Jesse Johnsonは今、何を想っているのだろう。Jesseが80年代半ばに表舞台に引っ張り出したSly Stone、そしてThe Vanguardの一員として音楽的にも精神的にも支えてきたD’Angelo、さらにThe Timeの同僚Jellybean Johnson(“777-9311”のドラムは必死にコピーしたものだ)、
この3人が今年相次いで旅立っていった。Illinois州Rock Islandに生まれたJesse Johnsonは9歳の時にEast St. Louisに移り、両親の離婚後、里親に育てられ、16歳の時にRock Islandに戻り父親と暮らすようになり、15歳でギターを弾き始めるようになったJesseは、10代から20代前半にかけて地元のRock Bandで腕を磨いたという。音楽仲間の勧めで81年にMinnesota州Minneapolisに移ったJesseは、そこでMorris Dayと出会い、Dayと同じ高校で一緒にバンドを組んでいたPrinceが思い描いたFunk Band The Timeを結成することになる。バンドは81年に『The Time』をリリースするが、楽器を演奏したとしてメンバーがCreditされているにも関わらず、Morris DayがVocalとドラムスを演奏した以外は殆どPrinceの演奏によるものであった(Dr. Finkが2曲でSynthesizerを弾いている)。JesseはPrinceの別のProject Vanity 6に参加し、“Bite the Beat”をPrinceと共作、84年にリリースされたThe Timeの3rd Album『Ice Cream Castle』では演奏でも貢献した。しかし映画『Purple Rain』の人気にも後押しされThe Timeの人気が盛り上がり、さあ、これからという時にMorris Dayに続きJesseもThe Timeを脱退してしまう。そして84年にA&M Recordsとソロ契約したJesseは翌85年にアルバム『Jesse Johnson's Revue』をリリースするのである。The TimeからベースのJerry Hubbard、鍵盤奏者のMark Cardenasが参加し、ドラムスにはBobby Vandell、ギターにはMichael Baker、鍵盤にTim Bradleyというメンツ。本作は翌86年にリリースされたアルバムでJesse Johnson名義となっている。『1999』まで夢中になっていたPrinceだが『Purple Rain』以降には自分は入れ込めずに、この頃は圧倒的にJesseの方に興味が移っていったのだった(『Sign "O" The Times』で再びPrinceに夢中になるが)。
『Shockadelica』はJesse Johnsonが86年にA&M Recordsからリリースしたアルバム。ギター、Vocal、楽曲は勿論、ProduceとEngineer、Mixまで担当して担当している。ベースのThe TimeのJerry Hubbard、鍵盤のTim Bradleyは前作から引き続き参加。ドラムスがRocky Harrisに交代している。PercussionにはPrinceとAndré Cymoneが結成していたBand Grand CentralのWilliam Doughty、新たに鍵盤にKim Cageが参加している。
アルバム1曲目は“Change Your Mind”。気合の入ったド派手なPercussionとHorn隊にJesseのVocalは、やっぱりどこなくPrinceのよう。短いながら燃えたぎるギターも聴くことが出来る。
上述の、引きこもっていたSly Stoneを引っ張り出して参加してもらった“Crazy”。これが驚きで鍵盤を弾き歌うSlyが主役を食いまくる勢いでFunk魂を発揮している。Slyもいよいよ本格的に復活かとこの時は期待したものだった。
“Baby Let's Kiss”もHorn隊がビシバシ切れ込み、文句なしに腰が動き出すDanceableなナンバー。Catchyなサビも良き。
ご機嫌なギターから始まる“A Better Way”もグッと腰を落として女性Chorusを従えて迫るMidium。
“Do Yourself A Favor”はPrinceがギターと鍵盤、ドラムスで参加した94 Eastの“If You See Me”のCover。バンドのLeader Pepé Willie作。これは最高。
“She (I Can't Resist) ”はギターのカッティング、Synthesizerが『1999』の頃のPrince、そしてZappの香りも漂う大好きな曲。
“Addiction”もギターのカッティング、SyntheがまんまPrinceだがPercussionと女性Chorusもまじえ、ご機嫌なMinneapolis Funk。
“Tonite”はハチロクのBallad風。
“Burn You Up”も典型的なMinneapolis Funk。Syntheだけでなくベースもキモになっているのがよくわかる。
アルバム最後をシメるのは“Black In America”。アコギをジャンジャカかき鳴らし女性Chorusを従えジックリ歌い上げていく。
◎Crazy/Jesse Johnson
(Hit-C Fiore)









