A.プレーの内容
 
横に2人並んだ攻撃選手に対し、共にルーズ、あるいは、片方ルーズなマークをしている場合、攻撃選手がクロスして走り込む。
 
B.長所
 
うまくいけば、守備選手同士がぶつかって、一挙に2人のフリー選手を作ることも出来る。破壊力で言えば最も高いピックプレーと私は認識しています。
(と言ってもNFLで年に2~3度しか起こらないレアなケース。)
 
なお、うまくいく時と空振りに終わる時との効果の差が激しいように認識していますが、マークマンの状況に応じて、ラッシュ&ピックAを補なうプレートなります。
 
効率も悪くありません。普通に2人走り込むのと効率的には同じで、攻撃選手2人ともボールにアクセス可能です。クロスして守備に混乱を招かす分フリーになる確率が上がります。
 
C.短所
 
相手ディフェンダーのマーク次第で、使いにくい状況になる。
例えば、下図の右ように、ボールに近い側がルーズで、遠い方がタイトな場合は、
ニアサイドへの適応が難しくなる。
攻撃選手がクロスしても、守備選手はクロスしないためだ。
 
それでも、そこで横方向に移動して入れ替わった後再びクロスするとか、他のパターンのピックプレーを使うなどすれば良いので、素養が必要とも言える。
 
 

D.これまで調査した試合での出現例
 
東アジアカップで、北朝鮮の13・14番が多用しています。二人横に並んでクロスし、ニアサイドへと走り込んでいます。おそらく14番の方がピックプレーが達者で、13の動きに合わせて、ピックが掛かるように動いています。
 
 
 
E.NFLの例
 
結構頻繁に現れます。ショートパスを多用するチームに対し、奥を取られることを嫌ってレシーバーのマークをルーズにしているチームが対戦した場合に、主軸のプレーになる場合もあります。
ただ、ビックゲインになることが少なく、なかなかハイライトとしてHPに掲載されることは無いようです。沢山の事例があると思っていたのですが、探すのに苦労しました。
 
①2015年第5週 ペイトリオッツ(青:オフェンス)vsカウボーイズ(白:ディフェンス)から。
手前側の87番と11番がクロスすることにより、87番がフリーになっています。11番のマークマンがルーズだったので、87番とマークマンとの間に挟まったのは11番だけになりましたが、ディフェンスがひるんだ分、ルーズなマークがさらに拡がっています。
NFL-HP:リンク
 
②2015年第5週 ペイトリオッツ(青:オフェンス)vsイーグルス(緑:ディフェンス)から。
手前側80番アメンドラ選手と19番がクロス。ディフェンスはマークマンをチェンジし対応したが、スピード差のミスマッチも有って、コーナーでフリーに。
NFL-HP:リンク
 
③2018年NFCチャンピオンシップ ラムズ(白)vsセインツ(黒)
手前から45番グリフィン選手が10スミス選手とクロス。ディフェンスの22ピータース選手がジョンソン選手にぶつかって転倒。45グリフィン選手がパスを受けてタッチダウン。
NFL-HP:リンク
 
以上です。
 
 
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