TRIBRID ARCHIVE/NUL.
1. Cube
2. BLACK SWAN
3. KaliMa
4. Plastic Factory
5. soulcage
6. MABOROSHI
7. abnormalize
8. Ground zero
9. XStream
10. POISON EATER
11. Halzion
12. I don't seek, I find
13. Another Face
14. nomad
インダストリアルデジタル3ピースバンド、NUL.の1stアルバム。
ex-D'espairsRayのVo.HIZUMI 、 defspiralのGt.MASATO、abingdon boys schoolのProg.岸利至により結成。
正式作品としては初となる音源は、デモCDに収録された4曲、および先行配信されていたデジタルシングル3曲を含む全14曲。
ボリュームたっぷりのフルアルバムでした。
先行にデジタルアルバムとしてリリースされ、その翌週にCD盤が発売。
CD盤の購入は、オフィシャルサイトの専用フォームから申し込む形になっているので、現物主義のリスナーはお早めに。
先行して発表されていた楽曲が収録曲の半数を占めているものの、聴き飽きた感覚はなし。
むしろ、ここにきてようやく点が線になった印象であり、全貌が見えたことで、こうも世界観が広がっていくものかと驚かされます。
硬質なデジタルサウンドは、デカダンな空気を纏っているのだけれど、天と地が一体化したような無限の世界を眼前に浮かび上がらせる。
精神的な閉塞感と、空間的な解放感。
リードトラックの「Cube」を聴いた瞬間から、そんなイメージが駆り立てられ、それが夢か幻か、といった具合にどんどん壮大さを増していくのですよ。
D'espairsRayの解散理由がHIZUMIさんの喉の不調だったとおり、歌唱スタイルは、やはり変わったと感じる。
シャウトはかなり抑えられており、復帰はしたものの、あの頃のようなスタイルには戻れないのかもしれません。
ただし、艶やかで声質の良いミドルボイスは健在。
ゴシック、インダストリアルな現在のNUL.のサウンドは、HIZUMIさんの当時の強みと、現在におけるチャレンジとの両立が可能となる理想的な音楽性であるのでは。
ずぶずぶと沈み込む退廃的な楽曲もあれば、キャッチーとすら思えるソリッドチューンもあって、バラエティ性もあり。
ラストに展開される、美しくも混沌としたロックバラード「nomad」で提示した壮大な世界観は、彼らのポテンシャルの高さを暗示していると言えるのでしょう。
<過去のNUL.に関するレビュー>