オープン直後からお伺いいているフレンチレストラン『la clairirere(ラ クレリエール)』。私のブログを読んで訪問してくださっている方も多いようですが、私も幾度となく足を運んでいる大好きなレストランが、今年5周年を迎えられました。

本来は4月が周年となるのですが、コロナで半年ほどテイクアウトをされていたからでしょうか。二年連続で周年を11月頃にされていました。6年目を迎えた今回は5周年ということで、アニバーサリーコースをいただきに11月に訪問させていただきました。

 
 
5周年を迎えても変わらぬセッティング←いい意味です。
夜はだいぶ照明を落とされ、大人な雰囲気ですが、ランチタイムは柔らかな
木漏れ日が差し込むような優しさがあり、ナチュラルなイメージがぴったり。
 
 
一皿一皿に喜びと感謝を込めて・・・
オープン以来、全くブレない柴田秀之氏のお料理に向き合う姿勢です。
柴田シェフのお料理は、訪問するたびに良くなります。この歳になると
シェフの成長やお料理の変遷を見ていくのもとても楽しいものですが、
6年目を迎え、今回お料理が劇的な変化をされていました。
 
 
アミューズグール
ここから劇的に変わっていました。半年ぶりの訪問だったので
5周年コースだから特別なの?と聞いてしまったほどですが、
初めての方はもちろんこの作り込まれたアミューズにまずは心奪われることしょう。
 
 
ねっとりした食感と里芋のいい香りのする石川小芋のフライの上には、
ガリシア栗豚のバラ肉を添えコクを出しています。これだけでも美味しいと
思うのですが、季節感を考えた組み合わせ。削られた栗は上質のきんとんのよう。
卵黄とみかんで作られたパウダーが、紅葉した山を想像させます。
ピンクペッパーで更なるニュアンスをつけています。こんな小さなアミューズ
グールにたくさんの食材を重ね、しかもその重ねた食材をしっかり
マリアージュさせている。 やっぱり柴田シェフって凄い!!
 
ビーツでも黄色ビーツは味わいも少しエレガントですね。
海老のタルタルの上にはオシェトラキャビアを重ねています。
アクセントにはキャビアと相性ばっちりのサワークリーム。
エストラゴンが添えてあることで、ちょっとしたニュアンスが加わりますね。
 
コトコト煮込んだ豚足のミンチを香ばしく焼き上げ、タルタルで仕上げています。
これまたセップ茸のパウダーで秋の香り〜。
ねっとりした食感にサクサクの食感のアクセントも楽しいのです。
 
生ハムに隠れていますがこの中にも様々な食材が閉じ込められていました。
とちあいか苺にはフルダムベールを詰め、バジルを重ねパルマの生ハム
でヴェールを纏ったように。シャンパーニュの方にはまさにぴったりのマリアージュ。
 
半年前のお料理とは全く違ったことにもびっくりですが
この小さな一口でつまめるお料理への入魂がすごい。
最近食べ歩きもするようになったりと、最近柴田シェフの激変ぶりにも
びっくりなのですが、それが全て肥やしとなっているような気がします。
 
アミューズグールをいただいただけでこの日のお料理の登場が、
ますます楽しみになりました。
 
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次は、カリフラワーのフランとタラバ蟹です。
柴田シェフのお料理はエレガントで、前菜に白いものをお使いになることも
しばしばですが、特にカリフラワーは楽しくお料理に変化させてくださいます。
 
 
中心には、焼いたタラバ蟹。そして中には海老味噌。強い風味がありますが、
甲殻類風味の2種の泡立てたソースでしっかりした味わい。これにレモングラスの
風味を付け軽さもだしています。花穂で爽やかな味わいと柚子の華やかな香りと
が加わった、これまた素敵なアミューズですね。
 
 
ルクセンブルグから届いたバゲットは、バターとオリーブオイルで。
 
 
南フランスのポワブラード・アーティーチョークが登場しました。食べるところなんてちょっとしかない贅沢なアーティチョークなんですよ。
野菜のブイヨンと白ワインで煮込み、米粉をつけて揚げています。
仕上げは、米油とアーティーチョークで作った自家製オイル。
相性がいいに決まっています。
 
中には、スミイカをコリアンダーと塩でマリネしたものや焼いたフォアグラ
が仕込まれ、食べていてとっても楽しい。
フェンネルと芹は香りのニュアンスと軽い味わいを添えてくれました。
ソースはもう一種あり、バジルやトマトを煮詰めた軽やかなものも使われていて
一口ごとに食材のニュアンスが変わり、食べていて楽しいものに。
 
 
オマールを海藻バターの風味を纏わせ軽く火入れをしています。真はまだ生の状態が
多く残っていて、オマールが楽しめました。ここにオマールの出汁に
ピノノワールを加えて煮詰めたソースをかけています。
ここにも小技が効いていて、オマールをさまざまな方法でいただきました。
 
オマール海老の卵と内臓は、鶏卵とチーズのピカタ仕立てに。
ふわっとした卵の食感と思いきや、食べると旨味が凝縮したような贅沢ピカタ。
ポロネギとシャントレルのソテーなども添えてありました。
クルトン、クルミで食感や風味がさらに高まりますね。
 
水玉のように重ねられたかぼちゃが可愛い。
パターナッツでニョッキを作り、赤ワインで煮込んだオマール海老の爪を
重ねています。ローズマリーとマジョラムのアクセント。
前菜で細々書いておりますが、それくらいお料理に手間暇かけ
細部にまで神経を集中させて作ってくれるお料理を紹介せずにはいられませんね。
 
 
ジェリンヌドラカンが登場しました。夏にSNSで入荷のお知らせがあったのですが
ここで出会うとは。今年、日本に何羽入ってきたのでしょかね・・・。
 
何に使ったかと思いきや・・・。
力強く脳裏に焼き付くような美味しさのコンソメでした。
 
ジェリンヌドラカンの胸肉をハムのようにしてリコッタチーズと合わせ
その上に福島県須賀川かぶらを合わせています。
もうね、、、1ヶ月前くらいにいただいたのですが、
この時の蕪のあまみとコンソメの美味しさはまだ脳裏に焼き付いています。
豪華食材は、キャビアやトリュフだけじゃない。厳選された希少で貴重な
食材を厳選し、細部までこだわったお料理で作りだす。
美味しいと思えるお料理は、こういった食材と技術と魂の
三位一体の技がなせるものだと実感させられます。
 
 
ホタテの貝殻の器にはアルバ産のトリュフがたっぷり。素晴らしい香りであることは
言わなくてもお分かりですね。ホタテ、白子、ゆりね、銀杏、ほうれん草、ジロールに、サバイヨンソースを掛け焼いたグラタンは、食べる場所ごとにさまざまな味わ
いが楽しめます。とてもリッチな味わいでした。
 
 
根室のきんきは脂が乗ってキラキラていましたがポワレに。
ここに、赤ワインに負けないほどしっかりしたきんきの出汁を合わせて
作ったソースを掛けていきます。きんきは脂を適度に落として
焼いたととのことですが、見ただけでぷりぷりなのがわかります。
 
ほかの方は茄子が添えてありましたが、私は茄子が嫌いなのでプンタレッラを。
ちょっと苦味が加わりました。マデラ酒で煮たごぼうと雲丹の入ったバター
リゾットの味わいがに食材の甘さがあり
これに加えて脂の乗ったきんきが口の中でとろけるようでした。
 
メインは、いくつかありましたが、いつものごとく柴田シェフにお伺いし
新潟県三条市の青首鴨をチョイス。丸ごと焼いてくれました。
三条の青首鴨ってとっても貴重。柴田シェフはかなり好んで使われている
思い入れのある食材でもあります。ラクレリエールに行って、
新潟の鴨があったら是非召し上がってみてください。
 
 
塊を4種の鴨料理にしてくれました。まずは、滑らか肉質の胸肉から。
鴨の出汁のソースを鴨の出汁で炊いた大麦とそばの実を合わせて。
 
鴨は肉質がかなりしなやか。鴨の香りも素晴らしいですね。
 
鴨の胸肉はスライスにしサルミソースをかけたお料理としてもう一皿登場しました。サルミソースって時折くどすぎたりしますが、こちらのソースは赤ワインの果実感が
残りかなりエレガント。こんなにたっぷりかかっているのに、しっかりお肉も
味わえるのは素敵ですね。トリュフも加わりリッチなメインとなりました。
 
もも肉は、さまざまきのこのソテーと共に。これは肉質も楽しみながら
胸肉などよりは野趣ある味わいが楽しめました。
 
柴田シェフは余すところなく食材を使ってくださいますが、
鴨の風味をしっかりうつし力強い味わいにしたスープを出してくださいました。
 
ささみにスープを注ぎ完成。軽くゆずの華やかな香りをつけバランスよく。

 
アヴァンデセールは、月桂樹の葉っぱをミルクで煮出した
アイスクリームにりんごのソースやりんごジュースでマリネしたセロリを合わせた
爽やかであり、少し青い味わいと軽い酸味が特徴です。
合わせた澳オリーブのエレガントな味わいがこれらの
青い味わいまとめ、ミルクの味をさらに引き立てくれました。
 
柴田シェフ曰く、どうしても澳オリーブじゃないと合わない、ほかのオリーブ
オイルでは合わないと、いわばこのオリーブオイルが主役のデザート。
澳オリーブは、口当たりが軽いのにちょっとピリッとした青さがあるのですが
とっても上品なオリーブなんです。テクスチャーも他のオリーブよりクリア。
私も大好きなオリーブオイルですがかなり高額なのでレストランでのみのお楽しみ。
 
 
そして、柴田シェフのモンブランです。一年前にもいただいたのですが
前回よりさら完成度が上がり、雑味などが取り払われたデザートになっていました。
まずは、チョコレートのフィヤンティーヌ、栗きんとん、キャラメルのチップ
オレンジのコンフィチュール、温かな栗のムースが重ねられた状態で登場しました。
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ここに登場したのは、栗の鬼皮で香りをつけたメレンゲ。フランスなどの街角で
見かける焼き栗がこのお料理のヒントになっていて、柴田シェフにとって
この栗を焼いた香りはフランスの香りと思い出なのだと聞いたことがあります。
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液体窒素を使い、目の前でシャンパンパウダーを作ってくださいました。
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最後は雪のようにパウダーをかけ完成です。
 
雪に覆われた、まさに雪山のモンブランのデザート。
巷で見るモンブランと重ねかたが逆ですが、さっくりしたメレンゲ
香ばしいキャラメルのチップのサクサクの食感に、チョコレートの
ほろ苦い味わいなどが加わりますが、結してくどくない。
パリの香りを運んできてくれるような絶妙のモンブランでした。
 
コーヒーはミカフェートなので、私はいつもご一緒した友人にはコーヒーを
オススメします。実はデザートに合わせて専門家が豆をチョイスしているのです。

 

 

ミニャルディーズは、洋梨とレモングラスのゼリー、カシスのマカロン、

フロランタン、蜜蝋を使って作った贅沢なカヌレ。

これもシンプルですがそれぞれがしっかり存在感を出した演出になっていました。

 

 

劇的に変わったラクレリエール。シェフに色々お話を伺ったところ

食材はもとより、粉や砂糖も全部変えたということ。食べていて

負担のない良質なものは、食べていても体がすんなり受け入れてくれます。

 

またステップアップしたラクレリエールのお料理は是非みなさんにも

召し上がっていただきたい。

 

真摯に食材や技術に向かい合い、ただ美味しいお料理、そして完成度の高いお料理

を目指している姿勢が、次回の訪問への期待をさらに高めてくれました。

 

 

そうそう。お店に行ったらTHE ART OF PLATEのお皿が飾ってありました。

アマゾンプライムで柴田シェフを追ったドキュメンタリーです。

ほんと、シェフの熱い想いの伝わるムービーでした。

 

 

【ラ クレリエール訪問記】

・2020年10月のディナー

・2019年10月のディナー

・2019年3月のディナー

・2018年6月のディナー

・2017年7月のディナー

・2017年5月のディナー

・2016年冬のディナー

・2016年夏のランチ

 

 

La Clairiere(ラ クレリエール)

東京都港区白金3-14-10 ベルパラーゾシロカネ 1F 

03-5422-6606 

11:30~15:30(L.O.13:30)/18:00~23:00(L.O.21:00) 

木曜定休

 

 

 

 

ラ クレリエールフレンチ / 白金高輪駅白金台駅広尾駅
夜総合点-