おしまい / キズ | 安眠妨害水族館

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おしまい/キズ

おしまい (TYPE B) おしまい (TYPE B)
1,620円
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1. おしまい

2. ヒトミドリ

3. へのへのもへじ

 

カップリング違いでの2種類同時リリースとなった、キズの1stシングル。

TYPE Aには「天誅」、TYPE Bには「へのへのもへじ」が収録されています。

 

全貌が明らかになる前に、電話番号だけが記載されたフライヤーが配られる。

しかも、その電話番号で悩み相談を受けるという、前代未聞の結成告知は、正式始動前から話題になっていました。

 

いよいよ解禁となったヴィジュアルは、白塗り、白学ランというキワモノ的な雰囲気。

ボーカルはex-LEZARDの来夢さんであることも判明して、あの熱量の高いパワフルな歌唱と、アートワークから醸し出されるアングラな世界観が、どう結びつくのかが気になりますね。

 

始まりの曲が「おしまい」というのも皮肉が効いているが、歌詞は前述の企画にて受けた悩み相談からヒントを得ているのだとか。

童謡的なフレーズをフックに使いながら、ゴリゴリとしたサウンドで攻撃性を示していくハードなナンバー。

暑苦しさすらある来夢さんの熱唱により、テーマがテーマなのに、ネガティブさよりも力強さが感じられるから面白いです。

 

カップリングの「ヒトミドリ」も、緩急をつけつつ、最終的には勢いを爆発させて。

率直に言って、見た目に漂う昭和レトロな要素は薄いかな。

むしろ、クラシカルなギターが要所要所で飛び出して、様式美重視というイメージすらありますよ。

 

TYPE Bにのみ収録された「へのへのもへじ」は、ライブで育てる価値がありそうなアッパーチューン。

ダンサブルなリズムに、細やかに動き回るベースの音色が特徴的で、音の聴こえ方にも工夫が見られます。

こちらを聴く限りでは、流れらしい流れを作らず、3曲すべてを全力投球したといったところでしょうか。

 

とにかく熱い。

白塗り=密室系という固定観念を取り払うにはぴったりなバンド。

ヴィジュアルイメージだけで音楽性が推測できる昨今のV系シーンのアンチテーゼとして、異質な存在感を放ちそうな予感がします。

期待していたものと、実際に出てきたもののギャップに戸惑っていたのも事実ですが、慣れてくると癖になってくる。

ある種の新しさが感じられる、型破りな作品です。