「病は力だ」と教えてくれた恩師・斎藤学氏の忘れられないエピソード | 生きる喜びを伝える伝道師〜くりはら せいこのブログ〜

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生きることは苦しみではなく喜びであるということを伝えています。
著書に、精神科医の齋藤学氏との共著『ヘンでいい。』

対話を使ったセラピー、魂のメッセージを伝えるソウルリーディング 、セルフラブグループ、笑いヨガリーダーなど、対面では東京を中心に活動中。

某勉強会で書いた内容だけど、
他の人にも読んでほしいから、
こちらにもペースト。

…………

自分のポリシーは
「対等性」「自主独立」「人の力を徹底的に信じぬくこと」の3つである。

これを端的に表している出来事と言えば、ひとつ強烈に思い出すことがある。
私はこのエピソードを、ことあるごとに思い出し、人にもしばしば話し、
自著にも書いている。

それは、恩師である精神科医の斎藤学氏から聞いた彼自身のエピソードだ。
私はこの話に惚れ込んで、恩師を口説き落として、共著で本を書いた。
このことを書きたかったからだ。
 
思えば、このエピソードを仰ぎ見ながら、私もこうありたいと思って、人と関わり続けてきたようなところがある。
 
 
下記が、恩師・斎藤学氏から聞いた話だ。
 
斎藤学氏は、慶応大学医学部を出た精神科医だ。
小此木圭吾という著名な精神科医の後輩にあたるのだろうか。
エリートの精神科医で、医学部を出た後は、WHO研修生になり、そこで嗜癖や依存について学び、久里浜病院でアルコールやドラッグの治療にあたり、嗜癖治療の第一人者となる。
その後、家族療法の世界に入り、慶応病院に勤務していた。
 
この出来事は、その当時のことだ。

当時はまだ、摂食障害(食べ吐きをする少女)という病が世の中に認知されていなかった。
 
摂食障害の少女たちは、食べ物を大量に食べ吐きする。
そのための食べ物を得るために、その中の何人かは、万引きに走る。
今では、これもクレプトマニア(盗癖)と言われ、精神疾患のひとつとみなされているが、当時の精神医学界にはそのような認識はなかった。
 
斎藤学氏も例外ではなかった。

母親が万引きした子供を引きずって治療室にやってくる。
時に斎藤学氏は母親と一緒に、少女が盗んだ店舗に行って謝罪したり、万引きをしていた少女たちに対して強く説教をしていたという。

そういうことが続いていたある日。
 
また、母親が万引きした少女を連れてきた。何度も万引きをしていた少女らしい。
しかしその日、斎藤学氏は急に理解してしまったのだと。
その少女がどんな切実な思いで、追い詰められて万引きせざるをえなかったかを。
そう思った途端、涙がとめどもなくあふれてきて止まらなくなり、1時間泣き続けたそうだ。治療とか会話とかも一切せずに。
少女を連れてきたお母さんは当惑してしまい、「ま、斎藤先生!ま、斎藤先生!ま、斎藤先生!」と何度も言っていたそうだ。笑

しかし、なんと、この日以来、その少女の万引きはぴたっと止まったという。
あんなに何度説教しても止まらなかった万引きが。

この出来事が、斎藤学氏の治療スタイルやその後の人生を変えることになる。

当時を振り返り、彼はこう言う。
この患者を自分がなんとかしようと思っている時は、まだ自分は治療者のナルシズムに酔っている時だ。それが底づきし、自分が無力であると悟り、その無力の自分のまま患者の前に立った時に初めて、患者はその人本来の力を取り戻す。
これを自分は治療者無力の処方と呼んだ。
自分が有能だと思っている時は、治療者が自分に酔っている時で患者を見ていない。
そういう治療は患者から何かを奪っちゃうんだよ。
 
その出来事の後、彼は、今まで理解してあげられなかった患者たちのことが走馬灯のように浮かび、堰を切ったように涙が止まらなくなることが頻発し、講演会などで話していても涙が止まらなくなることが続いたという。

この後、斎藤学氏はエリート医師という道から降りた。

摂食障害の少女たちが自らを語る自助グループを立ち上げたり、日本社会が当時ほとんど扱えなかったDVや児童虐待やひきこもりなどなどの問題を手掛け、DVの被害者たちのためのシェルターを作ったり、手弁当で国会に行って児童虐待防止法案を成立させたりした。
また、機能不全家族で育って成人になり、生きづらさを抱えてさまざまな問題で苦悩する人たちのために「さいとうクリニック」を立ち上げ、日本中から行き場のない人たちが集まった。(今は閉院している)
スタッフの多くも斎藤学氏の元患者で、つまり、ここを立ち上げることで、社会に行き場のない元患者の雇用を創出しようとした。

私は自分がウツになって、さいとうクリニックに行き、斎藤学氏と出会うわけだが、
この前例のないクリニックの在り方、方法、理念すべてに影響された。
(いまだに、このようなクリニックを他ではみたことがない。だからこそ、本に書いた。)

それが今の私の活動に引き継がれている。

「対等性」「自主独立」「人の力を徹底的に信じぬくこと」
 
ここまでよんでくださった方は、なぜこの言葉を私がポリシーとしているのか理解してくださると思う。
 
斎藤学氏は、この3つを徹底的にやり抜いた人だと思う。
 
彼はしばしばこう言った。
「自分はただのおじさんだから。」
「あなたには力がある。」
「病は力だ。」

 




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