コワイクライ / ザアザア | 安眠妨害水族館

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コワイクライ/ザアザア


1. 冷たい
2. コワイクライ
3. せめてもの世界
4. 子守唄
5. 独奏オーケストラ

大阪を拠点に活動するザアザア。
本作は、2015年3月にリリースされた1stミニアルバムです。

3月1日に本作を発表した後、6月1日には2ndミニアルバムをドロップ。
9月1日には、早くも3rdミニアルバムのリリースが決定されており、3ヶ月に1枚ミニアルバムをドロップするハイペースな活動を展開する彼ら。
この調子で、12月1日には4thミニアルバムが出たりするのだろうか。

さて、本作は"人間の恐怖"をコンセプトにした作品とのこと。
バンド名に恥じないじめじめとした閉塞的な世界観に、激しさと切なさを同居させた音楽性で、アングラ臭が漂うわりには、ノリやすく聴きやすいという特徴がありますな。
広義の意味でのムックのフォロワーとして括られそうではあるが、重苦しさに頼るのではなく、相応に疾走感を持たせてメロディを立てようとしているので、既にオリジナルに昇華しつつあるといったところでしょう。

「冷たい」、「コワイクライ」と、タイトルのネーミングも独特。
キーワードとなるフレーズを浮かび上がらせ、何とも言えない不気味さを演出しています。
その「冷たい」は、トップバッターとしてはやや地味なサビ。
インパクト不足かなぁ、と思わせるのですが、おそらくこれはブラフで、リードトラックとなる「コワイクライ」の印象を強めるための曲順であるのだ。
ハードでメロディアス。
押さえるべきところ押さえつつ、サイコパスなドラマ性も織り込み、強烈な印象を与えるように工夫していますね。
新進気鋭のバンドながら、なかなか計算高いものである。

歌謡曲的な要素を強め、広がりのあるサビを聴かせる「せめてもの世界」、歯切れの良いギターのリフがテンションを高める、スピード感のある「子守唄」、ラストにふさわしい疾走メロディアス系ナンバー「独奏オーケストラ」と、そこからも佳曲をバランス良く配置する構成。
「コワイクライ」へ繋げる演出が鮮やかすぎただけに、もう少し曲数を増やして、最後の盛り上がりを、もっと過剰に表現しても良かったかなとは思うものの、初のアルバム作品としては十分に及第点です。
大阪バンドながら、2015年の注目株として、ぐいぐい評価を伸ばしているのも納得。
確かに期待のニューカマーである。

2015年のリリースラッシュが、どういう結果になるか楽しみ。
口コミで評判が広がってきたところで、話題性の大きい連続リリースとくれば、興味本位で耳にする新規リスナーも多いはず。
ここで、リピーターを増やすことができれば、全国区のバンドになるのは時間の問題。
クオリティを落とさず、このスタイルを継続してもらいたいです。