BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Dave ValentinFluteは月並みな表現だけど、本当に心地良くて呆れてしまうほど上手い音色も素晴らしいし、何より抜群のリズム感である。よくSax奏者がFluteを吹くことがあるけれど、New York CityThe Bronx生まれでPuerto Rico出身の両親を持つDave Valentinも元々はCongaTimbalesから楽器を始めてFluteに転向して、それ一筋で練習に励んだだけあって、その上手さというか演奏技術のレベルが群を抜いている。 Herbie Mannのレコードを買って独学でFluteの演奏を始めたけれど、Hubert LawsPrivate Classを受けて、見る見るうちに頭角を現していったという。当初はLattinの血が、そうさせたのかLatin Musicの影響を強く受けていたValentinは次第に師匠Lawsの教えもあってか、Jazzへの傾倒を深めていくのであった。そして鍵盤奏者のBill O'Connell、ベースのLincoln GoinesRuben Rodriguez、ドラムスのRichie MoralesRobby Ameen、Conga奏者のSammy FigueroaGiovanni HidalgoらとAfro-CubanBrazilian MusicFunkJazzと融合させた自身のバンドを70年代に結成する傍ら、Salsa系Conjunto LibreRicardo Marrero & The Groupに参加し70年代後半に録音を残している。またDave Grusin77年のアルバム『One Of A Kind』に参加すると、Grusinが Larry Rosenと設立したLabel GRP Records契約した最初のMusicianとなった。こうして、本日ご紹介するDave ValentinのDebut AlbumLegends』が78年にGRP Recordsからリリースされるのであった。Dave GrusinがPiano、Electric Piano、Synthesizerを弾きProduceArrangements指揮を担当。ベースにAnthony JacksonFrancisco Centeno、ドラムスはSteve Gadd、Ricardo Marrero & The GroupのBassist Michael ViñasがAcoustic Guitarを弾いている。さらにギターのJose Ortiz、Percussionの Rubens Bassini、BongosのRafael De Jesusらの名手による極上の演奏が楽しめる。

 

 『Legends』はDave Valentin78年Arista GRPからリリースしたアルバム。自作曲3曲にCoverのセンスも素晴らしい。

アルバム1曲目は自作のタイトル曲“Legends”。LatinなRhythmにのて軽やかに舞うValentinのFluteが気持ち良すぎ。Anthony JacksonBottomでウネりまくるベースが最高。

Bouree In E Minor”はJohann Sebastian Bachの“E Minor Bourrée in E Minor”をLatin Jazz風にArrange。まあ、CTIなんかの路線に近いけれど、こちらはBand EnsembleがよりFunkっぽくて中々カッコイイ。ValentinのFluteも変幻自在に宙を舞う

Sea Pines”もAcoustic Guitarで始まるチョイSpanish調ExoticなLatin JazzさりげないStrings心地良く揺らめくエレピ長すぎず短すぎずカッチリまとめたピアノ・ソロといったあたりにDave Grusinセンスが感じられる

Chick CoreaReturn To Foreverの“Crystal Silence”。こちらはSimpleに幻想的な雰囲気を生かした仕上がりでFluteがバッチリこの旋律にハマっている。

Mongo Santamariaの“Afro Blue”は心地良いAfro起源3:2 Cross-RhythmHemiola)にのったFluteが躍動する。この辺の抜群のリズム感覚がValentinの真骨頂

Sergio Mendes & Brasil '66の“Masquerade”。蕩けそうなエレピで始まる、これまたValantinのFluteが気持ち良すぎ寄り添うStrings雰囲気タップリ

Patterns For The Sky”はRhythmキレキレで緩急自在に躍動するLatin Jazz

アルバム最後をシメるのは72年のMichael Jacksonヒット曲で大好きなMarvin Gayeの名盤『I Want You』収録のLeon Ware Arthur T- Boy Ross作“I Want To Be Where You Are”。LatinなFunk仕立てで心地良い風が吹く。

Crystal Silence/Dave Valentin 

 

(Hit-C Fiore)

 Rádio TaxiはSão Paulo81年に結成されたRock Band。メンバーはギタリストのWander Taffo、ドラムスのGel Fernandes、ベースのLee Marcucci、鍵盤とVocalのWillie de Oliveira4人組Tutti FruttiのメンバーであったMarcucciとOliveiraを含め全員がRita LeeBacking Band出身であった。ギターのTaffoはNey MatogrossoGerson Conradが脱退しJoão Ricardoが残ったSecos & MolhadosTerreno BaldioのベーシストJoão Ascensãoともに加入して78年にリリースされた彼らの3作目のアルバム『Secos & Molhados』でギターを弾き楽曲も提供している。このアルバムにはドラムスのGel Fernandesも参加している。Nelson MottaによってRádio Taxiと命名された彼らは、82年EpicからDebut AlbumRádio Taxi』をリリースする。Tutti FruttiのメンバーでRita Leeの公私ともにPartnerであったRoberto de CarvalhoとRita作の“Coisas de Casal”やMoto PerpétuoのGuilherme Arantes作の“Ana”、Roberto Carlosの“Quero Que Vá Tudo Pro Inferno”などに加えて自作曲で固めた中々の力作に仕上がっていたが、彼らの人気が急上昇したのは、83年に同じくバンド名をタイトルにしてリリースされた2nd Albumからのヒット曲Umberto Tozzi作の“Eva”であった。残念ながら鍵盤奏者のWillie de Oliveiraは2nd Album録音後にバンドを脱退してしまう。SingerでMulti InstrumentalistMaurício Gasperiniが後任で加入したRádio Taxiは“Um Amor de Verão”や“Você se Esconde”といったヒット曲を収録したアルバム『6:56』、『Matriz』をリリースして87年に解散してしまう。メンバーは全員Session Musisianとして成功を収めることになるが、その後も再結成などして活動をしていたようだ。本作は解散後の89年にリリースされたアルバムであるがギターのWander Taffoが脱退して3人組となっている。

 

 『Rádio Taxi』はRádio Taxi89年RGEからリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Sem Saída”。3人の共作によるFunkyな楽曲ではあるが、ドラムスといい典型的な80年代サウンドで如何にもといった感じである。

Sai Do Muro“はHornの音も加わって盛り上げるナンバーではあるがSynthesizerとドラムスがいかにも80年代的。VocalやChorusはそれなりに頑張ってはいるが。

Quarto Vazio”は哀感に満ちたギターのArpeggioから始まる泣きのMidium

Madame”はギターが唸りを上げるイントロがオッと思わせるが、仕上がりはSynthe Popといった感じ。ギター・ソロはカッコイイ。

Rita Lee & Tutti Frutti75年にリリースしたアルバム『Fruto Proibido』収録の大好きな曲“Pirataria”。Ritaとベースの Lee Marcucciの手による楽曲で、ここではDancsableなSynthe Pop仕様になっている。

Nunca,Ninguém”はイントロのギターがイイ感じだが、やっぱり仕上がりは当時のNew Wave Popな感じ。

Obsessão”は思わず口ずさんでしまうでしまうサビがいい感じ。FunkyHardなギターが入っている基本はPopなのが彼ららしい。

Sua Missão”はMajor Seventhの響きRomanticな必殺の甘美で切ないBallad。こういう曲を書かせたらGasperiniは天下一品。雰囲気タップリのSaxも良き。

Milhões De Erros”もギターが唸りを上げるFunkyな80年代Pop

アルバム最後を飾るのはタイトルも“Fim”。バンドの終わりを告げる短くも泣きのインスト曲

Sua Missão/Rádio Taxi

(Hit-C Fiore)

 Elvin Jonesがドラムを叩く姿を背後から写したジャケットが激カッコイイっす。それにしてもBlue Noteが、こんなお宝を出してくれるとは。John Coltraneがこの世を去ってから、わずか2週間後の67年6月27日から30日にかけてNew York Cityの小さなClub Pookie's Pubで演奏した模様を収録した未発表の音源によるLive AlbumImpulse!に約一か月前に録音されたアルバム『Heavy Souds』や翌68年録音のアルバム『Puttin' It Together』に収録されているナンバーにStandardなどをまじえて臨場感たっぷりに熱い演奏で楽しませてくれる。Tenor SaxのJoe Farrell、ベースにWilbur Little、ピアノはBilly Greene、1曲のみLarry Youngがピアノで参加している。Elvinを中心に自由奔放でLiveならではの遊び心も感じさせる演奏は、良い意味での荒々しさも伝わってきて、聴いている方も興奮させられてしまう。Elvinは66年に“The Sensational Drum Battle”なる企画でArt Blakey、Tony Williamsと来日している(本作のBookletでその時の3人の写真を見れる)が、その時にトラブルが発生してしばらく帰国できなくなってしまう。そんな時に日本のMusicianや関係者から支援を受けてElvinは親日家となったという。そして、そこで運命の女性と出会うのであった。翌67年にElvinを追ってNew Yorkに渡った彼女は71年にElvinと結婚している。このLive Albumの冒頭を飾るのは、彼女の誕生日を祝して捧げられたナンバーである。公私ともに充実して独特のPolyrhythmとウネりを生みだす爆発的なドラミングは圧巻である。また70年代を代表するTenor Sax奏者の一人として活躍するJoe Farrellが、正に絶頂を迎えようとしている時期でもあり、ぶっといToneでスリリングにフレーズを繰り出し豪快にElvinと渡りあうところは聴きモノである。

 

 『Revival (Live At Pookie's Pub)』は22年にリリースされたElvin Jones67年6月Pookie's Pubでの演奏を収録したLive Album。

アルバムは1発目は後に結婚しElvinの生涯の伴侶となる女性に捧げられた“Keiko's Birthday March”。68年録音のアルバム『Puttin' It Together』に収録されていたJoe FarrellのFlute愛らしく気合の入ったElvinのドラミングに圧倒されるナンバーで、これをいきなりFarrellがTenor Saxでぶちかます

Miles Davisの演奏で知られる“Gingerbread Boy”も同アルバム収録曲で、この曲のみLarry Youngがピアノを弾いている。ここでもFarrellの熱いTonerが炸裂。圧巻のソロを披露してくれる。

Joe Farrell作の“13 Avenue B”も、おそらくこの時絶頂期だったと思われるFarrellのBlowに圧倒される。そして中盤からEndingにかけてのElvinのソロのドラミングがご機嫌である。

My Funny Valentine”はFarrellの哀感に満ちたFluteで始まる。こういう静かなナンバーでもElvinのドラミングはTouchやAccentを変幻自在に変えながらサウンドに奥行きを与えている

ピアノのBilly Greene作となるご機嫌なThemeで思わず指パッチンの“M.E.”は『Heavy Souds』収録曲。20分の長尺であるが、Greeneの玉を転がすようなピアノ・ソロが素晴らしい。またFarrellのTenorもキレキレである。Elvinのドラム・ソロも最高である。

On The Trail”はMinimalなピアノとRhimshotが心地良いBossa風のBeatがイイ感じ。ゆったりフォービートとの間を行ったり来たりも良き。

Softly As In A Morning Sunrise”はFarrellの軽やかに舞うFluteが最高。Funkyに跳ねるピアノ・ソロもイイ感じ。

Frank Foster作で『Heavy Souds』収録の“Raunchy Rita”は短めながらGreeneのピアノ・ソロなどBluesyな味わいが良き。

アルバム最後をシメるのは圧巻の“Oleo”。FarrellもGreeneもキレキレでElvinのウネりまくるBeatと共に豪快に突っ走る

Keiko's Birthday March/The New Elvin Jones Trio

(Hit-C Fiore)

 Rock WorkshopJohn Barry Sevenや一時Georgie FameBlue Flamesにも在籍しCBSからJazz Guitaristとして3枚のLeader AlbumをリリースしたギタリストのRay Russellが主導して結成されたBandというかProjectのようなものか。JazzやRockとジャンルを越えて活躍していたRussellがBrass Sectionを伴い当時ChicagoBlood, Sweat & TearsChaseといったBrass Rockへの返答ともいうべきかもしれない。一方当時の英国ではBrass SectionをFeatuteしたJon Hiseman 率いるColosseumDick MorrisseyIfという存在が大きかったが、彼らは米国のBrass Rock勢とは異なる英国的な陰影のあるサウンドProgressiveな音楽性を加えた独自性を持っていた。それは米国でいえばJerry GoodmanのViolinをFeatureしたThe Flockあたりと共通するものであった。Ray RussellのRock Workshopはといえば、Harry BeckettのFlugelhorn/Trumpet、Bob Downes,、Tony RobertsのFlute/Saxophone、Derek WadsworthのTromboneという強力なBrasss Sectionを擁して70年にリリースされた1stアルバム『Rock Workshop』でベースにDaryl Runswick、鍵盤にBrian Miller、ドラムスにRobin JonesAlan Rushtonという、これまた素晴らしい人材を揃え、 Alex HarveyAlan Greedという個性的なVocalも揃えたのだが、個々のプレイは素晴らしくても、楽曲があまりにも凡庸でメンツから考えればかなり期待外れな作品になってしまった。しかし2年後にAlex Harveyに代わってGinger Harperという女性Vocalが加わってリリースされた本作では、かなり持ち直した段違いの出来となっている。同年にThe Keef Hartley Bandがリリースした傑作『Little Big Band』とまではいかないが、Brass Rockを越えJazzとSoulの要素も加わったかなり充実した作品となっている。

 

 『The Very Last Time』はRock Workshop71年CBSからリリースしたアルバム。女性VocalのGinger Harperが前作とは違う新たなSoulfulな魅力を与えているのが大きい。

アルバム1曲目はイントロのギターとBrassから期待を持たせるLiving Reason”。Alan Greedと新しく参加したGinger HarperとのSoulfulな男女Vocalのかけ合いがキマっている。別のバンドかと思う位カッコイイ。

Street War (Parts 1 & 2)”もイントロのギターとBrassのEnsembleがご機嫌。Saxソロもカッコイイ。RussellのFunkyなギターのカッティング熱いソロも良き。変拍子も混ぜながら熱く盛り上がる。

Going Home”はピアノを中心とした演奏をバックにSoulfulに歌い上げる男女VocalSwampの香りを運ぶ。ChorusBrassも良き。後半のVocalの掛け合いが素晴らしい。Ginger HarperのVocalは最高だ。

What's Mine Is Mine”は不協和音のEnsembleも激カッコイイJazz Rock Shuffle。

Ray Russellが弾くAcoustic GutarをFeatureしたインスト曲“Weeping Wood Mandalas”は哀感に満ちてアルバムのアクセントとしても良き。

Forgotten How To Live”もイントロからノリノリのご機嫌なBrass Rock。それにしてもGinger HarperのSoulfulなVocalには痺れまくり。Funkyにキメるリズム隊とBrassが最高。

Light Is Light”はFuzz Bassがイイ感じのBlues Rock

Alan GreedがOrganを弾く“I Think It's ...”はJB風のFunk。Bottom

でウネるDaryl RunswickのベースとドラムスのAlan Rushtonが最高。

BluesyなギターのRiffに絡むBrassがご機嫌な“Ella Banta Dum Bundy”。OutするTrumpetソロと中盤の不協和音のBrassのEnsembleが激カッコイイ。後半の燃えたぎるギター・ソロも良き。

アルバム最後をシメるのはタイトル曲“Very Last Time”。BrassをバックAlan GreedSoulfulに歌い上げる

I Think It's .../Rock Workshop

(Hit-C Fiore)

 Toxic Reasons70年代末Ohio州Daytonで結成されたPunk Rock Band。OhioといえばFunk Bandであるが、Punkでもこんなご機嫌な連中もいたのであった。創設メンバーはベースとVocalのBruce Stuckey、ギターとVocalのJoel Agne、Lead VocalのEd Pittman、ドラムスのMark Thomas Patterson4名80年にJoel Agneが脱退しBruce Stuckeyがギターを担当し、ベースにIndustrial Noise Band Dementia PrecoxからGreg Stoutが加入した。この年、地元のPunk Label Banit Recordsから7", 45 RPMWar Hero”をリリースしている。翌81年にはドラムスのPattersonが脱退しJames J. "J.J." Pearsonが加入、またRhythm GuitarでRob SnotことRobert C Lucjak Jr.Rob "Snot" Lucjak)がメンバーに加わっている。この年にEP“Ghost Town”をリリースしている。ベースのGreg Stoutはバンドを去ってしまうが、Robert C Lucjak Jr.がベースも兼任しIndiana州IndianapolisKeystone RecordingDebut AlbumIndependence』を録音しSan FranciscoのRisky Recordsから82年にリリースしている。これが中々の傑作で、彼らはTourを敢行した後にSan Franciscoに拠点を移した。しかし、IndianapolisのPunk Band Zero BoysからDavid "Tufty" Cloughがベースで加わったが、男気溢れるShoutで存在感を放っていたPittmanは脱退してしまう。84年にリリースされたToxic Reasonsの2作目のアルバムとなる本作は、バンドの中心人物StuckeyがギターとLead Vocalを担当しIndianapolisのHit City SoundとSan FranciscoのHyde St. Studiosと Bear West Studiosで録音され、前作に負け時劣らずの傑作に仕上がっている。激しいHardcore PunkReggaeMelodicなギターの要素を加えた彼らの多様性を持った音楽性はもっと高く評価されても良いだろう。

 

 『Kill By Remote Control』はToxic Reasons84年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はイントロのギターのサウンドからご機嫌なギターのRobert C Lucjak Jr.作の“Stuck In A Rut”。

疾走感に満ち溢れたStuckey作の名曲“Destroyer”。Ed Pittmanほどの迫力はないけどBruce StuckeyのVocalもイイ感じである。サビの野郎Chorusが良き。

Jrs. Friends”もギターでガンガン攻めていきなり突っ走るご機嫌なナンバー。Emotionalなギター・ソロも短いけれど最高。

ベースのDavid "Tufty" Clough作となる“Revolution?”。これまた野郎ChorusシンガロングのLiveで盛り上がりそうなナンバー。

再びLucjak Jr.作の“Powercrazed”。向こう見ずな暴走でガンガン攻めながらロッケンなギターがご機嫌っすなあ。

Stuckeyと Clough、ドラムスのJames J. "J.J." Pearsonの共作となる“No Pity”は野郎どもがガナリながら激しく爆走していくHardcore Punk.

ベースのClough作“Limited Nuclear War”も激しくかき鳴らされるギターと雄たけびを上げるような野郎Chorusが最高。こういうのは気合が入りますなあ。

StuckeyとLucjak Jr. 、ドラムスの Pearsonの共作“Looking At The World”はイントロから盛り上がり拳を思わず突き上げてしまうご機嫌なナンバー。

鋭いギターがNoisyにかき鳴らされ力強く野郎Chorusが歌い上げるStuckeyとClough共作の“Break The Bank”。

アルバム最後をシメるのはStuckey作の“Harvest”。吐き捨てるようなVocal辛辣な歌詞が印象に残る。

Destroyer/Toxic Reasons

 

(Hit-C Fiore)

 本日ご紹介するのはBrasilのお馴染みSom LivreからリリースされたOriginal Soundrack盤。おそらく、これまでに何枚もご紹介してきた同国の70年代に放映されていたテレビ番組のサントラ盤の一枚だと思われるが、タイトルとジャケットから察するに架空の都市"Chico City"を舞台にしたComedyモノではないかと思われる。ジャケットで変顔しているComedianChico Anysioが主演のようだ。このChicoという人は何気にマルチな才能を持った中々の人物で、俳優、アナウンサー、司会者、脚本家、Producer、画家、そして作曲家の顔を持つBrasilで最も偉大なComedianの一人として知られているそうだ。何より、あのCaetano VelosoのLondon亡命を仲介した人物としても有名なのである。Brasilの北東部にあるという設定の"Chico City"を舞台にしたドラマで、Chicoは200人を越える登場人物を演じたそうだ。それにしてもこの音盤、チョイと地味かな?てな感じだけど、実は楽曲が粒ぞろいで全曲捨て曲なしなのである。全ての楽曲を手掛けたのはChico AnysioとBrasilでのRapの先駆者といわれるArnaud Rodriguesである。この二人は番組内でCaetano VelosoとOs Novos Baianosを捩ったBaiano & Os Novos CaetanosなるDuo(実際には作曲家のRenato Piauも参加している)で登場し軍事独裁政権を痛烈に批判したVô Batê Pá Tu”や国の経済政策やBrasilの経済的奇跡を批判した“Urubu Tá com Raiva do Boi”なる曲を披露している(このサントラ盤には含まれていない)。ジャケットの中央に写っているのが彼らである。さてKris & CristinaEustáquio SenaDjalma DiasBetinhoといったSom LivreのNovela界隈ではお馴染みの顔ぶれが並び、魅力的な楽曲を見事に歌い上げているのが良い。

 

 『Chico City』はSom Livreから73年にリリースされた同テレビ番組のSoundtrack盤

アルバムはKris & Cristinaによる軽快な番組のOpening ThemaIsso É Muito Bom”で始まる。

Trio Esperançaから68年に独立したEvinhaが歌う “Donzela”は最高。EvinhaのCuteな歌声が素晴らしい。

再びKris & Cristinaの“Dói Que Dói”は疾走感に満ちたご機嫌なナンバー。

Som Livreではお馴染みギタリストでProducerでもあるEustáquio Senaが朗々と歌い上げるTestamenteiro”。

Accordionがイイ味出しているTrio EsperançaGavião”は男女Vocalの掛け合いが楽しい。

Hino A Chico City”は主演の男優Chico Anysioダミ声で歌い上げる

Maria Bahia”はNovela界隈ではお馴染みのDjalma DiasがChorus隊を従えて歌い上げていく。Fluteがイイ感じ

三度Kris & Cristinaが歌う高揚感に溢れたÉ Domingo É Domingo”。Horn隊とOrchestrationもイイ感じ。

Raulzinho率いるImpacto 8のVocalだったBetinhoが歌う“Carêta”はキレの良いHorn隊も炸裂するご機嫌なFunky Tune

Golden Boysが歌う高揚感に満ち溢れたBriga De Galo”。Horn隊とChorusが最高。

Quarteto Uaiの”Terra Milagreira”は躍動感に満ちたリズム隊にのったChorusがご機嫌。

アルバム最後をシメるのはAugusto CésarChorus隊と共に朗々と歌い上げる”Velha História Do Sertão”。

Isso É Muito Bom/Kris & Cristina Tema De Abertura De 『Chico City』

(Hit-C Fiore)

 Synergyはバンド名のようだが、実際はLarry FastなるSynthesizer奏者/作曲家が70年代半ばから80年代半ばにかけて活動していたSolo Projectと言ってもよいだろう。Larry Fastの名前を知り気になる存在となっていったのはPeter Gabriel77年のDebut Albumから始まる一連の作品やDeodatoNektarDaryl Hall & John OatesPazbandShadowfaxThe RochesDr. Buzzard's Original Savannah BandJohn TropeaのTropea名義のアルバムといった大好きな70年代後半から80年代にかけて作品で、必ずSynthesizer奏者やProgramming、Effect担当、時にはProducerとして、その名を目にしていた頃だった。Larry FastことLawrence Roger FastNew Jersey州Livingstonで育ち、Pennsylvania州のLafayette Collegeで歴史学を学びながらPainoやViolinで培った技術にComputer Scienceを融合させ、Synthesizerに興味を持つようになると、独自の音響電子楽器を製作するようになったという。その後ひょんなことからYesのRick Wakemanを紹介され、アルバム『Tales from Topographic Oceans』に携わるため渡英するとPassport RecordsとReccording契約が結ばれるのであった。そしてSynergy 名義で"..and nobody played guitar."という文が添えられた本作が75年にリリースされる。これはQueenのDebut Albumに書かれていた"and nobody played synthesiser"に対する返答と言われている。Robert MoogによるModular Synthesizer Systemの時代が始まり、MinimoogやARP 2600EMS VCS 3Oberheim OB-Xが登場し、あの時代特有の空気感、未来感宇宙神秘異次元的な感覚といったSF的な香りも漂わせたそのSoundが人々を魅了していく。そんな時代に登場したSynergy、そこには、Composer、Performerとしては勿論 Arranger、Engineer、Programmer、そしてProducer としてすべてを仕切るFastの姿があった。Jean-Michel JarreVangelisBerlin Schoolとはまた別の可能性と独創性に満ちたStrange Worldは今でも輝きを失ってはいない。

 

 『Electronic Realizations For Rock Orchestra』はSynergy75年Passport Recordsからリリースしたアルバム。Synthesizerを中心にMellotronや電子楽器のみをLarry Fast一人が演奏して作り上げた唯一無比の世界が楽しめる。

アルバム1発目は“Legacy”。MinimoogやARP 2600、OberheimといったSynthesizerのみならずMellotronを効果的に使ってClassicalでSymphonicな世界を生みだしている。Endingの高速Sequencerが最高である。

Richard Rodgers作曲の36年公開の Broadway Musical Comedy『On Your Toes』のためのBallet音楽“Slaughter On Tenth Avenue”。The Venturesで有名になった邦題“10番街の殺人”ですな。この11分越えの長尺曲を壮観でOrchestralに仕上げている。さすがに時代を感じさせる部分もありながら、この作品をたった一人で作り上げた、その構成力、Arrange力にはいまだに驚かされてしまう。

Project名をタイトルにした“Synergy”。Analog Synthesizerのぶっとく人間味のある音がイントロから暴れ出すのが良い。楽器奏者としてのFastも中々のものだ。ここで聴かれるAggressiveで未来的なサウンドは当時としては画期的なものであったに違いない。

イントロのめくるめくSequencerから惹きこまれていく“Relay Breakdown”はアルバムで一番好きな曲。Synthesizerが躍動してSpacyで浮遊感に満ちたStrange Worldが展開されていく。

アルバム最後をシメるのは“Warriors”。イントロからSymphonicで大きなScal感が感じられるナンバー。キラキラと星のようにきらめくSequencerが心地良い。

Relay Breakdown/Synergy

(Hit-C Fiore)

 Kevin Ayers78年HarvestからSlapp HappyHenry CowAnthony MooreProducerに迎えてアルバム『Rainbow Takeaway』をリリースして再び大好きなSpainMajolicaでの生活を楽しむようになっていく。80年に英国のSongwriterでMulti InstrumentalistのGraham PreskettProduceHarvest最終作となる次作『That's What You Get Babe』をリリースした頃にはおクスリ関係でヘロヘロで、好き放題やらかした隠遁生活を送り続けた結果、83年に違和感ありまくりの打ち込みが奇妙な味わいの『Diamond Jack And The Queen Of Pain』をリリースして、かつてのファンからは前作、前々作以上に、かなり厳しく批判された。もはや独創性実験精神はSpainに移り住むときに忘れてきてしまったかのようだ。それはそれで本人にとっては楽しい生活であったのかもしれないが、自堕落音楽的には70年代とは比べるべくもなくCheapな作品を連発していく。それでも、どこか許せてしまう、なぜなら、ダメダメな酔いどれ詩人は、それなりに楽しめる作品を作ってしまうのだから、自分のような人間は見放すことができないのであった。そして相変わらず古くからの良き相棒であるOllie HalsallはKevinに寄り添いギターを弾き続けていくのだ。 Daevid AllenGilli Smythのアルバムにも参加した伝説のギタリストJoan BibiloniSpain地元のMusicianらの協力のもとに制作された(Ollie Halsallも1曲のみ参加)80年録音84年リリースの『Deià... Vu』ではBluesyでCaribbeanでReggaeな香りも漂う、かつての 自由気ままでNonchalant、とことんEpicurean気質な持ち味も健在で、88年のOllieとPoli PalmerのProduce作『As Close As You Think』は打ち込みながらSongwritingではKevinらしさが戻って来た感がある。そして87年Mike Oldfieldのアルバム『Islands』収録の“Flying Start”にVocalで参加し、Virginと契約することになって、いよいよ本作でKevinはどん底から這い出したようである。

 

 『Falling Up』はKevin Ayers88年Virginからリリースしたアルバム。相棒Ollie Halsallはギターやベース、ドラムス、鍵盤にVocal、そして前作に続き本作ではSongwritingでもKevinと共作している。ギターのMiguel Herrero、HammondのEl Reverendo、ピアノのPablo Salinas、ベースのMarcelo C. Fuentes、ドラムスのÑeteTony VazquezといったSpainで名のあるMusicianをバックに、同地で自由気ままに、何にも束縛されずに生活してきたKevinの持ち味が発揮された作品。燦燦と輝く太陽の下で青々とした海を見ながらほろ酔い気分、羨ましいですな。

アルバム1発目は“Saturday Night (In Deya)”。女性Chorusを従えてチョイLeonard Cohenを気取る洒落っ気がいかにもKevinらしい。

前述のMike Oldfield作“Flying Start”。相変わらず飄々としたKevinのVocalが良い。

The Best We Have”は、おいおいDuran Duranか?みたいな出だしに驚く。この手の80年代Funk BeatでKevinが真面目に歌っているのが面白いといえば面白いが。

ベルギーのTrampolinoThe Plastic DreambandのギタリストMarvin Siauと共作した“Another Rolling Stone”はKevinらしい脱力Rock-A-Ballad。こういう曲のOllieのギターは、やっぱり最高。

Do You Believe?”はMinimalなFunk風味で、Kevinのやる気なさげなVocalがイイ感じ。Javier PaxariñoSoprano SaxBluesyなギターもイイ味出している。

Kevin節が炸裂した“That's What We Did”。ピアノとChorusをバック低音で魅惑の歌声を聴かせてくれる。これを待っていた!という感じのナンバー。

Night Fighters”はChorusを従えたありがちな曲調で、VocalにEffectをかけたFunk調のナンバー。バックで静かに唸りを上げるOllieのギターがご機嫌

アルバム最後をシメるのは“Am I Really Marcel?”。KevinらしいLaid-BackしまくったBluesyなRock-A-BalladBluesyなギターが素晴らしい。

Flying Start/Mike Oldfield & Kevin Ayers

(Hit-C Fiore)

 W.C. Clark70年代初頭に、当時まだ10代であったStevie Ray Vaughanと出会い、後にStevieが結成するTriple Threat Revueベーシストとして参加している。75年に結成されたそのバンドのVocalは、Texasの女性Blues Singer Lou Ann Bartonだった。人に歴史あり。"Godfather of Austin Blues"との異名で知られるClarkであるが、Stevieと出会った頃は、Austinではそれなりに名の知れたBlues Musicianではあったものの、まだ機械整備工として働いていたのだった。50年代からキャリアを積んだClarkは、地元では知る人ぞ知る存在であったが、87年まで正式なRecordingには恵まれていなかった。実際に自分もClarkの存在を知ったのは90年代に入ってからであった。W.C. ClarkはTexas州Austinで生まれ育ち、少年時代は聖歌隊Gospelを歌っていたという。50年代初頭14歳でギターを学び、ベースを弾くようになると、JazzやBluesを演奏するようになった。するとめきめき腕を上げて、60年代初頭にはBig Joe TurnerAlbert Collins、 Little Johnny TaylorといったTexasのBlues Musician達の注目を集めるようになった。60年代後半にJoe TexのR&B Bandに加入するためにAustinを離れたClarkではあったが、Tour中にAustinに戻った時に若きJimmie VaughanPaul RayとSessionして、2週間後にTexのバンドを離れAustinに戻ることを決意したという。その後Clarkは地元で働きながら70年代から、上述のように多くのBlues Musicianと共演し、AustinのBlues Music Sceneの礎を築くようになっていく。そして自己のバンドW. C. Clark Blues Revueを結成すると、James BrownB.B. King,Albert KingFreddie King,、Sam and DaveElvin Bishop、そしてBobby "Blue" Blandと共演し実績を積み上げてきた。80年代にはSan AntonioからAustinにやって来た幼いCharlie SextonWillSexton兄弟にギターを教えている。87年にはW. C. Clark Blues Revueのアルバム『Something For Everybody』をリリースしている。本作は94年Black Top Recordsからリリースされた『Heart Of Gold』に続くアルバムである。

 

 『Texas Soul』はW.C. Clark96年Black Top Recordsからリリースしたアルバム。前作からMark KazanoffThe Kamikaze Hornsが引き続き参加している。

アルバム1発目はSyl Johnsonの“I Only Have Love For You”。Willie Mitchell作らしいリズム隊とHornをバックにSoulfulに歌いが得ている。

Johnnie Taylorの“Just The One I'm Looking For”もR&B感覚が心地良いShuffleでClarkの歌いっぷりも良き。

Clark自作のBalladReminiscing”はイントロのギターから惹きこまれる。懐の深いVocalもイイ感じ。以上、冒頭の3曲はBluesというよりR&B寄りBlues’n Soulなナンバー3連発

ここで、ようやくB. B. Kingの“Why Do Things Happen To Me?”でBlues魂注入

イントロのギターから気合が入った自作のご機嫌なBluesRough Edges”。

続いても自作の“Leave My Heart Alone”。Horn隊Funkyなギターのカッティングが気持ち良すぎ。

Sam Cookeの大好きな“That's Where It's At”は語りから入ってイナタく仕上げているのが良き。

これまた大好きなWillie Nelsonの“Funny How Time Slips Away”はClarkのSoulfulなVocalが沁みますなあ。

Little Johnny Taylorの“You'll Need Another Favor”は魂入った歌もVocalも最高としか言いようがない。

Laid-Backした“I Want To Keep You”も渋いっすなあ。

Graham Central Stationの“Ain't No Fun To Me”もHorn隊を従えてバッチリFunkyにキメている。

アルバム最後をシメるのは勢いのあるBlues’n Soulな自作曲Baby, What About Me?”。

Rough Edges/W.C. Clark 

(Hit-C Fiore)

 Highwayという、ありふれた名前の彼らは、かつて「世界最大の造船都市」として知られていた英国の港湾都市 Sunderland出身のRock Band。いわゆる英国の中の亜米利加的な魅力を持ったバンドで70年代に活動していた実に渋好みの音楽を聴かせてくれる連中である。音楽性としては、まだPunkの嵐が吹き荒れる前のPub Rockに繋がるRoots Rockを基盤にして、そこそこの演奏技術を持ったメンバーたちが集まって、憧れの米国南部風の音楽を取り入れながら、英国らしい抒情性も加えたご機嫌なEnsembleを披露してくれている。これまた、所謂British Swampな音が好きな方々にはたまらない音楽であろう。何よりもバンドのギタリストRay Minhinnettは、贔屓にしているVocalist Frankie Millerの作品にも参加してFrankie Miller's Full Houseのメンバーとして活躍するだけでなくArgentのメンバーが結成したPhoenixにも参加、Status Quoの第5のメンバーBob YoungMicky MoodyYoung And Moodyと組んだMinhinnett Young & Moody名義でMaxi-Singleもリリースしている名ギタリストである。MinhinnettとMillerのバンドに参加した鍵盤のJim Hall、PortsmouthのBrass-Rock Band Heaven出身のBassist John James Gordon、後にAlan Priceと共演するDrummer Ian Byron、VocalとHarmonicaのJohn Elstarが加わった5人組。74年にEMIからDebut Album『Highway』をリリースしている。本作は同年にリリースされた彼らの2nd Album。残念ながら彼らにとって最後のアルバムとなってしまったがジャケットを撮影したのがMick Rockであることが彼らへの期待度が伝わってくるし、実際にアルバムの内容は充実している。Guest陣もご機嫌。Modに人気の英国に渡った女性Singer P.P. ArnoldにPercussionのRay Cooper,、Meal TicketのギタリストRay Flacke、AccordionとFiddleでGraham Preskettといった、これまた渋好みの面々である。

 

 『Smoking At The Edges』はHighway74年EMIからリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“No Need To Run”。ご機嫌なSlideから始まりP.P. Arnold抜群のVocalの掛け合いで魅了する。転がるピアノやタメのきいたリズム隊もイイ感じ。

抒情的なピアノから始まるBritishな哀感がたまらないBalladBetter Times”。

Heaven's End”はドッシリと腰を落としたリズム隊にJohn ElstarのHuskyなVocalとGraham PreskettのAccordionがイイ感じのBritish Swamp。

Quantrill's Men”もタメのきいたリズム隊にHuskyなVocalが正に英国の中の亜米利加的なナンバー。Swampな音だけど、独特の重さがイイ感じ。

Anna Lee”は軽快な8分打ちピアノが印象的なPopな曲だけどP.P. ArnoldChorusSlideなどもまじえてアルバムのアクセントとしては面白い感じ。

ご機嫌なギターのRiffで始まるノリの良いRock and RollCell Block 4”はHuskyなVocalやリズム隊がFacesを思わせる。ここでもSlideにP.P. ArnoldChorusやHarmonicaがサウンドに彩りを添えている。

Don't Turn Your Light On”は軽快なCountry&Western調のナンバーでChorusもバッチリFiddleがイイ味を出している。

FunkyなBlues Rock調で始まるけどChorusなどアメリカンな香りが面白い“Natural Born Gun”。

アルバム最後を飾るのはエレピで始まる切ないBalladOne Sad Song”。

Cell Block 4/Highway

(Hit-C Fiore)