嘔吐 / 生憎の雨。 | 安眠妨害水族館

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嘔吐/生憎の雨。

 

1. 嘔吐

 

 

凍結中のR指定のVo.魔喪さんによるソロプロジェクト、生憎の雨。によるデジタルシングル。

 

2020年10月末に始動を発表し、MVが公開されていた「嘔吐」と「インスタ映えない」が、2021年になって遂に音源化。

現時点ではiTunes Storeのみでの配信となりますが、購入が可能となりました。

トータルプロデュースを自身で担当。

現代の若者にとって心の柔らかい部分に刺さる歌詞はそのままに、サウンドとしてはよりパーソナルが色濃く出てきたといったところでしょうか。

 

リリースされたうちの1曲である「嘔吐」は、デジタルな質感のダンスロックに仕上がっています。

R指定からの流れで聴いているリスナーが多いことを見越して、あえてバンドサウンドを排除しているような天邪鬼っぷり。

想像の斜め上を貫く音楽性は、インパクトを最大値に引き上げていました。

サイバーな音色を巧みに使った90年代クラブミュージックを、現代風にブラッシュアップしたようなトラックメーク。

歌謡メロディとの相性が良く、ベタなノリの良さも包含していて、案外、魔喪さんのスタイルと合致するものだな、と。

それでいて、お洒落でスタイリッシュにも見せることができるのだから、プロデューサーとしてここを攻めるのは必然だったのかもしれません。

 

率直なイメージとして、V系バンドを経たソロプロジェクトの展開、およびクラブ系のトラックメーカーへの歩み寄りという点で、sleepyheadとの親和性が高いのかな。

現時点では、コラボレーションによる自身の音楽の底上げを企図しているsleepyheadに対して、生憎の雨。は、楽曲提供によって他のアーティストの音楽へ関与していこうとするスタンスの違いが見られるだけに、どこかでクロスオーバーしていくのか、それとも別々の活路を見出していくのかは、注目したいところですね。

もっとも、まだまだ引き出しは持っているだろう魔喪さんですから、この音楽性で突き進むのかもわからないわけで、こちらの邪推を簡単に飛び越えていきそうな予感もあり。

次の展開でも、リスナーをあっと言わせてほしいものです。