さて、いよいよ提案であります。
相手が「マンツーマン+ゾーン配置2~3人」である場合には、
基本的に行うべきだと考えているのは以下の通りです。

3-A4 まずは本ブログ開設前の着目点の再確認を統計的視点から。でサンプル数が

十分ではないとは言え、統計的に述べていますので、要約し再掲します。


(1)基本:身方への到達率を上げる。
 
A.スペースをどこに求めるのか、キッカーと受け手のコミニケーションを取って、
   そこに走り込む。
B.走り込む際には、ピックプレーを使って(あるいはそれをダシにして)
   フリーを作りシュートにつなげる。
C.守備側でゾーン固定配置されている選手とボールの到達点の間に入る。
   それによって、相手守備の核になる選手にクリアされる可能性を下げる。
 
さんざん書いてきたとおり、これらによって、約3割しか身方に到達できていないコーナーキックが、より高確率に、より良い状態(フリー)の選手に到達することが出来れば、自ずと得点率は上がるはずです。
これらをコーナーキックごとに行われている4・5名のハドルで話し合って決めて、キッカーにどこのスペースを使うのかサインで伝達して欲しいのです。

(2)掛ける人員
 
このあたりから、持論になっていきます。少人数で始めればよいと考えます。
A.ピックプレーは個人で行えるラッシュ&ピックAと、
  特定の2人の組み合わせでラッシュ&ピックB、クロス、
  ブロック&ランを用い、手数と人数をあまり掛けないところを主とし、
  常時発動できるようにする。
B.大勢を掛けてのスペシャルプレーは、せいぜい1試合に1プレーにする。
  チームとして5つくらい似たような配置から発動できれば、
  おそらく相手は知っていても付いて来られない。
  シーズンを乗り切れるのではないかと思う。
 
これらについては私の経験的な話です。
バスケットでもサインプレーをしますが、相手のある話です。
サインプレー、すなわち、5人で決まった配置から決まった動きをして、
シュートまで持って行くシナリオを書いても、
よっぽど単純で強力でないとそうそう決まらない。
 
しかし、単純なプレーでは、少し気の利いた守備選手が居るだけで、
2回目からは読まれるし、初回さえ危うくなるものです。
ピックプレーも同じで、決まった担当で、決まった位置から、決まった動きをすると、警戒されたり、回避されるのは同じである。

そこで、特定の2人か3人でピックプレーを練習し、いろいろな場所から、
様々な種類のピックプレーを使い、序動を付けることで、
確実にピックプレーが決まるようにしたほうが、実用的だと私は考える。
 
マークマンとの駆け引きの一つとして使う方が、
長いシーズンや5・6試合する大会では、重宝することだと思います。
4-12 東アジアカップを見直したら、北原・川村両選手はピックプレーを使っている。で、特定の組み合わせで出現することが多いと記載しましたが、
実用上有効だと考えているからです。
 
また1-6/6 アメリカのセットプレー戦略②2点目のピックプレー などで「素養」と言う記載をしていますが、
「素養」があれば、読まれていると感じたとき、序動で工夫してピックを
掛けることができるのです。
一夜漬け(前日練習)だけでは、「決まるときは決まる」状態にはなるでしょうが、
高確率で決まるところまではいかないと思います。
相手のマークがタイトなのか、ルーズなのかなどによって、
2-1 コーナーキックでのピックプレーの提案 対マンツーマンディフェンスでの局面的な技術(定義と簡単な説明)
以下に示したピックプレーを使い分けられるようになってもらいたいものです。

(3)狙い所について
 
私は、短めのコーナーキックでつなげることを奨励したく思います。
A.現状を統計的に見る
実はこの統計も採っています。(合計180本の統計:2015.12.27皇后杯決勝までの集計)
             本数  身方に到達 GK対応 得点 平均到達時間
 ニアサイド    28       14       1    0    1.3秒
 ニアポスト    34     11       2    4    1.6
 正面           56     15     14    3     1.9
 ファーポスト      38     12      9    4     2.2
 ファーサイド   14      9       1    1      2.5
 
 -2018/04/27追記-
 新しいデータは3-17 データ:蹴った位置とその結果にありますので、
 参照下さい。データー数は増えましたが、傾向は変わっていません。
 
ゴール数で語るにはサンプルが少ないので、身方への到達数で考えていくと、
これらから以下のようなことが言えそうです。
①ちゃんと身方を狙っているのか?
 サッカーを本格的にやったことのない私が上のような分布を見ると、
 現状のコーナーキックは、スペースを作ってそこを狙って蹴られていると
 言うより、普通にゴール前を狙って蹴られているように思えます。
 
②ゴール正面に単に上げても効果低い。
 最も多く蹴られていますが、GKの守備範囲もあって、
 身方に到達する確率は低い。
 
③GKが届かない範囲では身方への到達率1/3
 ゴール前付近を狙って蹴って、GKの届かない範囲に行っても、
 攻撃選手・そのマークマン・ゾーン固定配置された守備選手の3人の
 競りとなるから、単純に身方への到達率が約3割になるのだと思われます。
 
B.提案1:もっとニアを攻めるべき
 
私は、距離的に近く、ニアサイドやニアポストを使って、確実に身方につなげる方が良いと思います。
理由は以下の通り。
①近いのでキックの精度を期待できる。また、高低の微妙なキックコントロールが
 要求されない。
②ピックプレーはニアが狙いやすい。
 ボールを目線では追う作業と、ピックを掛ける作業を同時に行うのは難しい
 ので、ピックプレーを発動するタイミングは、コーナーキックを蹴る
 瞬間までが一般的です。
 ファーポストが狙いだと、ボールが約2.2秒後まで来ないので、
 せっかくピックプレーを掛けてフリーになっても、追いつかれてしまいます。
 ピックプレーを仕掛けるからには、狙いはニアが第1候補であるべき。
 
C.提案2:スペシャルプレーはファーを狙って。
 
提案1で主にニアを攻めるから、ファーはあくまで、スペシャルプレーです。
ゾーン固定配置された守備選手がいないので、マンツーマンで有利なマッチングなら、
コーナーキックのボールは5割以上の確率で身方に到達することになります。
ただし、キッカーの高いスキルが必要なので、それが大前提になります。
詳細は次のブログに書きます。
 
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