前回の記事とだぶるような内容になるかもしれません。
農業を始めてから改めて農家さんの現状というものに気づくことができました。
改めて気づいたというか、あえて目を逸らしていたというか・・・。
今日、除草剤の話をお客さんとしていました。
ノズルはどれが良いとか、動噴の圧はどれくらいが良いとか・・・。
ここで、5町のみかん園を管理しているAさんと、1町5反のみかん園を管理しているBさんを例に出します。
BさんはAさんの三分の一以下の面積です。
Aさんは、5町の面積全てに一回で使用する除草剤の本数は25~30本です。
Bさんは、1町5反の面積に一回で使用する除草剤の本数は30~35本です。
Bさんは、Aさんよりも三分の一の面積しかないのに、ほぼ同じ本数の除草剤を使います。
Aさんの使い方をすれば、単純計算だと8~10本で済むはずなのを、4倍ほどの無駄をしています。
私は農薬を販売していませんし除草剤を使用しませんので、単価を知りませんが、量販店で非農耕地用の除草剤が200円代で販売されていたのを見たことがありますから、仮に250円としましょう。
農耕地用の除草剤はこれよりも高いはずです。
Bさんは、2500円で済むはずのところを安く見積もっても7500円も除草剤にかけていることになります。
差は、約5000円です。
5000円あれば、高額な農薬が1本買えます。
なぜこんなことになるのかは、前述もしたように、動噴の圧が高すぎたり、出が良すぎるノズルを使用していたり、散布するスピードが遅かったりと、いくつか要因があります。
ここでネタバラシのようなことですが、前述したAさんとBさんの比較ですが、これはAさんとBさんが直接会話していたことを文字に起こしただけです。
つまり、AさんがBさんに「こうやれば、除草剤の使用量が抑えられるし、これでちゃんと草が枯れる」ということを話していたんです。
Aさんはまだ50代ですが、Bさんからもその他周囲からも認めれらているみかん農家さんです。
その方が有益なアドバイスをしているのに、全く気にならない様子のBさん。
それなのに、みかんが安かったことは悔やんでいます。
液肥を進めても、「みかんが安かったから、金をかけられない」と断られます。
私から見れば、コストカットしたいのか、そうじゃないのか、さっぱりわかりません。
おそらくは、コストカットの意識はあるんでしょうが、一体どうやれば良いのかわからないんじゃないでしょうか。
ところが、Bさんはその分からないことの認識すらない。
結局は、コストカットの方法も分からないのに、コストを下げようとする最悪な状態にあるんじゃないでしょうか。
これは経営のイロハでもなんでもないはずです。
使用する資材を有効に使用するなんて、当たり前のことじゃないでしょうか。
それを自分で研究までしなくても、近くにお手本になるような人がいて、その人と交流があり、教えてくれるならそれを真似しさえすれば済む話です。
もう、はっきり言ってしまいます。かなりぶっちゃけます。
まさか、経営(運営)に対して、こんなレベルだとは思ってもいませんでした。
いや、前から薄々、「まさかね~」くらい気づいていたような気がします。
このBさんが酷いわけではないように思えてしかたありません。
もしかしたら、これが一般レベルなんじゃないかと思ってしまうくらい、残念な思いでした。
肥料屋として働き出した10年間、「コストが・・・・」とずっと言われ続けてきました。
確かにコストカットは非常に難しいです。
一つ間違うと、完全に致命傷となるようなことが多々あります。
しかしこれはそんなレベルではないように思えます。
こんなコスト感覚に振り回されていたかと思うと、残念です。
「農業も産地間競争ではなく、海外との競争になった」と働き始めた頃に農家さんから言われたことがあります。
それも事実でしょうが、私は産地間でも海外との競争でもなく、個人間競争のような気がしています。
日本で農業をしている以上は、その中で生き残らなければ海外との競争なんて、話になりません。
現在の農家はおそらく、これから先どうしたら良いのか全く見えていない方が多いんじゃないでしょうか。
それを解決するには、まずは問題点を整理することから始めないと何もわかりません。
考えられる問題点を全て書き出してみて、それらの解決策を一つ一つ出していけば、あとはそれを実践するだけです。
その問題点が分からずに、コストカットなんてできるはずもありませんし、売上も伸びません。
農家さんそれぞれに何らかの商売人と付き合いがあるはずです。
そんな人たちに聞いてみてください。
コストカットとは何か?どうやればいいのか?売上との関係は?
ちゃんと答えれる営業マンは、少しは信用できるかもしれませんね。