君の腕が雨を降らすなら/生憎の雨。
1. 君の腕が雨を降らすなら
2. GHOST
2曲が収録された生憎の雨。のデジタルシングル。
"生憎の雨。"を冠しているだけに、6月のリリースは気合いが入るといったところか。
表題曲は、満を持しての雨ソングとなっています。
もちろん、魔喪さんらしいスタイルで、という前提で。
ダンストラックに、ピアノの美しい音色を重ねて。
これまでも打ち込みがベースでしたが、その中で情報量を増やして、リズム感を出した印象。
歌唱の面では、抑え目にメランコリックなニュアンスを強めているものの、この軽妙なテンポが、今の彼による勢いや激しさを表現しているようにも感じます。
「君の腕が雨を降らすなら」って、おそらくはリストカットの意味でしょうね。
サウンド的には洗練され、既に垢抜けていると言える中で、頑なに"メンヘラ系"を曲げないスタイルに、彼のカリスマ性が損なわれない理由が見えてくるのでは。
このプロジェクトとしては初のカップリング曲となった「GHOST」は、ヒップホップ的な見地からゴシックを捉えたナンバー。
緩急をつけて、アグレッシブかつゴージャスなサウンドで音圧を高めたり、じわじわと不気味さを演出したり、一筋縄ではいかない構成なのですが、実際に耳にしてみると、そこまで複雑には聞こえないのですよ。
サビのメロディを極限までシンプルにして、サウンドそのものをメインに据えた思い切りの良さは、そのままセンスの良さとして言い換えられそうだな。
地味かもしれないが、世界観をひとつ押し上げる1曲でした。
ベストアルバム「TOKYO PANDEMIC.」が出たばかりであることを踏まえれば、CD化されるにしても当分は先になりそう。
季節感がなくならないうちに、配信で耳にしてべき作品、と言えるのかもしれません。