の続き

朝鮮学校無償化除外で控訴

卒業生原告「闘い続ける」

https://this.kiji.is/284993906820138081?c=39550187727945729

　朝鮮学校を高校無償化の適用対象から外したのは違法だとして、東京朝鮮中高級学校の卒業生が国に損害賠償を求めた訴訟で、卒業生側は25日、無償化除外を適法とした13日の東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。

　控訴後、記者会見した原告の男性（21）は「全ての高校生に与えられるべき権利が朝鮮学校生にだけないのは、在日朝鮮人として生きていく上で大きな問題。これからも闘い続ける」と訴えた。同校の慎吉雄校長は「民族教育を受ける権利は、正当な権利だ」と話した。

　地裁判決は、無償化の対象から除外した文部科学相の判断を「不合理とまでは言えない」とし、請求を棄却した。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20170926-00000013-jnn-soci

↑TBSニュースより

動画ご覧ください

（東京朝鮮中高級学校 도꾜조선중고급학교 Tokyo Korean Junior and Senior High SchoolFBより）

９月１３日に下された地裁判決を不服とし、本日（9月25日）控訴する運びとなりました。
それに伴い、本校にて記者会見が行われました。
その模様と声明文を掲載します。
一人でも多くの方に朝鮮学校への理解を深めて頂きたいです。
引き続きご支援、ご協力をお願いします。

ーーー以下、声明文ーーー

東京朝鮮学園　声明

　「高校無償化」制度から朝鮮学校の生徒のみを除外した日本政府の違法で差別的な行為の是正を求めた私たちの切実な訴えを、東京地方裁判所は「原告の請求をいずれも棄却する」と、たった10秒ほどの冷たい言い渡しで退けました。
驚くべき東京地裁の不当判決を到底受け入れることができず、原告たちは本日9月25日、東京高等裁判所に控訴いたしました。
そもそも、日々勉学に励み青春を謳歌すべき普通の高校生たちが、なぜ巨大な国家権力を相手に提訴せざるを得なかったのでしょうか。
それは、朝鮮高校生たちの学ぶ権利を国の行政府が違法に侵害している事実を明らかにし正すためには、司法の判断にすがるしかないほど今の日本社会が排外主義に汚染され歪んでしまっているからにほかありません。
日本政府による「高校無償化」制度からの朝鮮高校生除外は、法の下の平等を定めた日本国憲法や等しく教育を受ける権利を定めた国際人権規約、民族的出身による差別を禁止する人権差別撤廃条約などにも明白に反しています。
すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるためとの「高校無償化」法の趣旨を逸脱し、政治外交的思惑によって朝鮮学校のみを除外した国の行為は明らかに違法であります。
「外交上の配慮などで判断すべきものでなく、教育上の観点から客観的に判断すべき」とした政府の統一見解にも矛盾しているばかりか、ゲーム中にゴールポストを動かすが如く省令を改悪してまで朝鮮学校生徒のみを除外した国の行為は、まさに狙い撃ちの民族差別としか言いようがありません。
自民党政権がいわゆる「拉致」問題を除外理由にしたのは誰の目にも明らかで、社会的に共通認識とされているにも関わらず、裁判に負けまいと自らが吐いた言葉を無理やり翻そうと苦し紛れの詭弁を繰り返した国側の滑稽な姿は弁論においても嘲笑の的となりました。
朝鮮学校への敵意に満ちた一部のいわれなき「報道」や「資料」をもとに、適正運営について「確証が得ることができない」などとした国の詭弁は、一方的な「疑い」のみをもって法律上の権利を制約しようとするもので、法治国家としてあり得ない思考方式であり、学校法人として責任ある運営に努めている当学園に対する許されざる侮辱行為であります。
尊い学び舎に不純な「政治」を持ち込み、神聖な法律を無視してまでも朝鮮学校生徒の学ぶ権利を侵害している行政府の明らかな違法行為を、当然司法府が法に基づき正しくジャッジしてくれるものと私たちは信じて疑いませんでした。
しかし東京地方裁判所は、この単純明快な本質を直視することも、正常な判断を下すこともできなかったようで、誠に残念でなりません。
本来、公平な判断により国家権力の過ちを正し、法の支配を実行すべき司法府がその責務を放棄し、むしろ行政権力の差別的違法行為を追認し、神聖な学習権については一顧だにせず、原告の訴えを何の合理的な説明もないまま退けた東京地裁の不当判決に、私たちは驚愕するとともに強い憤りを禁じえません。
これまで「無償化」制度から差別的に除外されたまま放置され続けている卒業生や在校生たちの救済を求める声を無視し、朝鮮学校で学んでいる多くの子どもたちが負った心の傷に塩をふるかの如きこの冷酷な不当判決を、絶対に受け入れることができません。
「すべての子どもたち」から朝鮮学校に通う生徒をのけ者にして傷つけても何も感じないこの国の恐ろしい風潮と、「朝鮮」がつくものに対しては何をしても許され司法府の独立すらも機能しない無法状態に強い危機感を感じます。
朝鮮学校は、過去の不幸な時代に踏みにじられた人権と奪われた民族的尊厳を回復するため、苦難を乗り越え一世の同胞たちが創設し、二世・三世へとバトンを受け継ぎながら、七十年もの長きにわたり発展させてきた大切な民族教育の場であります。
朝鮮学校は、朝鮮半島にルーツを持つ在日の子どもたちに母国語をはじめ民族の歴史や文化等を教えることにより、しっかりとしたアイデンティティーを胸に、日本の地域社会で共存共栄しながら世界に貢献できるような人材を育成すべく、真摯に民族教育に取り組んできました。
地域に根ざした教育、多文化に対する相互理解と友好親善を目指し、日本の学校や外国人学校とも多彩な教育的交流を深めてまいりました。
東京朝鮮中高級学校の施設は、サッカーやラグビー、ボクシングの公式戦東京都予選会場となっているばかりか、近隣の方々などにも広く活用していただきながら、多くの人々が毎日のように集い美しい友情を育む貴重な交流の場となっています。
朝鮮学校に通う生徒たちは、日本で生まれ育ち、これからも永住していく子どもたちであり、なによりも朝鮮と日本の友好の懸け橋となる、私たちのかけがえのない大切な未来です。
未来を担うすべての子どもたちが平等な学習権を享受し心おきなく学び成長する社会を実現するため、また異文化を互いに認め合い共に生きる社会建設に寄与すべく、私たちは今後とも民族教育の発展に全力を注ぎ、その普遍的価値を実証してまいります。
私たちは控訴審において、神聖な教育現場に「政治」を持ち込もうとする不純な動きに抗いながら、朝鮮学校に通う子どもたちの民族教育を受ける権利は法的保護に値する正当な権利であるということを訴えていきます。
私たちはこれからも、本学園の子どもたちや保護者、在日同胞の皆さまはもとより、弁護団の諸先生方、支援してくださる多くの日本や韓国の方々と、共に手を取り心をひとつにし、良心と正義が実現されるその日まで戦い抜く所存であります。　
　
以上