DEMO CD #1/NUL.
1. XStream
2. Another Face
ex-D'espairsRayのVo.HIZUMIさんが、シーンにカムバック。
defspiralのGt.MASATOさん、abingdon boys schoolのProg.岸利至さんと共に、NUL.を結成しました。
本作は、2019年8月の1stライブにて販売が開始されたデモCD。
11月に通販サイトがオープンとなり、広く購入することが可能となっています。
CDR作品となるため、デモ扱いになっていると思われますが、MVも作成されており、サウンド的にはほぼ完成しているのかと。
新バンドのデモンストレーション作品として、このクオリティは反則でしょ、というレベルですよ。
リードトラックとなる「XStream」は、MASATOさんがコンポーズしたアッパーチューン。
デジタルサウンドを強めに押し出して、ダンサブルに仕上げています。
リズムチームを置かない上モノのみでの編成だからこそ、当時に引き摺られない自由なサウンドを実現。
そのうえで、HIZUMIさんが得意とするインダストリアル寄りの楽曲にも相性が良さそうで、これは期待できるでしょう。
HIZUMIさんの喉の不調は完治したわけではなく、上手く付き合っていくしかないという段階とのことですが、少なくとも音源では、不調を感じさせないパワフルさ。
よくよく聴けば、ある程度楽曲を作る段階において音域を絞っているのかな、という部分はあるし、ミクスチャー風の歌い回しを多用して、喉への負担を避けているように見えたりもするのだけれど、しっかりと歌い上げる場面では、低音に響くあの頃のHIZUMIさんの歌声そのもので、本当に帰ってきたのだな、と実感できます。
後半のシャウトでの掛け合いなどは、ここまで持ってくるための背景を想像してしまうこともあり、鳥肌が立ちましたもの。
「Another Face」は、岸利至さんが作曲を担当したゴシック感を強めたナンバー。
シリアスで金属的なサウンドに、蠢くような低音ヴォーカル。
現状で再現可能なスタイルを模索し、趣味や特性も加味して、もっとも良いところに落としたな、という納得感がありますね。
このプロジェクトでも、ここまでゴスな世界観を纏ってくれるのか、という安心感、嬉しさも手伝って、存在感が高まっていく。
所謂、カップリング曲らしいカップリング曲であり、キャッチーさには欠けるのだけれど、「XStream」にてわかりやすさを優先させているので、バランスはとれていました。
何はともあれ、2019年にHIZUMIさんの新曲が聴けた、という一言に尽きます。
どのような方向に強みを発揮していくか、活動ペースはどのぐらいの規模になるのか等、まだ未知数な側面はありますが、1日でも早くアップデートした歌声を聴きたいというリスナーは、ひとまず本作をカートに放り込んでみてもいいのでは。
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直接的にNUL.のサウンドから広げていくのであれば、それこそD'espairsRayやdefspiralを聴くのが無難でしょう。
ただし、あえて深く濃いV系シーンに潜り込むきっかけにするのであれば、ex-LaputaのVo.akiさんのソロ作品には、インダストリアルをベースにしつつ、V系の矜持を織り込んだ楽曲が多い気がしますね。
NUL.にV系としてどうこうというイデオロギーはあまり感じないものの、ルーツを辿っていけば、名古屋系+デジタルを志向した後期Laputa~ソロプロジェクトの流れと重なる部分もあるのではないかと。