは71年10月にリリースされたMichael JacksonSolo Debut SingleとなったElliot Willensky作の名曲“Got To Be There”。

(Hit-C Fiore)

  The Stranglers初期のアルバムを結構聴きこんではいたのだが、79年にリリースされた『Raven』以降のアルバムはそれほどのめり込むことはなかった。Punkの持つ暴力的ともいえる破壊衝動荒々しさ攻撃性が10代の頃の自分にとって魅力的であったわけで、少しでもPopな装いを持つようになった作品は興味から外れてしまっていたのだった。初期の3枚のStudio AlbumLive AlbumLive (X Cert)』は、そういう意味ではバッチリPunkのPrimitiveな初期衝動破天荒な魅力を持っていた作品であったが、『Raven』以降の作品は当時の自分には少し理解するのが難しかったのかもしれない。そしてJ.J. BurnelガンガンAggressiveに攻めたてるベースと Hugh CornwellインテリヤクザなVocalJet Blackぜい肉をそぎ落としたドラミング、そしてDave GreenfieldPsychedelicなHammondが他のPunk Bandとは一味違う個性を発揮していたのも良かった。当時憧れていたPunkなオネエサンから、来日公演ナチの親衛隊のコスプレをしていたアホを見つけたJ.J.が怒ってボコボコにしたという伝説を聞かされて、さすがStranglersは本物だと思って感心したものだ。それから何年か経って自分はPunkやRock以外の世界各国の様々な音楽を聴くようになって、再び80年代のStranglersの音に接した時、ようやくその魅力に気付いたのだった。元々Cassicalな教育を受け音大卒だというGreenfieldの、Hammondではなく欧州的な抒情と哀感を湛えたSynthesizerとHugh Cornwellの語りも含めた淡々としたVocal奇妙な味わいを残す作品。欧州的なDécadenceと幽玄な世界観が強く感じられる、何度も繰り返し聴くとクセになってしまう作品である。Tony ViscontiMixが素晴らしい。捨て曲なしの隠れた名盤である。そういえば、Dave GreenfieldはCaravanのアルバムをFavouriteにあげていたのだった。

 

 『Feline』はThe Stranglers83年Epicからリリースしたアルバム。

アルバム曲目は“Midnight Summer Dream”。欧州的な抒情が感じられるSynthesizerとHughの淡々としたCoolなVocalが最高。

Acoustic Guitarで始まる“It's A Small World”もやる気なさげなVocal無機的なSynthesizer欧州的な退廃感を生みだす。DigitalなBassFretless Bassの組み合わせもイイ感じ。

Ships That Pass In The Night”はらしくないテクノなベースSynthesizerの組み合わせが意外とイイ感じ。

The European Female (In Celebration Of)”は囁くようなVocalAcoustic Guitarがイイ感じ。Vocalと対照的にJ.J. Burnelのベースがガンガンいってるのが最高。

Let's Tango In Paris”は退廃感漂うPopなWaltz

Paradise”はゆったりDanceableなBeatにのって、2人の素人っぽい女性ChorusをまじえてJ.J. Burnelが肩の力を抜いたVocalを披露する。飄々とした感じが素晴らしい。

All Roads Lead To Rome”。Electro PopなSynthesizerにのせてHughの殆ど語りのようなVocalが激渋カッコイイ脱力したChorusもイイ感じ。4つ打ちのリズム隊も今聴くと最高である。

Blue Sister”はイントロのSynthesizerがイイ感じ。そして疾走感に満ちたリズム隊にのってHughのDandyismが炸裂する。こういうVocalの味わいは中々出せるものではない。

アルバム最後をシメるのは“Never Say Goodbye”。これまたEuropeanなギターとSynthesizerで始まり、優美なMelodyをHughCoolに歌い上げていくのが良い。J.J. Burnelのベースがここでは目立っていて自己主張しているのが良い。

 

The European Female (In Celebration Of)/The Stranglers

(Hit-C Fiore)

 Grateful Deadは、『Dick's PicksSeriesなど、どうしても次から次へとリリースされ続けているLive Albumを中心に聴いてしまう。Live BandとしてのDeadの魅力は格別であり、それは致し方ないものなのであるが、数あるStuio Albumの名作を忘れてはならないだろう。Live活動の中で演奏を重ねて試行錯誤の末、完成度を高めBand Magicによって芳醇な味わいを増していく楽曲Studioで録音するという、従来DeadがとってきたApproachではなく、あえてStudio入りしてゼロの状態から楽曲を録音していく手法がとられた本作。それは、Band LeaderのJerry Garciaの提案だったという。自分にとって、DeadのStudio Albumの中でも5本の指に入るくらいお気に入りの作品となった。実はLive  Albumや70年代初期のアルバムをずっと好んで聴いてきた自分にとって、本作との出会いは、Deadの新たな魅力を発見するきっかけとなったのであった。74年のバンド活動の一時休止を経て75年にリリースされた本作は、心地良く、JazzFunk民族音楽の要素が仄かに薫るところが気に入っている。 脱退した鍵盤奏者Ron "Pigpen" McKernanに代わってKeith Godchauxが加入した『Wake of the Flood』、『From the Mars Hotel』、そして本作と続く、バンド自ら立ち上げたLabelからの3部作は、彼らの楽曲、演奏力共に最も充実した時期ではないかと思われる。Keithと一緒に加入したPartner Donna Jean GodchauxVocalも馴染んできたし、何より脱退していたDrummerMickey Hartが戻ってきた。本作以降の70年代後半のDeadのStudio作品に関しては、Coreなファンの方々から、それほど高い評価を得ていないようであるが、多様性に富んだ楽曲と演奏はご機嫌だ。楽曲のQualityこそ本作に及ばないながら、よりPopな佇まいを感じさせる 『Terrapin Station』や『Shakedown Street』といったアルバムの魅力も、本作を聴きこんでからは、何となく理解できるようになった。歌詞も含めて中近東風の香りが漂う本作は、Deadの脱西洋音楽も狙った実験的でProgressiveな名作となった。

 

  『Blues For Allah』はGrateful Dead75年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Help on the Way”はFunkyなリズム隊にのってJerry Garcia独特の線の細いVocalChorusがイイ味を出している。

Slipknot!”はGarciaとBob Weirによる2本のギターの絡みやエレピが織り成すMagicalな演奏による夢見心地のJamが素晴らしい。

Franklin's Tower”もFunky気持ちReggaeを思わせるリズム隊にのってGarciaのVocalとギターが、これまた気持ち良いOrganがイイ感じ

ベースのPhil Lesh作の7拍子のインスト曲King Solomon's Marbles”。これが激カッコイイ仕上がり。Garcaのギター・ソロも最高

Leshとドラムスの2人、Mickey HartBill Kreutzmann共作の“Stronger than Dirt or Milkin' the Turkey”もGarciaのめくるめくギター・ソロが堪能できるFunkyな7拍子のインスト曲

Funkyなイントロからワクワクさせる“The Music Never Stopped”。作者のBob WeirのVocalが最高。SaxやBobに絡むDonna Jean GodchauxのSoulfulなVocalも良し。

Crazy Fingers”はReggae調ユッタリマッタリした曲で、GarciaのVocalが、っこういう曲には実にハマっているのが面白い。

イントロのアコギを中心とした典雅なEnsembleが絶品Bob Weir作“Sage & Spirit”。浮遊するFluteが絶品の味わいのインスト曲

最後はタイトル曲“Blues For Allah”から“Sand Castles & Glass Camels”、“Unusual Occurrences In The Desert”と続く3部構成。脱力した風に始まるけれど、無調風の旋律を奏でるVocalとの楽器のUnisonが何となくGentle Giantを思わせる部分もあり、続くDeadらしいPsychedelicなJamChorusと続き摩訶不思議な世界へ誘い込む。

 

The Music Never Stopped/Grateful Dead

(Hit-C Fiore)

 これは思いがけない、知る人ぞ知る名盤に巡り合ったものだ。『Trindade』というタイトルが付けられた同名の3人組による自主制作盤とのことだが、それが信じられないほどの完成度。曲良し歌良し演奏良しの三拍子揃った名盤である。それもそのはず、TrindadeMinas Gerais州の州都Belo Horizonte出身のViolinista鍵盤奏者ComposerArrangerとしても優れた才能を発揮し、映画TV音楽の世界でも活躍するMarcus Vianaが絡んだProjectなのであった。本作は、そのTrindade唯一のアルバムであり、90年代に自主制作されていた幻の逸品である。Marcus Vianaとの出会いは80年代にBrasilに登場したSagrado Coração De TerraというGroupのアルバムであった。84年にリリースされた彼らのデビュー・アルバム『Sagrado Coração De Terra』 で幻想的でSymphonicな香り漂うDramaticで雄大で躍動感に満ちたな演奏を聴かせてくれた、これもまたVianaのProjectなのであろうか、アルバム毎にメンバーが入れ替わっている。彼らが87年にリリースした2ndアルバム『Flecha』にChoirで参加していた女性Singer Carla Villarと、『Clube Da Esquina 2』などMilton NascimentoのアルバムやClube Da EsquinaのBeto GuedesFlávio VenturiniといったMinasの才人たちのアルバムに参加してきたギタリストTavinho MouraとVianaが組んだProjectがTridadeなのであった。Belo Horizonte出身で同地を活動の拠点としているCarla Villarは2007年に全曲Toninho HortaのCoverから成り、Toniho自身も演奏とVocalで参加しArrangementsも手掛けた名盤『Pedra da Lua』をリリースしている実力派Singerでもある。一方Tavinho Mouraの方もまた、その卓越したViolãoの腕前を数々の名盤で披露してきただけではなく78年リリースの『Como Vai Minha Aldeia』など自身のソロ作でも作曲やVocalの優れた才能を発揮している。

 

  『Trindade』は93年にリリースされたTrinadadeの唯一のアルバム。

アルバム1曲目は“Diadorado”。イントロのViolãoの謎めいた響きから惹きこまれてしまう。Marcus VianaViolinScatもイイ感じ。

Esperanca Manha”は魅惑の旋律を歌い上げるCarla VillarElegantで艶のあるVocalにメロメロ。男女Douetも雰囲気タップリ。勿論、VianaのViolinの典雅なソロも素晴らしい。

Debra/Trindade”もMinasの神秘感に満ちたイントロのViolãoの爪弾きとCarla絶品のScatに心癒される。SymphonicMysteriousな翳りも見え隠れする後半も魅力的だ。前半の男女Scatから後半のClassicalな展開に流れ込み、緩やかに高揚していくのがたまらない。

Carlaが艶っぽい伸びやかな歌声で歌う泣きの旋律に思わずグッときてしまう“Brasileira”。名曲中の名曲。

愛らしくも情景が浮かび上がってくるImaginativeなWaltzRio Doce”。地味ながらバックでうっすら鳴り響くStringsが素晴らしい。

これまた泣きの入ったイントロからグッと込み上げてしまうAmigos”。Carlaの清らかで透明感のあるScatがたまらんすなあ。

Minas的ともいえるMagicalな旋律をしっとり歌い上げる“Saudade Eu Canto Assim”。

CarlaのVocalとFluteソロにメロメロになってしまうBalladAmor Selvagem”。

Gente Que Vem De Lisboa”はキメをまじえながらSymphonicな管弦楽器のEnsembleがCarlaのVocalと絶妙な絡みで魅了する。

情感込めて歌い上げるCarlaのVocalが圧巻の“Dois Corpos”。

Passional”は哀感に満ちたArgentine Tangoなナンバー。

アルバム最後をシメるのは“Cruzada”。心地良く始まるがタイトルのごとく勇壮な演奏に展開していくのが興味深い。

(Hit-C Fiore)

 Jackson Heightsというバンドを語る時に、Emerson, Lake and Palmer(ELP)を結成するためにKeith Emersonが脱退して、70年に結局解散となったThe NiceのメンバーLee Jacksonが結成したという話から始まるのは仕方のないことかもしれない。しかし、Jackson HeightsはEmersonがLeader的存在であったThe Niceとは根本的に音楽性が異なるバンドであり、彼らの音楽をEmersonやELP絡みで比較したり、語ってしまうのは厳しいところであろう。Lee JacksonはThe Niceではベースを弾きLead Vocalを担当していたが、Jackson Heights結成にあたり、Acoustic Guitarを弾いてVocalを担当して、ベースはMario Enrique Covarrubias Tapiaにまかせている。Jacksonは当初、Acoustic Guitarを中心とする音楽を志向していた。Newcastle upon Tyneに生まれたLee Jacksonはメンバー募集を見て加入したGary Farr & The T-BonesでKeith Emersonに出会っている。Emmersonは、その後The V.I.P'sに加入するが、P. P. Arnoldのバックバンドで再びJacksonと組んで、それがThe Niceに発展する。Jackson Heightsでは、後にLindisfarneで活躍するCharlie HarcourtがElectric GuitarにPiano、Organ、Harpsichord 、Mellotron、そしてSpanish Guitarを演奏し、Tommy SioneがドラムスでJacksonがアコギとVocal、ベースは上述のMario Enrique Covarrubias Tapiaが担当してCharismaからDebut AlbumKing Progress』をリリースしている。しかし、商業的な成功を収めることができず、Jacksonは新たにバンドを再編し、今度はベースを弾きギターにJustineJohn McBurnieと鍵盤にFlaming YouthBrian Chattonをメンバーに迎え72年にアルバム『The Fifth Avenue Bus』、『Ragamuffins Fool』をリリース、本作はそれに続く彼らの最後のアルバムとなる。McBurnieと Chattonが加入してからの作品がJackson Heightsというバンドが最も充実していたともいえるだろう。

 

 『Public Romance』はJackson Heights73年Vertigoからリリースしたアルバム。彼らの最終作にして最高傑作と言われている。Moog SynthesizerのProgrammingのためにKeith Emersonが参加していたりKing Crimsonに在籍していた2人のDrummer Michael GilesIan Wallaceが参加しているというのが大きな話題だろうけれど、3人のメンバーの手による楽曲抒情的で捻りのある英国の香りを放ちStrings Sectionを配して優美で華やかな彩りを添えている。

アルバム1曲目は“I Could Be Your Orchestra”。Strings厚みのあるChorusPastoralな英国詩情に満ちた情景を描き出している。

Spaghetti Sunshine”も牧歌的でPopな英国の香りを濃厚に放っている。後半の展開も面白い。

Long Necked Lady”は重たいリズム隊にのって歌われるPopで抒情を感じさせるMelodyがイイ感じ。Fiddleも登場して、この捻り具合も良き。

Classicalなピアノで始まり軽快で捻りの効いたPopsに展開する“Public Romance”。Synthesizerソロがイイ感じ。

タイトル曲“Bump And Grind”はStringsとChorusLyricalで劇的な楽曲を盛り上げる。

イントロからお遊び感覚に満ちたCumberland Country”。ClavinetSteel Guitarが面白い。ここからJacksonとChattonの共作が4曲続く。

It's A Shame”はマッタリしたノリながら英国的抒情が香り立つ。

Ladies In The Chorus”は10ccにも通じる捻りのある凝ったPops

アルバム最後をシメるのは疾走感に満ちPopでめくるめく展開が英国的な“Whatever Happened To The Conversation”。

(Hit-C Fiore)

  Ron CarterというBassistに対する評価は、ある意味、自分が音楽をどういうものと考えているのかによって大きく変わってしまうと思う。Ron CarterはWayne ShorterHerbie HancockTony Williamsと共に60年代半ばの偉大なMiles DavisQuintetの一員としてMode JazzからFree Jazzの要素まで取り入れた新たな深化を模索していくJazz新しい地平を切り開いていくのに多大な貢献をしたMusicianであり、『E.S.P.』や『Miles Smiles』、『Sorcerer』、『Nefertiti』といった名作でのCarterの先進的かつ柔軟性に富んだSpontaneousなベースは他に類を見ないものである。この時代のMiles DavisのQuintetの最高到達点として95年に完全版としてリリースされた『The Complete Live at the Plugged Nickel 1965』を聴けば、このメンバーが互いに刺激し合いながらスリリングに生み出されていく自由奔放溢れ出すCreativityに満ち溢れた演奏に圧倒されるだろう。この"Second Great Quintet"のメンバーがアルバム全ての曲で演奏する最後の作品となった『Miles in the Sky』でCarterは1曲のみだがElectric Bassを弾き、MilesがFunkやRockの影響を受けた路線へ踏み出す『Filles de Kilimanjaro』の録音途中でMilesの元を離れたCarterはHancock、Williams、ShorterのBlue NoteでのアルバムやHorace SilverMcCoy TynerAndrew HillDuke PearsonLee MorganSam RiversFreddie Hubbardらの作品に参加し、やがてジャンルを越えて活動の場を広げていく。さて、Carterは確かにPitchが良いとは言えないし、超絶技巧というわけではない。しかし、この曖昧模糊としたCarterのベースこそが、"Second Great Quintet"期のMiles DavisのMysteriousで浮遊感に満ちた音楽にはなくてはならないものであったのだ。Rolling StonesのベースがBill Wymanのモコモコしたベースでなければならないように。音楽というのは面白いものであり不思議なものである。とにかくMilesのQuintet時代のCarterのフレージングには驚かされものが結構多いのである。

 

 『All Blues』はRon Carter74年CTIからリリースしたアルバム。本作でCarterはAcoustic Piccolo Bassを弾いている。従来より高いTuningをしたPiccolo Bassを弾くようになってからのCarterは、本来の低音でのウネウネしたMagicalなラインを弾いていた時に比べ個人的には苦手であるが、室内楽的なApproachをする時はさておき、Electricなのは論外として、本作辺りまでは、その独特のフレージングが楽しめる。ドラムスはBilly Cobham、Tenor SaxのJoe Henderson、ピアノにRoland Hannaで、1曲のみRichard TeeがHanaに代わってFender RhodesのElectric Pianoを弾いている。

アルバム1曲目は自作曲の“A Feeling”。Joe HendersonのTenorによるThemeが中々カッコイイ。Carterのベースも心地良く歌ってRunningしている。Hanaのキレキレのピアノ・ソロも良いが、低音でウネる時のCarterがやっぱり好きである。

Roland Hannaの典雅なピアノが堪能できるSlowの“Light Blue”でも、やっぱり低音で鳴らすCarterが良い

117 Special”はRichard Teeのエレピがイイ感じ。HendersonのTenorもBluesyで歌心あるフレーズで魅了する。フォービートではなく、FunkyなタメのあるリズムがいかにもCTIといった感じではあるが悪くない。Carterのソロもイイ味を出している。

Rufus”もTenor SaxとベースのUnisonによるThemeがイイ感じである。この辺は、この時代のCTIらしさが、CTIの良いところが出たナンバーで、Hanaのピアノ・ソロもそのバックでRunningするCarterと躍動するBilly Cobhamが絶品だ。Carterのソロも雰囲気が出ている。

タイトル曲はMilesの名盤『Kind of Blue』に収録されていたMyxolydian Modeを使ったBluesAll Blues”。HendersonのSaxソロに続いてCarterのソロは今一つ締りに欠けているのが残念。

最後をシメるのはベースのみの演奏Matt Dennis作の“Will You Still Be Mine”。

(Hit-C Fiore)

 Pink Fairiesは始末に負えない。何とも憎めない独特の魅力があって、 Ladbroke Groveあたりでラリってぶっ飛んでいた連中がやらかしていた音楽っていうのは無性に聴きたくなることが年に数回はあるのだ。同じLondon西部Underground Community65年公開のRichard Lester監督の映画『The Knack …and How to Get It』の舞台となったNotting Hillの連中とは似ているようでまたチョッと違った、なんというかアホやってますねん的な脱力感がたまらなく魅力的なのであった。そう、The DeviantsMick Farren、Pink Fairies周辺の音楽は、この辺が好きな連中にはたまらないものがあるのだ。 Mick FarrenがThe Deviantsを結成して、そこにCanadaはVancouver生まれで英国にやってきたギタリストPaul Rudolphが加わったことによって生まれた、69年にリリースされた『The Deviants』だとか、Twinkの『Think Pink』といった作品は、やっぱり引っ張り出して聴きたくなることがあるのだ。さて、The DeviantsからMick Farrenがいなくなり、残りのメンバーが結成したPink Fairies。活動中に3枚の公式アルバムを残しているわけであるが、以前書いたように3枚とも、それぞれに独自の魅力があって、気に入っているのだが、一般的には以前ご紹介したDebut AlbumNever-NeverlandやPaul Rudolphが脱退して後にMotörheadを結成するLarry Wallisがギターを弾いている最終作『Kings of Oblivion』の

評価が高く、間に挟まれて影が薄い本作であるが、個人的には、この脱力感といかがわしさにやられている。Twinkが脱退してTrio編成となって、ベースのRussell Hunter、ドラムスのDuncan SandersonとギターのRudolphを中心とした演奏だが、A面の2曲目と3曲目ではThe MoveTrevor Burtonがギターを弾いているのも興味深い。

 

 『What A Bunch Of Sweeties』はPink Fairies72年にリリースしたアルバム。

アルバムはいきなりオフザケ入ったPrologue”で幕を開ける。しかし天王星って一体何考えているのか?考えてないよな多分。

Right On Fight On”は例によって脱力し与太りまくったRock&Roll

Portobello Shuffle”もよれ気味のご機嫌なBoogieやる気なさげなChorusや、やたら気合が入ったというか、やけのやけっぱちなギター・ソロがアホっぽくて最高

Marilyn”もつっかかるようなRudolphのギターで始まるWildでRoughなノリのロッケンロー。途中の展開がカッコイイ。Russell Hunterの無駄に長いドラム・ソロもあまりにもらしくて、微笑ましい。最後のギターがウネリをを上げるお約束のTempo Upも泣けますなあ。

The Pigs Of Uranus”はアルバム冒頭のメンバーたちのDialogから繋がってくる天王星の豚。似非CountryなオフザケRock &Roll。歌詞はGilbert Sheltonの漫画『Wonder Warthog vs the Pigs from Uranus』からの引用。

The VenturesのHitで知られるJazz GuitaristのJohnny Smith作“Walk Don't Run”。9分越えの長尺だが荒々しくHeavyなJamっぽい演奏が良い。

I Went Up, I Went Down”も8分越えの大曲ゆったりと始まり、徐々に白熱していく演奏が良い。

X-Ray”は勢いのある演奏で、これはこれでカッコイイ

アルバム最後をシメるのはBeatlesの“I Saw Her Standing There”のCover。何も難しいことしてないのにカッコイイっすなあ。

(Hit-C Fiore)

  SpunkというFunk Band、まったく名前を聞いたことのない得体のしれない存在で、彼らが残した唯一のアルバムという本作、まあ普通の方はこのジャケットで買ってみようという気にはならないに違いない。しかし、この手のエロジャケ、ゲテ物ジャケは、往々にしてFunk系で当たりに出会うケースがありってこともあって、怖いもの見たさ(聴きたさ)で、ついつい手を出してしまうのであった。80年代に設立されたというGold  CoastなるChicagoのLabelからリリースされているこの音盤は実はリリースも少量で、80年代Funk系の中ではレア盤として、そこそこ高値で市場に出ていたのであるが、2000年代にめでたくReisueされたのであった。良くも悪くも、80年代らしいB級の香りが漂うイナタさ全開ながらもP-Funkの影響も感じられるツボを押さえたFunkは結構病みつきになってしまう。A面の最初の2曲はまんまBootsyや日本の歌謡曲みたいな曲で、ダメだこりゃ、失敗したと思いきや、なんと実力発揮の3曲目の極上のBalladから持ち直し、漆黒のSlapがビシバシ炸裂SpacyなSynthesizerがウネりキレキレのHorn隊が切れ込むFunkから甘美な女性Chorusが極上の味わいを醸し出す最終曲“La Bimini”まで一気に聴かせる。Creditを見てみれば一目瞭然。実はBLTというProducer Unitがその正体。The Fame Gangでベースを弾き、70年代後半Prelude RecordsBill BrandonのProduceを手掛けたMulti-InstrumentalistJesse BoyceThe DellsAl WilsonBarry WhiteらのSongwritingで才能を発揮してきたJimmy Levine、そしてなんとCurtis MayfieldCurtomの作品に携わってきた鍵盤奏者でProducer/Arranger/Composerとしても活躍したRich Tufo、この3人の頭文字をとってBLT。この3人が揃えば、このQualityは当たり前、納得の一枚であった。

 

 『Tighten It Up』は81年にSpunkがリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Get What You Want”。CheapなSynthesizerがいかにも80年代といった感じでRap調のVocalはBootsyの影響下にあるP-Funk印で、女性ChorusHorn隊も従えてサウンドもそっち方面を狙ってはいるものの、イナタさが半端ないBoostyのモノ真似は思わず笑ってしまったが、コレはコレでアリだろう。

これまた典型的な80年代のElectro FunkHot Flashes”。女性ChorusをFeatureして80年代の日本の歌謡曲に通じるところもあったりするがあ、SapcyなSynthesizerが飛び交ったりして面白い。

ここでチャラいイントロから始まるJesse Boyce単独作の渾身のBalladLove Looks Good On You”。これは寄り添う女性ChorusをバックにFalsettoもまじえてEmotionalに歌い上げるVocalが素晴らしい出来で、Saxソロも雰囲気タップリ

Jimmy Levine単独作“Crazy Me”はぶっといベース小気味よいギターのカッティングCameo風のChorusが結構カッコイイFunk。いきなり都会的でCoolな80年代Funkが飛び出すところもB級の味わい。

タイトル曲“Tighten It Up”はCatchyなピアノのイントロから始まり漆黒のベースに、SharpなギターNastyなVocal最高に気持ち良いFunk.。SpacyなSynthesizerRap調の女性ChorsJazzyなギター・ソロFunkyにウネるSynthesizerソロもバッチリ。

Jimmy Levine単独作“A Friend Ain't A Friend”。Slapビシバシのドス黒ベースキレキレのHorn隊華麗なStrings浮遊感漂うSunthesizerが最高のご機嫌なFunk。

Stevie Wonderへの憧れが感じられるHornのRiffTromboneソロがご機嫌な重心の低いFunkExpose Yourself”。

アルバム最後を飾るのは上述の“La Bimini”。ピアノ・ソロも最高に気持ち良い

(Hit-C Fiore)

 Vitold RekことWitold SzczurekPoland南東部の都市Rzeszów出身の大好きなBassistの一人で、そのジャンルの壁を越えた独創的なBassは、個人的に大きな影響を受けたのであった。Polandの音楽を熱心に聴き始めた頃、お気に入りのTomasz StańkoJan Ptaszyn WróblewskiのアルバムでBassを弾いていたのがSzczurekであった。Jan JarczykやSławomir Kulpowicz、Zbigniew Namysłowski、Vladyslav SendeckといったPolandの有能なMusicianとも共演したSzczurekは、Karl BergerやAlbert Mangelsdorff、Emil Mangelsdorff、Charlie Mariano、Jasper van’t Hof、Gerd Dudek、Heinz Sauer、Ralf Hübnerら欧州のMusicianとも演奏して、優れたBassistとしての才能を発揮してきた。Vitold Rekと名乗るようになって、90年代に入ってからも、贔屓にしているSwissのDrummer Peter GigerFamily Of Percussionのアルバムに参加したり、Peter Giger TrioでBassを弾いたり、DenmarkのSax奏者John TchicaiとのDuoで『Satisfaction』をリリースしたのを皮切りに素晴らしいDuo作品を発表したり、ドイツのRalf HübnerChristof LauerとPolandのWładysław SendeckiとのQuratetで『Mondspinner』という傑作を世に出している。Szczurekは8歳でAccordionを演奏し、14歳でGuitarContrabassを演奏するようになる。Krzysztof Pendereckiが学長を務めていた時にAcademy of Music in KrakówでClassical Double Bassを学んでいる。77年に"The Godfather of Polish Jazz"と称されるJan Ptaszyn WróblewskiのQuartetに参加、78年にリリースされたアルバム『Flyin' Lady』でもドラムスのAndrzej Dąbrowski、ギターのMarek Blizińskiと共に素晴らしい演奏を披露している。大好きなTomasz Stańkoが84年にリリースした『Music 81』や『Lady Go』、85年の『AiJ』といったアルバムにも参加しており、そこで自分はSzczurekの存在を知ったのだった。さて、Szczurekの1st Leader作となる本作の『Basspace』というはタイトルであり、Project名でもあるのだろう。ギターにはLaboratoriumにも在籍していたRyszard Styła、ドラムスはJerzy Węglewskiというメンツで東欧らしいジャンル越境の演奏が楽しめる。Demetrio Stratosをチョイ思わせるGreek出身のJorgos SkoliasのVocalも登場して一筋縄ではいかないところも魅力的である。

 

 『Basspace』は84年Witold Szczurekがリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はSzczurekが弾くArcoで始まる“White Song”。MysteriousなVibraphoneをバックに物哀し気なArcoの響きがなんともいえない東欧の厳しい冬のイメージを醸し出していく。Ryszard Styłaのギターは宝石のように煌くArpeggio哀感漂うフレーズを弾きながらサウンドに彩りを添え、いつの間にか東欧らしい重々しく幻想的な世界に惹き込まれていく。

Hey, Hullo”はタメのきいたJerzy Węglewskiのタメのきいた心地良いドラミングにのって、Ryszard Styłaの浮遊感に満ちたギターが秘境へと誘い込む。ギターとベースのUnisonでThemeが始まり東欧独特のDarkで幻想的な世界が拡がっていくが、低音で不気味にウネるSzczurekのベースが素晴らしい効果を上げている。

Tomo”はRyszard Styłaの繊細で抒情的なギターで始まり、Szczurekは優美なArcoでThemeを弾き、心地良くも夢想的な空間が生まれていく。すると今度はSzczurekのベース・ソロが始まる。Pat Methenyも少し連想させるようなRyszard StyłaのギターはImaginativeで魔法のように煌びやかな音を散りばめていく。

B面の“The Second Break”もRyszard Styłaの優美なギターで始まる。キラキラしたArpeggoを絡めた夢見心地のギターの独奏が続くと、おっと今度はSpacuなJazz Rockな展開か、と思わせておいて個性的なJorgos Skolias異国情緒漂うEmotionalなScatが登場する。

哀感漂うArcoの響きがたまらなく美しい“Fifteen Questions”。ここでもベース・ソロが登場し、PolandらしいLyricalで神秘的な世界にTripしてしまう。

アルバム最後をシメるのは“My Harp”。浮感感に満ちたギターとArcoとベースの多重録音に個性的なJorgos SkoliasのScatを絡めて物哀しく神秘的な東欧らしい空間が広がる。

(Hit-C Fiore)

 Blue Effect60年代後半Czechで結成されたRock Bandであり、主に70年代に活動していた。ベースのJiří Kozel、SingerのVladimír Mišík 、ドラムスのVlado Čech、ギターのRadim HladíkMiloš Svobodaによって生まれたGroupは、メンバーの殆どが義務兵役免除の証明書となる"Blue Booklet" (Czech語でModrá Knížka)に由来するThe Special Blue Effectというバンド名が短縮されてBlue Effectと名乗るようになった。68年12月にLucerna宮殿で行われた第2回Czechoslovak Beat Festivalに出場してDiscovery of the Yearに選ばれた。69年The Blue Effectとして“Slunečný Hrob / I've Got My Mojo Working”でDebutすると5万枚以上を売り上げ、EP『Blue Effect』も同年にリリースされ好調なセールスを記録、一躍人気バンドとなった彼らだが、Svobodaがバンドを去ってしまう。4人編成となって70年Debut AlbumMeditace』をリリース、この時点で政府のRockへの弾圧は始まっており、アルバムに最初に書いた歌詞の多くは書き直ししなければならなかった。Vladimír Mišíkが70年半ばにバンドを脱退すると、バンドはInstrumental Jazz Rockを志向するようになり、Jiří Stivínが在籍していたJazz Q PrahaのメンバーとBlue Effect & Jazz Q Praha名義で共演アルバム(4曲中1曲のみJazz Q Praha単独作)『Coniunctio』をリリースしている。71年にバンドはCzech名のModrý Efektを名乗らなければならなくなり、短縮してM. Efektと改名した。そしてJazz Orchestra of Czechoslovak Radioとの共演となる本作をリリースするのである。69年にDeep PurpleがMalcolm Arnold指揮のThe Royal Philharmonic Orchestraと共演してRock史上初めて観客を前にしたOrchestraとの共演が実現されたが、こちらはJazz Ochestraである。名手Radim Hladíkの燃えたぎるギターを中心に半端じゃない熱量でRockとJazz、Classical Musicが混然一体となって盛り上がっているのであった。

 

 『Nová Syntéza = New Synthesis』はModrý EfektBlue Effect)が71年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はギタリストRadim Hladík作の“Má Hra = My Game”。抒情的ながら重厚なOrchestraの演奏が始まると、ギターが唸りを上げ疾走感溢れるリズム隊と熱いRock魂を注入緩急織り交ぜた後半の盛り上がりはグッとくる。

本作から加入した鍵盤奏者Lešek Semelka作の“Směr Jihovýchod = Southeast Bound”。イントロから高らかに鳴らすHorn隊に心躍らせれば、こちらも熱いギター・ソロにHammondソロも登場して、これまた動と静のContrastが鮮やか変幻自在で躍動するリズム隊もカッコイイっすなあ。後半のTempo Upしたところでギター・ソロが炸裂。ビシバシときめるBrass Sectionもイイ感じ。

Radim Hladík作の“Popínavý Břečťan = Clinging Ivy”はイントロから畳みかけるHorn隊が最高。スリリングに弾き倒すHladíkのギターが熱いっす。

Jazz Orchestra of Czechoslovak Radioの指揮者Kamil HálaとVlastimil Hála共作の“Blues Modrého Efektu = Blue Effect Blues”はタイトル通りの哀感漂うご機嫌なBlues。Brass隊がビシバシとフレーズをキメこんでくる中、Bluesyにむせび泣くHladíkのギターがRockっすなあ。派手さはないけれど、じわじわとEmorionalな高まりが炸裂していき、ここぞとばかりに爆発させる男泣きのギター。

アルバム最後をシメるのはタイトル曲“Nová Syntéza = New Synthesis”。こちらもKamil HálaとVlastimil Hála共作の14分越えの大曲淡々と繰り返すFunkyなギターのカッティングが気持ち良い。この曲も時にAvant-Gardeな響きやPastralな雰囲気を感じさせながら、じわじわ攻めて、最後に爆発させる、お約束のギター・ソロが良い。

(Hit-C Fiore)