BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Graham BondJimmy PageBlack Sabbathといえば、黒魔術ってなわけで、この怪しすぎるジャケットに思わず手を伸ばしてしまったのは、そういった事情を全く知らずに、何だか幻想的でカッコイイなあという一心からであった。例によって親友のお姉さんの部屋で見つけたこのアルバム、まだ小学生であった自分には当然、まったく理解できない摩訶不思議な世界であったのだが、全体を通じて半端ではない熱量だけは伝わって来た。黒魔術とか悪魔とか、良い子のみんなは、そんなものに手を出してはいけませんという先生のいいつけを守り、その後、Graham Bondなる人物の悲劇的な人生を知ることとなった自分はBondの作品には距離を置いてはいたのだった。しかしMod道に入って間もなく、The Graham Bond OrganizationThe Sound Of 65というドえらくカッコイイ作品に出会ってしまったのだ。また、Bondの『Mighty Grahame Bond』というアルバムでは贔屓にしているHarvey Mandelがギターを弾いているではないか、さらにThe New Don Rendell Quintet61年Roarin'で若きBondがご機嫌なAlto Saxを吹いているではないか。自分の中で俄然、Bondへの興味が高まっていき、とうとうBondの作品を集めるようになっていったのだった。そしてVirtigoからリリースされた本作を再び手に取って聴いてみると、これがStrangeでBluesyかつFunkyで中々イイ感じなのであった。Stonehengeの遺跡祈りを捧げているのはBondと、当時のPartner Diane Stewaratだろうか。HammondMellotronをいち早く導入して多くの後進のMusician影響を与えた、この人物はかなり過小評価され過ぎているとは思うが、彼が残した作品は、今でも怪しくStrange人を惹きつける不思議な魅力を放っている。しかし、親友のお姉さんは、なぜこのアルバムを持っていたのだろうか?

 

 『Holy Magick』はGraham Bond70年Virtigoからリリースしたアルバム。

A面すべてを使った組曲“Holy Magick (Suite)”。

Brass隊ととBondとDiane Stewaratによる祈り“Meditation Aumgn”からHammondとChorusが炸裂する“The Qabilistic Cross”。、“The Word Of The Aeon”、“Invocation To The Light”、“The Pentagram Ritual”、“Qabalistic Cross”、“Hymn Of Praise”、“12 Gates To The City”、“The Holy Words - Iao Sabao (Those Are The Words)”、“Aquarius Mantra (In Egyptian)”、“Enochian (Atlantean) Call”、“Abragadabra The Word Of The Aeon”、“Praise "City Of Light"”、“The Qabalistic Cross, Aumgn”と23分越えで続くがベースのRick GretchAlex Dmochowski、ドラムスのKeith Baileyによる躍動するリズム隊にのってJohn GrossのTenor Sax、Victor BroxのCornetにBondが吹くAlto Saxが鳴り響き、ChorusとHammondと共にBondの語りとVocalが呪術的なJazz Rockを聴かせてくれる。

Return Of Arthur”はBluesyなRiffで始まり、Bondの男くさいVocalが熱いJohn MoorsheadBluesyなギター・ソロがいい。

唸りを上げるHammondが無国籍風のフレーズを奏でBrass隊とかけ合いを演じる“The Magician”。BondのSoulfulなVocalもイイ感じである。

The Judgement”はイントロから管楽器が鳴り響き、Bondがじっくりと歌い上げるBallad女性Chorusを従えBluesyかつSoulfulなVocalは灰汁が強いが、魂入った歌唱は聴きモノである。

アルバム最後をシメるのは“My Archangel Mikael”。Hammondをバックにダミ声で迫力のあるVocalを聴かせるBond。

The Magician/Graham Bond

(Hit-C Fiore)

 Lester "Mad Dog" Davenportはかつて住民の殆どが農業従事者で、米国で最も優れた農地最も成功した農園があると言われていたが、近年では最も貧しいCommunityともいわれているMississippi州Tchulaで生まれた。14歳の時にIllinois州Chicagoに移住すると、瞬く間に本場のBluesに魅了されてBlues Harmonica Player/Singerとして活動を開始するようになる。若きDavenportはArthur SpiresSnooky PryorDusty Brown、そしてHomesick Jamesの演奏を聴き、いつしか彼らと演奏するようになっていった。JamesはDavenportをJam Sessionに誘い、そこからBluesの奥深さを学んでいくのだった。Bo Diddleyとも短期間ながら仕事をして(Apollo TheaterでDiddleyのバックを務めた)、55年にはChess RecordsSessionにも参加して“Pretty Thing”や“Bring It to Jerome”で印象的なHarpを吹いている。60年代には、昼間は塗装工として働きながら、自身のGroupを率いてWest Sideで精力的に活動を続けていた。いつしかDavenportは "Mad Dog"というNicknameが付けられるようになっていった。若き日のDavenportはBluesへの情熱から、Stage上をうろつきながら、Bandstandにある、あらゆる楽器を少しずつ演奏するのを好んでいたようだった。その様子から "Mad Dog"と呼ばれるようになり、その粘り強い演奏は評判を呼ぶようになっていくのだった。80年代にはBig Daddy Kinseyの息子たちのBlues Rock Group The Kinsey Reportに参加していたDavenportは92年Sunnyland SlimBob StrogerRobert CovingtonJohn PrimerWillie Davisらを迎えて初のソロ・アルバムWhen The Blues Hit You』をリリースしている。本作は10年ぶりにリリースされたそれに続くアルバムである。

 

 『I Smell A Rat』はLester Davenport2002年Delmarkからリリースしたアルバム。Tchulaの幼馴染70年代に共演したこともあるギタリストJimmy DawkinsProduceで、ギターにDawkins、Billy Flynn、ピアノにAllen BattsDetroit Junior、ベースにBob StrogerSho Komiya、ドラムスにJimi Schutteというメンツ。

アルバム1発目は“Bad Treatment”。ギターで始まり勢いにのったDavenportのHarpVocalもご機嫌である。

Knocked On Every Door”はガッツリ腰を落として転げるピアノをバックにDavenportのHarpとVocalも渋いっすなあ。

寂寥感滲むHarpから始まるSlow BluesYou So Sexy”。ここでもピアノが良き。DavenportのVocalもド渋っす。

軽快なリズムにのってHarpがイイ感じで歌いまくるWest Side Blues Harp”。ギター・ソロも良き。

Wah Guitarとピアノがご機嫌な“Miss Sallie Mae”はDavenportのヤクザな歌いっぷりスカしたHarpが最高。そしてピアノ・ソロもたまらんす。

イントロから雰囲気タップリSlow BluesMy Mama Rocks Me”。LazyなノリにのったVocalとHarpがご機嫌である。

乾いたギターのカッティングから始まる躍動感あふれるFunky BluesIn My Bedroom”。

玉が転がるFunkyなピアノから始まる“So Long”。ピアノが最高。

タイトル曲“I Smell A Rat”。古希を迎える爺とは思えぬVocalとHarp

うら寂しい Slow BluesSo Wurrid”も雰囲気タップリの歌いっぷり

Harpga歌うノリノリのインスト曲To Our Lost Ones 9/11/01”。

Davenportの語りがイイ感じRomanticな“Stop Beggin' Me

アルバム最後をシメるのは“Goin' Away”。West Sideでずっと頑張って来たToughな男の心意気が伝わってくる。

Lester Davenport - Chicago Blues Festival (1994

(Hit-C Fiore)

 Ruts77年Londonで結成されたPunk Band。彼らが残した唯一のStudio AlbumThe Crack』はThe DamnedSex PistolsThe ClashThe JamDebut Album別格として、BuzzcocksAnother Music in a Different Kitchenと並ぶ遅れてきたPunk史上最高のアルバムと思っている。このアルバムがリリースされた79年、かつて世界中を席巻したPunkの嵐ははとっくに過ぎ去り、StreetではMod RevivalTwo-Toneに若者は心奪われ、Post-Punk/New Waveが台頭して次々に新しく刺激を与える音楽を前にAttitudeを忘れ形骸化していくだけのPunk過去の遺物になってしまったかのようだった。そんなところに、登場したのがRutsだった。とにかく曲良し演奏良し、何より繰り出される熱いMessageは人々の共感を呼び、差別と暴力を糾弾したSingleBabylon’s Burning”はUK ChartTop 10にぶち込まれたのであった。演奏とSongwritigのレベルの高さPunk Bandの中でも頭ひとつ抜けた存在と言っても良いだろう。皮肉なことに彼らはPolice同様に、その出自はPunkではなかったPaul FoxHayesでの学生時代にMalcolm OwenPaul Mattocksと出会いAslanというバンドを結成するが、それはProgressiveなバンドであった。その後FoxはDrummer David Ruffyと10人編成のFunk Bandに加入する。そしてFoxとMattocksとRuffyが再会した77年8月にRatsは結成された。BassistのJohn "Segs" JenningsとRuffyは10代の頃からEast Endを拠点としたSka/Rocksteadyのバンドで腕を磨いてきたのだった。そんなわけでPunk Band Rutsは様々な音楽的要素が最初から入り混じったバンドであった。彼らは人種差別に反対し Rock Against Racismに賛同し運動に参加した。そこでMisty in Rootsと出会い、彼らのLabel  People UniteからDebut SingleIn a Rut"/"H-Eyes”を78年後半にリリースする。そしてVirginと契約して79年に上述のSingle“Babylon’s Burning”をヒットさせるとDebut Albumとなる本作をDropするのであった。 

 

 『The Crack』はRuts79年にリリースしたアルバム。ProducerはMick Glossop

アルバム1発目は上述のヒット曲“Babylon's Burning”。イントロの扇情的なギターのRiffから気分は高まり、野郎Chorusで盛り上がり、サビで思わず拳突き上げシンガロング

力強く突き進むリズム隊にのって、これまた、思わず口遊んでしまうサビがご機嫌な“Dope For Guns”。大サビもカッコイイ

S.U.S.”はイントロからベースが目立ち、ドラムスのRimshotReggaeの影響を感じる。単なるPunkに終わらない懐の深さに驚かされる。

Something That I Said”も切れ味抜群、それでいてCatchyなサビが最高。

疾走感に満ち溢れたYou're Just A”。キレキレのギターリズム隊小気味良い。ギター・ソロも最高。

It Was Cold”は腰を落とした力強いBeatにのってMalcolm Owen吼えるMick GlossopSynthesizer Effectで参加している。

B面は勢い溢れる“Savage Circle”でスタート、Malcolmが熱いShoutで畳みかける。暴れまくるギター・ソロが良き。

Paul FoxOrganを弾きJohn "Segs" Jenningsとがピアノを弾く“Jah War”はReggaeHorn隊も加わり、これがナンチャッてじゃない本格的なReggaeでカッコ良すぎ。

Criminal Mind”もガシガシ攻めまくりMalcomの男くさいVocalもご機嫌。

これまた、サビでシンガロングしたくなる“Back Biter”。

Speedにのって激カッコイイOut Of Order”。サビの野卑な野郎Chorusが最高。

アルバム最後をシメるのは“Human Punk”。7月19日The MarqueeでのRecorded Live熱いっす

Something That I Said/Ruts

(Hit-C Fiore)

 Swedenから登場したFolkJazzRock民族音楽を融合した独自の音楽を追求したGroup Arbete Och FritidがSwedenの詩人/SongwriterRolf Lundqvistと組んだアルバム『Slottsbergets Hambo Å Andra Valser』を本日ご紹介。労働と余暇という意味のバンド名を持つArbete Och Fritidは、Jazz Sax奏者Roland Keijsersが中心となって結成され66年頃から活動していたAvant-Garde/Free JazzのGroup Roland Keijsers Kvartettが母体となっている。GroupのTrumpet奏者Torsten Eckermanが命名し69年に結成されたこの多様性に満ちた音楽性を持った集団の中心人物はCello奏者として知られ鍵盤とBassも演奏するMulti-instrumentalist  Ove Karlssonである。初期はTraditional Swedish Folk Themeを基盤としてJazzやRock、そしてPsychedelic Musicの影響も音楽性に反映され、Humourをまじえながら型にはまらないUnderground色の強い独自の音楽を追求していった。彼らは実験的なJazzやRockのみならずJohn CageTerry RileyLa Monte YoungらのMinimalAvant-Gardeな音楽からの影響も受けていたのが興味深い。 70年Debut AlbumArbete Och Fritid』をリリース、その時のメンバーはCelloとベース、ギター、鍵盤のOve Karlsson、TrumpetとピアノのTorsten Eckerman、 SaxとClarinet、Flute、OrganのRoland Keijser、Violin、Sax、Flute、ギター、ピアノのKjell Westling、ドラムスのBengt Bergerの5人であった。2枚のアルバムをリリース後、WestlingとBergerは脱退、本作からドラムスのBosse SkoglundとギターとViolinのTord Bengtssonが加入、その時々の音楽スタイルの変化に伴いOve以外のメンバーは頻繁に変わりながら、Sweden北欧諸国70年代何千ものGigを通してScandinavian Folk Rock Sceneの代表的な存在として知られるようになった。

 

 『Slottsbergets Hambo Å Andra Valser』は72年にリリースされたRolf Lundqvist Å Arbete Å Fritid名義のアルバム。

アルバム1発目は“Slottsbergets Hambo”。土着的ともいえるSweden民謡風3拍子のナンバー。生命感に満ちた演奏をバックに朴訥とした素人感丸出しRolf Lundqvistが歌い上げるのが良い。

Te-Tegner”はRolf Lundqvistによる詩の朗読。

Giv Oss Våra Dagliga Bröder”はRolf LundqvistOve KarlssonがVocalを担当し、Tord BengtssonHarmonicaがイイ味出している牧歌的なナンバー。

Ove Karlssonが弾くギターで始まる“Sveriges Undervattensbåt”はRoland KeijserTenor SaxLundqvistのVocalを盛り上げる。本当に楽しそうに演奏しているのが良い。

A面最後を飾るのは6つのPartから成る“Småvarmt”。Lundqvistが一人で歌う“Ingenallsvals”に始まりRoland KeijserがSaxを吹きTord BengtssonがViolinを弾く“Jass”、オチャラケ風“Öppet Spjäll”から演奏も加わる“Valter Vält, David Frost, Holy Ghost”、PsychedelicなBengtssonのOrganとKarlssonのギターが暴れまくる本領発揮の“Heavy Eddy”で最後もやはりLundqvistがBanjoをバックにシメる“När Jag Föddes”。

KarlssonのギターとKeijserのSoprano SaxPastoralな味わいを出している“Hör / Ave Maria”。

Flöjtlåt”はKeijserのFluteが浮遊するDanceableなインスト曲

I Ur Å Skur / Tokvalsen”は異国情緒漂うSweden民謡調のWaltz。Karlssonのギターが暴れまくり

Berätta Ska Jag / Tango Chromatique”はタイトル通りTangoをバックにLundqvistがPoetry Reading。続く“Dikter”も詩の朗読。

Getlåten”は小鳥のさえずりJew's HarpFluteViolinの響きが牧歌的で、どこか浮世離れした雰囲気を醸し出す。

最後はLundqvistのPoetry ReadingMy Good-Night Walz For You”。

◎"Petrokemi kan man inte bada i" Arbete och Fritid goes 2015, "Kultur på Vischan" i Västerås

(Hit-C Fiore)

 Tomorrow's PeopleBurton4兄弟を中心70年代に結成されたChicago出身の6人編成Soul/Funk /Disco Group。彼らもまた、アルバム1枚とSingle1枚を残して消滅してしまったGroupであるが、後にその手の愛好者によって発掘されて一躍その名を知られた存在となったのであった。なんでも彼ら唯一のアルバムとなる本作は、彼らの地元ChicagoのLocal Label Stage Productionsからリリースされたが、殆ど市場に出回ることなく、いつのまにやら、究極のCollector盤として、世界中のSoul/Funk/Rare Groove愛好家たちが追い求めてきたものなのだそうだ。奇跡的に市場に出されることになったOriginal盤のお値段は庶民には到底手が届かないプレミア金額がついてしまっているようだが、近年Reisueされて、なんと日本盤もリリースされているようだ。本当にいい時代になったものである。ところで自分の経験上、この手の高嶺の花のレア盤となどいわれているものは、一般的にお求めやすい金額になって、喜び勇んで再発盤を手にして聴いてみると、案外前評判の異常な高さに比較して、う~んと唸ってしまうようなケースがこれまで多々あったりするものなのだが、本作については、その辺はどうなのか、それは実際に聴いた方々のご判断にお任せしようと思う。特にJazzやRock、Funk系でもそうなのであるけれど、大手Major Labelではなく独立Minor系のLabelからリリースされているものは時に、Sound Productionはともかく、Majorからリリースされても十分通用するような、逆に何故にMajorから陽の目を見なかったのか不思議だと思ってしまうような楽曲、演奏、EnsembleのQualityが高いものも存在するのは事実である。まずは本作についてはレコードのB面すべてを使った20分越えのアルバム・タイトル曲の“Open Soul”、今は便利な時代で色んなところで聴くことが出来るのでまずは耳にしてから、Original盤に大枚をはたく前にご自分で判断されたら如何であろうかと、レコード貧乏の自分は思う今日この頃である。

 

 『Open Soul』はTomorrow's PeopleStage Productionsから76年にリリースしたアルバム。メンバーはBass GuitarとTenor Saxを演奏するKevin Burton、Lead GuitarとBaritone Vocal、Tenor Vocalを担当するGerald Burton、Lead VocalとDrumsのMaurice Burton、Multi InstrumentalistでOrgan、Bass GuitarにLead GuitarにDrumsやClarinet、 Saxophoneを演奏しVocalも担当するTimothy BurtonのBurton4兄弟に加えてCongasとDrumsのAlvin Parker、PercussionのJohnny Toby Gibbsという6人編成楽曲は全てTomorrow's People名義となっている。

アルバム1曲目は“Lovers To Friends”。腰を落としたユッタリとしたBeatにのって咽び泣くTenor Sax、そしてVocalはChorusを伴ってSoulfulに歌い上げていく。

続いてもタメのきいたリズム隊をバックにSaxがBlow甘美なChorusが盛り上げる中VocalがGentleにSoulfulに歌いあげていくIt Ain't Fair”。

Hurt Perversion”もFunk Band必須のベースがブリブリ躍動感に満ちた甘美なInstruental Number

Hurry On Up Tomorrow”はChorusとVocalがイイ感じのハチロク系Ballad

Let's Get Down With The Beat”はみんなでワイワイ盛り上がっていくParty Funk

アルバム最後をシメるのは上述の20分越えの大作Open Soul”。幻想的に揺らめくElectric Painoで始まりギターがBluesyに旋律を奏でていく。バックに流れるStrings Ensembleが雰囲気を高め、さあ、何かが始まりそうと期待をしていると、小気味良くFunkyなギターのカッティング、それに絡むベースが登場し、4つ打ちにのってFunkyなStreet感覚に満ちた男性Chorusが飛び出す。Percussionも鳴り響き、転調しながら盛り上がり、ギター・ソロが始まる。Tenor Saxソロも登場し、あくまでもEarthyに演奏は熱を帯びてく。FunkyにウネるSynthesizerソロもご機嫌で、時折キメを挟みながらリズム隊は躍動し続けていく

Hurt Perversion/Tomorrow's People

(Hit-C Fiore)

 

 Led Zeppelinは、やっぱり、この69年にリリースされたDebut Albumにつきると、個人的には思うのだった。特にBonzo頭抜きSingle Pedal Tripletsにぶっ飛ぶ冒頭を飾る彼らの最高傑作Good Times Bad Times”である。そしてベースのJohn Paul Jonesが書いたMain Riff、さらに16分音符食いが効果的なベース・ライン、コレが最高。あくまでも自分の考えとしてはLed Zeppelinはこの2人の演奏を聴いているだけでも、いかにRock Bandとして規格値を越えた存在だったかわかるのであった。勿論Riff Maker Jimmy Pageの存在なくしては彼らは語れないところなのだが。Bonzoの余裕かましたHi-HatのOpen CloseCowbellとTomのCombinationに始まり、Jonesyが仕掛けるこの曲のスリリングなSyncopationのMagicを体感してしまうと、所謂Rockのこれまでのリズム感覚をこの2人がAfro-American的なR&B/Funkのノリ鮮やかに刷新していくのが明らかだ。この曲をOpeningに持ってきたというのは彼らの確信犯的な意気込みが感じられる。そして驚くべき編集能力に長けたギタリストJimmy PageBluesTraditional Music独自の感覚でArrangeして強力なRock Tuneとして蘇らせる能力は、この人の右に出るものはいないだろう。Robert Plant唱法的には個人的な好みからは少々かけ離れたVocalistではあるが表看板としてBlondの巻き毛長髪で彫刻のように恵まれた体躯を持ちStageに君臨する。その容姿やPowerfulなVocalRock BandのVocalistはかくあるべきという典型的なIconとなった。この1曲目から破壊力に満ちたRock BandのDebut Albumは衝撃的であったことあろう。そして彼らはRock BandがBluesSoulR&BTradのみならずFunkReggae第三世界の音楽まで貧欲に取り入れ、その境界線を拡げていく旅に出るのであった。

 

 

 『Led Zeppelin』はLed Zeppelin69年にリリースした1st Album

アルバム1発目は上述の彼らの名刺代わりの最高傑作Good Times Bad Times”。結局、彼らのこれを越える衝撃的な作品はその後生まれることはなかった。

Babe I'm Gonna Leave You”はJoan Baez62年のアルバム『Joan Baez in Concert』でCoverした米国のFolk Singer Anne Bredonによって書かれた曲が元ネタ。今ではAnnの名がCreditされるようになった

You Shook Me”は第一期Jeff Beck Group68年リリースのアルバム『Truth』でWillie DixonMuddy Watersに提供したこの曲をCoverしている(JonesyがHammondを弾いている)。ZeppelinはEvilなギターのRiffと、ここでもHammondを弾くJonesyの演奏が最高だ。

Dazed And Confused”はJake Holmes67年にリリースした『The Above Ground Sound Of Jake Holmes』に収録されている曲が元ネタ、というより、タイトル下降するRiffがまんま。さすがにInspired By Jake HolmesとCreditされるようになった。Zepの迫力に満ちたRiffが印象的。

JonesyOrganをFeatureした“Your Time Is Gonna Come”はTraffic67年リリースの“Dear Mr. Fantasy”に明らかにInspireされている。

Bert Jansch66年のアルバム『Jack Orion』収録の“Black Water Side”をMelody、ArrangeまんまいただいたBlack Mountain Side”。元々はAnne BriggsA.L. Lloydから伝授されたTraditional Musicを元にJanshがArrangeしたものでZepではViram JasaniのTablaを使いRagaな仕上がり

Communication Breakdown”はJonesyのOrganが隠し味で効果的な彼らを代表するHardでEnergyに満ちたナンバー

Willie DixonOtis Rushに提供した“I Can't Quit You Baby”。

How Many More Times”はHowlin' Wolfの“How Many More Years”とAlbert Kingの“The Hunter”を絶妙に拝借し組み合わせたPageの編集能力はお見事。おなじみギターの弓弾きも聴ける。

Good Times Bad Times/Led Zeppelin

Good Times Bad Times/Led Zeppelin/ Cover by Yoyoka

(Hit-C Fiore)

 Frank RosolinoTromboneの演奏技術は非常に高い。現代では次から次に圧倒的なテクニックを持ったTrombone奏者が登場してきているのには驚かされる。演奏技術や表現方法、Approachというのは時代と共に変化していくものではあるけれど、Tromboneという楽器の特性を考えた時に、やっぱりJ. J. JohnsonとFrank Rosolinoの2人は、演奏技術ということに関しては当時、頭ひとつ抜きんでた存在であったことだろう。Doodle TangingでTromboneの奏法に革新をもたらしたCarl Fontanaという存在がいるにしても。面白いことに音楽は演奏技術が高ければ優れた作品が生まれるとは限らない。しかし、この2人は演奏技術もさることながら、音楽を聴かせるというところにも大切なEntertainment精神を持ち合わせていた。あくまでも個人的な好みで語るならば、Tromboneに関してはテクニックよりもTromboneらしい人間の声に近いと言われるこの楽器の特性を生かした奏者が好きではある。Curtis FullerBennie Greenは、そういう意味でも大好きだし、Slide HamptonはTromboneのStyleも好きだしTotalでみて素晴らしい音楽家でもあったと思うのである。しかし、それらを考えてもJohnsonとRosolinoは特別な存在で、2人の残した作品は聴くたびに新鮮な驚きがあったりするから好きなのだ。Frank RosolinoはMichigan州Detroitに生まれ、Bob ChesterGlen GrayTony PastorHerbie FieldsGene Krupa、そしてStan KentonというBig Bandで演奏し、Kentonの楽団で演奏した後にLos Angelesに移り住み、Howard RumseyのLighthouse All-Starsで活躍するなどWestcoast Jazz黄金時代を築き上げたMusicianの一人である。50年代半ばCapitol盤も好きだけれど、Modeの音盤を集めてきた自分には、やっぱり本作。後の悲劇的な人生の結末など微塵も感じさせないジャケットの笑顔のRosolinoを見るたび何とも切なくなってしまうのだが。

 

 『Frank Rosolino Quintet』はMode Recordsから57年にリリースされたFrank Rosolino Quintetのアルバム。ピアノにVince Guaraldi、ドラムスにWestcoast Jazzの名手Stan Levey、ベースにArt Pepper QuintetMonty Budwig、そしてTenor SaxにRichie Kamucaを迎えた2管フロントQuintet

アルバム1曲目はGerry Mulligan Quartetの演奏で知られるArthur GillespieとCharles N. Danielsの“Cherry”。2管フロントによる颯爽としたThemeがご機嫌でRosolinoのソロもキレキレっすなあ。Guaraldiの小粋に転がるピアノ・ソロも良き。

Rosolino自作の“Let's Make It”も鯔背にSeingin’なThemeが最高。勿論、小気味よくキメまくるRosolinoのソロもKamucaのTenorソロ、Guaraldiのピアノ・ソロと続く流れも気持良すぎ。

Gershwinの“How Long Has This Been Going On”はしっとり歌い上げるもベタッとせずカラッとしているところが良い。KamucaのTenorソロもイイ感じ。

Billie HolidayHelen Forrestの名唱で知られる“They Say”。RosolinoとCamucaのEnsembleもキマっているしGuaraldiのFunkyなピアノ・ソロが最高。

Rosolino作の“Fine Shape”も小粋なThemeがバッチリの指パッチンJazz

Russ Garciaの弟子でStan Kentonの楽団で作曲家として活躍したBill Holman作“Fallout”。ここでは短いながらもLeveyのドラム・ソロが聴ける。

27年MusicalA Connecticut Yankee』に書かれたStandard“Thou Swell”。これまた粋にキメたEnsembleが極上。Rosolinoのソロに圧倒されつつKamucaとGuaraldiは優美に聴かせるJazz Waltz

アルバム最後をシメるのはRosolino作“Tuffy”。小粋にSeingする指パッチンJazz。Rosolinoのソロが切れ込みKamucaも流麗にキメ、Guaraldiもご機嫌なソロを披露する。

Lover ManCorcovado/Frank Rosolino     

(Hit-C Fiore)

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 Viper80年代半ばSão Pauloで結成されたBrasilHeavy Metal Band。デビュー当時はIron Maiden70年代半ばから80年代にかけて英国で徐々に盛り上がりをみせていくNWOBHMNew Wave of British Heavy Metal)に影響を受けたという彼らであったが、その後、音楽性を変化させていったそうだ。BrasilのHeavy Metalというと、SepulturaとかAngraぐらいしか知らなかったので、彼らの存在を知った時は、BrasilにもNWOBHMなバンドがいたのか!と驚いたものだ。ちなみにLead VocalのAndré Matosはバンド結成時に13歳だったそうで、後にAngraを結成する。Viperは85年に最初のDemo TapeThe Killera Sword』を制作するが、その当時メンバーは全員十代であった。87年Rock Brigade RecordsからDebut Albumとなる本作をリリースする。VocalのMatosにギターのFelipe Machado、ベースとVocalのPit Passarell、Pitの弟、ギターのYves Passarell、ドラムスのCassio Audiという5人組。Brasilのバンドとしては、あまり独創性が感じられず、Iron Maidenが好きなんだろうな、という感じは伝わってくる。Vocalも演奏も荒削りで、つたない部分も多々あるけれど、平均年齢が16歳という当時のメンバーの年齢を考えれば、頑張っている感じであろうか。自分が予想していたNWOBHMThrash Metalとはチョッと違った(特にVocal)が、ジャケットを見ればわかる通り、英国のHeavy Metalの様式美を継承しつつNWOBHM以降の荒々しさと疾走感も持ち合わせているところが面白い。これで楽曲と演奏彼らなりの個性があれば、もっと楽しめた。ベースのPitはIron Maidenが好きなんだろうけど、VocalはPaul Di'AnnoというよりはJudas PriestのRob Halford風な感じも微笑ましい。やっぱり自分はPaul Di'AnnoがいたIron Maidenが好きなのであった。

 

 『Soldiers Of Sunrise』はViper87年Rock Brigade Recordsからリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Knights Of Destruction”は、とにかく勢い勝負ガンガン攻めたてる。VocalのAndré MatosはJudasのRobみたいな高音Shoutをまじえながら歌うが、まだ線が細くて危なっかしい感じだが、その辺も味であろう。ツイン・ギターが頑張っている

疾走感に満ち溢れたNightmares”は、途中で6/8拍子へのRhythm Chandeもあり、荒ぶりながらも、泣きの入ったギター・ソロもイイ感じ。

The Whipper”はツイン・ギターがIron Maidenを思わせRhythm Changeして突っ走っていくところも正にNWOBHMが好きなんだろうなという感じで微笑ましい。

Wings Of The Evil”はイントロのギターのRiffから攻めたてるVocalはちと不安定で厳しい感じ。心意気は買うが。

H.R.”はベースのPit PassarellVocalを担当してグイノリで突き進んでいく荒々しいVocal攻め込むギター・ソロもイイ感じ。

タイトル曲“Soldiers Of Sunrise”は歌い上げ系のMetalなナンバーで、この辺は苦手なところではあるが、後半のお約束のTempo UpでLiveでは盛り上がる曲であろう。

Signs Of The Night”はイントロから盛り上がってヘドバンしたくなる勢いのあるナンバー。Catchyなサビは思わず口ずさんじゃったりして。弾き倒すギター・ソロも良し。

これまた気合の入ったインスト曲Killera (Princess Of Hell)”。Britishな哀愁がイイ感じ。リズムなど若さゆえの粗っぽさも勢いでカバーしている。

最後をシメるのは“Law Of The Sword”はゴリゴリしたギターがNWOBHM風であるがVocalは歌い上げ系なのが残念。

H.R./Viper

(Hit-C Fiore)

 Keith Jarrettは、おそらく自分が一番最初に夢中になったJazz Pianistである。小学生の頃、譜面通りに弾くピアノが嫌になって、適当に思いつくままに家のピアノを弾いていた時に、それを面白そうに見ていた叔母がJarrettの『The Köln Concert』を聴かせてくれたのだった。当時、そんな無茶苦茶な自分の演奏をご丁寧にカセットに録音していたのだが、実家に帰って部屋を整理していたら大量にそのカセットが発見されたのだった。映画『Köln 751975年のケルン・コンサート)』を見ながら、そんなことを思い出していた。同時期に見た映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』もそうだけれど、当時、自分に大きな衝撃を与えてくれた音楽Musician、それらが世に出て我々の耳や目に届くのには、古い因習や固定観念に縛られた業界封鎖的で閉じられた世界を、時に激しくぶつかり合い苦悩しながら突破していく周辺のスタッフの方々のある意味、常識破りの尋常じゃない情熱とエネルギーがそこにあった、それがなければ実現できなかったのである。子供の頃には、当然そんな事情はまったくわからずに、ただただ、夢中になって彼らが生み出した音楽に貪りついていたのだった。小学生の時に叔母に聴かせてもらったKeith JarrettやGlenn Gould、その後彼らの多くの作品、そしてさまざまなピアニストに出会って影響を受けてきた。譜面を演奏して自分らしさを表現するのは並大抵の努力と才能では困難である。そういった才能がない自分は自由に束縛から離れた世界で自分を表現していくことに興味を持っていったのだった。Ornette Coleman QuartetのメンバーCharlie HadenBill EvansPaul Bleyと演奏してきたPaul Motianと出会ったJarrett、Milesの元を72年に離れた後のJarrettがこのTrioで演奏している時期が一番好きである。3人が自由に解き放たれ刺激し合い絡み合いながら、時にJarrettはSoprano SaxFluteまで吹いてCreativityに満ち溢れたImprovisationは、どこまでも果てしない音楽の探求の旅に向かっていく。

 

 『Hamburg '72』はECMからリリースされた1972年6月14日HamburgNDR Jazz Workshopで行われたKeith JarrettCharlie HadenPaul MotianTrioによる演奏を収録したLive Album

Openingを飾るのはJarrettの当時のPartner Margot Jarrett作の“Rainbow”。牧歌的で親しみやすい雰囲気を持った曲。儚さを持ったこの曲で感情の揺らめきをJarrettは空間に泳がせていく。いわゆる'American Quartet'が録音した最後のアルバムの一枚である77年リリースの『Byablue』に収録されている。

Everything That Lives Laments”はJarrettがFluteを演奏しMotianのPercussionEarthyな香りを放ち抒情的なピアノが始まると夢の中を彷徨い歩いているかのよう。71年リリースのアルバム『The Mourning Of A Star』に収録されている。

Piece For Ornette”ではJarrettがSoprano SaxでFreeでEccentricにBlowする。Hadenの思慮深いベース・ソロが素晴らしい。75年リリースの『El Juicio (The Judgement)』収録曲。

72年リリースの大好きなアルバム『Expectations』収録の“Take Me Back”。Hadenの重く引き摺るようなベース生命感に満ち躍動するMotianのドラミングにのってJarrettお得意のGospelの香り漂うピアノ高揚感に満ちた宗教的な歌のように響き渡る

Jarretのピアノからそのまま雪崩れ込む“Life, Dance”はHadenのベース・ソロが歌い、Motianが心地良くBeatを刻む。

アルバム最後を飾るのは70年にリリースされたCharlie Hadenの永遠の名作『Liberation Music Orchestra』に収録された“Song for Ché”。Hadenの哀しみを湛えたベース・ソロで始まり、MotianはPercussionを響かせ、JarrettのSaxがEmotionalにBlowする。3人が怒りと、そしてそ追悼の意を表して一体となった音塊が人々の魂を揺さぶり、拍手がEncoreを求める手拍子と足踏みとなっていくのだった。

Rainbow/Keith Jarrett 

Köln 75(1975年のケルン・コンサート

 

(Hit-C Fiore)

◎Good Bye Boogie Dance/杏里

 杏里のこの曲を聴くと、あの夏の日々がいつも思い浮かんでくる。初めて出来た彼女は、バスケ部の年上の小麦色の肌をした女性だった。映画を観にいったり、プールに行ったり、美術館に行ったり、スケートをしたり、彼女にはいろんなことを教えてもらった。1年中、日焼けした小麦色の肌をしていて白い水着が眩しかった。はじめて2人で海に行った時、自分にとってはじめてづくしの一日が終わり、翌朝海を見ながら、今までのように、野郎同志で馬鹿やるようなのは、もうあんまりできなくなっちゃうのかもなと思った。カッコイイPunkなお兄さんお姐さんの後を追いかけて、一緒になって山下達郎や大瀧詠一を笑っていたけれど、自分の生活は一変し、彼女が聴かせてくれた杏里ユーミンは、自分にとって思い出の曲になったのだった。彼女はピアノも上手くてユーミンの“Dang Dang”をピアノを弾きながら歌ってくれたっけ。

 

Bi・Ki・Ni/杏里

 “Good Bye Boogie Dance”は杏里が83年6月にリリースしたアルバム『Bi・Ki・Ni』に収録されている。この後、杏里はTVのアニメの主題歌を歌ったりして一気にお茶の間に浸透してく存在となるが、自分はこのアルバム以降の杏里の作品をよく知らないのだった。

(Hit-C Fiore)