A.プレーの内容
 
1組の攻撃・守備選手あるいはそれ以上の選手が並んで出来た壁の後ろ側を、
ちょっと遠回りして走り込むプレー。
マークマンは攻撃選手の後ろを追うか、壁の裏側を走ることになり、
走り込んだ選手から引き離されることになります。
バスケットボールではスローインの際、よく使われるスクリーンプレー。常に使うチームさえ有る。
 
 
アメリカンフットボールでは、ライン戦において攻撃・守備両方で用いられる。
守備の場合はせいぜい2人程度だが、攻撃で使う場合は5名を超すループも珍しくない。
一試合で少なくとも10回は見られるほど使用頻度は高い。
クロス・プルアウト・ループなど、色々パターンと呼び方が有るが、
ここでは「壁」を作って、そこで動き出すという意味で一つに括った。
 
 
 
 
B.長所
 
なんと言っても、成功率が高い。マークマンがタイトであれ、ルーズであれ使える。
タイミングさえ合えば、概ね成功する。
 
C.短所
 
バスケットのスローインの時のように、壁を動かさないで、サッカーのコーナーキックに使うと、
壁に入った沢山の人が、ボールを受ける機会を失うため、人数的効率が相当悪い。
したがって壁は動かすことになるのだが、当然チームプレーとしての練度が必要で、
なかなか代表チームなどでは、練習に時間が掛かるので、難しいだろうとは思う。
ただ、中距離のサイドのスペースで、フリーキックを得た場合などに用いれば、
それなりの効果を発揮しそうに思う。
 
D.これまで調査した試合での出現例
 
これまでコーナーキックや、オフサイドをほぼ気にしなくて良いようなフリーキックに関しては全くない。
ただ、ちょっと本ブログの主旨とは違うが、中距離のサイドのスペースでのフリーキックでは、
昨日のクラブワールドカップのバルセロナvs広州戦40分に広州が見せている。
バルセロナはブロックを作りゾーンで守っていたが、ディフェンスは捕まえにくかったようだ。
ラグビーのバックス陣でも逆サイドのウィングが回り込むサインプレートがあります。
端から順番にマークマンを捕まえなければならないはずだが、
ループされると、次々に担当する守備選手が替わり、フリーになってしまいがちになる。
FIFA HP HIGH-LIGHT:リンク 44秒からご覧下さい。
 
 
 
 
E.NFLでの出現の例
 
アメリカンフットボールでは、ライン選手同士がぶつかって「壁」ができますが、
オフェンス側がパスプレーかランニングプレーかどちらを選択するかによって、
その動きが変わります。
ランプレーの時は、ランニングバック(RB)の走路を明けるために、オフェンス側が壁を崩そうとします。
パスプレーの時は、クワォーターバック(QB)がレシーバーを見付けてパスをするまで間QBを守るため、
オフェンスラインは壁を維持しようとします。
ディフェンスはそれを崩し、QBにプレッシャーを掛けるため、工夫します。
それらの工夫としてピックプレー(ループが)使われることがあります。
 
①ディフェンスの例
2015年第14週 ジェッツ(緑:ディフェンス)vsタイタンズ(白)
ディフェンスラインのジェッツ96番がクワォーターバック(QB)にラッシュする際、ちょっとタイミングを遅らせて手前外側にループすることで、対面のオフェンス76番をピック。QBをサックした。
NFL-HPより
 
②オフェンスの例
2015年第5週 ペイトリオッツ(青:オフェンス)vsカーボーイズ(白:ディフェンス)ランニングバック29が爆走するのですが、その前を走る69番の動き出しに注目下さい。手前から奥にループし、露払いとなります。
NFL-HPより
 
似たプレーですが2015年第12週 ライオンズ(水色:オフェンス)vsイーグルス(緑)
ランニングバック21番の突破のために、72番が奥から手前にループしています。
NFL-HPよりhttp://www.nfl.com/gamecenter/2015112600/2015/REG12/eagles@lions#menu=gameinfo%7CcontentId%3A0ap3000000588522&tab=videos
 
以上です。
 
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