みんながうた/ザアザア
「みんながうた」 Type B
2,750円
Amazon |
1. 消えたい
2. カメレオン女
3. 普通の恋
4. 私はアレルギー
5. 大事なお話
6. 嘘をついてライブに行く
"あなたのお話がザアザアの曲になる"キャンペーンと銘打って、リスナーから手紙を募集。
そこからインスピレーションを得て制作された、ザアザアのミニアルバムです。
言ってしまえば、歌詞のテーマも曲調もバラバラ。
だけど、ひとつひとつが寄せられた手紙を元にしたコンセプト作品と位置付けることで、一本の軸として通してしまう。
個の強い楽曲が多いザアザアにとって、綺麗にまとめて大人しくなるよりも、多少強引な手を使ってでも個性を伸ばす方が何倍も良いのでしょう。
あれこれ分析する隙を与えてもらえず、終始圧倒された形。
あっという間に聴き終わってしまいました。
ダウナーなイントロダクションとなる「消えたい」にて、不穏な空気を纏ってスタート。
ザアザアのリスナーから集めた手紙となれば、この手の楽曲が来るのは想定していましたが、1曲目から持ってくるとは。
ありそうでなかったリズム感をもたらしつつ、期待に応えて導入としての役割を果たしていきます。
肝となるのは、リードトラックとなる「カメレオン女」。
サイケでケバケバしく、これまでのレトロ感とは打って変わったようで、その実、現代的とはかけ離れているある種の時代錯誤っぷり。
この妙に浮足立ったダンサブルさが癖となり、かえってノスタルジーが煽られると言いますか。
サビの終わり方で、意図的にスケールアウトするのが"わかっているな"といったところで、大きなインパクトを与えていました。
シンプルなメロディだけど、ケバケバしく仕上げることで癖を持たせたのは、「私はアレルギー 」も同様。
本当に、こういうハズシのセンスが抜群だよなぁ、と。
その間に挟まれる「普通の恋」は、歌モノとして機能。
ラストに持ってきた「嘘をついてライブに行く」は、王道的な構成となっており、明確な流れはないけれど、同じような曲調が続かないということで、個の印象を強める工夫になっています。
常に前の曲とのギャップが生まれ、そのおかげで、どれかの印象が薄まったり、捨て曲になったりしない。
ストレートすぎて若干媚びた感に抵抗はありますが、その引っかかりすら狙ったのではないかと思ってしまうほどですよ。
個人的には、Type Bにのみ収録された「大事なお話」がグッときた。
おそらく、亡くなったお母さんに向けての感謝の手紙をベースに、母親視点で書きあげたカントリー調のメッセージソング。
フィクションであれば、"ザアザアがこれをやらなくてもいいのでは?"とか、"狙いすぎている"等の評価も出てきそうなぐらいにストレートに泣かせにくる歌詞なのですが、ノンフィクションという前提を置いたのが奏功。
余計な詮索を切り離すことができて、素直に感情移入してしまいます。
ザアザアに優しい曲を求めていなかったのが本音だが、それでも子育て世代にとって、これは反則だわ。
久しぶりのアルバム作品で、新鮮さを取り戻したということもあり、再びザアザア熱が高まる1枚。
ベストアルバムのリリースも決まっており、もう一段階のブレイクを期待できそうです。
アルバム未収録のシングルが多い彼らですので、こちらも楽しみ。
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おしまい/キズ
おしまい (TYPE B)
5,400円
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詳細なレビューは<こちら>
リスナーの体験談を楽曲にする試みにおいて、記憶に新しいのはキズの電話相談。
結成告知で全貌が明らかになっていない中での電話番号での悩み相談という前代未聞の企画の効果は、現在の勢いを見れば一目瞭然といったところでしょう。
現代V系の主流に、密室系由来のアングラ要素を乗せることができるとしたら、ザアザアとキズの活躍は必須条件。
この路線のバンドに、しっくりくるサブジャンルの名前を与えることができれば、シナジー効果で一気にハネると思うのですけれど、いかがでしょうか。
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